メジャーチェーンのCD店の店舗数を数えてみたこと(2021)

いろいろとここまでCD販売店のことは言っていますが、過去何回かやっていたものの5年半放置していたテーマがあったので、ここで改めてやってみました。
「メジャーチェーンのCD店の店舗数を数えてみる」、2016年4月以来のカウント実施です。
カッコ内はその2016年4月に数えた数からの増減です。


TSUTAYA:675(-154)
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1061(-328)。

GEO:622(-214)
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1132(-35)。

BOOKOFF:747(-72)
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は769(-80)。

Village Vanguard:286(-47)
⇒New Style、ポップアップショップ、海外店舗は除いた数。

タワーレコード:74(-6)
HMV:57(-23)
新星堂:58(-62)
山野楽器:23(-8)
玉光堂:17(-5)
イケヤ:4(-3)
ミヤコ:1(-7)
JEUGIA:5(-1)
バンダレコード:30(+4)
BIG:9(-15)
We's:10(-3)

やっぱ5年ぶりに見ると割とエグい減りっぷりですね。

TSUTAYA、GEO、BOOKOFFはもう妥当。書籍店舗や総合リユース店舗の方がもう「本業」と言って差し支えない状況ですので、いつ「もうCDの販売もレンタルも完全にやめます」と宣言してもおかしくないと思っています。

タワーレコードは本当にここ数年必死に店舗数をできるだけ減らさずに来ておりまして、代わりに新宿店池袋店が減床で大変なんですけど、来たる11月、遂に福岡市東区の香椎浜店が死んでしまうことが決定しまして、これで決壊が始まらないかドキドキしています。
そして本当にダラダラと為す術なく減らしてこんなになってしまった新星堂とか、残るは伊丹に1店舗になってしまったミヤコとかが特にエグいです。

そんな中バンダレコードだけ増やしているのは、これ新星堂がバタバタ死んでいく中でその数店舗分居抜きで入ってオープンさせているためです。
元々はBIGが、そういう他人が残して捨てたのを拾って食うようなことをやりがちなチェーンで、とりあえず拾ってみて本当に食えないとわかった店舗は割と速攻潰すという方針で運営していたのですが、今のBIGは拾わなくなってしまったので後はダメになったところから死ぬだけで、この数。
現在BIGを運営している株式会社音光は、新星堂と同じライザップグループですので、さすがに新星堂の跡地に入るわけにはいきませんし、そもそもは地方都市のショッピングセンターで営業していた小規模なチェーンや個人店舗の跡地に入る形がメインだったのですが、正味そういう店はもう全国探してもほとんど残っていません。

そういう面倒くさい事情もありつつ、2021年こういう感じです。
次はもう少し間を開けずにやってみようと思います。覚えていれば。

「ファンネーム」のこと

音楽ナタリーにこんなニュースが出ていたのですが。

INIのファンネームが決定

いつの間にそんな名前が付いていたんだ「ファンネーム」。
あと、デビュー前のグループがこういう呼称を自ら発信するのも、最近は随分と普通になりました。

こういう呼称の過去を辿ると、思い付いた限り最古のそれは音楽じゃないですが「Sherlockian」。日本だと「サユリスト」とかそこらへんでしょうか。
音楽だと世界では新聞がビートルズの熱狂的ファンを「Beatlemania」と呼んだり、日本ではアルフィーのファンが「アル中」を名乗り始めたのが相当に古い事例だと思います。

ただ、実際ここらへんの呼称というのはファン自身が自称し始めたのがファンコミュニティ内に広まる形で一般化していき、ミュージシャン側は知っていてもあんまり気にしない、というパターンが今もって割と多く、ミュージシャン側から発信した事例というのは、思い付く限りの最初はLUNA SEAファンの呼称であるところの「SLAVE」なんじゃないでしょうか。
公式ファンクラブ「SLAVE」が発足したのはメジャーデビュー直前の1992年1月、この名称が元々ライブでメンバーがオーディエンスをそう呼んでいたのか、ファンがそう自称していたのをバンド運営側が拾って付けたのかどうかは正味よくわからなかったのですが、少なくともファンクラブ発足の時点で「SLAVE」は「正式な」呼称となりました。

