最近行った地方のCD/レコード屋のこと

相変わらずあちこちうろうろしています。
ここんとこ行った地方のレコ屋の話をします。

■TSUTAYA 四日市店

割と淡々とCD店閉店の記録を続けていますが、さすがに自分が小学生の時から通ってきた店が閉店すると聞いた時には動揺しました。
元々、四日市に本店があった書店&レコ屋&文具店の「白揚」というチェーンがあり、本店は近鉄四日市駅近くのアーケード街にありまして、こっちはその支店「シェトワ白揚 四日市店」として1978年にオープンしたものです。

店の少し北に市立図書館があって、受験生のときには毎週末自転車こいで通っていて、自習室に籠って帰宅する前の10分だけ寄って、立ち読みしたりレコード眺めたりするのが唯一の息抜きだった時期もあり。
その後、2005年には市街地の本店が潰れてお姉さんのいるお店になり、2011年には愛知県の「いまじん」と合併して「いまじん白揚」になり、2015年には完全にTSUTAYAの傘下に入って「TSUTAYA 四日市店」になり。
そしてこの3/31に閉店。別に思い出がない店でも割と行っちゃう人間が行かないはずもなく、日帰りで行って拝んでまいりました。


■マツダ電機商会(四日市市)

で、TSUTAYA四日市店拝んだついでに市内のレコ屋を回ったわけです。
新譜屋は自分が住んでいた時分から白揚と近鉄百貨店のレコード売場以外にはほとんどなかったのですが、中古屋はできたり閉店したりしています。

今回はまだあると思って向かった「RED HOUSE」というお店が閉店していてちょっとビビったのですが、その店の跡の真向いの、すごく普通っぽく見える電気店に「レコードあります」の張り紙。
誘われるまま入ってみたら、電化製品のみならず部品とかまで売っている中に、確かにレコード棚。
品揃えとしてはそんな尖ったところはないのだけど、もうこういう環境でレコードを掘っているだけで楽しい。話好きなお父さんとコブクロ好きなお母さんとの会話も楽しい。
これからもっと本気出すと仰っていたので、また行く。みんなも行こう。


■BOOKOFF 函館本通店(函館市)

代休取って2泊3日で函館とか弘前とかうろうろしていました。
函館は駅近くはもう繁華街としては相当しんどい状況で、今はどこが商業の中心かとえば恐らく美原地区の市役所亀田支所周辺だろうなあと思ってそこらを攻め、函館の中古レコード屋老舗のドリカムや、駅近からドンキの中に移転した玉光堂に行ったりしたのですが、流れで覗いたBOOKOFF函館本通店が一番ヤバかった。
アナログ盤の量的に。

BOOKOFFの基準では「中型店舗」の規模の店ですが、並みの「大型店舗」を軽くぶっちぎる凄まじい在庫。
しかし残念なことに分類が酷く雑で、7インチに至ってはほとんど分類札も刺さっておらず、かつレコードの向きすらバラバラで掘るのがとにかくしんどい。しんどいが楽しい。楽しいが時間がかかる。困る店です。


■JOY-POPS(弘前市)

2007年に閉店した新譜CD店が、2021年に中古レコ屋として同じ屋号で復活したというなかなか稀有な事例のお店。
店の位置もあまり変わっていないのですが、ライブハウスが入っている建物の3階という「なるほど」感溢れる立地。四日市市にかつてあったHollywood Recordsと同じ感じです。
2階から3階に向かうところに引き戸があって多少ドキドキしますが、開けてしまえば問題なし。

割とゆったりした店内でゆっくり掘れます。
品揃えは洋楽は1970年代のバンド勢厚め、邦楽は70-80年代の尖った感じのフォーク・ロック系厚めという、こちらも「なるほど」感のある品揃えですが、そこらのジャンル以外でもひょいっと他ではなかなか見ないブツも出てきたりします。

で、弘前ではほとんどCDは置いてないTSUTAYA BOOKSTOREも念のため覗いてみたのですが、「りんご娘」のメンバーのうち1名が来ていて、割と人だかりができていました。さすが老舗ローカルアイドル。
ただ、店内には「3/26に王林来たる」という告知のポスターが貼ってあって、やっぱ元メンの彼女は今も別格であることもわかりました。

蔦屋書店のトップカルチャー、レンタル撤退の進捗のこと

TSUTAYAの最大手フランチャイジーのひとつ、トップカルチャー。
新潟県を本拠地に北は岩手県、西というか南は静岡県までの店舗網を持っていますが、そのトップカルチャーが「2023年12月までにレンタル業態から撤退します」という宣言をしたのが2021年の7月。

