第73回紅白歌合戦の出場者のこと

第73回紅白歌合戦の出場歌手が発表されました。今年は割と早いな。
とりあえず、嗜好が年齢のみならず様々な要因で細分化多様化していますので、「みんなが知っているヒット曲」を求められる時代ではなくなってしまっているよ、ということはもう前提で。

今のところわかりやすい目玉的な存在はいらっしゃらない感じですが、最近は大物は後出しで発表するのが常ですので、これで全部判断するのも早計ではないかと思います。


ただ、こまごまとした変化は割とある感じです。

■緑黄色社会・SAUCY DOG初出場
緑黄色社会はもう間違いないだろうとは思っていましたが、SAUCY DOGはちょっと意外でした。
ぼんやり考えていた頭では、バンド系の初出場可能性として
1.緑黄色社会
2.マカロニえんぴつ
3.Novelbright
4.SAUCY DOG
くらいの順序だと思っていたので、SAUCY DOGがマクったように感じます。
というか、マカロニえんぴつは10月に「紅白出場濃厚」のスポーツ新聞記事が出ていたのですが、どうしちゃったんでしょうか。
負けるな、はっとり。

■JO1・BE:FIRST初出場
もうここらへんの男性ダンス&ヴォーカルグループは、ジャニ勢に匹敵する売上とチャートアクションですので、いろんな事情を加味してもさすがに外すわけにいかなくなりました。健全な世の中になったということでしょうか。
直近では今回は選ばれていないINIがセールス的には一番売れているはずなのですが、そこはJO1との先輩後輩関係も考慮して、ということで。このまま人気を継続すれば来年には出られるのではないでしょうか。

■ジャニーズ系枠は1増
昨年出場したKAT-TUNが去り、なにわ男子とKinKi KidsがINして結果としてジャニーズ枠は1増。
なにわ男子はジャニーズグループ内での売上を比較すると妥当ではあるのですが、ジャニーズWESTオタの皆様の気持ちを考えると複雑です。
昨年作成した「ジャニーズグループ紅白出場一覧」を見る限り、今年KinKi Kidsが選ばれるというのは流れで考えると少し妙な感じがします。
なのでこの抜擢は、今年で「引退」する吉田拓郎をサプライズで呼ぶなり何なりするための「外堀埋め担当要員」という可能性を考えてしまいます。
「LOVE LOVE あいしてる」の最終回スペシャルも光一くんから拓郎さんへの働きかけで実現したものですし、拓郎さんも「LOVE LOVE あいしてる」前の1994年に紅白出ていますので「絶対出ない」みたいな頑なな態度でもないと思いますし、割とあり得るのではないかとドキドキしています。

■LDH枠、消滅
2007年から1-2組は必ず出場していたLDH勢がいなくなってしまいました。
ジャニ外の男性ダンス&ヴォーカル勢が出張ってきた結果、押し出された感はあるのですが、実際チャートアクションも芳しくなく、止むを得ないところです。

54(2003):EXILE
55(2004):EXILE
56(2005):
57(2006):
58(2007):EXILE
59(2008):EXILE
60(2009):EXILE
61(2010):EXILE
62(2011):EXILE
63(2012):EXILE・三代目
64(2013):EXILE・三代目
65(2014):EXILE・三代目
66(2015):EXILE・三代目
67(2016):三代目
68(2017):三代目
69(2018):EXILE・三代目
70(2019):GENERATIONS
71(2020):GENERATIONS
72(2021):GENERATIONS

■Adoではなくウタ名義での出場
もう今の日本ではトップクラスのプレゼンスを誇るAdoさんですが、万が一Adoさん本人名義で「うっせぇわ」を歌唱した場合、口癖のように歌っていたお子様とそれを快く思っていなかった親御さんとの確執が大晦日のお茶の間で深刻化してしまいますし、そもそもAdoさんが顔出ししない方針のままではテレビとしての絵が持たない可能性もありましたので、今年ウタというある意味「ペルソナ」を得たことで、本人・NHK・配給元の三方よし状態完成。
おめでとうございます。

■K-POP範疇のグループの出場数が増加
2019年にTWICE(JYP所属)が出場して以降、所謂K-POP範疇のグループの出場はなかったのですが、今回TWICE復活とともにLE SSERAFIM(HYBE所属)、IVE(STARSHIP所属)と3組の出場。
いずれのグループも所属は韓国の事務所ですがメンバーに日本人がいるところがポイントです。
とはいえIVEの場合はK-POP枠というよりは、日本国内でのマネージメント担当であるアミューズ枠の側面の方が強いのではないかと思います。去年出場した宮本浩次が今年は出ない分。

