最近、Webメディアに立て続けに「BOOKOFFが続々閉店」を枕にした記事が掲載されていて興味深く読みました。
ブックオフが都内店舗を続々「閉店」…!突然の10月閉店ラッシュにファン落胆、業績好調だったハズがなぜ?(現代マネー)
ブックオフ「続々閉店?」報道の裏で進む大変化(東洋経済)
それでも、そもそも言うほど続々閉店してるのかと思って確認してみました。
2021年:開店1/閉店9
2022年:開店12/閉店16
2023年:開店13/閉店12
<2024の開店>
02/05:BOOKOFF JR上熊本駅店*1
03/22:BOOKOFF じゃんぼスクエア香芝店
04/19:BOOKOFF 出雲高岡店
04/26:BOOKOFF SUPER BAZAAR エディオン大津店
04/26:BOOKOFF SUPER BAZAAR 甲府貢川店*2
05/16:BOOKOFF 富士宮北町店*3
07/12:BOOKOFF イトーヨーカドー東村山店
07/13:BOOKOFF チャチャタウン小倉店*4
11/05:BOOKOFF SUPER BAZAAR 草加セーモンプラザ店
<2024の閉店>
01/08:BOOKOFF 熊本渡鹿店*1
01/21:BOOKOFF 練馬区役所前店
01/31:BOOKOFF 泉南店
02/21:BOOKOFF PLUS ホームズタウン川越小仙波店
03/15:BOOKOFF 甲府下石田店*2
03/15:BOOKOFF 甲府平和通り店*2
04/14:BOOKOFF 富士宮店*3
04/30:BOOKOFF 名古屋大曽根店
05/12:BOOKOFF 小倉旦過店*4
05/12:BOOKOFF 日赤前店*4
06/17:BOOKOFF 喜連瓜破駅前店
07/07:BOOKOFF 鳥取湖山東店
10/20:BOOKOFF 行徳店
10/20:BOOKOFF 新高円寺駅前店
10/20:BOOKOFF 学芸大学店
BOOKOFF 新高円寺駅前店 2024年の今まで:開店9/閉店15
2021年はコロナ後の様子見感が非常に強い感じですが、それ以降はこういう感じで、首都圏の3店舗が同時閉店というのは割とインパクトあっても、過去2年と比較してあからさまにエグい状況かといえば、まあこんなもんかなという程度。
本当に小さな店舗を閉めている傾向は見られても、小型店舗を閉じて近隣の中型店舗に移転オープンする形(*1/*3)、近隣の小型/中型2店舗を閉めて大型1店舗に集約する形(*2/*4)もあったります。
全体としては、大型店舗に行きたそうな感じはありつつも、とにかくそっちに集約するという方針ではなく、実際2024年のオープン店のうちSUPER BAZAAR名義の店舗は2店舗のみ。
ここ最近のBOOKOFFの動きとして、ポイントになりそうなのが以下の3点。
1)大きな店舗でなくても総合リユース店舗化
昔は「従来のBOOKOFFにアパレルを追加したらBOOKOFF PLUS」「総合リユース店舗化したらBOOKOFF SUPER BAZAAR」みたいな位置付けがありましたが、現状BOOKOFF名義の店舗でもその他リユース品を置いている店舗も多いですし、中型規模の「BOOKOFF」名義ではアパレルまで押し込んでいる店舗もあります。
もはや「BOOKOFF」「BOOKOFF PLUS」「BOOKOFF SUPER BAZAAR」という名義の差は、一部の小型店舗以外は店舗の規模程度と言っていいんじゃないかレベルになってきています。
正味、書籍・CD・DVD・ゲームという現状の路線だけではこの先心許ない、というのは総合リユース化へ舵を切った最大の要因であることは間違いないのですが、その方針への変更は店舗の大型化を待つだけでなく、従来の店舗でもできるところでは行っているということで。
2)査定方針の変更
BOOKOFFは元々通常の古書店や中古レコ屋のような「価値」を判定する査定が存在せず、およそ「新しいか」「きれいか」で価格が付くという、当時他ではありえない方針でもって商品を集めていて、それでも「お父ちゃんの趣味の品を勝手にお母ちゃんが売りに来る」みたいな、価値を気にしない「ただ捨てるのは忍びないから売りに来た」というレベルの顧客層が存外に多かったことも、店舗網拡大の一助であったわけです。
が、トレーディングカードという「レア品という新しいとか一切意味のない価値の塊」のような商品を取り扱うにあたって通常の査定の概念が導入され、総合リユース化拡大にあたってその流れも全体に拡大したという経緯があります。
今はリアルタイムで各店舗の端末に査定に必要な情報が連携される体制が整っているため、大きな店舗でなくても専門性がないスタッフであっても割とブレのない査定ができるようになったというのは、「どの店舗も総合リユース」の流れに寄与しているのではないかと思います。
3)「総合買取窓口」店舗の増加
BOOKOFFが躍進した要因は、査定を極限まで簡素化することで「目利き」が不要になり、育成等にかかる時間やコストもカットして大規模に店舗網を拡大できたこと、そしてその結果「お父ちゃんの趣味の品を勝手にお母ちゃんが売りに来る」みたいな、そのものが待つ価値を気にしない層にとって、一番身近にあった「買い取ってくれる」お店だったことにあると言っても過言ではないわけですが、前述の通りあまりにも小規模な店舗は今後の方針に乗せにくくなっています。
現在関東を中心に増加している「BOOKOFF総合買取窓口」は、広い床面積ではコストがかかったり、広い面積を持つテナントの数が少ない都市部で、通常のBOOKOFFでは買取しにくいブランド品をきちんと鑑定して買い取れることをメイン目的に設置されている超小型店舗ですが、通常のBOOKOFF同様に本やCDの買い取りも行っていて、小型店舗の縮小によるそういう「近所の買い取り拠点」の減を補完する役割も果たしています。
今年発覚した架空買い取り等の不正を行った店舗が閉店しているという噂もありますが、7月に調査のために臨時休業した店舗の中には10月20日に閉店する店舗は含まれていないというか、正味のところはよくわかりません。
何にせよBOOKOFFは企業自体の経営は堅調ですので、そうそう続々閉店はないものと思われます。
ただ、ここまで仲良くしているハードオフとの住み分けは今後どうしていくのか、今のところBOOKOFF/ハードオフ併設店や近隣に両店舗がある場合は、BOOKOFFは割と今までどおり書籍・CD/DVD・ゲーム中心で、総合リユース範疇はハードオフに任せるというパターン多めですが、今後BOOKOFFがより今の方針を推し進めていくとすればそのバランスがどうなるのか、という点については、割とドキドキしています。