蔦屋書店・TSUTAYA 74店展開のトップカルチャー、レンタル事業撤退へ

発表した期日まで残り10か月を切った現在、進捗としてはどんなもんかいなということを調べるのが今回の目的です。

まずは全店の状態をざっくりまとめ。
最初の○×が「CD/DVD販売の有無」で、2番目の○×がレンタルの有無。△は映像レンタルのみ有りでCDレンタルは無し。

レンタル撤退宣言は2021年7月15日ですが、閉店した店舗については2021年の分から記載しています。
2022年9月には、蔦屋書店佐久小諸店(レンタルあり)が移転して蔦屋書店佐久平店(レンタルなし)として再オープン、というパターンもありましたが、以下は佐久平店のみ反映しています。
あと、ここ最近でレンタルをやめてもサイトに反映されていないという事例も見られましたので、実際とのズレはあるかもしれません。


とりあえずの感想は「思ったよりまだレンタル残ってるなあ」ということと、「レンタル撤退だけかと思っていたら、割と店ごと潰す判断が多いなあ」というあたりでしょうか。

前者については、新潟県はそこそこ撤退していますが、長野県・群馬県あたりの残りっぷりがしぶとい感じで。
新潟県内ではひらせいというホームセンターがTSUTAYAのフランチャイジーでもあり、かなりの地域で「TSUTAYA同士でライバル争い」している状態ですので、レンタルはひらせいに丸投げしちゃうという判断も割とできそうですが、他の地域は簡単にそうもいかず、というところがあるのかもしれません。

後者については東京が半減以下というのが強烈ですが、東京都下の「TSUTAYA」名義の店舗は元々他のフランチャイジーがオープンさせたものを譲渡された形で運営している店がほとんどです。
それらの店舗はトップカルチャー自社物件の標準業態である「郊外を中心とした割と床面積が広い店舗で、書籍・文具・CD/DVD販売・レンタルをまとめて取り扱う」にはもとよりマッチしていないため、今後の標準を考える際にその「標準」が展開できない規模の店舗はこれからを考えたら切るしかない、という判断は割と理解できます。

で、これから10か月で全店のレンタル撤退完了できるかということを考えると。
もちろん全社的な指令が出れば物理的には可能なんでしょうけど、さすがに現状でこれだけ残っているともう少しの間残るような気もしなくはないし、絶対的な方針は変わらずとも、少なくとも2023年内なのが「年度内」になるとか、一部2024年までとかくらいは。

ボーイズグループの展開拡大によって「CD/DVD販売」がもう少し延命しそうな状況なのと比較して、「レンタル」という業態が既に収束に向けての最終段階に入っていることは間違いないと思っています。

が、CD/DVDではないのですが、トップカルチャーの店舗でも本社は「レンタル業態から撤退する」言うてるのに、この3月に「コミックレンタル開始します!」とか言ってる店舗もありますし。既刊本を閉店した店舗から持ってきたとしても、何で今それなのか、全くもって謎です。

トップカルチャーのみではなく、TSUTAYA全体でも割と店舗網は順調にシュリンクしていますが、一方でGEOはこの3月にもレンタルも行う店舗を2店舗オープンさせますし、正味よくわからなくなってきた。

ムッシュかまやつトリビュート@渋公のこと

昨日は、ムッシュかまやつトリビュート for 七回忌のコンサートでLINE CUBE SHIBUYAというか渋公へ。

まず、このメンツが集まる機会が他にあるのか、という点。
特に堺正章と井上順が揃ってステージに立つことが今後何回ありえるのかと考えると、この機会は絶対外せないわけです。

仕切りの下手さに辟易しながらも開演前に着席。
1組数曲で数珠繋ぎ型のコンサートですので、決して流れとして素晴らしかったわけではないのですが、それでもやっぱり「これは」という場面がいくつも出てきてたまらない。

2019年以降、あんまり前面に出てくることがなかったKenKenがLife Is Grooveで弾き倒すのを久々に観てほっこりする。
あんなバキバキの「ゴロワーズ」絶対他にない。
森山親子の共演はテレビでもちょいちょい観るので、それはそれとして、まさかの「我が良き友よ」を森山良子がソロ歌唱。おもしれえ。
ユーミンは、当然ムッシュとのつながりと言えばデビュー曲「返事はいらない」ですが、やっぱり演る。
この曲をライブで聴けるのはおよそ苗場での「SURF & SNOW」くらいで、通常のツアーでは本当にたまにしかやらないので、これは大変にありがたい。

そして堺正章と井上順。
「夕陽が泣いている」のイントロが演奏される中登場し、マチャアキが歌い出し「ゆーうの忘れてたんだけど」と話し出して歌わず、順さんがコケるという、もう拝みたくなるくらい順調な滑り出し。
というかマチャアキがその流れで話した通り、「夕陽が泣いている」はムッシュではなく浜口庫之助作の楽曲であり、それをここで敢えてやるということは、冒頭の茶番をやりたいだけだったんだろうと考えると、もうそれだけで最高。