■back number出場しない
朝ドラ主題歌なのに何で出ないんだという声が結構あったのですが、10月期の朝ドラ主題歌担当ミュージシャン、2015年以降は隔年で出場不出場が繰り返されるルーティン状態で、それで行くと今年は確かに「出ない」が正解です。

2011 椎名林檎 カーネーション
2012 HY いちばん近くに
2013 ゆず 雨のち晴レルヤ
2014 中島みゆき 麦の唄
2015 AKB48 365日の紙飛行機※
2016 Mr.Children ヒカリノアトリエ ×
2017 松たか子 明日はどこから
2018 DREAMS COME TRUE あなたとトゥラッタッタ♪ ×
2019 Superfly フレア
2020 秦基博 泣き笑いのエピソード ×
2021 AI アルデバラン
2022 back number アイラブユー ×

※歌唱はNMB48

こんなところでしょうか。

もう演歌勢は浮動的な枠が完全になくなって面白くないので、石川さゆりの歌唱曲ルーティンを確認するくらいしかすることないし、篠原涼子は「90年代はもう本格的に懐メロ枠なのだな」と思わせるだけだったりするので、あとの興味は、「SixTONES」「milet」の他に「Aimer」「LE SSERAFIM」等、一見さんには読むのが辛い方々が増えたことにどれくらいの人がキレるのかということと、果たしてVaundyさんをNHKがどう映すのか、くらいでしょうか。

閉店するレコ屋とオープンするレコ屋のこと

10/23に閉店した神保町のジャニス2、この週末3日間だけ臨時営業ということで行ってきました。

レンタルの方のジャニスが2018年11月で閉店、向かいのビルの2階に入っていた中古盤販売のジャニス2は営業を継続していましたが、そちらもこの10/23に閉店。
それが、「11/11-13の3日間、レンタルアップ品の販売で売れ残ったCDを1枚200円で販売する」ということで。
正味大した商品は残っていないのはわかっていましたが、あの場所に入れる最後のタイミングかもしれんと思って。
階段を上ると、箱の中に備品が「ご自由にお持ちください」状態。ものすごい「これでおしまい」感。

店内も棚等がほぼ撤去され、もう何か寂しい。

掘ってみたら割といい感じのがまだ残っていましたが、全部掘っていたら時間かかりすぎるので「5枚(=1000円)見繕った時点で終了」ルールで購入。
割といい買い物ができました。ありがとう。

神保町駅から地下鉄と小田急を乗り継いで下北沢。
今度は11/5にオープンしたレコード店、ELLA WAREHOUSEへ。
新店舗とはいっても、2021年3月まで営業していたELLA RECORDS下北沢店の場所そのままですし、何なら入口近辺も21年当時ほぼまんま。

この新店舗は、「レコードで遊ぶ」をコンセプトに、

  • 12インチシングルのみ取扱い
  • 値段は「A:1100円」「B:550円」「C:110円」の3プライスのみ
  • 現金不可。カードかSuica等のIC系で(PAY系は見たところ使えない)

という、かなり割り切った感じの店舗です。
この割り切りが可能なのは、幡ヶ谷のELLA RECORDS本体があるからこそではないかとは思いますが。

開店の報を聞いた際には「在庫処分のための短期展開店舗ではないか」とも思ったのですが、ショッパー袋も専用の物を作っていましたし、割と本気度高め感は感じました。

いざ掘ってみると今のところ「C:110円」は相当に少なめです。とはいえ、これから営業していく中で、「B:550円」で動かなかった品を「C:110円」に持っていくとかいうことも今後きっとあると思いますので、これ定期的に見ていく必要ありそうです。

ということで、やめるレコ屋あり、新たなコンセプトで始めるレコ屋あり。
ELLA WAREHOUSEは特に、アナログのレア盤偏重の流れへのカウンターという側面もありますし、ちょっとこの先面白い。

それでも、「アナログになってもないしデータ化もされていない、CDでしか世の中に存在しない」音源を拾ってくれるお店がそろそろ出てくるのではないかと、最近は思っています。

アイドルイベントNEW ERA VOL.3@リキッドルームのこと

土曜は昼からずっとリキッドルームに籠ってアイドルグループがたくさん出るイベントNEW ERA SYNDICATE Vol.3へ。

ざっと見て、割と楽曲派志向な感じで、好きなのとか是非一度観てみたいと思ってたのがずらずら並んでいたので。
というか、8月は他のライブにかかりきりだったため、TIFや@JAM EXPOあたりのアイドル系フェスはスルーいたしまして、結局これだけの数のアイドル出るイベントは本当に3年ぶりくらいで。

