おとといフライデーのラストライブ@代官山UNITのこと

3月9日は代官山UNITでおとといフライデーのラストライブでした。

彼女たちは2013年結成で翌年にCDデビュー、現在のようなオリジナル曲主体の活動になったのが2016年、そこから約8年間という活動期間なわけですが。

先日、アダルト系女優の歌手活動について調べましたが、そもそもそのほとんど全てが非常に企画色が強いグループで、そもそもテレビ番組絡みでもない限り長期間にわたって活動継続することすら稀で。
更に2016年以降の活動には様々な現役ミュージシャンが参加することで、そのキャリア全体を俯瞰しても2010年代インディーズの匂いがほんのりしてくる、割とコンセプチュアルな活動方針。
正味、アダルトどころかそうじゃない女優さんが本業の人でもユニットとしてここまで一貫してパーマネントな活動を継続していたのって、ほとんど例がない。滅茶苦茶稀有なユニットです。

ということもあり、紳士として嗜みに行ってまいりました。ライブは下北沢のサーキットイベント以来の2度目。
UNITはだいたい700人で満杯ですが、だいたい満杯。というか関係者エリアは完全に運営側が読みをミスってPA周りの通路エリアまでパンパン。
中には画面で見たことのある女優さんっぽい人も。マジマジと見るのは避けました。紳士なので。

言うても持ち曲は10曲なので、割と1曲ずつMCを入れながら進行するのですが、事務所主導で性格的に合わなさそうだったのを組まされたとか、お互いに溜め込んでいた不満をぶつけあったとか、割とぶっちゃけた話もあったり。
ただ簡単にここまで続けてこれたのではないことも理解できて、感慨深い気持ちになる。

事前にアナウンスされていた生バンドは、結局トリプルファイヤー鳥居氏作曲の2曲のみの演奏でしたが、それでも最初で最後の生バックは、その音圧に感動していた小島さんの反応や、そもそもこのバンドのメンツも含めていいものを観たという気持ちにも。

そういう企画モノとか、結果としても含めて単発で終わったユニットばかりの界隈で、「活動終了」を宣言して終われること、ラストライブを開催してミチミチにオーディエンスが入った中で終われることは、やっぱり幸せなことで。
アンコール、2回目の「私ほとんどスカイフィッシュ」では、バンドとダンサーだけでなく主要スタッフや関係者までステージ上に呼び込んでかなりわちゃわちゃの楽しい状況になって。
これはもう、絵に描いたような大団円じゃないですか。

いいライブでしたが、それ以上に「いい場」でした。
あとはもう、おとフラ2名の今後の更なる幸を祈るばかりです。ありがとうございました。

CD/DVD販売・レンタルの各チェーンが少し似てきていることについて

CD/DVDの販売やレンタルを生業としている各チェーン、主業と言えば元々は以下のような感じだったわけで。

タワーレコード:CD/DVD販売
HMV:CD/DVD販売
新星堂:CD/DVD販売・楽器販売
TSUTAYA:CD/DVDレンタル・書籍/コミック販売
ゲオ:CD/DVDレンタル・ゲーム販売
BOOKOFF:中古書籍/コミック・中古CD/DVD販売・中古ゲーム販売

それが、CD/DVD販売や書籍/コミック販売が時を追うにつれて不調になっていくのに伴い、各チェーン必死になっていって様々に取扱いが増え、よく言えば多様化、悪く言えば雑になっていきます。

タワーレコード
 ・PBグッズの強化
 ・新譜アナログの販売(各店舗)
 ・中古アナログの販売/買取(TOWER VINYL)
 ・中古CDの販売
 ・中古CDの買取

HMV
 ・新譜アナログの販売(各店舗)
 ・書籍販売の強化(HMV&BOOKS)
 ・中古アナログの販売(record shop)
 ・トレカ販売開始(新宿ALTA店/岡崎店)

新星堂
 ・トレカショップ「GANRYU」の店舗内併設

TSUTAYA
 ・雑貨等の取り扱い強化
 ・CCC直営店でのトレカ販売拡大
 ・アナログ盤のレンタル開始(デイズタウンつくば店)