ーーー
<追記>
聖飢魔Ⅱがファンを「信者」と呼んだ事例を教えていただきました。これは元々コンセプチュアルなバンドにとって必須の要素だったと思います。
ーーー

それ以降、黙認組であれ公認組であれ、ネットが普及するにつれそういう呼称も容易に流通するようになり、またSNS上でファンが交流することが当たり前になった状況下では、そういう呼称があってそれを自称することで確実にファンとしての帰属意識は高まります。
かといって、イメージを大切にしていてそういう呼称もきちんとしようとするグループの場合、ファンからの自然発生に任せていると、サカナクションファンが自称する「魚民」みたいな、最初に思い付いた人はすごいんだけどややあさっての方向でかつ商標的にバンド自身が公に使いにくいものになってしまうリスクもありますので、ミュージシャン側から早いところ発信してしまった方がいろいろ具合がいいわけですね。

曲中の振りに「〇〇ダンス」という名前を付けて動画SNSでバズらせようとする試み等もそうですが、ヒットさせたようとしたりファンを増やそうとしたりそのロイヤリティを高めようとしたりするために、一昔前より考えて発信するべきファクターが異常に多くなっているような気がします。
運営の皆さん大変だと思いますが、頑張ってください。

以上、最初の1回以外「ファンネーム」という語を使わないで書き終わってしまいました。正味、まだ違和感があります。

ABBAの40年ぶりの新譜と今後のライブのこと

ABBAが11月5日、1981年の「The Visitors」から40年ぶりのニューアルバム「Voyage」をリリースします。
「40年ぶり」というタイムラインはさすがに見たことがない。思い出してみたのですが、2015年に再結成The Pop Groupが新譜を出した際の「35年ぶり」というのが知る限りの最長。

その他の70年代-80年代初頭までのバンド・グループを考えた場合、メンバーチェンジしながら断続的にでも続けているか、メンバーの誰かが死んでいるかなので、こういう完全な形でこういう時間軸での復活って、他はほぼ無理じゃないかと思ったりもします。

既にYouTubeに出ている2曲を見てみたのですが。
先に「I Still Have Faith In You」の方を見て、さして老け感のない絵面できちんとリップシンクしていて、さすがにこれはCGですなあと思ったら、「Don't Shut Me Down」の方、ただでさえ「ABBAっぽさ」を全部詰め合わせにしたような曲でお腹一杯なのに、盛大に種明かしをしてくれています。

で、NMEの記事を読んで、写真を見て、全ての辻褄が合うわけです。

ABBA、40年ぶりとなる新作をリリースするにあたってメンバーがコメントを発表

CGで全盛期の4人を再現してそれでツアーする計画があり、そのために再結集して新曲を制作したら、興が乗ったりいろいろあっての結果としてのニューアルバム。素敵じゃないですか。

4月にはこんな記事も出ていたりします。

ABBAのビョルン・ウルヴァース、延期中のホログラム・ツアーについて語る

この再結集が結果としてフルアルバムというボリュームにまでなった以上、きちんとそれなりの落とし前を付けていただきたいと思います。
この「ホログラム・ツアー」と呼ばれているものは、恐らく「やたらとお金をかけたVTuber」というか、「GReeeeNと初音ミクのライブを足した感じ」というか、そういう感じになりそうですが、是非大々的にワールドツアーを行って日本にも来ていただきたく。
これすごいぞ。観たい。「ABBAが未来」になるんですよ。最高にクレイジー。

タワーレコード新宿店が規模を縮小すること <見学編>

10階のTOWER VINYL SHINJUKUの最終営業日ということで、日曜日にタワレコ新宿店行ってきました。

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この日までは4フロア体制でこういう塩梅。
この段階で9階は既にミチミチなのに、果たして10月どうなってしまうのか。

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既にそこここにこういう感じの、リニューアルに向けての準備の形跡が。

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というか、Twitterで見たリニューアル予定の告知は随分前から店内には掲示してあったとの話もいただきましたが、確かに数か所貼ってありました。

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が、すぐに気付くような場所への掲示は多くなく、かつどれもこのリニューアル告知で「8月29日で10階はクローズです」ということを端的に記した掲示は一切ありませんでした。
店員さんに聞いたら普通に「今日までです」と教えてくれたので、こっそり閉店したいという意図はない。と思う。

