「オールドスタイル」なゲオのこと

全国のレコード/CD屋巡り、TSUTAYA・ゲオ・BOOKOFFも対象にしているのですが、回っていて圧倒的に面白くないのがゲオです。

TSUTAYAはフランチャイジーごとにそれぞれ色が異なりますし、都市圏のレンタルメインの小型店舗と、地方の書籍やCD・ゲーム販売も行っている大型店とは全く違います。
BOOKOFFは、原則その地域で買い取ったものがその地域の店で並びますので、地方によって品揃えに癖があることも多いですし、こちらもフランチャイジーによって色が違います。

一方ゲオはほとんどが直営だということもあり、一部の書籍販売も行っている店舗を除くとほぼ品揃えも同じで、最近では店の中に入るとその正面には催事以外は割とゆとりがあってその周囲に販売、レンタルは外周部や奥の方に押し込まれているレイアウトまでほぼ共通。
新しめの店舗だと白くて四角い建物にブルーのラインというデザインまで似通っていて、店ごとの色が本当に薄いのです。

なので、ゲオを回るのは割と苦行で、正直時間が限られている場合はゲオは飛ばすこともあります。

が、一部のゲオには「例外」があります。
埼玉県を中心とした、かつて業界3位だったレンタルチェーンのファミリーブックはゲオに吸収されたのですが、ゲオに看板を架け替えてもファミブ時代のレンガ柄の外装デザインが割と残っていまして、それは少しテンションが上がります。

また、これは他のチェーンも同様ですが、変な形の建物に居抜きで入った結果、何だかおかしなことになっているゲオもテンションが上がります。

そして最もテンションが上がるゲオは「オールドスタイル」なデザインの店舗。
ゲオという屋号は1989年からですが、それ以降名古屋をはじめ東海地方から店舗網を増やしていきます。
その1990年代にオープンした店舗の中には、ほぼ外装を変えることなく今に至るまで営業を継続している店があります。
その店舗がなかなかに味わい深く。

現存するゲオで最も「オールドスタイル」な外見を留めているのが名古屋市瑞穂区の「ゲオ弥富通店」。

「オールドスタイル」ゲオの特徴としては、
1)「GEO」のロゴが立体(もしくはやたらでかいロゴ看板)
2)黄と青の塗装(白がメインではない)
3)「AMUSEMENT DEVELOPER」のキャッチフレーズ(今も使用はされていますが、「HYPER MEDIA SHOP」の方がメインに)
4)看板にカタカナの「ゲオ」表記
あたりが挙げられますが。

特に1)は、かつてはロゴの存在感が圧倒的だった栄生店等もありましたが、今は絶滅危惧状態です。
自分が知る限り、立体化された「GEO」ロゴを装備して現在も営業している店舗はいずれも愛知県の東海荒尾店、西尾店、碧南店くらいでしょうか。

GEO栄生店 2021/5/30閉店

でもってこの手の「オールドスタイル」な店舗は、企業としてのゲオが今目指している店舗像を実現するには床面積だけとってみてもアンマッチですので、恐らく今後長く続くことも考えにくいわけで、今後そんなに長くないかもしれません。

弥富通店は、新瑞橋イオンや瑞穂競技場からも近いので、何かのついでに眺めに行ってもいいかもしれません。
まあ、ゲオを「眺めに行く」というのもどうかと思いますが。

最近のトップカルチャー(TSUTAYAフランチャイジー)のこと

トップカルチャーといえば、全国を見渡しても最大手と言える規模のTSUTAYAのフランチャイジーですが、2021年7月に「2023年10月期までにレンタル事業からの撤退」と発表したものの完全に失敗し、現在でも営業中の過半数の店舗でレンタル営業継続しているという件は割と何度も言ったことですが。


蔦屋書店 青葉奈良店(2025/7/6閉店)

というか、レンタル撤退よりもむしろ店舗ごと閉店することの方が目立っています。
トップカルチャーの蔦屋書店/TSUTAYA店舗の変遷、前にやったのから更新。
ひとつめの「○」はCD販売を行っている店、ふたつめの「○」はCD/DVDレンタルあり、「△」はDVDレンタルのみ、「×」はレンタルなし。


もうレンタル撤退よりも、閉められる店は全部閉めるくらいの勢いで店舗が減っています。

この7月に閉店が決まっている横浜市の蔦屋書店青葉奈良店は、当初は「レンタル撤退」の方針に沿ってレンタルを引き上げたものの、半年経たないうちに復活させたという経歴のある店ですが、今回は完全閉店です。
この店舗だけでなく、正直特に首都圏にある店舗はいつ閉まってもおかしくないくらいの気持ちでいた方がいいかもしれません。

ただ、本拠地である信越地域については首都圏ほど動きが大きくありません。

この地域は、トップカルチャーと共に、ひらせいホームセンターがTSUTAYAの大手フランチャイジーとして展開していて、トップカルチャーの蔦屋書店とひらせいのTSUTAYAが至近距離で店舗展開して、TSUTAYA同士で殴り合いのような状況も複数個所でありました。

トップカルチャーがレンタル撤退を発表した頃には、「そういう競合地域で住み分けをするという側面もあるのではないか」と思ったのですが、2021年以降、ひらせい側も割と店舗を閉めたりレンタルをやめたりといった動きを加速していて、現状では住み分けもクソもなくなってきた感があります。
現状わかりやすく至近距離で双方の店舗が住み分けられているのは新発田市くらいでしょうか。

