Official髭男dism「Traveler」のこと

Official髭男dismのニューアルバム「Traveler」がやっぱりすごかった。

彼らについては認識するのが本当に遅くて、名前は聞いたことあるけど「何か変な名前だな」で終わり、「ノーダウト」は聴いたことあるけどその時は彼らだとは気が付かなくて、そしてある日深夜テレビで「Stand by you」を聴いて遅まきながら腰を抜かすんですよ。
何がすごいって、今1回聴いただけなのに聴き終わった直後から脳内リピートが始まるレベルのメロディの強さ。

「Stand by you EP」、そしてその後のシングルを聴いて浮かんだフレーズは「ユーティリティの怪物」。片っ端からタイアップ付いて、そのタイアップ対象にきっちり以上に合わせてきているにも関わらず、どう聴いてもまったくブレなくOfficial髭男dismでしかない。
ということで、死ぬほど期待していたアルバムでしたが、軽くその期待を超えてくる恐ろしさ。すごい。

何となく以前、いろんなミュージシャンを野球に例えるとどうよ、ということを考えたことがあります。
米津玄師は道具は野球のものを使ってはいるものの、よくわからないルールを勝手に発明して微妙に何か違うスポーツを始めたけどそれめっちゃおもろいやん、みたいな感じで、あいみょんは過去の名選手のスタイルをきっちり会得しつつも独自のスタイルもさらにプラスしてものすごい成績を上げている、という感じで。

その流れでOfficial髭男dismを過去音源から例えると、インディーズ初期は剛速球ぶん投げる高校野球界期待のエース。それが「エスカパレード」あたりになるとプロ入りしてものすごい曲がるカーブと高速スライダーも駆使してチームの勝ち頭クラスに。で、「Stand by you」以降になると、恐ろしい落差のフォークボールと何だかよくわからない魔球まで投げるようになってもう日本球界を代表するピッチャーになってしまった、みたいに見える。すごい成長です。
「エスカパレード」は微妙にまだインディーズだったことを考えるとこのアルバムが言ってみればメジャーデビューアルバムになるわけですが、この時点でこんな凄まじいスタンダード感を携えた、J-POPの王道をぶち抜いてしまうような音作ってどうすんのよ、という気持ち。

ライブはVIVA LA ROCKで観たのだけど、こちらも恐ろしくこなれていてすごく気持ちよく観られて「うわ、これワンマン観なきゃ」と思ったらもう武道館売り切れだったし、今回のツアーも箸にも棒にもかからん。

本当にこれからどうなっていくのか、正直空恐ろしくなる。けど、メディアの露出量のみでなく、こういうあからさまに優れたバンドが正しく注目されてフックアップされる今の世の中は悪くない。

あとは、「変な名前のバンドをその名前で舐めるな」ということはトルネード竜巻の時に思い知ったはずなんだけど、もう一度気合い入れなおします。

HOT CHIP@赤坂BLITZのライブのこと

本日は、雨風いよいよ強まってくる中を赤坂へ。

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HOT CHIPを前に観たのは2012年のHostess Club Weekender。未だに覚えているというか、「ブチ上がった」という意味では今でも人生で3本の指に入るすごいライブでした。
彼らは音源を聴く限りでは正直、こじんまりとしたダンスポップです。どんなもんか、くらいの気持ちで観始めて速攻でものすごくいい意味で裏切られる。サポート2名を入れて合計7名が楽器とっかえひっかえ極上のグルーヴをぶちかます。何だよこれ。音源これじゃただのライブ前のデモテープ状態じゃねえか。

音源だけ聴いていれば一番近いのは、今日も幕前にかかっていたTalk Talkとかの80年代シンセ系バンドなんですよ。シンセの音色とかモロにそれっぽい時もある。ただそこに90年代以降のテクノとかブラックミュージックとかを潤沢に摂取させた結果、どう聴いても彼らとしか言えない謎のオリジナリティを獲得し、さらに音源が普通の人間だとすれば、ライブになると身長3メートル、握力500kgwみたいな怪物と化すのです。