そして、10階。

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非常に広く天井も高くゆとりのあるレイアウトで、ゆったりした気持ちで掘れるので割と好きな場所だったのですが、渋谷6階はこんなに天井高くないし1フロアではなく半分程度とのことですので、もうこういう雰囲気は望むべくもありません。
最後の買い物は、まさか残っているとは思っていなかったR.E.M.のHib-Toneレーベル「Radio Free Europe」復刻盤7インチ。多分在庫最後の1枚を発見してしまったので、購入。
ありがとうございました。

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で、前回のたくさんの方に見ていただけたのですが、いくつか「最近洋楽の品揃えが悪くなっている」という声がいくつかありまして、気になったので補足しておきますと、それは概ねタワレコのせいではないです。
以前にもまとめましたが、洋楽は日本以上にもはやCDとしてリリースされない音源が多く、CDで出たとしても日本に輸入盤としてまとまった数を送り出すほどのロットでは作っていないので、国内盤にならない限りそもそも日本の店頭まで出てこられないという事情も多分にあるということも、ご認識いただけると幸いです。
少しだけ、しかも本国リリース日から遅れて入荷した場合とか、店舗には回さずにオンラインでのみ取り扱いという事例もありましたので、CDを所望している場合、時々タワレコオンラインで検索すると吉です。

タワーレコード新宿店が規模を縮小すること

昨日、直前と言っていいタイミングでタワーレコード新宿店から出てきた割と衝撃的な告知。

現在は7-10階の4フロアある店舗を、8月30日からフロアを順繰りに休業させていき、10月8日からは9-10階の2フロア体制になるというもの。

タワーレコードはサブスクが全盛になってもコロナ禍になっても、店舗数を減らさずにここまで来ました。
この数年で3店舗オープンさせて閉店したのは今年3月、リモートワークだらけになったビジネス街近辺にあったTOWERmini汐留店のみで。

とはいえ、チェーン各店が順風満帆なはずもなく、郊外型の店舗を中心に観察できた限りでは、売れ筋J-POPを入り口付近に陳列している他は、まだパッケージの販売が堅調なジャニーズ勢、その他男性アイドル、女性アイドル、アニメ・ゲーム・声優系、K-POPにほぼ特化。
パネル展示等のスペースを設けている分商品棚は撤去され、元々タワーレコードの強味であったはずの洋楽の品揃えは限りなく縮小されています。まあサブスク考えればそりゃそうなるという感じではあるのですが。

一方、旗艦店である渋谷店では2019年1月、まだパッケージが売れるアイドル系を中心に、店内でイベントを開催できるスペースを拡大することで、グループの認知を上げ、また特典会参加用のCD販売を並行して行うことで顧客を囲い込む戦略へ大幅に振り切った形の大幅な店内リニューアルを決行、また墨田区の錦糸町パルコには2019年3月、店内の相当な面積をイベントスペースに割ける構造とし、ほぼそういうジャンルのCDに特化した新店舗を出店。

また、新宿店はアナログの堅調な売り上げを狙って、こちらは2019年3月に4フロアのうち1フロアをアナログ専門店「TOWER RECORDS SHINJUKU」とする形のリニューアルを実施、「まだCDが売れるジャンルの販売強化」と「売れ続けるアナログ盤の品揃え強化」という、パッケージ販売に残った2つの鉱脈に生き残りをかけて戦いの準備を万端整えたのですが。

その準備からわずか1年、コロナ禍によって大きく計算が狂います。
都心に出る人が減り、また大勢が集まってのイベント開催が極めて困難になった結果、「店内でイベントを開催できるスペース」になるはずだった場所はただの空き地と化し、いまだに以前のように開催できるかどうか、全く先が見通せない状況が続いています。
かくして2つの鉱脈のうちの1つには、期待もできず、この先の予定や売り上げの推定すらできなくなってしまっています。

その空き地は当然ですが、イベントを開催しなければ1円も儲けを生み出しませんのでただ遊ばせておくこともできず、特にえげつないレベルの空き地が広がっていた渋谷店の5階のイベントスペースは現在K-POPのグッズ等の棚が並んでいます。
しかし実際のところ、複数枚のCDを積んでくれる上客が長蛇の列をなす「予定されていた状況」とは比較すべくもなく。

そして、今後完全にコロナ禍が去ったとしても、当初に予定していたように多数のイベントを開催できるかどうかもかなり不透明です。

まずここまでタワーレコードのイベントスペースをいわば主戦場としてきた女性アイドルグループですが、「タワーレコードのイベントスペース」を適正なサイズ感としてきた中堅どころのアイドルグループが、こちらもコロナ禍の影響もあってすごい勢いで解散しています。
要するに、スペースがたくさんあっても、そこを元々埋めてくれていた演者の絶対数が減っています。