ただ、ひらせいはホームセンターという主業が柱としてあるので、TSUTAYAを閉じてもまだ丈夫なのですが、トップカルチャーの場合「TSUTAYAのフランチャイジー」がそもそもの主業ですから、いろいろ大変です。

レンタルを撤収した店舗ではそのフロア部分に雑貨を売ったりダイソーを誘致したりしていますが、一部の店舗ではその売上が想定に届かなかったようで、まだマシだということでレンタルを復活させた店舗もあるくらいで。

トップカルチャー、6月に発表された連結決算でも想定以下の赤字ですが、「戦略を練り直す必要がある」ということは、まだ確たる先の見込みは立っていないということであり。

まあ、レンタル撤退した方がいいという見込みで発表して、販売や床貸しに転向したところそれがイマイチだったわけですから止むを得ないのですが、本当にどうするのか。

一方、親方であるCCCも全くもって安泰ではないはずなのですが、そもそもCCCは非上場。
そしてTSUTAYAのフランチャイズ事業は2023年に新会社カルチュア・エクスペリエンスに切り離され、かつ出資比率は日販51%・CCC49%なので、TSUTAYAのフランチャイズ事業がうまくいかないところでそれはCCCの連結決算対象ではないので、CCC本体の不調とはあまり関係がないということに。

それでもCCC本社、今年の5月に本社機能を渋谷ガーデンタワーから横浜みなとみらいに移転させています。横浜市から支援も受けているようですが、まあ渋谷と比べれば賃料も下がっているのでしょう。

今後シェアラウンジ事業に注力していくようですが、ホテルやマンション等の設備とタッグを組んで、TSUTAYAのブランド力でもって利用を高めていくという感じで、そもそものB to C事業の部分と、その後注力していたB to B事業のいいとこ取りみたいな感じでいいのではないでしょうか。
それでどこまで全体の業績を伸ばせるかは別問題として。

タワーレコードの痕跡のこと

相模大野に行ってきました。
大きなサイズの専門店、サカゼン相模大野店が7月で閉店するということで。
別に自分は特に大きなサイズでもないですし、CD店とレンタル店以外の閉店まで追っているわけではないのですが、ここはちょっと閉店前に見ておきたいと思ったので。

サカゼン相模大野店があるのは相模大野店北口から真っ直ぐ数分歩いたところにある商業ビル、レガロの4階。

相模大野駅周辺には、駅舎と一体化したステーションスクエア、駅北口を出て右側に1992年オープンのジョイモアーズ、駅北口を出て左側に2013年全面開業のボーノ相模大野と、商業施設が3つあります。

レガロはそれらと比べるとやや駅から離れていてかつ小さめの商業ビルで、1992年オープン。
建物の作り的にオープン当初は割と高級なブランドを誘致したっぽい雰囲気なのですが、1995年、4階ににタワーレコード相模大野店がオープンした頃には当初の目論見からはブレていたのではないでしょうか。

そのタワーレコードは2007年に閉店し、「居抜きCD店」でお馴染みメディアステーションBIGがその跡を継いで再度CD販売を行います。
が、2012年にはそのBIGも力尽き、その跡に改めて入ったのがサカゼンということです。

で、何を見ておきたかったのかというと、BIGはそもそも前の店舗からほぼ居抜きで、如何にお金をかけずにオープンできるかに命を懸けていたチェーンですので、タワーレコードの内装はほぼそのままだったわけですが、サカゼンが入居する際も、業態は異なるので什器等はさすがに総入れ替えですが、内装の一部は触らずに残しました。

つまりレガロの4階は、ショッピングモールに大展開する以前、20世紀のタワーレコードのデザインが残存している環境であるということなんです。
サカゼン撤退したらその後どうなるかわからんので、閉店する前に改めて眺めに行こうと思った次第です。

ということでレガロ。

前に来た時には1階にスタバが入っていたのですが、昨年秋に撤退した模様。
奥の方の白いところがそれですが、撤退跡は未だに囲われたままです。
というか、もう建物に入ってるテナントがこんな感じですので、そりゃサカゼンも出ていきます。

4階のサカゼン。

この色使い、1995年にタワーレコード渋谷店が今のビルに移ってきた際の内装も、確かこんな割とビビッドめの感じだったような記憶があります。

ここなんか、試聴機が並んでいたんじゃないかとか想像します。

サカゼン撤退後、そもそもレガロ全体がシオシオなので、新しいテナントがすぐ入るとは思えないのですが、5階が既にそうなっているように、一般人が入れなくなってしまう可能性もあるので、この光景ももう見られなくなる可能性もあるということで。

ただレガロ、起死回生はあるかもしれません。
というのは、すぐそばに割と大きめのタワマン建設中なので。

ここが入居開始すれば、レガロ前を通る人の流れも相当変わりますので、何らか変化はあるのではないかと思います。
とはいえ、それでCD店が入るかといえば、そんなわけはないので割とどうでもいいです。

UVERworld@東京ドームのライブのこと

15日はUVERworld@東京ドーム。2DAYSの2日目だけですが観てきました。

彼らのドーム公演は今回で3回目ですが、2010年の初ドーム公演は観ています。
あの時は公演直前にものすごく鼻息が荒い感じの新曲「No.1」をリリースし、公演自体よかったのですが、盛りまくった映像演出と恐ろしく必死なパフォーマンスであったことは今も印象に残っています。