今回は初のワンマンっていうんですから、そりゃ行きます。そしてまた、最初から最後まで踊らされっぱなしの上がりっぱなし。ニューアルバムのツアーですから新曲多めですが、およそアレンジそのものは音源とさして変わらないのにもうすごい。いろんなものなぎ倒すがごとく。みんな大好き1stアルバムの「Boy From School」はまた前に観た時とは違うアレンジになってるし、そして今年のワールドツアーからラインナップに加わったBeastie Boysの「Sabotage」のカバー。
もう楽しすぎて笑うしかない。

今回の東京大阪の単独ライブは正直、朝霧JAM招聘のおまけみたいなものだと思うので、今回中止になった朝霧JAM組の皆様には大変申し訳ないのですが、何とかして彼らを一度でも生で観ていただきたいと心から思う者です。
ただ、メンバーのファッション含めたルックスは本当によくない。もう少し何とかした方がいいと思うのだけど、ライブ観たら何も言えねえ。

エンターキングの続報のこと

先日、エンターキングが破産になるまでの顛末を記しました。

エンターキングがおよそ消滅したこと

多少続報が出てきましたので、今日はその件を。
まず、管財も指人名され正式に破産手続きの開始が決定しました。

追報:「エンターキング」の(株)サンセットコーポレイション(千葉)/破産手続き開始決定


まず債権の保持が必須ですので、もうこれで「エンターキング」として再び在庫一掃セールをしたりすることはありえなくなりました。
が、店舗そのものを債権として、それを第三者に売却して現金化することは可能です。
というか、既にそういう動きが起きているようです。

先日申し上げたように、エンターキングは正式に発表のうえで閉店セールをして閉店した店と、8/28まで普通に営業して8/29の破産の事実上の発表以降店を開けていない店とがありまして、その後者の方は以下の6店舗。

・千葉中央店(千葉県千葉市)
・南行徳店(千葉県市川市)
・白金店(千葉県市原市)
・西船橋南口店(千葉県船橋市)
・新松戸店(千葉県松戸市)
・西新井店(東京都足立区)

そして、新松戸店の店先に「桃太郎王国」の屋号で年内に営業再開しますというビラが貼られたという噂を聞き、駿河屋と提携して「桃太郎王国」の屋号でエンターキング的な業態の店舗を展開している株式会社エイムアントレーの情報を漁ってみると。

株式会社エイムアントレー

6店舗のうち3店舗はこの企業が引き受けた模様です。
桃太郎王国の現在の3店舗のうち習志野店は元々エンターキングの屋号で営業していた店舗ですので、そこで何らかの繋がりがあったためかもしれません。

この「桃太郎王国」、そもそもこの業態を始めたのが2018年なんですけど、何でこんな先の無い業態にぶっ込んでいくのか、そこはちょっとわからない。
もしかしたらそこらへんがわからないから、自分は起業とか無理だったりするのかもしれません。働かないでお金が欲しい。

ベテランミュージシャンのコンサートあるあるのこと

<ベテランミュージシャンのコンサートあるある>

  • 「LIVE」ではなく「コンサート」と銘打ちがち
  • チケットの額が高騰しがち
  • ほぼホールで開催、たまにライブハウスだとびっしり椅子が並べられがち
  • 物販でパンフレット売りがち
  • 音楽と関係ないスポンサー企業が入りがち
  • おばさんが少女のような表情でキャッキャしがち
  • たまに10代の子がいると思ったら親に連れてこられた子供だったりしがち
  • 10分15分とかの遅れはなくほぼオンタイムで始まりがち
  • あまり連続で演奏せず、1曲か2曲ごとにMC入れがち
  • MCで健康や体調の話をしがち
  • 昔の曲を割と大胆にリアレンジしがち
  • 途中で15分か20分くらいの休憩が入りがち
  • 弾き語りコーナーがありがち
  • サックスとキーボードとパーカッション、みたいな「何でも屋」的なバンドメンバーがいがち
  • その「何でも屋」的メンバーはステージの一番下手の端にいがち
  • メンバー紹介は馴染みのない人が多い上に叫んでいるから名前結局わからないまま終わりがち
  • 最後までだいたい観客全員座っているので、楽に観ることができがち