お互いを持ち上げまくって笑いを取ったり、2人してモンキーダンスを踊ったり、順さんが自分を「スペア歌手」と呼ぶ自虐もあり。
期待していたいろいろを期待以上にかましてくれる。

このパートでの楽曲は以下の通り。

1)夕陽が泣いている
2)ヘイ・ボーイ
3)なんとなくなんとなく
4)ノー・ノー・ボーイ
5)フリフリ

EN1)あの時君は若かった
EN2)バン・バン・バン

最高じゃないですか。本編「フリフリ」終わりのアンコールの締めが「バン・バン・バン」ですよ。
ふと「桑田佳祐はどんだけムッシュのこと好きなんだよ」とも思ったりもして。

チケット代15,000円したんですが、さすがにこれは元を取った感がすごかった。
ということで、観られるときに観たいと思ったライブがあったら今後も後先考えずぶっこんでいく所存。

ただ、4月の前半は仕事がヤバいので無理です。BABYMETAL行きたいけど無理です。

Fontaines D.C.@渋谷O-EASTのライブのこと

18日はFontaines D.C.@O-EAST。3日ぶりのO-EASTです。

いつ彼らを知ったのかはあんまり覚えていないのですが、前作「Hero's Death」収録の「Televised Mind」が初めて彼らだと意識して聴いた曲です。
何かとんでもない熱量が籠っているのはすぐわかるにもかかわらず、わかりやすい形で表出することのない、やたらとミチミチした曲だという感想でしたが、アルバム通して聴いたら全曲だいたいそんな感じで。
そういうバンドだということはわかったのですが、過去の経験則としてこういうバンドはライブがヤバいということは何となくわかりましたのでこれは観たいと。

昨年のアルバム「Skinty Fia」で、明らかにバンドとしての音楽的多様さのギアが一段上がり、UKチャートでも1位。
フジロックにエントリーされた時は一瞬どうしようかと思っていたのですが結局キャンセルになり、どうなることかと思っているうちに9月に単独来日発表。
急いでチケット押さえたら、2022年の年間ベストに各メディア・各個人軒並み上位に入っているわ、グラミーで「最優秀ロックアルバム賞」、ブリットアワードで「最優秀インターナショナル・グループ賞」を受賞し、これもまたその直後の来日。
彼らの場合は前作の段階でかなり評価はされていたものの、それでもチケット買ったときにはまさかこんなことになっているとは予想もしていなかった状態でのライブ(その2)。

まず入場したら幕前のBGMがいちいち面白い。
KinksとかIggy PopからThe Cure、Primal Scream、Smashing Punmkins。まあそこらが流れるのはわかりますが、何故かその中にしれっとTyler The Creatorがぶっこまれたり。
アイルランド勢としてはThe Undertonesは当然のように「Teenage Kicks」なのに、U2かかったと思ったら「POP」収録の「The Playboy Mansion」という、なかなか普通はそれ選ばんよというところを持ってきたり。
そしてオーラスはストーンズの「Wild Horses」が爆音で響く中でメンバー登場。もうかっこいい。

いきなり頭が新作の1曲目、強烈に重いメッセージを持つ「In ar gCroithe go deo」から。
それでも熱いしたぎる音。アルバムタイトル曲「Stinky Fia」はアルバム中では打ち込みっぽい意匠の割と奇妙な感触もある曲でしたが、ライブでは猛烈なグルーヴを発してるし、「Televised Mind」は「熱量がわかりやすい形で表出することのないやたらとミチミチした曲」が、まさに火を噴くとこんなエゲツないことになるんかというものすごさ。

フロントのグリオン氏はそれでも自分の中でルールはあるのか、ほとんど「Yeah!」とか「Uh!」の類を発せず、歌も決してシャウトすることなくきちんと歌う。
その分体内でたぎっている分を放出するようにのしのし歩き回ってみたり、マイクスタンドを中心にしてぐるぐる回ってみたり、胸板でタンバリン強打してみたり、垂直跳びをしたりする。
オタ芸ができない場所のアイドルオタクが「マサイ」と呼ばれる垂直跳びを行うのも「たぎった感情の放出」と考えると、あの行動は理にかなっているのだとこんな場所で改めて思うなど。

そしてこの日最大のピークはアンコール3曲目「Boys In The Better Land」。
説明はよく聞き取れなかったのですが、どうやらフロアにいた若者が飛び入りでやるっぽい。
果たして本当に登場、猛烈な気合いでギターを弾いて歌い、実際音も1枚厚くなり、バンドの気合もフロアの気合も上がる上がる。沸く沸く。
後で調べたところ、割とあちこちのライブでこの曲はそういう感じでやってるらしくて、それすごくいいな。