そこからフェス等で何回か観てはいるのですが、年月も経ち経験値も積んだ彼らがどういうドーム公演をかますのか。
とりあえず公演前に公開された新曲「Bye-Bye to you」「NO MAP」は、相変わらずの彼らではあるものの「No.1」ほど無闇に鼻息の荒いヤツではないことを確認して水道橋へ向かいました。

前日はスクリーンにカウントダウン表示され、それがゼロになった瞬間にステージ開始という演出だったということですしたが、日曜は10分前にちょっとだけカウントダウンが表示されたものの、ステージ上でSax/マニピュレータ担当の誠果がDJ的に音を出し始め、その傍らには既にTAKUYA∞もいるという状態。
そのまま18時ちょうどに映画的に凝りまくった映像とアホみたいなぶちかまされるレーザー光線と共に「PHOENIX」でライブ開始。
この曲は音源だと「ふーん」くらいなのに、ライブだと化ける化ける。

というか、それ以降ライブで聴いたことがある曲も何となく具合が違う。化け方の感触がこれまでとは異なっている。

1.映像・演出で煽りすぎない
もちろん銀テープやら炎やらは出るのですが、過去の自分が観たライブでは多用されていたスクリーンいっぱいにすごい勢いで畳みかけてくるCG映像演出が、ステージ中央上方のスクリーンに痕跡は残っているものの、左右の大スクリーンにはそれが映されることはほぼなく、概ねステージ上のメンバー映像とその上に被せされる歌詞のみで。

2.シーケンスの使用量が減っている
彼らのキャリアの初期は電子音ゴリゴリの曲も多くありまして、現在に至ってもそれなりに使っている音源もあるのですが、ライブ中それらの音が聞こえてくるのは印象的なイントロとか、ギターの奥の方で「鳴ってるやんけ」程度か、とにかくシーケンスで発せられる電子音は非常に抑えられ、バンドで鳴っている音がほぼ全て、という感じでした。

3.マイクの使い方が違う
TAKUYA∞はライブ中だいたい黒いマイクと白いマイクの2本を携行していまして、黒マイクは原則生声、白マイクはオートチューンぽかったりの加工声という使い分けなのですが、これまでと比較して圧倒的に白マイクの使用頻度が減っている印象。

要するに、ドーム公演にして今回は完全に「バンドの生身」をメインに据えて挑んできていたということで。

2010年、観ていてもいっぱいいっぱいなことが伝わってきて、それが故に大変に緊張感があり、それがむしろよいと感じた初ドーム公演であったと記憶しているのですが、もうその時とは全然違います。
生身でもって「もうお前らこのサイズの会場がちょうど適正じゃないの」と思えるくらいに会場の空気を操り、上に持っていく。
前回は「バンドとしての」覚悟を観たのだとすれば、今回は「ライブバンドとしての」覚悟を見せつけられた感じ。

ゴンドラが出てきた時には「ゴンドラかよ」と少し笑ったけど、2台に3人ずつ乗って回ってアリーナ最後方でその2台が繋がり、小さなライブハウスくらいの面積になり、高さ的にも近くなったスタンド席に向かってTAKUYA∞が「ここが最前だ」と言った時、何か泣きそうになったり。

そして2DAYSで土曜26曲日曜25曲のうち両日被り曲が12曲という滅茶苦茶さ。
ドームレベルのサイズの会場でそんな違う曲ををやるには、メンバー/スタッフともどれだけしんどいか。でもやった。
もうこの一点だけでも信頼に足るバンドだと思います。

セットリストの違いに「好きな曲が行ってない日でだけやった」みたいな不満の声も見られましたが、曲毎に強い言葉を持つだけに人それぞれに各曲に対する思いも強いので、その気持ちはわかります。
が、それでも労を惜しまずこういう形でライブを決行したバンドとしての「強さ」に自分は感じ入りました。

というか、多少不満があったところで「ごめん、じゃあもうそういうことやめます」みたいなバンドではないし、彼らを好きな人はきっとそういうところも含めて好きなのだと思うし、そういうファン層と共に彼らは続いていくのだと思います。

今回、ファンクラブに入っている友人にチケット取ってもらったのですが、座席が「スカイテラス」と呼ばれる立派な席で、おっさん大変快適に観られました。

ありがとうございました。これでこの先の人生の運をどれだけ使ったのだろうか。

ポストパンクの5枚組CDが安い割に内容がえげつないこと

Xでも紹介しましたが、タワレコでパンク以降のNew WaveというかPost Punk系楽曲のコンピ盤「To The Out Side Of Everything - A Story Of UK Post Punk 1977-1981」が5枚組106曲という特大ボリュームにして2,290円という値段で売っておりましたので、買ってまいりました。

この盤、2017年にはリリースされていたようなのですが、当時は割とお高めで、それが廉価版というか、売れてなかった在庫を放出するためにこの価格で出してきたのかもしれませんが、2,290円でした。