ゲオ
 ・総合リユースの主業化
 ・雑貨/食品の販売拡大
 ・中古スマホの販売拡大

BOOKOFF
 ・中古アナログ盤の取り扱い開始
 ・総合リユース店舗の拡大/主業化
 ・ゲーム/トレカ/アナログ盤の新品取り扱い開始

要するに、元々の得意分野がベースにあったり、企業グループや提携企業内のシナジー的な展開はあるにせよ、現状で調子のいい「アナログ盤販売」「トレカ販売」「総合リユース」に各チェーンが群がっている状態。
結果として、徐々に各チェーンの業態が似通ってきつつあります。

さすがにHMVがトレカに手を出すのはどうよと思わなくもないですし、ゲオはいくら何でも入口入ってすぐのところにお菓子や食品が壁のように積まれている店はちょっとビビりますし、新星堂は昔からデュエルスペースを設置していた店舗もありましたが、現状ではシナジーというよりはRIZAPグループ内のトレカ販売業態のGANRYUが売り場を乗っ取りつつあると言った方がいいし。

それでも、TSUTAYAの店内、併設されたカフェの横にしょんぼりした久世福商店みたいな品揃えの各地名産品の瓶詰やレトルトが並んでいる景色には割と馴染んできましたし、各チェーンともどれだけもがこうともそこに店舗があってくれた方がいいです。もがいて。

アルバム「AIR-CON BOOM BOOM ONESAN REPUBLIC」のこと

エアコンぶんぶんお姉さん。通称「こんねき」。吉本所属のピン芸人の初アルバム
サウンドプロデュースはCMJK。

去年の音源デビューの時点で少しだけタイムラインに流れてきたのですが、今回のアルバムリリースでぱらぱらとまた流れてきて、曲目見たら「Since Yesterday」と「Time After Time」のカバーが入っていたので、じゃあ、と思って全編聴いてみたところ、面食らう。

2023年頭の初音源は、3曲をそれぞれ「NO WAVE」「SYNTH WAVE」の2Ver.ずつ収録されたもので、実際NO WAVE的でSYNTH WAVE的な音だったのが、約1年を経てのこのアルバムはもうジャンルとしては滅茶苦茶。
CMJKが全曲種明かししているので、もういろいろ穿った考え方で想像する楽しみはないのですが、それでもひしひしと伝わってくる「詰め込んだ」感というか、このプロジェクトをパーマネントなものとして捉えてなさげな、もはや集大成的な存在感。

曲によっては芸人らしいリミットを外した感じの歌唱というか咆哮はあるものの、所謂コミックソング的な空気感は皆無。それでも、こんねき自身による歌詞は妙な質感があって独特。歌声も割と好きです。
そもそも芸人が音源を出すというのは、だいたいにおいて芸事やテレビタレントとして有名になった後にやることで、それをまだまだ無名なピン芸人が何でという気持ちは正直あります。

まあ、メジャーではないところでトラックとしてはCMJKやりたい放題なので、これでいいと思います。GEISHA GIRLSやKOJI 1200/12000のインディーズ版のようなものです。微妙に違うか。
そういえば芸人としての彼女のネタはまだ見たことなかったのに気付いて、YouTubeで適当に検索して見てみたのですが、こっちはもうわからなくていいです。

CDレンタル店舗が1000店舗を割ったこと

2023年の10大ニュースで「CDレンタルを行っている店舗がもうすぐ1000店舗を割りそう」と言いましたが、今しがたカウントしたら割っていました。

TSUTAYA:407
GEO:536
三洋堂:24
HYPERBOOK/SUNMUSIC:5
合計:972

「レコードレンタル」という業態が公式に始まったのは1980年の東京都三鷹市の黎紅堂。
その後数々のチェーンが立ち上がり、翌1981年の末までには公式な数だけで1000店舗に届こうかという数にまで増えましたので、栄枯盛衰の42年を経て黎明期の数にまで戻ったということになります。

そして今後ですが。

  • 4月23日にリニューアルオープンするSHIBUYA TSUTAYAにはDVDを含めてレンタルを行う予定なし
  • 大手フランチャイジーのVidawayが、現在19店舗に残っているCDレンタルを3月末で全店舗で終了することを公表(DVDレンタルはほぼ残存)
  • 明文堂書店(富山県/石川県)、精文堂書店(愛知県等)、WonderGOO(茨城県等)等、TSUTAYAフランチャイジー(レンタル部門)からの離脱増加