宇崎竜童@東京国際フォーラムホールCのライブのこと

昨晩は「観られる時に観ておけ」シリーズ、宇崎竜童@東京国際フォーラムホールC。

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御年73歳ということですが、とりあえず彼が素晴らしい音楽家であることがいまいち世間に認知されていないと思うので言っておくと、一過性のブームで終わってしまったGSの後、「バンド」が人気を得た最初の事例がキャロルになりますが、その後塵を拝した彼は「つなぎ」と「コミック度の高い曲」によって差別化を図り世に出ていくわけです。
その「戦略性」もすごいですが、その後妻である阿木燿子と組んで山口百恵後期のメインライターとなり、その高い音楽性を如何なく発揮するわけです。当時、明確に「アイドル」というカテゴリができあがって数年、そして「バンド」もまだメジャーには数えるほどしか在籍していなかった時期、彼は今や当たり前になっている「現役バンドマンによるアイドルへの楽曲提供」のパイオニアでもあります。すごい人なんです。そこはきちんと伝えたい。

で、昨日のライブ。新譜メインではありましたが、そこかしこにダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「マジ期」や竜童組時代の楽曲を放り込んでくる流れ。まだまだ歌えるし弾ける。つうかギターすげえうまい。
「コミック期」と山口百恵提供楽曲はどれくらい突っ込んでくるかと思っていたら、「天晴れブギ・メドレー」の形で途中に「ロックンロール・ウィドウ」と「スモーキン」「カッコマン」「ドライヴィン」の3大ブギを1コーラスずつ回す形。
大変楽しかったのですが、観ていて何が楽しかったって一番は阿木燿子さん。

「阿木燿子プロデュース」と銘打っているので何か特別なことがあるかと思っていたのですが、ステージの後半に曲の枕になる作文を朗読しまして、これがそれかと思っていたらその後また呼び込まれ、しかしそれ以降は時々コーラスはするものの、だいたい扇子をヒラヒラさせながら踊っていて、時々夫婦でキャッキャ感のあるトークをするだけ。でもそれ見ているだけで何か嬉しくなる。阿木さん可愛い。
というかこの夫婦はどんだけ仲良しなんだろうか。夫婦で常に物作りしているせいでしょうか。
で、あとから調べたら阿木燿子ダンスは過去にも結構やっているみたいで、じゃあ「阿木燿子プロデュース」と銘打ってるのってやっぱり何だったんだ。

「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」の時はそこだけきちんとサングラスをかけている律義さも最高だし、本当に真面目に音楽やってきた人なんだなあとつくづく。

一緒に行った友人から幕前に「39年前の10月5日は、山口百恵が武道館でマイクを置いた日」という情報を放り込まれ、それならもしかして何かスペシャルなことが、と思いましたが通常運転でした。多分気が付いていなかったんだと思います。

あと、一点追記しておくと、もう当然のように我々は会場中でも「最も若い」組に入りそうな年齢構成だったのですが、でも今回の観客の皆様の、過去のベテランミュージシャンのコンサートと比較して、明らかに「元美少年美少女」率が高かったということは言っておきたいです。比較的まだまだお洒落な方がたくさんいて、お茶くらいお誘いしたいような女性の方も多く。
多分昔はやんちゃだった方もそれなりにいらっしゃるのでしょう。要するに当時フォークだった方とは明らかに(以下略

1986年のレコード屋のこと

先日、1986年刊の「TOKYO RECORD MAP」を入手しました。

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今も続く「レコード+CDマップ」の原点となる書籍ですが、この1986年版のそれ以降の全国版との大きな違いは、普通に新譜を扱ういわゆる「街のレコード屋」まで網羅されていることで、結構テンション上がります。俺は。

これで当時の新宿界隈を見てみると、「新宿」地域には新譜扱いのレコード屋が17店舗あることがわかります。

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ここに掲載されているうち、今も残っているのは山野楽器新宿店のみ。それも、当時は小田急百貨店本店の中にあったのが現在は別館のハルクに移転しています。
帝都無線は営業はしているものの、西新宿の路面に移転して完全に演芸系のCDの専門店化。しかし1986年には新宿エリアだけで6店舗の帝都無線があるというえげつなさ。
帝都無線のみならず、当時メディアにも影響力のあったコタニや、当時は複数店舗を出していた星光堂、十字屋等はその後訪れる外資系の進出等によって駆逐されてしまうわけですが。