DISC ONE:
01. Ultravox! / Young Savage (1977/5/28)
02. Magazine / Shot By Both Sides (1978/1/20〇)
03. Wire / I Am The Fly (1978/2)
04. 'O'Level / East Sheen (1978/5◎)
05. Throbbing Gristle / United (1978/5)
06. The Normal / T.V.O.D. (1978/11◎)
07. Punishment Of Luxury / Puppet Life (1978/7/7〇)
08. Tubeway Army / Bombers (1978/7/21)
09. The Fall / Repetition (1978/8/11)
10. Thomas Leer / Private Plane(1978/11◎)
11. The Tights / China's Eternal (1978/9◎)
12. Fischer-Z / Wax Dolls (1978○)
13. Scritti Politti / Skank Bloc Bologna (1978/11◎)
14. Gang Of Four / Damaged Goods (LP Version) (1978/10/13○)
15. The Flying Lizards / Summertime Blues (1978○)
16. Big In Japan / Suicide A Go Go (1978/11/10◎)
17. Fashion / Steady Eddie Steady (1978/11◎)
18. The Homosexuals / Hearts In Exile (1978◎)
19. Glaxo Babies / This Is Your Life (1979/3◎)
20. The Teardrop Explodes / Sleeping Gas (Zoo 7"Version) (1979/1◎)
21. The Passions / Needles And Pills (1979/3◎)
22. The Raincoats / Fairytale In The Supermarket (1979/4◎)

DISC TWO:
01. The Human League / The Dignity Of Labour Pt.1 (1979/4)
02. Alternative T.V. / Lost In Room (1979)
03. Echo And The Bunnymen / The Pictures On My Wall (1979/5/5○)
04. Public Image Ltd. / Death Disco (1979/6/29)
05. The Monochrome Set / Eine Symphonie Des Grauens (1979/6)
06. Second Layer / Courts Or Wars (1979◎)
07. Poison Girls / Ideologically Unsound (1979/4)
08. The Slits / TYPICAL GIRLS (1979/9○)
09. Spizzenergi / Soldier Soldier (1979/9)
10. Au Pairs / You (1979/11◎)
11. Joy Division / Transmission (1979/11/16)
12. Fad Gadget / Back To Nature (1979/10◎)
13. The Passage / 16 Hours (1979/10)
14. The Pop Group / We Are All Prostitutes (1979/11/9)
15. The Last Gang / Spirit Of Youth (/979◎)
16. The Adicts / This Week (1979◎)
17. Killing Joke / Turn To Red (1979/10◎)
18. Modern Eon / Second Still (1979◎)
19. The Psychedelic Furs / We Love You (1979/11/2○)
20. Mo-Dettes / White Mice (1979/12◎)
21. The Deep Freeze Mice / Emile Zola (1979◎)
22. Crispy Ambulance / From The Cradle To The Grave (1980◎)
23. The Durutti Column / Sketch For Summer (1980/1○)

DISC THREE:
01. Swell Maps / Let's Build A Car (1980/1)
02. Family Fodder / Warm (1980)
03. Adam And The Ants / Cartrouble (1980/3)
04. Clock DVA / Brigade (1979?)☆
05. Girls At Our Best! / Warm Girls (1980○)
06. The Membranes / Ice Age (1980/4◎)☆
07. Boots For Dancing / Boots For Dancing (1980)
08. Ludus / Lullaby Cheat (1980/3)
09. Modern English / Swans On Glass (1980/5/12)
10. Thompson Twins / Squares And Triangles (1980/4◎)
11. The Disco Zombies / Mary Millington (1980)
12. Occult Chemistry / Fire (1980◎)
13. In Camera / Final Achievement (1980/6◎)
14. Section 25 / Girls Don't Count (1980/6◎)
15. Art Objects / Hard Objects (1980◎)
16. Josef K / Radio Drill Time (1980/6)
17. The The / Controversial Subject (1980/8)
18. Blurt / My Mother Was A Friend Of An Enemy Of The People (1980/8◎)
19. The Associates / The Affectionate Punch (1980/8)
20. …And The Native Hipsters / There Goes Concorde Again (1980◎)

DISC FOUR:
01. The Birthday Party / The Friend Catcher (1980/10/11)
02. The Cravats / Precinct (1980/8)
03. Dislocation Dance / It's So Difficult (1980/10◎)
04. Spoon Fazer / Do Different Dances (1980◎)
05. Colin Newman / B. (1980/10○)
06. Blue Orchids / Disney Boys (1980/11/17◎)
07. Mass / Cabbage (1980/10◎)
08. Fire Engines / Get Up And Use Me (1980/12○)
09. Dance Chapter / Anonymity (1980/12◎)
10. Blancmange / Overspreading Art Genius (1980/4◎)
11. The Diagram Bros. / We Are All Animals (1980◎)
12. Repetition / A Still Reflex (1981/1◎)
13. New Order / Ceremony (1981/3/6◎)
14. Medium Medium / Hungry, So Angry (1981/1)
15. Steve Diggle / 50 Years Of Comparative Wealth (1981/2/28◎)
16. Five Or Six / Another Reason (1981/2/13◎)
17. The Danse Society / Clock (1981/3◎)
18. The Laughing Apple / Sometimes I Wish (1981◎)
19. The Past Seven Days / Raindance (1981/3/2)
20. Eyeless In Gaza / Invisibility (1981/4/3)
21. The Nightingales / Idiot Strength (1981/4◎)
22. My Captains / Nothing (1981/3◎)