そして2010年代後半からそれまで以上に男性アイドルシーンも盛り上がってきたのですが、その時の盛り上がりの中心はどちらかといえば「地下」に近いところで、タワーレコードが適正サイズと言っていいグループもいくつかいました。
が、それらの男性グループも活動が思うようにできなくなっている状況下、昨年くらいからTV局主導で展開されるボーイズ・グループが複数誕生し、これからもいくつかデビューしそうな気配もあり。
それらのグループはスタートの時点でビッグビジネスな分、イベントスペースのサイズ感とはハナから違うわけで、CDはタワレコで買ってくれるかもしれないけれど、彼らにとってイベントスペースの必要性は皆無です。

かくしてこの1年半でコロナの影響その他でいろんな構造も変わってきまして、現在はもちろん将来にわたって「店内でイベントを開催できるスペース」の必要性が以前と比べて相当に小さくなっている、と言っていい状態。

今回の発表の直前、9月23日に「TOWER VINYL SHIBUYA」のオープンが発表されていたのですが、これが「調子がいいので2店舗目」ではなく「渋谷への移転」なのは、1棟借りのため融通が利かない渋谷店に、新宿店が持っていた機能も含めて集約させて、融通が利く新宿店の方の規模を縮小して適正化を図るという方針。

確かに適正化は図れると思いますが、当初目論見から縮小してのこれであり、2大旗艦店でのこれですので、既に偏った品揃えでギリギリ感ハンパない地方店舗への影響もないとは言えず。
これまでずっとあった「何となくヤバげ」という感覚から割とリアルな「ヤバい」になってきました。

アナログと書籍への依存度を徐々に高めているHMV、本店の路面部分をテナントに回しつつ郊外の小型店を切りにかかっている山野楽器、為す術なくダラダラと店舗数を減らしていく新星堂。チキンレースもいよいよ佳境に入ってきた感じです。

最近の男子グループのこと

先日、ジャニーズ事務所のメリーさんが亡くなられたということで。
既に経営・運営の一線は退いていたとのことで、今後の大勢には影響はないものと思われますが、一時代が完全に終わった感があります。

SMAPが解散した後、嵐が活動休止を発表したあたりから変化してきたジャニーズ所属タレントのテレビ等での露出の状況は、コロナ禍でより明確になってまいりました。
とにかくいろんなバラエティに様々なグループのメンバーが顔を出し、その顔やキャラを何とか視聴者に認知してもらおうとしています。
その中には、以前であれば「ジュニア」としてまとめられがちだったまだデビュー前のグループのメンバーもいたりして、コンサートがないことも含めていろいろ大変です。

もちろんデビュー時には華々しくプロモーションされるのでしょうけど、それ以前に泥臭い部分をここまでお茶の間につまびらかにしてよいのだろうかと、多少なりとも古いジャニーズグループを知るおっさんは何となく思うのですが、今地上波でも盛んに行われている男子ダンス&ヴォーカルグループのオーディション番組とその人気を考えると、ジャニーズ事務所が今バラエティ等で行っていることは、事務所の伝統的な育成スタイルと今のリアリティ番組的な流行りのスタイルとの乖離を、「ジャニーズ」の看板を維持しながら可能な範囲で少しでも埋めようとする試みなのではないかとも思ったり。

で、そっちの男子グループのオーディション番組の話。
日本テレビでは、先日SKY-HIプロデュースのBE:FIRSTのメンバーが決定し、またJYPプロデュースの男子グループオーディションも控えています。
TBSでは「PRODUCE 101 JAPAN」のオーディションを経てJO1が既にデビューし、SEASON2のINIもデビューが決定しています。

もちろん実力も見ているのはわかるのですが、かつてのASAYANのオーディションのようにいろいろエクスキューズ込みにしなくても、もうこういう美男子揃いのグループのオーディションが普通に地上波でバンバン放送できるようになっている時点で、ジャニーズ事務所が以前の強面から相当に変化していることの証左であるわけです。
そしてそれ以外にもこれ多分テレビ局が「紐付きのコンテンツ」としてこういうグループを欲しているのではないかと、非常に思うのです。
現在非常に収益的にしんどいと言われている各テレビ局がこういう「スター」を育成するプロジェクトに噛むことで、そのプロジェクト発のグループが番組のCMとか既存の収益構造以外から収益をもたらしてくれる形。