と、当然ですがより一層減っていく未来しかありません。

で、こうやって店舗の数が減ってくると困るのは小売りだけではないはず。
CDレンタルで使用されるCDは、店長がそこらの小売店で買ってくるのではなく「CDレンタル専用の卸代行企業」から購入します。
中には、たとえばYOASOBIの一連のアルバム、通常販売用はバインダーブック形態の特殊仕様品しかないところ、レンタル専用に普通のプラケースに入った盤を卸すなど、特別な盤の商いも行っていたり。

現在、レンタル用の卸代行企業は3社。

  • (株)グラモラックス
  • (株)MPD
  • テクタイト(株)

うちグラモラックスはゲオ・ホールディングスの子会社、MPDはCCCの子会社なので、もうそういう感じ。
テクタイトは様々な電子機器・電子部品の卸がメイン業務で、レンタルCDの卸は少なくとも現在はもう片手間もいいところ。

ということで、恐らく既に業界として「困る」ような時期はとうに過ぎ、ダメだったところは既に撤退済みで、残っているのは企業グループとしての判断一発でどうとでもなりそうなところのみでした。


CDを買うという行為は元々は「そこに収められた音源を聴くため」ですが、もはや現状ではその目的は縮小するところまで縮小し、別にあった「音源以外のCD付属品のため(DVD/アイドルなら特典券/K-POPならヨントンの抽選権等)」「ファングッズとして所有するため」がメインになっています。
一方CDレンタルをするという行為は「そこに収められた音源を聴くため」でしかないため、サブスクやYouTubeに取って代わられるのみ。

なので、CD販売は特に大手チェーンについては「CDを積む」ならわしがあるボーイズグループが隆盛である限りもう少し生き残る芽はあると思っていますが、CDレンタルについては正直何の芽も見当たらない。
正味、3月末までで終了と発表している店はVidawayのフランチャイジー以外にもけっこうありますので、4月になったらまたカウントしてみます。

というか、閉店をウォッチし始めた2010年頃には「あと10年もたないだろうよ」と思っていたので、正味よく頑張っている。

アダルト系女優の音楽活動のこと

おとといフライデーのアルバム、2016年からのシングルを集めたものではあるのですが、なかなか感慨深い。
制作に参加しているミュージシャンが、トリプルファイヤー、マキタスポーツ、柴田聡子、NATSUMEN、Enjoy Music Club、Have a Nice Day!、バクバクドキン、パソコン音楽クラブ。更に作詞にはマンガ家の大橋裕之と映画監督の今泉力哉。
滅茶苦茶なんですが、何となく筋が通っているようにも思えるこの人の並び。
普通に音楽として滅茶苦茶面白いので、お勧めです。

ここでふと、AV女優の音楽活動について考える。
たとえば非アダルトな歌手がその後アダルト映画に入ってきた事例としては五月みどりや畑中葉子。
逆にアダルト映画やAV出身で歌も歌い、その後非アダルトなタレント業に参入したのは美保純や可愛かずみ、飯島愛。
そこらへんのメジャーなところはわかるのですが、じゃあ最初って誰よ、というあたりが気になってきて。

ただそこらへん突っ込んでいくと「アダルトビデオに出演するAV女優」はまあ何とかわかるものの、こと映画に関しては何をもって「アダルト=成人映画」で何をもって「ポルノ女優」かを定義しないと先に進めなくなってしまって。

以下、数日調べた程度ですので抜けあると思いますし、そもそも「アダルト」「ポルノ」等の定義によって異なってくるものでもありますので、まあこんなもんか程度でよろしくお願いします。
一旦範囲としては「アダルト系女優さんがアダルト系映画/ビデオに出演している期間内に音源をリリースしている」事例に限ります。
1990年代のAV女優白石ひとみなんかはAV女優引退後、何故かノイズミュージック界隈でCDをリリースしていたりしますが、そういうのは抜き。


「成人映画」とは映倫でもって「18歳未満は鑑賞不可」と判断された映画ということで1954年頃からゾーニングが始められたそうなのですが、元々は普通に映画を作って審査の末にゾーニングされてしまう類のものでした。
それが1960年代後半から東映が「敢えて積極的に成人映画に指定される映画」を狙うようになって、そういう映画を「ポルノ映画」と称し始め、それを言ってみたらパクったのが「にっかつロマンポルノ」という流れのようです。