で、アンコール4曲やってメンバーはけた途端にHappy Mondaysの「God's Cop」が割とデカい音でかかったので、ああ終わりだなと。これも「その曲かよ」という気が少ししました。
彼らも確実に今後当面は1200かそこらのO-EASTサイズの箱で観ることはありえない状況ではあると思いますので、そういう意味でも「観たいと思ったら観る」。これ鉄則です。

Wet Leg@渋谷O-EASTのライブのこと

15日はWet Legの来日公演@渋谷O-EAST。

彼女たちを知ったのは確か去年の初め。YouTubeで「割といいなあ」と思いながら聴いていて、4月に出たアルバムを流れで聴いてなお気に入って。

で、5月の半ばくらいにレコード屋巡りの一環で、原宿キャットストリートのBEAMS RECORDSに入ったところ、いい位置にCDが陳列してあったので「盤でも持っておこう」と思ってレジに持って行ったところ、店のお兄さんが「来日しますね!」とニコニコ教えてくれて。
おおそうか、とその直後くらいにスマホでチケット押さえたら「2023年2月」。フェス以外で半年以上先のチケット買うのってどんだけぶりだよと思いつつ待っていたのですが。

そしたらアルバムは爆売れ全英1位、知名度もガンガン増していって、遂にはグラミーで「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞」「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・パフォーマンス」受賞、その後のブリット・アワードでは「Best New Artist」「Group of the Year」の2部門受賞。
ブリット・アワードの発表は2月11日ですから、もうほぼお祭り状態での来日です。
チケット買ったときにはまさかこんなことになっているとは予想もしていなかった状態でのライブ。

サポート男性3名を含めて5人。センターにマイク2本、ベースとキーボードの立ち位置はその両横で2人とほぼ一列、後方にドラマーという配置。
なのですが、リード・ヴォーカルのリアン嬢は当然マイクスタンドの前で歌うのですが、ギターのヘスター嬢はコーラスする時以外はほとんどマイクスタンドの前におらず、後ろに積んだアンプ前のあたりがほぼ定位置。
もっと2人とも自由闊達に行くタイプかと思っていたら、雰囲気としては何となくシャイな感じ、特にヘスター嬢にそれを感じます。

結果、音はデカいんだけど荒くれることはなく、その佇まいにはどことなく凛とした品まで感じさせ、そして彼女たちの意思による楽曲とパフォーマンスのおかげでどこまでもハッピーな空気。
過去にあんまり感じることのなかった感触でしたが、過去の記憶を手繰った結果、いろんな意味で一番近かったのが27年前のLushのMiki&Ema。おっさんおばさんに伝えるとすれば、シューゲイザーの呪縛から離れたあとの「Lovelife」期のLushが一番近いんじゃないかと思います。

世界的にはバンド系がチャート上位になかなか上がらなくなっていますが、何となく最近の英国では復権の動きもあって、彼女たちはその筆頭の1組でもあるわけですが、そういう軽みというか、ライブでも感じることができた空気感が割と今後にもキモになるんじゃないかと思ったり。

ライブは50分弱で終了でアンコールなし。だってそれくらいしか曲ないんだから仕方ない。
ただ、ライブ終わった途端に幕前のBGMよりはるかにデカい音でWham!の「Careless Whisper」流すのは、「ああ、アンコールなしね」というのはわかったのはいいんですが、もう少し何かやりようはなかったのか。

プロレスラーと大相撲力士とプロ野球選手が歌うCD/レコードのこと

中古レコード屋を巡る方は、国内の7インチを掘っているとだいたい落合博満とか増位山のレコードにぶち当たると思いますし、店によっては「相撲」「野球」という仕切り板に遭遇することもあるかと思います。
仕切り板はある意味店のアイデンティティでもありますので、「相撲」「野球」「プロレス」「お笑い」「外国人」とかの仕切り板があるレコ屋は、それだけで自分にとってその店はリスペクトの対象になります。

で、そういう仕切り板が必要なタイプの音源って最近出ていないと思いまして。
この手のレコードはだいたい「テレビを見ていたら出てくる人」に歌わせることで、知っている人は多い分ヒットまでは行かなくとも最低限のアガリは期待できるということが条件かと思いますので、テレビが相対的に地盤沈下した今では望むべくもなく、ということだと思います。

また、その手の門外漢の方が歌うのは割と演歌・歌謡曲系か、そっちでなければフォーク的なところが多かったので、そもそも「J-POP」時代以降に馴染まなかったし、歌い手側が「演歌・歌謡曲系になじんでいない」というもあったのではないかと思います。