DISC FIVE:
01. Theatre Of Hate / Rebel Without A Brain (1981/4)
02. Notsensibles / I Am The Bishop (1981)
03. New-Asia / Central Proposition (1981◎)
04. Marine / Life In Reverse (1981/5◎)
05. Tunnel Vision / Watching The Hydroplanes (1981/6○)
06. Jah Wobble / Fading (1981)
07. TV21 / Snakes And Ladders (1981/6)
08. The Sinatra's / Happy Feeling (1981◎)
09. Soul / Tribes (1981/6/16◎)
10. The Drowning Craze / Storage Case (1981/6/22◎)
11. Sad Lovers And Giants / Imagination (1981/5◎)
12. Dif Juz / HU (1981/7◎)
13. Spider King / Animals (1981◎)
14. Nico / Vegas (1981/9)
15. The Higsons / I Don't Want To Live With Monkeys (1981/7◎)
16. APB / I'd Like To Shoot You Down (1981◎)
17. Rene Halkett David Jay / Nothing (1981/8◎)
18. Maximum Joy / Stretch (7" VERSION) (1981◎)
19. Artery / Afterwards (1981/6)

中身はこれ割とすごいです。
中にはかなりレアかつサブスクにはない音源も入っていまして、その7インチ盤1枚買うだけでもだいたい2290円以上しますので、正味買わない理由がありません。

たとえばBig In Japanというバンド、この楽曲を録音したのは、後のThe KLFのBill Drummond、後のLightning SeedsのIan Broudie、後のFrankie Goes To HollywoodのHolly Johnson、後のSiouxsie and the BansheesのBudgieという、後から考えたらスーパーバンドなのですが、この「Suicide A Go Go」、あちこち店行ってもなかなか見かけませんし、見かけても高いです。

それ以外でも、このコンピ盤の素晴らしいところはざっと調べてわかりましたが「概ね各バンド・ミュージシャンの初期楽曲をピックアップしている」点と、「曲がおよそリリース時期順に並んでいる」点にあります。

各曲の○は「そのバンド・ミュージシャンにとって初めての公式リリース音源」、◎は「初めてのリリース音源かつオリジナルアルバム未収録音源」であることを示しています。
思い切り例外はNicoの「Vegas」ですが、この曲は割と正面からポストパンク的サウンドに挑んだ、彼女のキャリアの中では割と異質な曲で、かつオリジナルアルバム未収録でサブスクにもないはずなので、このピックアップはそれはそれでありです。

リリース年月日はざっくり調べた程度ですので、詳細までわからなかった曲も多いのですが、でも曲順が年単位で前後しているようなことはなく、判明している月単位で見てもだいたいリリース月順といっていいレベル。

要するに、当時どのようなバンドがデビューしてどういう音楽でもって世に問うたのか、ということを当時の流れの通りに追体験でき、そして今だから「その世に問うた音楽のどれが評価されてどれが評価されなかったのか」もわかるという、本当に「A Story Of UK Post Punk」と名乗るにふさわしいコンピだということです。

かといって、結果として評価されなかった楽曲が他と比較して駄目かと言うと必ずしもそうでもないところも興味深く。
そして、その後すごく評価されたバンドでも初期音源は全然違ったりするのも面白いです。
Thompson TwinsとかScritti Polittiとか、何でメジャー以降そうなったのかよくわからないレベル。

ということで、大変素敵なコンピではありますが、課題があるとすれば「何でこのバンド入ってないん?」というのも割とあること。

1977年から1981年であれば、たとえばPost Punk的サウンドの代表例として挙げられることもあるYoung Marble Giants、あとBig In Japan等リバプール人脈系が入るのであれば個人的にはWah!も入っていたらいいと思うし、あと個人的に大好きなWasted Youth、B-Movieも入っていて欲しかった。

あと、U2、The Cure、Bauhausあたりも入ってないです。
U2は最初からほぼメジャーだからか、とも思いましたがエコバニもPILもいるし、The Cureはいないけど、同じFictionレーベルのThe Associatesはいる。

こういう場合「マスターを紛失した」「曲の権利を第三者に貸さない」「貸すけど高い」のいずれかで、だいたいの場合「貸すけど高い」の可能性が高いと思うのですが、2,290円だから仕方がない。

レコード店の分類仕切り板のこと

中古レコード店を巡る楽しみは、その店の品揃えの特徴というか癖というか、その店ならではの部分を見つけるところにもあるのですが、それが目に見えてわかるのがレコードの分類であり、その象徴とも言えるのが仕切り板。

私は概ね80年代UKバンドを探るのですが、ざっくりした店だとそこらへんのジャンル分けが「ROCK」だけなので、割と探すのが大変です。
そういう店はジャズやクラシックの分類板が細かかったりすることもあるので、止むを得ないというか、そういう店な場合も多いのですが。

それが60-70'sと80'sと90'sに分かれていると探しやすく、更に「Indies」が分かれていたりするととてもわかりやすく、「ROCK」とは別に「New Wave」や「Post Punk」があったりするともう大変にありがたいです。

あと、邦楽が強い店で、古くからの店だと昔からのまま「男」「女」「グループ」で並びが完全に分かれていることもあって、むしろ探しにくいのもご愛敬だったりしますが、歌手以外のレコードを並べているところの仕切りが異常に細かく「お笑い(ザ・ぼんちとか鶴光とか)」「野球(落合博光とか中畑清とか)」「相撲(増位山とか琴風とか)」「外国人(エマニエル坊やとかチャダとか)」まで分かれていたりすると、もうそれだけでその店のことが大好きになったりします。

そして昨今、微妙にその仕切りの「基本ルール」がブレつつあります。
通常の中古レコ屋における邦楽のレコードは、先述の通り「男」「女」「グループ」に分かれている場合はあるにせよ、あいうえお順に並んでいます。店の規模によって「あ行」なのか「あ」「い」「う」「え」「お」で分かれていたりの差はありますが、概ねどの店もそうでした。