ですので「ポルノ映画」が始まるまでは、ヌードや濡れ場があってもそれを専門ではない女優さんがやっているので、じゃあどこに「普通の女優さん」との線を引くのかわからなくなったというかはっきりしなくなったので、とりあえず「東映のポルノ路線開始」を起点とします。

となると、東映が「ポルノ」を称し始めた際に「東映ポルノの看板スター」と紹介された池玲子が1971年にテイチクからアルバム「恍惚の世界」をリリースしたのが「初」となります。
それ以前、実質的にポルノ路線を始めたのは「二匹の牝犬」という作品だと言われていますので、それを込みにするとその主演で、今もゴリゴリで現役女優である緑魔子が1967年に東芝から出したシングル「女泣かせの雨」が創始ということに。

そんな感じでざっくり探った限りではこんな感じ。

  • 緑魔子(1967-1973・シングル6)
  • 池玲子(1971-1973・アルバム1シングル2)
  • 田中真理(1973・シングル1)
  • 小川節子(1973・シングル1)
  • 潤ますみ(1974-1975・シングル2)
  • 白川和子(1975・シングル1)
  • 伊佐山ひろ子(1977・シングル1)
  • 原悦子(1980-1981・アルバム1シングル2)
  • 寺島まゆみ(1981-1984・アルバム4シングル7)
  • 愛染恭子(1984・シングル1)

で、おとといフライデーのような、グループ/ユニット形態の最初を探ってみたところ、青木琴美、井上麻衣、小田かおるという、当時では割と有名どころの女優さんが「ピンクキャンディーズ」という大変に雑なグループ名で1985年にシングルをリリースしたのが最初っぽいのですが、ただその前にユニット名がないヤツがありました。

1975年に「ロマン・ポルノ エロスの甘い囁き おんな不貞寝の子守唄」という、当時のロマンポルノ界のスター総出の企画アルバムがリリースされたのですが、そこに収録されているのが「複数の女優による楽曲」の最初ではないかと思われます。

にっかつが1986年に出演女優を束ねた「ロマン子クラブ」というグループを結成していますが、これは映画のみでレコードのリリースはありませんでした。
会員番号1番に「そっくりさん」女優の新田恵美を据えてみたり、なかなかアグレッシブではあったのですが。


一方アダルトビデオ。
こちらは少なくとも、女優さんをレコードリリースまで持っていけるのは概ね専業の会社のみということで考えられますので、割と始まりははっきりしています。
ただ、特にビデオ初期の1980年代は、「ポルノ映画」「アダルトビデオ」双方に出演されている女優さんも割と多くいますので、ここでは「ビデオでデビュー」というところで線を引きます。

となると、1980年代半ば、ある程度ビデオデッキが普及してレンタルビデオもチェーン展開を開始したことで「人気女優」が現れて、そんな女優さんがレコードもリリースするようになります。
探った限りの最初は、1984年にビクターからアルバム「ひとり寝のララバイ」をリリースした八神康子。
それ以降ざっくりこんな感じ。

  • 八神康子(1984・アルバム1)
  • 早見瞳(1986・シングル1)
  • 葉山レイコ(1986-1994・シングル6)
  • 早川愛美(1987・シングル1)
  • 秋元ともみ(1987・アルバム1シングル2)
  • 小林ひとみ(1987・シングル1)
  • 前原祐子(1988・シングル1)
  • かわいさとみ(1988-1989・アルバム2・シングル3)

グループ/ユニット型としては1986年、森田水絵・杉原光輪子・山口美和の3人の名前からユニット名を名付けた美光水LAKESが、センチュリーからシングル「Sunset Highway」をリリースしたのが最初っぽいです(翌1987年には杉原光輪子・森田水絵の2人組のLAKESとしてリリースあり)。

  • 美光水LAKES⇒LAKES(1986-1987・シングル2)
  • RaCCo組(1988-1989・ミニアルバム1シングル2)

今と比較すると、まだこの時期はグループとしてのデビューは少なめ。
「ギルガメッシュないと」のように、普通にテレビタレントとしてバラエティ番組に出演するようになったことと何か関係あるのでしょうか。
その「ギルガメッシュないと」では、番組内でのユニット結成はありましたが、CDデビューに至ったグループは、グラビアアイドルによるグループだけだったようです。