Jリーグの選手は企画でコーラスっぽく歌う程度で、選手単独名義で歌うCDがほとんど見つからないのは多分そういうことではないかなあ、と想像します。でも、そういうのがあってもいいじゃないか。


プロレスは、ことレコード売り上げに関しては女子プロレスが強く、ビューティ・ペア、クラッシュ・ギャルズという2大売上巨頭を誇っている一方、男子の方はレスラー名を冠したLPレコード自体は数多くあっても、実況の録音や入場テーマ曲関連が多く、レスラー本人が歌唱したシングルで一番著名なのは藤波辰爾の「マッチョ・ドラゴン」ではないかという状態。

ただ、現在も恐らく団体によっては今も物販の一環として選手単位でのリリースもあるんじゃないかと思って確認したところ、実際キングレコードがそこらへんの業務を受けている様子。
とはいえ、数としては非常に少なく、ビューティ・ペアやクラッシュ・ギャルズが言わせまくっていた時代を考えるとやはり寂しいものがあります。


大相撲力士はやはり演歌が似合いますし、実際増位山関や琴風関などはかなりヒットしたのですが、現状さすがに力士であっても今の20-30代が演歌を好んで聴くということは多くないと思いますし、タニマチ衆のお年寄りに喜んでもらうためにカラオケくらいはするかもしれませんが、テレビで力士が歌うこともなくなりました。
一時は「部屋別対抗歌合戦」等が正月特番として放送される程度にはニーズがあったものですが、現状で力士が人前で歌う機会は福祉相撲の余興程度ではないでしょうか。

とはいえ確認できた限りで、力士が歌のCDをリリースしたのは2016年2月、白鵬関がKaeさんとのデュエットでリリースした「アサガオ」
テレビ番組の企画として震災のチャリティー楽曲として制作された楽曲がCD化されたもののようで、過去の力士勢のレコードとはノリも異なりますが、一応これが今のところ最新のようです。
3か月後の2016年5月には、旭天鵬関も島津悦子さんとのデュエットでCDをリリースしていますが、ジャケットがスーツである通り2015年に引退した後のリリースなので今回ノーカウント。


プロ野球の方もかつては割と小林繁投手や中畑清選手とか割とリリースされていて、あと落合博満選手は奥様とのデュエット曲をリリースする等の俺流をこちらでも発揮しています。
また「12球団対抗歌合戦」が正月特番として放映され、日ハムの岩本投手が「あの鐘を鳴らすのはあなた」を絶唱して界隈の話題をさらうくらいには需要があったのですが、いつの間にか歌う人はいなくなっていました。
確認できた限りもっとも最近の現役選手のリリースは2000年、メジャー移籍直前の佐々木主浩投手がリリースした「break new ground」。小室哲哉プロデュース。
その前は誰だろうと思ったら、案の定というか、1994年の新庄剛志選手でした。

昔は売れたらレコード出すのが当たり前だと思われていた俳優さんですらあんまり音源リリースすることがなくなってしまった今、ここらへん界隈で風穴を開けてくれるスターが出現することを私たちは待っています。
新譜屋の棚でも「プロレス」「相撲」「野球」の仕切り板が見たいんだ。

新しい学校のリーダーズ×水曜日のカンパネラ×chelmico@日比谷野音のライブのこと

28日は日比谷野音。
ライブナタリーの5周年記念企画ということで、新しい学校のリーダーズ×水曜日のカンパネラ×chelmico。
正味、木曜の段階で相当ビビっていました。もし当日もこんな低温だったら「寒いから」で行かないという選択肢も考えていたのですが、当日は通常の1月レベルの気温だったので、なら行くかと。ホッカイロ買って。

chelmico。
「映像研」の曲とあと数曲くらいしか知らないまま、ただ「J-POP」範疇で鳴らされるラップ的な音楽という受け止めでいたのですが、ざっくり言えばそうではあっても、思ったよりももっと懐の深さを感じました。
とてつもなくポップでキャッチ―なところと、尖ったところがさらっと共存しているのって、これ割とピンポイントで攻めていかないとこういうバランスにはならないのではないかと。
もっときちんと聴こう。


水曜日のカンパネラ。
今回の主目的。詩羽になってからのライブを一度観てみたくて。
コムアイ時代は、キャパが増えていくにつれてライブ表現の限界が見えていたというか、透明な巨大ボールの中に入って客席を転がっていた時点でだいぶ辛かったので、それがどうなっているのかと思って。

結論。詩羽にはコムアイ以上に「華」があって、1人でステージに立っている時点でもうだいぶOKでした。
新曲「赤ずきん」で、ダンサーというか狼役が出てきたり、ラストの「招き猫」で招き猫型の風船出てきたりはあるのですが、それがなくても多分問題なかった。