そして2019年、新宿で普通に売れ線含めた「新譜を買えるCD店」は、
・タワーレコード新宿店
・山野楽器新宿店
・HMV&BOOKS SPOT SHINJUKU

品数は落ちますが
・ヨドバシカメラ
・ビックカメラ
あたりでも扱いはありますが、この程度です。

日本のレコード屋の歴史をものすごくざっくり追うと、

1950年代まで:蓄音機を扱う楽器屋・委託された時計屋
1960年代:店舗設置の完全自由化、ステレオコンポの普及によって店舗増加
1970年代:国内大型チェーンの伸長
1980年代:レンタルレコードの急伸によって体力のない店舗の衰退
1990年代:CDバブルで全体量は上がるものの、外資系の参入、TSUTAYAの急伸で一部国内チェーン衰退
2000年代:郊外型ショッピングモールの展開によって市街地型の店舗が衰退
2010年代:いろいろと全部衰退

こんな感じになると思うのですが、とりあえずこの本で1986年の東京都内は相当詳細に把握できます。
本当に、新星堂の1970年代の拡大の状況とか、星光堂がどのように店舗を増やして、その後小売りを畳んで卸の方の専業になったかとか、知りたくてたまらない。
国立図書館とか神保町古書街でそういうの調べたいのですが、今の状況では可処分時間的に無理。仕事辞めると可処分所得的に無理。
もう本当にそういうことしてたらお金くれる人いないか。とてつもなく後ろ向きな作業だが。

AI美空ひばりのこと

昨日のNHKスペシャルが大変にヤバかったわけですが。

AIでよみがえる美空ひばり

やっていることがそもそもすごいのだけど、いろいろ困難にぶち当たると、和也所有のテープが出てくるとか、単なるひばりオタとしての天童よしみが登場するとか、森英恵も当時のヘアメイク担当も出てくるとか、必要なパーツが嵌っていく形で乗り越えていく、番組としてのストーリーもすごかった。
そしてそのストーリー展開の中で、具体的な説明はなくとも「本件の実現にあたっては重要なところを全部きちんと巻き込んでますぜ、ものすごい公認ですぜ」というところが全部理解できるところも。

正味こういう企画は、見る人によっては倫理観的なところでどうしても引っかかる人もいるかもしれませんが、その「公認」と、番組内でのすごい勢いの「肯定」が、そういう人たちの気持ちへの抗弁として確実に機能する。
全くもって隙がありません。

秋元康氏を連れてきたところも素晴らしい。
前々から「秋元康氏の活動は総じてフェイクであるが故に意味がある」ということを申しています。
「川の流れのように」の作曲は、元・一風堂の見岳章。秋元×見岳ペアといえば初期とんねるず。ビクター時代の「成増」「仏滅そだち」の収録曲はほぼ全曲このペアでの制作です。それらの楽曲の多くは、アイドル歌謡風であったり、ムード歌謡風であったり、チェッカーズ風であったり。
そのペアが制作した楽曲が結果として美空ひばりの代表曲の1つとして認識されているということは、これは「フェイクの到達点」とも言えるわけで。その30年前の実績を引っ提げて今回まさに存在ごとフェイクになった彼女への新曲を制作する。
正直、これは30年越しの伏線の回収と言えるレベルの事象だと、思うのです。

あと個人的にたまげたのは、新曲披露時のクレジット。「作曲:佐藤嘉風」。声が出ました「えーーー!」。
何でかというと彼は私が推し気味のアイドルグループ、ヌュアンスのサウンド・プロデューサーなんですよ。彼の曲に過去にも痺れているのですよ。それがここに来てこれ。
「何で?」ということを仲間うちのLINEにぶち込んだところあっさり回答。乃木坂46のカップリング曲を書いているんですね。その流れで本企画のコンペにも声がかかり、結果こうなったと。

同時に「これからのヌュアンスはどうなるのだろう」という、一抹の不安も。というのも、この企画がこの1番組で終わるとは到底考えられないのです。
たとえばNHKの自然系の番組であからさまにお金がかかっている企画の場合、だいたいが国や学者と組み、しかも続編も何度も放映するという形が常。しかし今回は、これだけの重要人物を巻き込み、コストと期間をかけているにもかかわらず、どこか他の団体と組んでそこからお金が出ているという様子もない。
とすればこういうネタです、「大変予算を持っている別の番組」からお金が出ているのではないか、と考えるのが自然です。この件をツイートした際のリプでもいただきましたが、恐らく年末あたりの。
なので、どんどん嘉風さんもこっちに持っていかれたり、他のもっと大きな企画の方に連れていかれたりしまうのではないかという、そういう不安。

