Underworld×サカナクション@東京ガーデンシアターのライブのこと

10/4は東京ガーデンシアターでUnderworld×サカナクションのライブ。

元々は7月に開催予定だったものがサカナクション山口一郎氏の体調不良のため延期され、思ったより早くリスケしてきたなと思っていたら、再び体調悪化。
契約の縛りか、保険が下りない条件に引っかかったか、よくわかりませんが、今回は再び延期や中止はなく決行決定。
とはいえ普通のライブはさすがに無理ということで、「4人によるDJセット」という形でアナウンスされていました。

で、さすがにこれで何のケアもなしというわけにもいかず、希望者に払い戻しも行われた結果、会場に着いてみたら本当にちょいちょい歯抜けになっている。
かくいう自分も友人と行く予定だったのがソロに。
でも、一郎レスの4人がサカナクション名義で音を出すということが過去にあったか今後あるかということを考えると、少なくとも珍しいものは観られるわけであり、具体的にどういうことをやるか全くわからないライブというのも他になく「2枚のうち1枚だけ払い戻しが可能」ということを確認できた時点で参加決定。

そのサカナクション。
本当にただのDJで4人がターンテーブルの前で誰かのレコード回し始めたら「金返せ」コールも辞さない構え、逆に「ミュージック」の始まりみたいにマックブックが並んでいてでもよく見たらひとり足りねえじゃねえか、みたいな始まりだったら最高、くらいの気持ちで眺めていたのですが、これが思っていたよりいい。

サカナクション楽曲を各トラック単位で解体して、そのトラックを加工しながら重ねていって結果としてリミックス的リコンストラクション的な音像を作っていく。
テクノミュージシャンの行う「ライブ」的なものではあるのですが、時折生演奏も入ったりするのでそれだけに留まらないダイナミズムもあったり、ちょいちょい加工された一郎ヴォイスも挿入され、曲の流れ上の盛り上がりとは違うところでまた盛り上がったり。

結果として1時間強、非常に面白く聴くことができました。
そりゃバンドとしてのライブには適うべくもありませんが、でも今後またそういう事態が起きる可能性もそんな高くなく、そしてパッケージにする用の映像収録を行っている様子もなく、たまにステージ前をGo Pro持ったスタッフが左右に動いていたりするくらいでしたので、この音を再びフル尺で聴くことは恐らく不可能。
本当に「今ここでしか聴けない」音を体験できたということが何とも嬉しい。

Underworldは前に観たのがたぶん2003年のフジロックだと思います。どんだけぶりだ。
当然期待はしているのですが、きちんとその期待まんまをかましてくれる「盤石」感。アガるのですが何か泣けてくる。
そりゃそうだ。自分が20代の頃にクラブに行ったり自分でDJやってみたり友人のイベントに参加したりしていた時、「Born Slippy Nuxx」は最強最高のアンセムであり、逆に生半可な流れで選曲することも憚られるレベルの曲で。
当時、1990年代以降の「テクノ」に夢中になり、でも当時は「これらはこの時代の音楽である」という感覚があったのですが、そこから何年か経ったのち「テクノもエヴァーグリーンたりえる」ことを理解し、そのエヴァーグリーンの象徴みたいな曲が、目の前で爆音で披露されているのですよ。
きちんとオーラスでやってくれた「Born Slippy Nuxx」で自分の20代をエグるだけエグって締め。

結果として、十分以上に元を取った感。
ただ、何年か後に改めて万全な状況でもう一度やってほしいという気持ちも。とりあえず一郎は時間かけても万全に。