かつこのラインナップ、現体制ママで以前に見たことあるのはワンマンに行ったヌュアンスとRingwanderungの2グループだけ、サンダルテレフォンは結成というか改名というかごく初期にチラ見したことがある程度、他は完全にお初です。
コロナ禍で止めるアイドルグループもいれば結成するグループや隙に乗じて評価を上げてくるグループもいて、本当に最近の界隈疎くなっていたので何とか一端でも掴みたいと。

で、今回特に心に来たのがfishbowlとサンダルテレフォン。

fishbowlは友人の静岡出身が総じて(但し2名)推していたので、音源聴いてすごくよくてクレジット見たらヤマモトショウ氏。
インディーズ期のフィロのスは作詞だけだったんですけど、こちらでは作曲も彼ということですごく納得して愛聴していたのですが、ライブはどんなもんかと思ったら、すごく不思議な感じで。
出てきてもう明らかに東京や大阪のアイドルグループではない空気感。そして決して練度が高いとは言えないパフォーマンス。

それだけなら「ふーん」で終わるのですが、ステージ通してじわじわと伝わってくる異常なレベルの「人懐っこさ」的な空気は何だ。
いい歳してアイドルを観に行っている身として「親戚のおじさんのような気持ちで」みたいなことをたまに言ったりもするわけですが、彼女たちはこっちが特にそう思っていなくても強制的に「親戚のおじさんのような気持ち」にさせにくるのです。

一発目、彼女達の楽曲の中でも特に大好きな「湖月」、そういう空気の中で歌われるわけですからやっぱ音源よりもずっと素晴らしく聴こえるし、ステージ通して何か幸せな気持ちになる。
正味、練度はもう少し上げた方がよいとは思うのですが、これでキレッキレのダンスになったりしたら、それはそれで今のいいところが失われるような気もしますし、これ難しい。

サンダルテレフォン。今の表記はSANDAL TELEPHONEか。
アルバム「REFLEX」はCD買って聴いて、かなりすごいぞと思ってはいたのです。
楽曲的に「ラウド」とか「テクノ」とか「マスロック」とかわかりやすく楽曲派的トラックではないのですが、これは間違いなく「アイドルポップス」ではなく「アイドル歌謡」を狙って作った音であり、現在的な解釈も盛り盛りの結果「令和のアイドル歌謡」的なものが生まれてしまったという、割と計算ずくで作り上げた「音楽」であり、でも聴いていてきちんと気持ちいいものになっているアルバムで。

で、ステージ見て仰天するわけです。そのライブ表現も寸分違わずそんなアルバムの狙いを再現しにかかっている。今自分は何かすごいものを観ている。
パフォーマンスまで「アイドルポップス」の表現ではなく「アイドル歌謡」のそれになっているんです。全体的に。

アルバム楽曲「Be Free」ではマイクスタンドを持ってきて歌い踊るのですが、湧き上がる「絶対初めて観るのだけどでもこれ何かすごい昔に観たことがあるんじゃないか」感と、そういう気持ちになった後の何か痺れのような感覚。
そしてステージ通して、圧倒的な「プロフェッショナル」感。何かとんでもないもの観た。

fishbowlとダルフォン、表現の考え方はほぼ真逆なわけですが、そういうの含めていろいろ並んでいるところがこういう企画のよいところで。

経験済みの2組、ヌュは新体制ワンマンは観ていましたが他のグループと並べて観るのは初めてで、でも割といい線行っててホッとしたり、リンワンはもう歌割りに注目して観るのがすごく楽しかったり。5人組ですが、5声同時というタイミングは割と少なく、通常ハモっても3人で。それで5声来た時には「来た!」とか思うのです。

あとは、「終わらないで、夜」、何かひとりだけ歌もダンスも図抜けている子がいるのがすごく気になったり、Zsaszはトラック的には「ラウド系」の範疇ではあるものの、歌い上げ方含めて全体的な佇まい込みで言えば明らかに「ハードロック系」だなと思ったりとか。
他も楽しく、12:30から20:30すぎまで楽しく過ごしました。