ともあれ、ここで終わりではないでしょう。放映後にツイート検索してみたところ、歌・声については概ね好評、ただしCGについてはネガが多めという感じ。
恐らくここらへんの声を拾いまくってはブラッシュアップを繰り返し、大晦日のNHKで「HIBARI Ver.3.14」とかそういうのが登場することになるのではないかと思います。

そして、ヤマハもこの企画に協力してただ終わりのはずがありません。これは自動車メーカーで言えばF1レースのようなもの。ここでのエクストリームな経験を製品に生かし、VOCALOIDの6か7か、もしくは「VOCALOID PRO」のような形か、培われた鬼の仕様はいずれ製品化されるかもしれません。
リリース時の初回限定版には当然ひばりライブラリが同梱され、「行くぜっ!怪盗少女」も「撲殺天使ドクロちゃん」も「お姫様は電子音で眠る」も「千本桜」も高次倍音込みのひばりヴォイスで歌わせ放題に。そして小林幸子が失業するのです。

Perfume「 Perfume The Best "P Cubed"」のこと

Perfumeのメジャーデビュー15周年ベスト盤が出ました。大変に感慨深い。

Perfumeに初めて接したのは2003年のインディーズからのシングル「スウィートドーナッツ」。
当時カバー曲のコレクターをしていたのですが、カップリングに「ジェニーはご機嫌ななめ」が収録されていたので、条件反射で買い求め。
でも、カバー曲以外も80年代な「テクノポップ」っぽくて悪くないと思い、その後の「モノクロームエフェクト」「ビタミンドロップ」も購入し、でもそんな「うわー!」と言うほどでもなかったため周りの数人に「悪くないよ」と言った程度で終了。

その後まさかメジャーデビューすると思わんかったわという気持ちで「リニアモーターガール」を手に取り、リズムはともかく音色は90年代以降の「テクノ」に寄せてきたかなと思いつつ、でも相変わらず「悪くない」止まり。
それが一気に変わったのが「エレクトロ・ワールド」。自分も「やっと来た!」と感銘を受けたのですが、それを誰かに伝えるよりも早く、当時のクラブイベント繋がりの友人たちが一斉に歓喜の声を上げ始めました。
「Complete Best」がリリースされると「『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル』は厳密にはテクノじゃないよな、エレクトロだよな」という謎の確認会が開かれ、「チョコレイト・ディスコ」が出てくる頃には、仲間うちにも頭おかしいレベルのファン(かしゆか推し)になる奴も出てくる始末。

「スウィートドーナッツ」の頃に共有した友人たちと、面影ラッキーホールとPerfumeの2マンという酷い組み合わせのライブに赴いたところ、フロアに知っている人間がやたらいて笑って。

「ポリリズム」のヒット以降は思うようにチケット取れず、でも観られる機会があればできるだけ観るようにして、そして東京ドーム公演の伝説のMC「ベランダの鳩」を聞いて、こんな場所にまで来てもブレることのない、あまりにもな「らしさ」に泣きそうになる状況に至るわけですが。

「テクノアイドル」と雑に呼称されてはいるものの、ブレークに至るまで「テクノポップ」⇒「テクノ」⇒「エレクトロ」と、微妙に音楽性を変えてきて、ブレーク以降は基本そのエレクトロ路線がベースにはあるものの、時にはテクノクラシックをモチーフにしてみたり、EDMが流行れば思いきりそっちには降らないものの、EDM的構造の楽曲を放り込んで来たり、確実に変わり続けてきた彼女たちの、きちんと発表順に並べた正しいベスト盤が本件。