日本テレビの方はHuluも噛んでいますし、TBSの方は吉本興業も入っていて、そのせいか初のJO1の冠番組はフジテレビのCS局での放送だったりしますので、ビジネスとしての形もそんな単純ではないとは思うのですが、でも局としてそういうグループがいることは心強いと思います。

ともあれ、そういう理由であれここ数年で男子グループの景色は相当変わってきたということで、正直今の状況いろんなタイプのが出てくるというだけでも、悪くないと思っております。
そして振り返って思うのは、元ジャニーズJr.のメンバー中心に2016年に結成されデビューしたものの一瞬で何故か活動停止したG=AGEは、正直早すぎたなあということです。

Zepp TokyoとSTUDIO COAST閉店以降の首都圏のライブ会場のこと

Zepp Tokyo・STUDIO COASTの閉館が決まりました。
どちらも相当に行き倒したライブハウスなので非常に残念な気持ちはあるのですが、Zepp Tokyoは元々もっと早くに閉館する予定で、Zepp DiverCityはその代替としてのオープンのはずだったのが、跡地の再開発計画の延期で営業期間延長しての今回ですので、むしろ今まで粘ってくれてありがとうという感じです。

が、今回何かSNSを見ていると「どんどんライブハウスが減っていく!」みたいな声も少なからずありまして「そんな全体として減ったんかいな」と思って、キャパ1000人以上のポップス音楽ウェルカムのホールやライブハウスを、首都圏に絞ってざっと挙げてみました。
幕張や横浜の多目的アリーナやスタジアム系の馬鹿でかいのは除いています。

(新)ぴあアリーナMM(12,141)2020年7月OPEN
(新)有明ガーデンシアター(8,000)2020年7月OPEN
---東京国際フォーラムホールA(5,012)1997-

---NHKホール(3,800)1973-
---TOKYO DOME CITY HALL(3,120)2008-
---日比谷野外大音楽堂(3,119)1923-
---豊洲PIT(3,103)2014-

(新)立川ステージガーデン(2,940)2020年4月OPEN
(新)Zepp Haneda(2,925)2020年7月OPEN
(閉)Zepp Tokyo(2,709)1999-2022年1月CLOSE
---Zepp DiverCity(2,473)2012-
(閉)新木場STUDIO COAST(2,402)2002-2022年1月CLOSE
---中野サンプラザ(2,222)1973-
(新)KT Zepp Yokohama(2,146)2020年3月OPEN
(閉)渋谷公会堂(2,084)2015年10月CLOSE
---J:COMホール八王子(2,021)2011-
---人見記念講堂(2,008)1980-

(新)LINE CUBE SHIBUYA(1,956)2019年10月OPEN
---品川ステラボール(1,884)2005-
---EX THEATER ROPPONGI(1,746)2013-
(閉)SHIBUA AX(1,697)2000-2014年5月CLOSE
---東京国際フォーラムC(1,502)1997-
---恵比寿ガーデンホール(1,500)1994-

(閉)赤坂BLITZ(2代目)(1,418)2008-2020年9月CLOSE
(閉)日本青年館(2代目)(1,360)1979-2015年3月CLOSE
---TSUTAYA O-EAST(1,300)1991-
---川崎CLUB CITTA'(1,300)1988-
---なかのZERO大ホール(1,292)1993-
(閉)ディファ有明(1,273)2000-2018年6月CLOSE
(新)日本青年館(3代目)(1,249)2017年7月OPEN
---横浜ベイホール(1,100)1995-
---恵比寿LIQUID ROOM(1,000)2004-

こんなところでしょうか。
Zepp Tokyo・STUDIO COASTが当てはまる「2000-3000人クラス」の箱についてはむしろ増えています。Zeppは羽田と横浜、あと立川ステージガーデンが2020年にオープンしましたので、Zepp Tokyo・STUDIO COASTの減り分を相殺して余った形。
こういう状況ですので、新規オープンしたことをご存じなければ「どんどん減っていく」と感じるのもやむを得ないところですが、実際にはむしろ一回り小さい「1000-2000人クラス」の方が、赤坂BLITZの閉館もあって厳しくなっています。

