健康@Veats Shibuyaのこと

ヴィジュアル系とはなかなか難儀な「ジャンル名」でありまして。

ちょっとしたCDショップですと「ヴィジュアル系」というジャンルの棚があるのですが、Dir en greyとゴールデンボンバーがその同じ棚に収まっているというのは他のジャンルではありえないわけで。
それでもそれは、概ねバンギャの皆様が「仲間!」と判断してファンになれば概ねそれはヴィジュアル系になりうるという、ある意味健全な状況の結果ということでもありまして。

ただ逆に、ヴィジュアル系の中で音楽のジャンルとしてポストロック的な「非王道」の方や内省的な方に行くと、音楽性として相当にレベル高いことをしていても一度「ヴィジュアル系」の中に入ってしまうとその枠の外にまでは届きにくいという問題もありまして。
しばらく推していたBAROQUEなんかはまさにそれでしたが、結局コロナ禍のさなかに無期限の活動休止となってしまい。

そこでこのユニット「健康」の話です。
メンバーはlynch.のギタリスト悠介と 真空ホロウのフロントマン松本明人。ヴィジュアル枠内1名と枠外1名で組んだ場合はどうなるねん、という組み合わせ自体が非常に実験的なユニットです。
サポートのドラマーはユナイトの莎奈でベースはTHE NOVEMBERSの高松浩史という、こちらも枠内1名・枠外1名という組み合わせ。

音源はポストロック的ではあります。「ポストロック」言うてもそれはそれで現状相当広範な音を指す言葉になっていますが、その広範の中で割と縦横無尽に遊んでいて、でもやっぱり曲として難しくはなりすぎず日本人的な叙情は出まくっているという、自分にはかなりグッとくるタイプの音楽で。

で、金曜日の晩のライブ。

これがどうなっているかというと、その「広範」が更に無闇に拡張されている状態。
レンジやダイナミズムが当然のように音源をはるかに越えていき、微かに鳴る音はより微かに、爆音で鳴る音はより爆音で。音源では気付かなかったか聴こえていなかった様々な意匠も見えて聴こえてくる。何せメンバーがステージ上で謎の打楽器叩いていたりホースみたいなものを振り回しているのでイヤでもわかる。

で、聴きながら思っていたのは「もっとデカい箱でもっと爆音で聴きてえ!」ということ。Veats Shibuyaとか、さして天井も高くない箱ではなく、せめてホールクラスで。そういうスケールの音ですから。
映像も相当に凝っていたのにVeatsのスクリーン超小さいんですよ。あれもホールだったらデカくなる。たとえば人見記念講堂だったら、以前にアイドルグループMaison book girlがラストライブでスクリーンのみならずステージの外枠まで使ってえげつないレベルで映像かましていてビビったんですけど、ああいう感じでやってくれたら俺は泣くよ。

今回のライブで一旦活動は一区切りのようで。お互い本職のあるサイドプロジェクトなので仕方ないのですが、また近々でお願いします。ホールで。
だからホール埋めるには、今回みたく観客9割5分女子じゃいかんのよ。音としてはもう完全に両性に訴求しまくれる音なので、何とかしたいのですが。何とかなってほしい。