ただ、まだ観てないグループで観たいのいますし、とりあえず明日は22日のサンダルテレフォンのワンマン行けるように仕事の調整できるかどうかだ。

健康@Veats Shibuyaのこと

ヴィジュアル系とはなかなか難儀な「ジャンル名」でありまして。

ちょっとしたCDショップですと「ヴィジュアル系」というジャンルの棚があるのですが、Dir en greyとゴールデンボンバーがその同じ棚に収まっているというのは他のジャンルではありえないわけで。
それでもそれは、概ねバンギャの皆様が「仲間!」と判断してファンになれば概ねそれはヴィジュアル系になりうるという、ある意味健全な状況の結果ということでもありまして。

ただ逆に、ヴィジュアル系の中で音楽のジャンルとしてポストロック的な「非王道」の方や内省的な方に行くと、音楽性として相当にレベル高いことをしていても一度「ヴィジュアル系」の中に入ってしまうとその枠の外にまでは届きにくいという問題もありまして。
しばらく推していたBAROQUEなんかはまさにそれでしたが、結局コロナ禍のさなかに無期限の活動休止となってしまい。

そこでこのユニット「健康」の話です。
メンバーはlynch.のギタリスト悠介と 真空ホロウのフロントマン松本明人。ヴィジュアル枠内1名と枠外1名で組んだ場合はどうなるねん、という組み合わせ自体が非常に実験的なユニットです。
サポートのドラマーはユナイトの莎奈でベースはTHE NOVEMBERSの高松浩史という、こちらも枠内1名・枠外1名という組み合わせ。

音源はポストロック的ではあります。「ポストロック」言うてもそれはそれで現状相当広範な音を指す言葉になっていますが、その広範の中で割と縦横無尽に遊んでいて、でもやっぱり曲として難しくはなりすぎず日本人的な叙情は出まくっているという、自分にはかなりグッとくるタイプの音楽で。

で、金曜日の晩のライブ。

これがどうなっているかというと、その「広範」が更に無闇に拡張されている状態。
レンジやダイナミズムが当然のように音源をはるかに越えていき、微かに鳴る音はより微かに、爆音で鳴る音はより爆音で。音源では気付かなかったか聴こえていなかった様々な意匠も見えて聴こえてくる。何せメンバーがステージ上で謎の打楽器叩いていたりホースみたいなものを振り回しているのでイヤでもわかる。

で、聴きながら思っていたのは「もっとデカい箱でもっと爆音で聴きてえ!」ということ。Veats Shibuyaとか、さして天井も高くない箱ではなく、せめてホールクラスで。そういうスケールの音ですから。
映像も相当に凝っていたのにVeatsのスクリーン超小さいんですよ。あれもホールだったらデカくなる。たとえば人見記念講堂だったら、以前にアイドルグループMaison book girlがラストライブでスクリーンのみならずステージの外枠まで使ってえげつないレベルで映像かましていてビビったんですけど、ああいう感じでやってくれたら俺は泣くよ。

今回のライブで一旦活動は一区切りのようで。お互い本職のあるサイドプロジェクトなので仕方ないのですが、また近々でお願いします。ホールで。
だからホール埋めるには、今回みたく観客9割5分女子じゃいかんのよ。音としてはもう完全に両性に訴求しまくれる音なので、何とかしたいのですが。何とかなってほしい。

Billboard Japanのチャート集計指標変更のこと

ここのが一番記事としてはいい感じでしょうか。

Billboard Japan、Twitterの集計廃止 チャートハック目的の投稿減少なるか

オリコンと並んで日本のヒットチャートを集計しているBillboard Japanがその集計指標のうちTwitterとルックアップを除外することになったのですが、この発表を受けて一番ざわざわしているのは、ボーイズ・グループのファンコミュニティ界隈。

この界隈については以前にも言及したのですが、推しグループのチャートアクションを少しでもよくするために、ありとあらゆる努力を行います。

Twitterでもその集計数を少しでも上げるために、グループ名曲名にハッシュタグ付けてツイートしまくるのはもちろん、サブアカウントの作成を奨励しているところもあったりしたのですが、今回の措置によってそんな努力がもう数字に反映されなくなってしまいます。
というか、運営がそういうのに懸念を持ってのこの変更なわけですけど。

で、もうひとつ廃止されるのがルックアップ。雑に言えば「CDをPC等に取り込んだ回数」ですが、自分にとってはこちらの方が気持ちとしては残念感大きい。

オリコンチャートは元々「CD売上数」に特化したもので、さすがに今の世の中それだけではあかんと「合算チャート」を新たに作成するにあたって、ダウンロードとストリーミングの回数も指標化した、という流れ。
そして「CD売上数」の中に「レンタル店で使用されるCD」が含まれるかどうかですが、「調査協力店」の一覧の中にレンタル用CDの卸企業の名前が入っていないことから、自分は含まれないという認識でいます。