2018年にヒューリックホール(900)、ストリームホール(700)、神田明神ホール(700)が次々オープンしたりと、1000人以下は近年むしろ厚くなっているのですが、興行が重視される時代になり、会場の重要性が増している現状、1500人入れられる箱を作るだけの資本があれば、もう少し他施設との塩梅を調整して2000人クラスの箱にした方がビジネスとしてより有利なことは間違いなく、やむを得ないのかもしれません。
実際相殺して余ったとはいっても、「2000-3000人クラス」の箱は近年コロナになるまではずっと取り合いみたいな状況ではありましたので、やっぱ首都圏足りてないのは間違いない。

中野サンプラザも、いつになるかが決まっていないので上記では敢えて触れていませんが、建て替えは決まっていて、建て替え後は7000人クラスにするとか言っているので困ってしまうのですが、そのレベルの箱になると既存のところは音楽以外の業種とも取り合いになりますのでやっぱり大変で、ぴあアリーナMM・有明ガーデンシアターの開業もそこらへんのニーズを睨んだものと思われます。

結局、少なくとも首都圏はある程度のキャパ以上の箱は慢性的に足りていないわけですね。Zepp Tokyoというか、パレットタウン跡地の再開発で別の箱作ってくれねえかなあ、と正直思いますが、とりあえず直近でコロナ禍が去った後、音楽を生業にしているみんながみんなライブをやりたがるであろうタイミングで、どんな激烈な会場争奪戦が起こるのか。

というか、たとえばOfficial髭男dismのライブ、2020年5月に有明ガーデンシアターで開催予定のチケットを頑張って手に入れたもののずっと延期になっていまして、ようやく振替公演が2022年1月に決定したのですが、会場は代々木第一体育館になりまして。会場を元通り取り直せない状況が既に起きています。
正味ある程度以上の箱ではもう殴り合いがガツンガツンに行われているのでしょう。恐ろしい。

ケラ「まるで世界」と「松本隆トリビュート」のこと

最近出たカバーアルバム2種。

ケラ「まるで世界」はアナログで購入。色がとてもきれいなカラーヴァイナル仕様。要するに「モノ」としてとても欲しかったんです。
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有頂天の「心の旅」「アローン・アゲイン」、LONG VACATIONの「エノラ・ゲイの悲劇」「シェリーに口づけ」、ナイロン100℃「1979」のサントラの各曲等々、過去から数多のカバー曲を送り出してきたケラ氏ですが、カバー曲に対する姿勢は実に一貫しています。
「絶対元曲っぽくやらない」という頑なな姿勢。勝手に訳詞をつけ、勝手に譜割を変え、すさまじくオリジナリティ溢れる、でも完膚なきまでに破壊するところまではいかず、きちんと「この曲だ」とわかる塩梅に落とし込むその手腕。
元曲へのリスペクトだかなんだか知りませんが、ほとんどコピーみたいなクソつまらないのを「カバー」と呼ぶくらいならむしろやらない方がマシだと思っている自分にとって、彼のその姿勢・手腕は正直理想的であります。

そして今作、そういう自分にとって実にいい塩梅の音源が並ぶ中、今回はその選曲までが絶妙。どメジャーな曲は「中央フリーウェイ」と「時間よ止まれ」くらいですが、「みんなのうた」から4曲、他は五つの赤い風船やじゃがたら、ルースターズ等、80年代インディーズその他をそこそこ聴いていたという自分レベル、要するに今彼の音源を手にするくらいの人間であればほとんど「聴いたことはある」というあたりの曲ばかり。
非常に楽しく気持ちよく聴けます。

ただ、今回はアナログで購入したのですが、アナログのみ収録のSIDE-D楽曲の、突然段ボールとあぶらだこはわからなかった。実は私、この2バンドはきちんと通っていません。
そういう、不勉強なところまで洗い出されてしまうのはなかなかに怖い。って、突然段ボールの方はファーストシングルのB面の曲とか、それは無理だ。


一方、「風街に連れてって!」は、既にちょいちょい出ている松本隆トリビュートアルバムの中でも、その参加陣の豪華さから非常に本命的な盤です。

全体的なサウンドプロデュースは亀田誠治氏。
彼は人によっては無茶な音作りもしますが、基本的にはバランス型のプロデューサーですので、あんまりサウンド面の期待はしていなかったのですが、全体を通して実際無茶なアレンジは皆無なものの、作詞家のトリビュートアルバムとして、その歌詞というか「歌」を最大限に重視した結果こういうアウトプットになったと考えると、非常に納得度の高い出来。
特にほぼピアノのみのアレンジに三浦大知の声が乗る「キャンディ」とか、ブラスを前面に出した普段の彼らしいアレンジで歌われる横山剣の「ルビーの指環」あたりは抜群。
逆に宮本浩次の「September」あたりは、悪くはないものの何故彼なのかその必然性がいまいち理解できなかったり。