あと、コムアイ期の楽曲をやるのかやらないのか、やるとすればどれかというところも興味があったのですが、「ディアブロ」という、割とコムアイ色強めの曲をかましてきました。
きっとワンマンとかの長尺であればもっと出てくることになるのでしょうが、詩羽期になってからの楽曲が悉く彼女に宛て書き状態であり、「エジソン」というバズも物にしてしまった以上、新曲がある程度以上溜まった時点で、やることはなくなっていくのだと思います。

正味、日本の音楽グループでフロント交代してうまくいった数少ない事例のひとつにもう数えてもいいと思います。今のところ過去最高はカルロス・トシキ&オメガトライブ。


新しい学校のリーダーズ
以前、アイドルフェス的なところに紛れ込んでいたのを観て以来。
というかこのクソ寒い中、どういう衣装で出てくるのかと思ったら、いつも通りの半袖セーラー服でビビる。それでも、あんだけキレキレに動きまくっていたら、寒さも一瞬であろうとは思いますが。
いや、本当にパフォーマンスは最高なのですが、音源をリリースして活動する「音楽グループ」の範疇に入ってしまったことが彼女たちの最大の問題でもあり。
音源だけ聴いてもこの素晴らしさはほとんど伝わらない、YouTubeとかでもその一部。正味なかなかしんどいポジションですが、でも伝わってほしいと思いました。


ということで、3組とも「DJカルチャー」的なところを出自にしつつ、好き勝手に解釈してアウトプットした結果何だかおかしなことになっているというのが今回の3組の共通項。
なかなかいいブッキングではないかと思いました。でかしたナタリー。
ついでに言うと、このクソ寒い中で3組ともバンドじゃないので転換に時間がかからないのが素晴らしい。正味そういう意図もあったんじゃないかとも思いました。

しかし、ライブナタリー5周年、来週も野音で実施されます。
実感で言うと体は回路とか仕込んでおけば問題ありませんが、気を付けるべきは手足の末端。
手はカイロ握っておけば何とかなりますが、足が一番辛いので、行かれる皆様は十分に対策の上でお出かけください。

Kアリーナ横浜のこと

前々から話は出ていた、音楽専用としては日本最大の2万人収容アリーナ。9/29オープン決定です。

Kアリーナ横浜

単純に2万人というキャパシティ自体、少なくとも首都圏にはほぼなかったサイズ感ですが、ちょっといくつかの観点で考えてみたいと思います。


<キャパ>
まずはその「音楽専用2万人収容」というサイズ。
他で同等のサイズ感なのは、さいたまスーパーアリーナがライブ設定の最大で3万人収容ですがある程度の縮小での運用も可能、幕張メッセの3ホールぶち抜き&オールスタンディングで確か実質2万人強。
それ以外の会場はライブ仕様にした場合、

有明アリーナ:約15,000人
横浜アリーナ:約13,000人
代々木第一体育館:約12,000人
ぴあアリーナMM:約12,000人
日本武道館:約10,000人

こんな感じです。正味、幕張メッセの「何もないところからライブできるレベルまで建て込まないといけない」状況を考えると「音楽専用」というのはとてつもないアドバンテージ。
なので、Kアリーナは「従来のアリーナ以上スタジアム未満」として、割といい使い勝手の会場になりそうです。


<構造>
サイズの割にはステージが近く感じる会場といえば、TOKYO DOME CITY HALL、日本武道館、東京ガーデンシアター。
空間の「縦」が長く、座席を重層的に設置しているため、座席数の割にステージに近い位置で観ることができます。
で、Kアリーナの場合、恐らく重層的な作りにはなってはいるのでしょうが、それでも2万人というキャパを実現するためにそれなりに奥行きもある感じ。
実際GoogleMapで建設中の状況を見られるのですが、

これ見る限り、スタジアムっぽい感じもありますので、最後列に近い位置になってしまうとなかなか厳しくはなりそう。
それでも、自分が経験した中で最悪だった、代々木第一体育館のアリーナ最後方よりは随分マシな状況にはなりそうです。
いや本当酷いのよ。代々木第一はアリーナ後方だったらスタンドの方が全然いい。アリーナの後ろから3列目という位置でOASISを観たことがありますが、ビジョンの映像すら豆粒で悲しくなった記憶があります。


<立地>
鉄道で向かう場合、横浜駅で降りてZEPP KT YOKOHAMAに徒歩で向かう途中で左折する感じのコースになりそうですが、恐らく徒歩で10分程度なので、まあOKではないかと思います。
有明アリーナみたいに「何でこんなどの駅からも絶妙に遠い位置なの」とキレることもありませんし、同じ横浜でも横浜ベイホールという屈指の地獄立地よりは随分マシです。