要するに、レンタルCDの動きがチャート集計に絡んでいたのはBillboard Japanのルックアップだけだったのが、今回それがなくなるということ。
もはや風前の灯火なレンタルCDですが、チャート的には完全にこれで「ないこと」になるわけです。

21世紀入って少しくらいまでは、大人数にとってほぼイコールであった「音楽を聴く」と「CDを手にする」というふたつの行動が、今となってはあまりにも違う意味を持つようになりました。
で、CDレンタルは正味「音楽を聴く」と「CDを手にする」がほぼイコールであって初めて成立するビジネスであり、2020年代には存在意義がなくなりかけていると言っていいのですが、TSUTAYAやGEOも独自チャートを出していない今、チャート的なプレゼンスはこれで消滅するということで。

CD販売の方も風前の灯火、と言いたいところなのですが、前に言ったようにボーイズ・グループの台頭で「CDを積む」方針で活動しているグループが増加したところに、更に現在韓国の大手芸能事務所が日本発のグループをデビューさせようと動いていることを筆頭に、今後ボーイズ・グループ方面は一層の拡大傾向で、「CDを手にする」アクションはむしろ増えるかもしれないという状況。
利益率のいい盤をここまで買ってくれる人がいるんですから、そりゃ集まってきます。
この件はまた追って突っ込んで確認したいと思います。

最近のレンタルCD/DVD界隈のこと

最近ライブとか映画の感想ばかりですが、いろいろ聴いたりウォッチしたりはしております。

TSUTAYAは相変わらずバタバタと閉店していますし、Tポイント事業もいろいろ課題山積でCCCどうすんねんと思っていたら、先日「TポイントとVポイントの統合」が発表されました。
統合の結果誕生する新会社はCCCが6割の出資ということですので、この新会社をうまいこと転がすことができれば、CCCは連結の決算でなら何とかかっこつけることができるかもしれない状況。
まあ、上手く転がせれば、の話ですが。

ということで本日はTSUTAYA以外のレンタル業界隈のことをかいつまんで。


■ゲオが新店舗をオープンさせている
今や主業はセカンドストリート名義店舗でのリユース事業になっているゲオ。
レンタルしか行っていないゲオの小型店舗を次々に閉店させ、セカンドストリート名義の中型大型店舗の出店を強化し始めてはや数年。
「ゲオ」名義の店舗は今年に入って既に30店舗が閉店し、TSUTAYAほどではなくても割と快調なペースで店舗網を縮小していたのですが。

何故か9月以降「ゲオ」名義で3店舗がオープンしています。1店舗は既存店舗の移転の形ですが、2店舗は新規オープン。

09/17:ゲオ 豊橋岩田店(愛知県・移転)
09/22:ゲオ 黒磯店(栃木県)
10/07:ゲオ 釧路鳥取店(北海道)

2022年にDVDレンタルを行う店舗が新規オープンするという、割と想像していなかった事態が発生しています。

黒磯店はTSUTAYAから2km程度しか離れていない場所という、割と殴りに来ている感じの場所の出店。ここら栃木県北部のTSUTAYAはビッグワンというFCが牛耳っているのですが、別にいよいよビッグワン社の状況が悪化したという話も聞きませんし、すごく強気を感じます。

釧路地域についてはTSUTAYAは2019年に完全撤退しているのですが、今回のゲオは最後のTSUTAYAがあった場所とは釧路市の旧市街地を挟んでほぼ逆の位置。
というかゲオ釧路鳥取店は以前に存在していたものの建物の老朽化のために2019年に閉店したのですが、約3年のブランクを経てようやく新たな適地(閉店したツルハドラッグの跡)を獲得して今回改めての新オープンという形。
なのですが既存の釧路星が浦店から2km強しか離れていない場所ですし、元々の釧路鳥取店よりも500mほど西、より星が浦店の方に寄っていますので、やっぱりこちらも強気を感じます。

旧作は30店舗も閉店していれば数店舗閉店セールしないだけで集められるでしょうし、割と初期投資低めでオープンは可能だと思います。
また、半ば中古のリユースが中心でレンタルはおまけ程度の店舗かもしれないですし、いろいろ邪推はできるのですが、それでも2022年にレンタルの新店舗オープンするの頭おかしい。


■福岡市ウッドランド、遂に閉店
福岡市の南区に「ウッドランド」という孤高のレンタルDVD店があります。
かつては数店舗のチェーンだったようなのですが、私がこっち方面に物心ついた時点で他の支店は既になく、残ったこの店舗もオープン34年を経てこの10月末に閉店と相成ります。