最初の新曲「Challenger」が、イントロは今のPerfumeっぽい音色から一気に「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」以前のテクノスタイルに持っていくところでもう痺れるわけです。歌メロ前の時計のような音は「時間を遡る音」なんですよ。
それ以降シングル曲以外にも「GAME」「edge」「Party Maker」のような、アルバムで一番尖った曲をきちんと入れているのもその時々のライブ含めた歴史としては極めて正しいし、このボリュームから言って「ベストアルバム」と言うよりは「彼女たちの15年を一気に追体験するためのアイテム」という感じの佇まい。

そして最後の新曲「ナナナナナイロ」の、特にサビ部分の「歌以外のメロディ音の鳴ってなさ」は明らかに直近の英米の音作りの方を向いているわけで、多分彼女たちの音は、中田ヤスタカというフィルターを通して常に「今」であり続けるのです。

あとはもう、世の中的にアイドル結婚しても続けてもいい感じになってきつつあるので、3人とも結婚してもいいから続けてほしい。よろしくお願いします。

渋谷や新宿の商業ビルが空きになること

エンターキングは、最後まで頑張った2店舗のうち、浦安駅前店の方が「もう1日営業できるかも」と言い始め、28日に開けることが決まったと思ったらまた「あやしくなってきた」と言い出したり、いろいろ大変そうです。実際死ぬほど大変なことは間違いないです。

で、今日はFOREVER21の日本中の全14店舗が閉鎖されることが決定しまして。外資系は不採算店少しずつ切って延命という形はあまりなく、こういうばさっと切る事例が多いですね。親会社破産してるんだからしょうがないのですが。

新宿店のビルはFOREVER21が入る前はVirgin Megastoreで、渋谷店のビルは元HMVだったことを思うにつけ、そういう商業の新陳代謝がまた一回りしたんだな、という思いがいたします。
逆に言うと、既に世間的にはその次の周回が終わろうとしているのに、まだ世の中こんなにCD小売店が残っている方が本当はおかしいんじゃないのか、という気にもなります。

ここから先はCD店の話でも何でもないんですが、FOREVER21が退店した後の建物のことが大変気になっています。
新宿店の入っている京王新宿追分ビル、このビルは戦前まで京王のターミナル駅があった場所なのですが、正味現状の新宿の買い物客の周回路としてはメインになりえない位置ですので、次のテナント探しは大変そうです。
渋谷店が入っていた高木ビルは、渋谷のど真ん中、センター街からも井の頭通りからもアクセスできて非常に便利な場所ですが、両面が通りに面した出入り口になっているがために、納品口はこの大きさ
ヨドバシカメラとかがこの位置に入ったら面白いかもと一瞬思いましたが、これ絶対無理です。CDかアパレルが限度です。

というか、今渋谷に出店していなくて、6階建てのビルを1棟丸ごと展開できるだけの商品力と需要のある企業が果たして残っているのか問題。ブックオフが退店してけっこう間が空いたクアトロビル、後にg.u.が入店した時には「ああ、それが残っていたか」と思ったものですが、今回も全く思い付かない。
1棟丸ごとが無理なら小規模な店舗を多数入れる形にすればいい、という判断もありますし、クアトロビルもかつてはそういう形でしたが、ビルのオーナー企業が1棟丸貸しにアジャストしてしまうと、企業内のテナント営業等の機能は失われてしまいますので、もう一度組織としてそういうことをしましょうというのも難しかったり。

都心ではないですが、名古屋市郊外のmozoワンダーシティというショッピングモールがありますが、4階にまるっと入っていた大型複合書店フタバ図書が5月に撤退してしまいました。
その跡に何が入るかと思ったら、10月にOPAがオープンするという謎の展開に。
つまり、mozoワンダーシティというショッピングモール内の1フロアがOPA名義となり、そのOPAに新星堂の新店(!)等複数の店が入るという二重構造になるわけですが、これは「OPAが入った」だけではなく「イオングループのOPAに複数のテナント集めとフロアのディレクション業務を委託した」と考えると合点がいきます。
新宿・渋谷でもそういう、地力のある企業が請け負う形で商業施設を委託されてプロデュースするような形は、あり得るかもしれません。

2018年7月にBOOKOFFが撤退した後、2019年3月のg.u.のオープンまで結構長い間放置されていましたが、東京中あちこちで新たな商業施設がオープンする中、特徴出せない単なる箱としての商業ビルは、渋谷だろうが新宿だろうが今後どんどんしんどくなってくるのでは、と思います。恐ろしい世の中です。