ただ最近できるライブ会場は、東京お台場地域と横浜みなとみらい地域に異常に偏っているのですが、これらの会場の何が辛いって「ライブ終わりに飲みに行く適当な店が極めて少ない」という点。
渋谷新宿のライブハウスは言うに及ばず、日本武道館なら飯田橋・市ヶ谷・神保町に向かうどの道すがらにもいい感じの飲み屋がありますし、横浜アリーナならそこから出て駅に向かう大通りではなくそのまま正面から出てすぐ西に向かうとそれなりに店はあります。さいたまスーパーアリーナなら埼京線北与野駅の方に向かうと割といいホルモン屋とかがありますし、幕張メッセなら海浜幕張を見捨ててバスで幕張本郷に出ることでいい感じの居酒屋にありつけます。

でもKアリーナ横浜のこの立地、みなとみらい地区にはそういう飲み屋は皆無ですし、野毛まで行くには遠すぎる。横浜駅向かって西口に抜けたあたりであればそこそこありますが、横浜駅周辺は人の数の割に飲み屋が少ないので、なかなか飛び込みで入れないこともあります。

お台場有明でのライブの場合は割と深刻で、お台場にはいい感じの飲み屋は一切ありませんので、りんかい線で渋谷か新宿まで出るしかない。一度、大井町はどうだろうと降りたことがあるのですが、りんかい線の地下ホームから地上に出るくだりで既にうんざりしました。

ライブ後の快適空間をいかに見つけるか、ということが今後の我々の課題と言えましょう。

そういう意味で期待しているのがZEPP HANEDA。
私はまだ行く機会に恵まれていないのですが、友人と行った場合は蒲田で降りて飲み屋探すの楽しそうだし、1人で行った場合はライブ後敢えて羽田空港方面に向かい、空港内でいい感じに飲食してからリムジンバスで最寄り駅に向かうという「家に着くまでがライブです」を地で行くようなプランも考えられますので、それ是非試したいと思っております。

Superorganism@Zepp DiverCityのライブのこと

13日はZepp DiverCityでSuperorganismの日本公演。ゲストにCHAI。

2019年のSuperorganism初来日公演の時と同じマッチアップ。というか、その後2ndアルバムにゲスト参加までしていますから、これはもう必然。

前回は「割といい感じ」のライブでしたが、その2ndアルバムは1stと比較すると圧倒的にカラフルなポップスになっていて、これはなかなかいいぞと思ったものの、初来日の頃は「日本人がフロントの、ネットで繋がったメンバーによるバンド」というトピックがあったものの、それ以降特に目立った話題もなく、でも会場のキャパは初来日の倍。
先輩にチケット取ってもらったらあっさり2階席取れていて、いよいよこれは少しまずいのではないかと思いつつ入ったら、だいたい満員。よかった。

先攻CHAI。昨夏のひたちなかのフェスで、ライブパフォーマンスとして相当にバキバキになっている姿を目の当たりにしているのですが、更にバキバキ化進行中。
バンドという枠を超えて「パフォーマンス」という側面もより強化され、観ていて相当に面白くもあるのですが、でもバンドとしての演奏としても、ひたちなかでは気になっていた3rdアルバムとそれ以前との差異ももう何の違和感もなく馴染んでいるし、代表曲「N.E.O.」はより混沌の度を増してとんでもないことになっている。
観るたびにビルドアップしていることがあからさまにわかるヤバいバンド。今回もいただきました。

で、CHAI観ながらこれSuperorganismは相当ヤバいのではないかと思って。
リズム隊がいるわけでなく、演奏としてビルドアップできるような体制ではない。これサポートアクトに完敗するというなかなか観られない状況が発生するのではないかとも思ったのですが、いやいやそんなことなかった。

最初こそ暖機運転的な感じではありましたが、徐々に上げていく。その「上げ」に加担していたのがまさに2ndアルバムのカラフルなポップネスで、こういうライブでの展開まで想定してアルバム制作したのではないかと思うほど。というか本当にそうじゃないか。
元々の多彩さとライブの勢いで、曲ごとに場を作っていって、最終的にMAXに持っていくというある意味理想的な運びのライブ。素晴らしかった。

で、ORONOさんは今回、「日本語でMCをしない」というテーマを掲げていたっぽくて、どうしても伝えたいことがある時にはスタッフを呼び込んで通訳させるくらい徹底していたのですが、でも曲中1回だけ盛り上がった際に「叫べ!」と叫んだ、あれがすごく最高だったんですよ。
そういうのがいい。