かつてチェーンとして存在してた屋号が消滅することも多くなっておりまして。

2015/07:ピープル(西新宿店)
2016/03:BIG BEN(勝田店/大みか店)
2017/01:ファレノ(十日市場店)
2019/02:人気堂(東刈谷店)
2019/02:ハリウッドムービーズ(高島平店)
2019/06:ビデレコ(曽根店)
2022/03:サンホームビデオ(江別店)

ざっくり拾っただけでもこんな感じで、既に「終わった」業態とはいえ割と寂しいことです。


■ビデオ合衆国USV、いよいよ危ない
消える屋号があるということは、現状いよいよ危うい屋号もあります。

・メディアステーションポパイ(広島県・残1店舗)
・キングスロード(徳島県・残2店舗)
・アイドル(長崎県・残1店舗)

そして本格的に危うくなっているのが、かつては東海地方と兵庫県を中心に全盛期には60店舗近い店舗網を誇ったビデオ合衆国USV
現在残り3店舗のうち愛知県一宮市の尾西店が、この週末24日に閉店です。

で、この尾西店の閉店は他2店が閉店するのとは異なる状況があります。
TSUTAYAは店舗の9割がCCCの直営ではなくフランチャイズですが、他のチェーンもおよそ同様にフランチャイズによる店舗があります。
ビデオ合衆国USVの場合、CCCにあたる運営本部企業はカジ・コーポレーションという企業ですが、尾西店はカジ直営の最後の店舗ということです。
残るのは岐阜県大垣市の店舗と神戸市の多聞店のみですが、この双方ともFC店舗。本部機能の統治がこれまでもどの程度効いていたかはわかりませんが、これで確実に放逐されてしまうことに。

上記キングスロードも本部企業は既に2017年にレンタル業からは撤収していて、残った2店舗はいずれもFC店で、実は屋号も「キングスロード」ではなく「キンスロ」と、微妙に変更しています。
とはいえ、残った2店舗のうちのひとつ、脇町店の看板加工のものすごいやっつけっぷりは最高ですが、泣けてきます。

時々メディアにも取り上げられる「令和の世の中でVHSばかりのレンタル店」、三重県伊勢市のジョイフルも、裏は取れていませんが恐らくかつて存在していたレンタルチェーン・ジョイフルの残党の可能性が高いと思います。

残ったUSVの2店が「野良」化することでどういう変貌を遂げるのか、少しドキドキします。
TSUTAYAもいろいろありますので、そっちはまた近々で。

ヌュアンス@川崎クラブチッタのライブのこと

10月7日は川崎クラブチッタでNUANCEのライブ。

5月の新体制初ワンマンが非常によいライブだったのですが、全体的な評判もよかったようで「再演」するということになり、それで6月に日程が決まっていたものの、メンバーのコロナ感染で延期になったのがこの日程。
が、それ以降TIFや@JAM等の大型アイドルフェスを含んだところで新体制のスキルがガンガン上がり、彼女たちの「基礎」でもある商店街での公演を含むツアーもあって、結局「再演」はどこかに行ってしまい、「ツアーファイナル」としての公演になったのがこれ。

ヌュアンスのバンド編成でのライブがダメだったことはなく、今回も抜群だったので、前回との差異を挙げてみることにします。

  • 新メンバーのこなれ具合がハンパない。そりゃあれだけステージをこなしていればそうなるのですが、5カ月間を開けて観ると感動するレベル。
  • 新メンがこなれた結果、お姉さん2人のわかと珠理の自由度が格段にアップしました。5月はまだ慣れていない新メンをフォローすべくわかも珠理もMCもかなり頑張っていたのですが、新メン慣れた結果そこまで頑張らなくても大丈夫に。
  • お姉さん頑張らなくてもよくなった結果、珠理が通常運転に。本人曰く「ゾーンに入った」くらいの集中っぷりだったようですが、5月の彼女及び今回の他メンがあからさまに頑張っていることが伝わってくるのと比較すると「頑張りの伝わり感やや薄め」というか、正直「いつも通りの珠理」で。観ていて「俺たちの珠理が戻ってきた!」くらいの気持ちで。
  • 新メンで特にヤバかったのが恭美。時々菩薩みたいな笑顔になるようになった。下々を見渡している。これはいけない。

ということで、来年4月に神奈川県民ホールでのワンマンを発表したわけですが、いやこれどうするの。
ヌュアンス運営の癖として、無理めの発表をして、その後死ぬほど頑張って辻褄を合わせるというのがすごくあるのですが、これ本当どうするんでしょうか。