が、ここ数年新たにオープンした、多分にインバウンドを意識したお店の一部では邦楽もABC順に並んでいる店が登場しています。
確かに外国の方だって邦楽のレコードを探すようなことも増えてきた今、非常に「優しい」仕様だとは思うのですが、既存の並びに慣れきった身としては非常に探しにくくて辛いのです。本当に疲れます。

先日、アルタの閉館に伴ってマルイ本館に移転したHMV record shop 新宿にようやく行ってきたのですが、これアルタの時はあんまり意識していなかったので気が付かなかっただけかもしれませんが、インバウンドと国内住居人とを双方微妙に意識した仕切りだったのでぐっときました。

とはいっても仕切り板の「あ」に「A」って添えてあってミュージシャン名にも英字併記しているだけなんですが。

それでも両者ともできるだけ探しやすくするにはここしかない落としどころだとは思うのです。

ただHMV、新品のアナログと中古レコードは別の棚になっているのですが、「あ」に「A」って添えてあるのは新品の方だけで、中古の方は添えていません。

これは「ただのうっかり」なのか「1回書いたからもういいだろう」なのか「外国人は単価の高い新品を買えばいいんじゃ」なのか、どれなのでしょうか。

ライブが終わった後のこと

ライブは、観ることは当然重要ですが、終演後にどうやって飲酒までたどり着くか、飲酒後どう帰宅するかも割と重要な問題です。

渋谷・新宿・下北沢あたりの小箱のライブであれば何の問題もなく、適当に店に入って飲んで帰るだけなのですが、たとえば今は亡き新木場スタジオコーストで日祝日にライブがあった場合、友人とは駅から向かう方向が違うこともあり、そんな時はいかに速やかに駅前の交差点にある「ひものや」の席を確保するかが割と重要だったりしました。

東京ドームの場合、終演後は無理くり混んでいる総武線にねじ込むか、水道橋駅周辺で空いている居酒屋を求めてさまよい歩くかの、辛めの二択になりがちでしたが、総武線のガード下を抜けて南側の方に出ると、具合よく空いている店も時折見つけられることがわかったので、それを期待して歩いたりもします。

日本武道館の際は、九段下交差点北東の小さな飲み屋街や神保町方面には向かわず、市ヶ谷駅もしくは飯田橋方面に徒歩で向かい、その道すがらにある店の空きを覗きながら歩いていくという行動様式です。結果として落ち着く店がどっちも中華になりがちという難点はありますが、それでいいんです。

幕張メッセでは、海浜幕張駅周辺で一度席を確保できたことはありますが、難度は高いため、幕張本郷駅周辺に何軒か落ち着く店を見つけています。

みなとみらいは、横浜駅の向う側や高島町駅方面に行けば居酒屋があるのはわかっているのですが、飲むために会場から駅までの移動にプラスアルファするのが何か悔しくて、最近ようやく首都高をくぐって横浜駅方面に向かう途上に何軒か居酒屋があることを発見し、そこに収まっています。

さいたまスーパーアリーナは、けやき広場下の店が無理なら、さいたま新都心駅ではなく北与野駅方面に向かうと、駅周りの店に収まれる率が上がります。

難度が異常に高いのは、東京・有明。
有明は、ガーデンシアター公演かつ少人数でフットワーク軽く動ける際は、向かいの商業施設にかち込んでも間に合う時がありますが、それ以外はいろいろ困難。

で、15日は初めてソロでZepp Hanedaだったのですが、通常であれば友人と蒲田駅で一旦降りて居酒屋を探すところ、ここで考えていたプランを発動しました。

Zepp Hanedaは、京急空港線の天空橋駅に隣接した商業施設の中にあるのですが、ライブ終了後は天空橋駅に向かうのとは逆方向に歩き、10分程度で羽田空港第3ターミナル隣接の商業施設羽田エアポートガーデンへ。
味噌かつの矢場とんや、焼きそばで有名な梅蘭が入っているのですが、平日の21時ともなるとそういう有名店でも並ばず余裕で入れます。
食ったことなかったので梅蘭。美味い。

そこで飯食ってビール飲んで、それから第3ターミナルに向かってリムジンバスで新宿まで直通で帰るのです。ライブついでのプチ贅沢感。
電車であればほぼ座れないところを、リムジンバスなら第3ターミナルはだいたい始発ですので割と好きな席に座れますし、新宿まで座って寝ていたら着くの最高。

しかし帰りの交通を考えると、東京ドームのように最寄り駅が複数あったり、日本武道館の最寄りの九段下駅のようにあちこちの方向に出ていたりするのはすごい立地だとつくづく思います。

逆に帰りの電車も辛いし駅周辺でまともに飲むこともできない、おまけに夏はクソ暑い、自分史上最もイマイチなライブ会場は西武ドームであり、西武ライオンズと渡辺美里のファンは本当にすごい忍耐力だと思います。渡辺美里はドームになってからあんまりやってないけど。

ヌュアンスとThe Last Dinner Partyのライブのこと

11日は、とりあえずワンマンとか変わった趣向のライブの時はできるだけ観に行くヌュアンス@KT Zepp Yokohama。

ここまでの彼女たちのワンマンは概ねバンドセット、かつ芸人さんや役者さんを呼んで、割と凝った演出を伴うものが主でした。

が、今回はそういうの一切なし。
というか、ハナから「バンドも役者も芸人も映像も特効も造作もない」「100分間ノンストップ」ということを公言している状況で。

正味、ここまでのワンマンでの「演出」は、日々行っている複数グループが出演するようなライブとワンマンのような特別なライブとを差別化するにはそれしかなかったから、でもあったと思います。