でもやっぱりベストトラックはB'zの「セクシャル・バイオレットNo.1」。馬鹿かっこいいのこれ。
この曲はVo.稲葉、G.松本なのは当然として、B.亀田誠治、Dr.玉田豊夢という編成なのがとてもレアで、それだけで何かいいもの聴いた気持ち。

全体通して「うわーすげえ!」というタイプの音ではないものの、純粋に歌ものアルバムとして聴くと、悪くない感じです。

民放の五輪テーマソングのこと

オリンピックの開会式は、いろいろ思うところはあるものの、こと音楽にフォーカスした場合、蓋を開けてみたら一番盛り上がるところの楽曲が「イマジン」と「翼をください」って、それは2021年という時代にどうなのと思ったり、でも両方とも今でも多くの人が認知しているエバーグリーン的な楽曲ではあるしなあとも思ったり、もにょもにょしながら見ていたのですが。

で、競技が始まって気になるのは、各局の「テーマソング」です。
NHKのテーマソングは「カイト」ですが、今年の紅白ではもう本来的に歌うグループがいないので、多分ジャニーズの他の人が歌うのだろうなあくらいの気持ちですが、問題は民放。

過去の大会では、NHKはもちろん民放キー局各局がそれぞれ有名ミュージシャンを起用して、中継やダイジェスト番組で流すための楽曲を用意するのが常だったのですが、2020年オリンピックに際しては少し様子が違っていました。

まずオリンピック開催にあたって在京民放5局が2019年に「一緒にやろう2020」という共同企画を立ち上げ、そのテーマソングには桑田佳祐が起用されます。
「一緒にやろう2020」という企画は、元々は「『史上最も美しい五輪へ』をサブテーマに掲げ、『心も綺麗に、街も綺麗に』を目指して、視聴者参加型のさまざまな社会貢献企画を展開していくもの」でしたが、彼へのオファーの時点で「民放キー局共通のオリンピック関連番組のテーマ曲」として使用されることも決まっておりまして。

正味、きれいなお題目はありますし、その通りの意図もきっとあるのは間違いないにしても、「いろいろ予算が厳しい民放局がお金を出し合って折半できるところは折半して、見た目は豪華を維持する」ことが一番でかい目的ではなかったのではないかと勘ぐったりも致します。

ただ、結局オリンピックは1年延期され、桑田佳祐の楽曲「SMILE~晴れ渡る空のように~」のリリースも延期された結果、この7月12日にようやく配信リリース。
そしてすごく居心地が悪いのが、「民放5局の共通テーマソング」だったはずのその曲が、実際始まってみると何か様子がおかしいこと。

ここまで今日1日テレビを見たくらいなので、まだ印象程度に過ぎないのですが、

・日本テレビ
バリバリに使用。

・テレビ朝日
大きなところでは使用していますが、「松岡修造アスリート応援テーマ」と冠された楽曲「CANDO」も併用。

・TBS
日テレほど派手にではないですが普通に使用。

・テレビ東京
普通に使用はしていますが、謎のオリジナルジングルも用意してけっこう使用。

・フジテレビ
私が見た限りでは使用されず、元々アスリート密着番組のテーマとして使用されていた関ジャニ∞「凛」が、実際の中継やダイジェスト番組の際にもテーマソング的に使用

要するに、何か足並みが揃っていない。
1年延期になったことで、各局の温度感の違いやら、MC的な方々との契約上のいろいろとかあったりすることは想像できるのですが、でも何かこっちももにょもにょする。

あと、Twitterでは言ったのですが、競泳の大橋さんが金メダル取ったあたりで会場のBGMとして「ULTRA SOUL」がかかっていたのが聞こえてきて、非常にドメスティックな感覚というか、無観客でも間違いなく日本で開催されているのだな、という思いになりました。
外国の方にもし「これは何の曲だ」と問われてしまったら何て答えればいいのだろうか、という非常に無駄な疑問がわき、十数分熟考した結果、The White Stripes「Seven Nation Army」が一番欧米における位置付けとしては近いのではないか、という結論が自分の中では出たのですが、答え合わせをする機会がありません。多分一生ない。