Underworld×サカナクション@東京ガーデンシアターのライブのこと

10/4は東京ガーデンシアターでUnderworld×サカナクションのライブ。

元々は7月に開催予定だったものがサカナクション山口一郎氏の体調不良のため延期され、思ったより早くリスケしてきたなと思っていたら、再び体調悪化。
契約の縛りか、保険が下りない条件に引っかかったか、よくわかりませんが、今回は再び延期や中止はなく決行決定。
とはいえ普通のライブはさすがに無理ということで、「4人によるDJセット」という形でアナウンスされていました。

で、さすがにこれで何のケアもなしというわけにもいかず、希望者に払い戻しも行われた結果、会場に着いてみたら本当にちょいちょい歯抜けになっている。
かくいう自分も友人と行く予定だったのがソロに。
でも、一郎レスの4人がサカナクション名義で音を出すということが過去にあったか今後あるかということを考えると、少なくとも珍しいものは観られるわけであり、具体的にどういうことをやるか全くわからないライブというのも他になく「2枚のうち1枚だけ払い戻しが可能」ということを確認できた時点で参加決定。

そのサカナクション。
本当にただのDJで4人がターンテーブルの前で誰かのレコード回し始めたら「金返せ」コールも辞さない構え、逆に「ミュージック」の始まりみたいにマックブックが並んでいてでもよく見たらひとり足りねえじゃねえか、みたいな始まりだったら最高、くらいの気持ちで眺めていたのですが、これが思っていたよりいい。

サカナクション楽曲を各トラック単位で解体して、そのトラックを加工しながら重ねていって結果としてリミックス的リコンストラクション的な音像を作っていく。
テクノミュージシャンの行う「ライブ」的なものではあるのですが、時折生演奏も入ったりするのでそれだけに留まらないダイナミズムもあったり、ちょいちょい加工された一郎ヴォイスも挿入され、曲の流れ上の盛り上がりとは違うところでまた盛り上がったり。

結果として1時間強、非常に面白く聴くことができました。
そりゃバンドとしてのライブには適うべくもありませんが、でも今後またそういう事態が起きる可能性もそんな高くなく、そしてパッケージにする用の映像収録を行っている様子もなく、たまにステージ前をGo Pro持ったスタッフが左右に動いていたりするくらいでしたので、この音を再びフル尺で聴くことは恐らく不可能。
本当に「今ここでしか聴けない」音を体験できたということが何とも嬉しい。

Underworldは前に観たのがたぶん2003年のフジロックだと思います。どんだけぶりだ。
当然期待はしているのですが、きちんとその期待まんまをかましてくれる「盤石」感。アガるのですが何か泣けてくる。
そりゃそうだ。自分が20代の頃にクラブに行ったり自分でDJやってみたり友人のイベントに参加したりしていた時、「Born Slippy Nuxx」は最強最高のアンセムであり、逆に生半可な流れで選曲することも憚られるレベルの曲で。
当時、1990年代以降の「テクノ」に夢中になり、でも当時は「これらはこの時代の音楽である」という感覚があったのですが、そこから何年か経ったのち「テクノもエヴァーグリーンたりえる」ことを理解し、そのエヴァーグリーンの象徴みたいな曲が、目の前で爆音で披露されているのですよ。
きちんとオーラスでやってくれた「Born Slippy Nuxx」で自分の20代をエグるだけエグって締め。

結果として、十分以上に元を取った感。
ただ、何年か後に改めて万全な状況でもう一度やってほしいという気持ちも。とりあえず一郎は時間かけても万全に。

バナナレコードが関西に出店したこと

東海の中古レコ屋の雄、バナナレコード。

私も高校時代には、栄というよりむしろ伏見に近い古いビルの地下にあった旧本店で、ナゴムのレコード買ったりいろいろお世話になっていたものです。
一時期は渋谷・吉祥寺・横浜にも店舗展開していたのですが、2014年には関東から完全撤収して再び愛知・岐阜のみでの営業になり、昨年には遂に栄地区からも完全撤収、大須に本店機能を移していまして、正直ちょっと心配していたのです。

が、今年になって7/2に大阪梅田、9/4に京都四条と、立て続けに関西地区で店舗展開を始めまして一瞬これは何が起きたのかと思ったのですが、ちょっと調べて理解しました。