特にオリジナルメンバーの時代は、優れた楽曲を比較的、よくいえば「繊細に」表現するグループでしたので、ワンマンとしての「特別感」を出すためには、当然そういう演出を選択することになります。

それがメンバーが替わり、今のメンツが揃った頃には「ヌュアンス」的な空気はキープしつつも、チーム感であるとか勢いであるとか、そういうところにおいてはもう別グループのように成長していて。

それを踏まえて、己の身体表現のみで限界に挑む、そんなライブを選択したのだと思います。

結果としては、彼女たち過去最強のライブになりました。
オリジナルメンバー時代でしか観たことのなかった曲はもう完全に違う表現になっていたり。
かつては割とライブのハイライトで披露されていた、重要なポジションだったはずの曲が割と前半の方でさくっと歌われてとっとと次に行ったり。

最近の曲もよりビルドアップされていて、これはこういう場で披露されているからということもきっとあるのだろうけど、こういうことが今できている彼女たちは、この先もっとすごいことをやらかすのだろうな、という期待も。

ここんとこ観るたびに今の体制は伸びしろあるよなあとは思っていましたが、あからさまに「伸び」を目の当たりにしたライブでした。

が、この日のライブが21時前に終わり、その後特典会をしていたはずなのですが、翌日の14時に福島県いわき市でのライブをブッキングしてるのは、控えめに考えても頭おかしい。


15日はZepp HanedaでThe Last Dinner Partyの来日公演。

昨年のフジロックに出演していたのですが、それだけではさすがに苗場に行くという判断はできず。
フジロック前に単独公演が一発入ったのですが、リキッドルームという無茶なサイズの箱だったためチケットも取れず、もうこりゃ当分観られないかと思っていたら、割とあっさり再来日が決まったので、そりゃもうものすごく気合いを入れてチケットを取りました。
その気合いが効いたか、おっさんには快適な2階席ゲット。

で、彼女たちのアルバムは全編通して割とゴリゴリのJames Fordのプロダクションですので、鳴っているのは間違いなくバンドの楽器なのに全体的なサウンドは劇伴ぽかったりデカダンぽかったり聞こえる感じの音源だったわけで、これをライブで生で聴くとどんなもんなんだろうという興味が一番だったのですが、会場に入場すると幕前は完全にオペラだったりサウンドトラックだったり、時には伊福部昭氏の「ゴジラ」のテーマ曲までぶっこまれたりの面白状態で、ああもうこれは諧謔性バリバリの超デカダン状態になるんだろうなと思いつつ待っていて。

が、実際聴いてみると、デカダン風味は残しつつもきちんとバンドサウンドで、さすがストーンズのフロントアクトにもなるわと思えるバランス感覚だったのですが、徐々に具合がおかしくなってくるというか、こっちの思い込みをぶち壊しにかかってきます。

正味まだそんなに持ち曲が多いわけではないので割とMC多めに入るのですが、みんな一生懸命日本語で話しかけてくる。曲毎に各メンバー持ち回りでMCを入れるというルールっぽかったのですが、特にベースのGeorgia嬢はほぼ全編片言ではあっても日本語で通してくる。
そんな感じで場はなごみつつ、ライブでは定番のBlondieの「Call Me」のカバー等含めて演奏も熱を帯び、例の「オーディエンスの盛り上がりで演者のテンションが上がり、それでさらにオーディエンスも盛り上がり」の正のループ状態に完全に突入。

メンバーが本当に楽しそうに演奏し歌い、我々も大変に楽しくて、デカダンとか耽美とか思っていたのが馬鹿みたいに、終盤はもう会場中がハッピーな空気に包まれながら、アンコールラストの「Nothing Matters」では会場中みんな笑顔で「ファッキュー」大合唱。

終演後爆音でかかったのがDire Straitsの「Money For Nothing」だったのは、正直意味がわかりませんでしたが、もうそれでいいです。


ということで、割と長い間観続けているグループが最高到達点を記録したライブと、若い海外バンドが探りながら演奏を開始して結果として最高の空気を作り出したライブ。どっちも大好きです。

山野ホールがずっと使えなくなったこと

12月に一部を揺るがした「代々木の山野ホール使用停止」事件、3月31日に結論が出ていました

「イベント、コンサートなどチケットを販売し不特定多数の来場者を入場させる等の貸し出しは一切行わない」

ということで、今後ハロプロとか含めて興業に類するイベントが行われることはなくなりました。

12月にネタにした際には、理由詳細は明らかになっておらず、いくつか可能性を挙げてみたのですが、今回の発表で明らかになったのは「2)建築基準法」に抵触するとのことでした。

山野ホールの所在地は「第2種住居地域」ということで、学内の施設であるため本来の教育目的の範囲であれば何ら問題はありませんが、一般貸しして有料のコンサート等を開催する場合、それは「興行」になりそもそもの目的を逸脱することになりまして、それが結果としてNGと判断されたということで。

で、12月に少し気にしていた昭和女子大学人見記念講堂はどうなんだろうと調べたところ、こっちは用途地域的には「第一種中高層住居専用地域」で、ここも何も申請しなければ興行用の施設はNG。