CD/DVD販売レンタル界隈2022年10大ニュースのこと

レコ屋関連はずっとネタにしていますが、既にふれたもの触れてないもの含めて、2022年の10大ニュースを自分なりに選んでみました。


ジャニス完全消滅
レンタルのジャニスが閉店したのが2018年、それ以降もお向かいのビルの2階で「ジャニス2」が中古CD中心の販売を行っていましたが、10月23日に通常営業を終了、11月11-13日に在庫処分を行って完全閉店いたしました。


サウンドベイ、消滅
名古屋地域をバナナと共に支えてきた中古レコード店。元々はレンタルレコードとして開業し、その後中古レコード中心の販売に転身したということですが、一時は金山店に加えて植田・上前津にも店舗を構えていました。
植田店は2013年、上前津店は2015年に閉店。残った金山店も2019年に店舗縮小を余儀なくされつつ踏ん張っていたのですが、12月10日に閉店いたしました。


JUKE RECORDS、閉店
福岡で1977年以来移転しつつも営業を継続し、福岡の音楽シーンにも深くかかわってきたJUKE RECORDS。移転前の店舗の、背の高い棚がずらりと並んだ光景は今も忘れません。
店主の松本康さんが9月28日に亡くなられたことに伴って、10月30日に営業を終了しました。


タワレコ梅田マルビル店の閉店
最近のタワーレコード閉店の傾向として、割と近所に2店舗ある場合に片方をばっさりやるパターンがありまして、大阪市北部については茶屋町の方を残してマルビル店は1月19日に閉店となりました。
関西最古のタワーレコードだったのですが、残念です。


サンホームビデオの屋号が消える
一時は日本で第3位の店舗網を持っていたサンホームビデオですが、2005年に運営会社のサンレジャーがCCCとフランチャイズ契約を結び、ほとんどの店舗がTSUTAYAに看板を書き換えたのですが、何故か北海道・東北の数店舗は「サンホームビデオ」のまま残りました。
2015年にサンレジャーは合併によってVidawayという企業になりましたが、サンホームビデオの営業は継続。
2020年には北海道の士別店と岩手県の北上川岸店が閉店し、残るは北海道の江別店のみとなっていましたが、3月19日に閉店、サンホームビデオの屋号は完全に消滅しました。


ビデオ合衆国USV、ほぼ消滅
ビデオ合衆国は、名古屋に本社を持つカジ・コーポレーションによる運営でしたが、関西の大半、また東海でも一部の店舗はフランチャイズでした。
2022年初めの段階で尾西店(愛知県)・大垣店(岐阜県)・多聞店(兵庫県)の3店舗にまで縮小していたのですが、カジ・コーポレーションによってオープンした店舗は尾西店のみ。
ただ、フランチャイジーが音を上げたようで残り2店舗もカジ・コーポレーションが引き取る形になっていたようですが、その元々の直営店の尾西店がこの10月24日に閉店したことで、いよいよあかん感じになっています。
多聞店もこの1月15日での閉店が決定し、残るは大垣店のみに。


大都市圏のTSUTAYAが続々閉店
TSUTAYAは東京では1月31日に新橋店・赤坂店、名古屋では9月25日に名古屋駅西店が、京都では9月16日に西院店が、大阪では1月26日に京橋店が閉店。横浜みなとみらい店は5月までにCD/DVDのレンタル・販売終了。
これによって政令指定都市クラスの大都市の市街地域で従来型のサービスを継続するTSUTAYAは、仙台の仙台駅前店、さいたま市大宮の大宮駅東口店、川崎の川崎駅前店、東京のSHIBUYA TSUTAYAと池袋ロサ店、横浜のはまりん横浜駅店、大阪のあべの橋店のみ。
確認したら正味「まだ割とあるな」という気持ちにもなりましたが、今年これがどれくらい減るのか。


バナナレコード関西進出
明るいヤツのひとつめはバナナレコードの関西進出。関東進出はうまくいかずに撤退してしばらく愛知県岐阜県から外に出なかったのですが、企業としてカメラのナニワの子会社になったことで関西のカメラのナニワ店舗内にレコード売場を置く形で進出。
7月2日に大阪店、9月4日に京都店をオープンしています。


地方のレコード店オープン続く
明るいヤツのふたつめは、アナログが復権して以降増加している地域もある中古レコード店、2022年も奈良県奈良市、島根県出雲市、福岡県行橋市等にオープンしています。
先日行ってビビったのは長野県岡谷市に7月にオープンしたCELLER RECORDS。
岡谷駅から徒歩圏にあるお店なのですが、養蚕用の蔵をリノベーションしたという、大都市圏では絶対ありえない店構え。

店内レイアウトにも余裕があって、音響もよさげなの使ってそうで、すごく居心地のいい店でした。
こういう店が出てくるので、地方のレコード店巡りがやめられなくなるんですよ。


以上、今年は明るいニュースが多いといいのですが、多分無理だと思います。