TSUTAYAのFCのトップカルチャーがレンタルをやめること

フランチャイズ型店舗が9割を占めるTSUTAYAですが、その最大手フランチャイジーのひとつが、新潟県を本拠地に東北から関東・静岡にかけて71店舗を展開しているトップカルチャー
代官山とか梅田とかの「ライフスタイル提案型」店舗とされる「〇〇 蔦屋書店」はCCC子会社の直営か地元企業等との合弁企業の運営なのですが、「蔦屋書店 〇〇店」という名義の郊外型の大型店舗はだいたいトップカルチャーか九州のニューコ・ワンのフランチャイズ店舗です。

で、そのトップカルチャー、遂にこういう判断を行った模様です。


さっきTSUTAYAの店舗検索で「DVDレンタル」にチェックを入れたところ908店舗出てきましたが、うち現在もレンタルを展開しているトップカルチャーの店舗は51店舗。
トップカルチャーの蔦屋書店/TSUTAYAは全部で71店舗あるのですが、うち20店舗ではレンタルを取り扱っていません。
元々昨年以前からレンタルを取り扱っていないのはこれだけありました。

蔦屋書店 新発田店
蔦屋書店 フォレオ菖蒲店
蔦屋書店 本庄早稲田店
蔦屋書店 川島インター店(コミックレンタルのみあり)
蔦屋書店 滑川店
蔦屋書店 龍ケ崎店
蔦屋書店 ひたちなか店
蔦屋書店 静岡本店

ここ何年かでオープンして最初からレンタルを行っていない店舗もあり、最後の静岡本店なんかは元々すみやの本店だった店舗がTSUTAYA傘下に入り、移転を機にトップカルチャーに譲渡された形だったりします。

それが更に今年に入って続々とレンタルの取り扱いを終了する店舗が出てきます。結構な勢いで。

2021/02/28:蔦屋書店 新潟中央インター店
2021/02/28:蔦屋書店 南笹口店
2021/02/28:蔦屋書店 ベルパルレ寺尾店
2021/03/07:蔦屋書店 横越バイパス店
2021/03/07:蔦屋書店 県央店
2021/03/07:蔦屋書店 マーケットシティ白根店
2021/03/21:蔦屋書店 アクロスプラザ美沢店
2021/03/21:蔦屋書店 長岡花園店
2021/03/21:蔦屋書店 柏崎岩上店
2021/03/21:蔦屋書店 六日町店
2021/03/28:蔦屋書店 諏訪中洲店
2021/04/XX:蔦屋書店 前橋吉岡店

レンタルを撤去したスペースでは日用雑貨等の販売を行ったりしていたのですが、多分それで数か月転がした結果、採算の目途が立ったということなのでしょう、全店舗そういう感じにしますよ、という判断を下したわけです。

トップカルチャーは他のフランチャイジーと比べると郊外の大型店舗の割合が非常に高く、元々「書籍販売」「DVD/CD販売」「DVD/CDレンタル」「文房具・雑貨販売」といったいくつかの種類の商いを広い床面積に物を言わせて同時展開していることがほとんどであったため、「駅前でレンタルのみ」という小型店舗よりは、こういう身の振り方も比較的容易に可能だという事情もあるとは思うのですが、それでもこの判断がこれ以降他のフランチャイジーにどう影響するのかがとても気になります。

とはいえ、2023年中に全店で実施しますということですが、トップカルチャーの規模だとそれくらいのスピード感だとしても、逆に他の比較的小さなフランチャイジーはこの状況を踏まえてもっと素早く業転することもあり得るのではないかとも思います。

直営メインのゲオは、一応今のところレンタル店舗も比較的残してはいますが、会社的なメイン業態は既に完全にセカンドストリート等の総合リユースの方に舵を切っていますので、こっちもこの先どうなってもおかしくない。

そんな感じで、正味「終わりの始まり」のトリガーは既に引かれている業態ではありますが、これでそのスピードが早まったり、他チェーンの状況が変わったりするのか、いつも通りではありますが見ていきたいと思います。

特に新潟拠点の中堅レンタルチェーンのビデオ1は、ライバル不在になることで一層張り切るのか、地域ごと店舗離れが進んでむしろシオシオになっていくのか。