ただ、人見記念講堂はそもそもクラシック用途として外部公演も開催すること前提で建設された施設ですので、法的なところも全部クリアしてから建設したものと考えてよいと思います。

一方、山野ホール、現在の施設は2007年に建て替えられたものですが、何故昨年12月のタイミングでいきなり発覚してそれ以降のイベントが全部すっ飛んだのか、という点については明記されていません。

通報が入ったか、何か別の目的で現況調査を行ったところこっちに指摘が入ったか、どっちかじゃないかとは思うものの、その前、1956年に建てられた先代山野ホールでは、テレビ番組の公開収録やコンサートも割と頻繁に行われていたので、途中で用途地域の変更があったのか、建て替えで何か基準が変わったのか、それとも昭和30年代からずっとなあなあで来ていたのが70年近く経って遂に指摘されたのか。

やっぱりよくわからない。

「パンと音楽とアンティーク」のこと

3月29日-30日は調布市の京王閣で開催された「パンと音楽とアンティーク」に行ってきました。

正味幕張メッセでの「PUNKSPRING」と被ったわけですが、こまこまと所用が入ったこともあり、こっちに双方午後から出場する方針で。
18時には終わるイベント、でも午後から入って2日合計8組観られて通し券なら¥2,800。アホみたいな値段です。

・COMEBACK MY DAUGHTERS
長くやっているバンドなのに初見。80-90年代のUKの音をベースにした誠実な音楽。こういうイベントで聴くと非常に気持ちいい。

・空気公団
前に何かのこの手の野外イベントで観たような気がする。非常に上質な音楽であることはわかっているのですが、驚くようなことはないだろうなと思ったら、CHAGE and ASKAの「LOVE SONG」をバンド空気感まんまにカバーして驚く。

・トリプルファイヤー
3回目のはず。相変わらず。相当トリッキーで硬質な演奏をしているはずなのに、吉田の詞と歌が全部中和していく、ある意味恐ろしい現場。
「お酒を飲むと楽しいね」をお酒を飲みながら生で聴くと大変に楽しいことがわかりました。
あと、初見の人が多い場で「カモン」を演るのはよくないと思いました。

・井上園子
初見。「EIGHT-JAM」で紹介されてビビって、これは一度生で観なければと思って観たのですが、これがエゲツなかった。もちろん歌は凄まじいのですが、ギターも相当で、要するに「歌」「ギター」「詞」「メロディー」が完全に塊になって殴りかかってくるヤツ。
小さなステージでの弾き語りなのに、凄まじく濃厚な音楽。
番組では蔦谷好位置氏が上位に挙げていましたが、でももし蔦谷好位置氏が彼女をいつもの彼のようにプロデュースしたら、恐らく台無しになるだろうなということも何となく思えたり。

・toconoma
初見。インストバンド。超気持ちいい。
演奏もうまいんだけど、うまさをあんまりあからさまにしてこないところもいい。
サウンドチェック時の「残酷な天使のテーゼ」と本編内の「風の通り道」のカバーが普通に馴染んでいるところも恐ろしい。懐深い。

・ゆっきゅん
音源も聴いているしSNSもよく見てるんだけど、初見。
「『アイドル』とは女の子のことを指すのではなく、女の子がそうあろうとしている姿勢のことを指すのだ」ということは、前から自分が言ってることですが、ゆっきゅんにも似た感覚を持ちました。
自分をどういう属性と考えているかはわかりませんが、あのステージ上でのゆっきゅんがゆっきゅんたりえようとしている姿は間違いなく本物だし、魅力的でした。

・パソコン音楽クラブ
初見。もう年齢的にも深夜のクラブで踊るなんてことはないのですが、20代の時渋谷桜ヶ丘の無骨なクラブで黙々と踊っていたことを思い出しました。
でも彼らの音はあの時の音よりももっと人懐っこさがあって、純粋に音楽としても気持ちいいので、午後に踊るにはこれくらいがちょうどいい。

・TOKYO NO.1 SOUL SET
前観たのいつだろう。その後俊美さんとBIKKEはそれぞれ別名義で観ているのですが。
彼らの音は最初音源を聴いた時から「何て滅茶苦茶な組み合わせの音楽だろう」と思っていますが、ライブはよりその滅茶苦茶さが際立ってとてもいい。俊美さんの気持ちいいカッティングとか、BIKKEの面白おじさんっぷりとかも相まって、素晴らしくライブミュージック。最後は日曜日に「SUNDAY」で締め。完璧でした。

土曜は寒くて雨で死ぬかと思いましたが、日曜は普通に晴れた春の日になってよかったです。
でも今回初めてこのイベントに来て、マジで食うものがパンしかないのビビった。競輪場の常設店舗は閉まっているのでモツ煮とか焼きそばとかカツカレーとか全くない。カレーパンと焼きそばパンはあっても、カレーライスと焼きそばはない。「パン」がイベント名の最上位にあるのでモツ煮なんかいてはいけない。そういうイベントじゃないからない。

再入場可なので外に出ればいいのですが、京王多摩川駅周辺、そもそもそんなに飯が食える店がある場所でもないところに、日曜は定食屋も蕎麦屋も閉まっていて、仕方なく高架下のキッチンオリジンでおにぎりを買いました。

こういうイベントに来る覚悟が足りなかったと思いました。
来年来たら腹を括ってパンを食べます。