バナナレコード、関西地区を基盤にしている「カメラのナニワ」の傘下に入ったのですね。
大阪梅田店は元々中古カメラ販売を行っていたフロアを、京都店は元々ビルの1-3階でカメラのナニワとして営業していたところの2階を、それぞれバナナレコードとして改装してオープンしたという形。

何となく背景は想像できます。
バナナレコードは栄地区から完全撤収したところからも察するに、正味「めちゃくちゃ景気がいい」とは言えない状況。
カメラのナニワは、東京のビックやヨドバシのように総合家電量販店という方向には舵を切らないまま現在に至った結果、いよいよ独立した機器としてのカメラの需要が先細りしてきて、既存商品の販売面積を減らしてでもとりあえず何らか短期で利益が出る別の商材を欲していたという状況。
両者の意図が合致するのも納得です。

これで当面はいけますが、気になるのは現状安定しているように見える「アナログ」需要がこのまま長期にわたって安定するのかという点。
シティポップ的なところの周辺を見るに、「流行り」の匂いもまだ拭えない感じもしておりまして、またバナナレコードもここまでずっと継続してアナログを扱い続けてはいたものの特に「アナログにこだわりまくった」経営でもないわけで。

ですので、カメラのナニワ傘下でバナナレコードがどう変わるのか変わらないのか、変化があるとすればそれは愛知・岐阜の店舗にも影響があるのか。
とりあえず関西の2店舗がどういう商品構成なのか見てみないことには、どういう意図かの詳細はわかりませんので、近々で行ってみたいと思います。

というか関西というか神戸に行きたいんですよ。神戸もっこす石屋川店のラーメンをもう4年も食っていないので。
世界で一番好きなラーメンです。すごく美味いというよりは、当時の自宅から徒歩2分だったので、学生時代3年間だいたい週2で食っていたからという理由です。

MIC RAW RUGA@club asiaのこと

9/23はclub asiaで、女の子ラップグループMIC RAW RUGAのワンマンライブ。

2人組でのデビュー以来ずっとMIC RAW RUGA (laboratory)名義、要するに研究生的なグループだったのが昨年11月に(laboratory)が取れて正規グループとして活動開始、その正規名義では初のワンマン。
自分は2020年2月のMIC RAW RUGA (laboratory)名義での初ワンマン以来だったのですが、その時は3名でそこから1名脱退しての2名追加という状況、さてどうなってるかと思いまして。

結論。めちゃめちゃよくなってます。

とにかく圧倒的な「チーム」感。初期組のREIとAKIRAはもう盤石というか、2人でダンスのみを披露するガチな場もあったりしていろいろ間違いないのですが、今年になってからの新メンバー2名も、MIYAはメロディのあるパートをおよそ一手に引き受けてしまうレベルでよい「歌」を歌えるし、HANNAHは他3名と声質がかなり違っているので、他メンバーと声を重ねた時に特にすごくいい感じになります。
何か揃うべきメンバーが遂に揃ったという気持ちになりました。

ライブの流れとしては冒頭にアガる曲ではなく「HOW RAW」「PAY YOU BACK」という、彼女たちにしてはわりとドープめの曲を並べてきたところに運営の自信というか、「これを観ろ」感をすごく感じて。
元々「りんねラップ」流れの「かわいいラップ」グループだったはずなのが、楽曲担当のE TICKET PRODUCTIONの実験精神もあってか、ゴリゴリめの「かっこいい」の方にまで足を突っ込んでいき、でも今のメンバーならそれを乗りこなせるという運営の信頼と、実際間違いなく己のものとして表現できるメンバーと。
そういう意味での「チーム」感かもしれません。

もっと見つかってほしい。それだけの存在にまでなっていると思います。
ここまで主催公演でゲストを呼びつつ他のアイドルグループとの交わりはあったのですが、あんまり大規模なアイドルフェスには出ていなくて。

今の彼女たち抜群だと思うので、何とかフェス系ガンガン出てほしい。そして見つかってほしい。特に女の子オタにもっと訴求できます。今回9:1くらいだったのですがもっと女子呼べると思うんですよ、かっこいいもの。

あと、「新メンバーが入って確変発生」というパターンを近々で彼女たちとNUANCEの事例で確認できましたので、他のそういうグループにも期待したい。
新メンバーお披露目の瞬間は観たもののそれ以降観ていないクマリデパートとか、先日新メンバー発表されたRAYとか。

最近アイドル関連あんまり行けていないので、そろそろそっちも頑張ろうと思いますが、来日勢含めていろんなミュージシャンがここんとここれまでの分をぶちかましてくるので、日程的にも経済的にも大変なんですよ。
もう少し落ち着いてほしい。