エンターキングがおよそ消滅したこと

<9月25日追記>
浦安駅前店が28日に1日限定の復活を宣言しています

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千葉県を中心に、全盛期は南関東一円に展開していた中古本・ソフトを中心に販売していたチェーン、エンターキングの運営企業、サンセットコーポレイションが大変という話を7月にしましたが、いろいろあった結果、本日およそチェーンごと消滅したと言っていい状況となりました。
正味、詳細はわからないことが多いのですが、とりあえず時系列を追って整理します。

07/01:(株)サンセットコーポレイション、民事再生法適用を申請

07/10:(株)サンセットコーポレイション、民事再生手続き開始決定

これによって、いろいろ動き出すわけで、とっとと不採算店舗を整理する流れが始まります。

07/15:八柱店(千葉県松戸市)閉店
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07/21:綾瀬店(東京都足立区)閉店
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07/28:二十世紀が丘店(千葉県松戸市)閉店
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07/28:小岩店(東京都江戸川区)閉店
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08/18:南流山店(千葉県流山市)閉店
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08/18:西葛西店(東京都江戸川区)閉店
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店舗は相当減るものの、これで当面の延命は図られるはずだったのが、急転直下8月29日に以下の通りの状況に。

08/29:(株)サンセットコーポレイション、民事再生手続を廃止し保全管理および包括的禁止命令を受ける

民事再生手続きが開始されると、債務の取り立ては止みますが、その後1か月で財産目録とか賃貸対照表を提出し、更に数か月目処で再生計画案を提出しなければいけないのですが、売上減に歯止めが限らず、そこらへん出したところで通らなかった、ということになったのではないかと思います。

〇08/29以降の営業を停止した店舗

千葉中央店(千葉県千葉市):リニューアル告知あり
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南行徳店(千葉県市川市):リニューアル告知なし
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白金店(千葉県市原市):リニューアル告知あり
(写真無)

西船橋南口店(千葉県船橋市):リニューアル告知あり
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新松戸店(千葉県松戸市):リニューアル告知なし
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西新井店(東京都足立区):リニューアル告知あり
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ただ、通常ならここで全店舗の営業が止まるはずなのですが、8/29以降も営業を継続していた店舗が3店舗ありまして。

〇9/16まで営業して閉店
鶴沢店(千葉県千葉市)
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〇9/16で一旦閉店後、9/21-23のみ在庫一掃セールを開催して23日に閉店
和名ケ谷店(千葉県松戸市)
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〇不定期に閉店セールを継続し、23日に閉店
浦安駅前店(千葉県浦安市)
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この3店舗は、サイト等ではわかりませんが、恐らく直営ではなくフランチャイズかのれん分けで法人としては別物だったからではないかとは思います。
破産になった場合、まず債権の保持が必須ですので勝手にセールとかやっちゃいけないはずだし、とりあえず数日かけて市原市の店舗以外は回ってみたのですが、実際29日以降空いていない店舗は店内覗けるところ見てみた限り、商品はそのまま残っているようでした。

ただ、完全に別者であれば、セールなんかせず普通に営業継続すればいいやんけとも思うのですが、そこは仕入れとか屋号とか、契約上の課題等継続できない理由がいろいろあったのかもしれません。
本日まで残った最後の2店、在庫のエリアまで開放したり、買い物カゴすりきり1,000円セールしたり、いろいろやり切った感のある状況で閉店したようで、本当にお疲れ様でした。

29日閉鎖の店舗の一部に貼られていた「リニューアル告知」も謎といえば謎なのですが、正味の話そんな一斉にリニューアルする資金など出てくるはずもなく、方便ではあったと思います。

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もしくはどこかに事業譲渡して別屋号で営業継続してもらうつもりだったか。ただ、近しい事業形態の各企業、そんな引き受けられるほど楽なところなどどこにもなく。
というか、譲渡する気で動いたものの、引き受け手が見つからなかったが故の破産か。そうかもしれない。

ずっと言い切らずに「およそ」と言っているのは、「リニューアルするよ」と言っているところが、もしかしたら本当にそうするかもしれないという可能性で話しているためですが、まあ、無理だと思います。悲しいです。