なので、AV女優と音楽活動が圧倒的に「近く」なったきっかけはやはり「恵比寿マスカッツ」ということで。
メンバーが流動的でしたので、他とは比較しにくいのですが、非アダルト業界でのアイドルの動きとこちらも連動していると考えていいでしょう。
1990年代にデビューした人が少なめなのは、やはり非アダルト業界でも「アイドル」の衰退期だったからと考えると、割と合点がいきます。

今もアイドル活動をしているAV女優はいるというか、去年末には「Mi LUNA」というグループがデビューしていたり、この流れはずっと続いていくのだと思いますが、AV女優はそれとしての活動期間が長くないことが多いので、2人組でメンバーチェンジなしで双方引退することなく10年間も活動を継続したおとといフライデーは、史上唯一無二のモンスターグループと言えるでしょう。
いや、結局それが言いたかったの。

映画「STOP MAKING SENSE」4Kレストア版のこと

さっき観てきた。

DVDも買って何度か見ているブツではあるのですが、4K画質になったということもありますし、せっかくなので映画館のデカい画面とよい音響で体験したいと思いまして。
そして更にせっかくなので、その恩恵を最高に受けられるIMAX上映を狙って新宿歌舞伎町のTOHOシネマへ。

IMAX上映は1日1回のみ。19:00上映開始ですので、もうライブを観に行く感覚ですが、まさにそういう感じのおっさんをメインターゲットにこの時間帯に設定したのではないかと。
客入りはそれでもド平日なので3割程度か。

4Kとはいっても元はフィルムですので、デヴィッド・バーンの毛穴までくっきりとかそういうのではなく、フィルム画質であることには変わりなく、「すげえ画質!」という驚きはあまりなく。
むしろ大画面だからこそ気が付くこまごまが楽しい。

TOMTOM CLUBのパートでパーカッションの人が木魚っぽい楽器を叩いているのが映るのですが、今回大きな画面ではっきり見えたため、「木魚っぽい楽器」ではなくまさに「木魚」であることがわかったり。
そのTOMTOM CLUBのパートでのティナがすごくキュートなことはわかっていましたが、今回改めて大画面で観て、最初っから最後までずっとキュートだったことを思い知ったり。

あと、デヴィッド・バーンの直近のパフォーマンス映像といえば「アメリカン・ユートピア」ですが、そこではガチガチに作り込まれたステージが徐々に剥き出しになっていく流れで、これは「STOP MAKING SENSE」が、何もないステージでギターとラジカセのみから徐々にライブのステージとして出来上がっていく流れとは真逆で、このふたつの作品はそういう意味で「対」になっているのではないかと、改めて思ったり。

とにかくあの素晴らしい演奏・パフォーマンスが馬鹿でかい画面と素晴らしい音響で体験できるのですから、こりゃアリですよ。
で、こういう場合ストーリーを追うような映画とではなくライブとの比較になりますから、結果としてヘボかったライブで4000円+ドリンク代とかなら、このパフォーマンスをこの迫力で観られてIMAX特別料金2700円ならもう全然OKです。パンフレット(880円)も買うしビール(800円)も飲んじゃいます。

唯一問題かなと思ったのは、IMAXはいろんなチャンネルに振って音が聞こえるわけですが、演奏後のオーディエンスの拍手や歓声が他の音とは全く違うチャンネルで鳴らしているため、何か取って付けたような、テレビのコント番組の笑い声のような感じで聞こえてきたくらいか。
あれ、もうちょっと馴染ませてほしかった。

それでも大満足です。
あとは、デヴィッド・バーンの映像作品といえば「TRUE STORIES」、あれも再上映してほしい。
リアルタイムで名古屋まで出掛けていって観たはずなのですが、正直何も覚えていない。

TSUTAYA公式サイトの店舗検索のこと

どこのレコード屋がオープンしたとか、どこのレンタル店が閉店したとかを嬉々として調べている人間ですので、 TSUTAYA公式の店舗検索機能も通常の人間の20倍くらい使用しています。
で、2年前くらい前だったか、その店舗検索機能が大きくリニューアルされたのですが。
それが割とおかしなことになってしまっていて。

  • 都道府県まで入力しないと検索ボタンを押せなくなった
  • 最初に指定できるのはその都道府県や市町村の地域だけで、「コミックレンタル店舗」「CD販売店舗」等、地域以外のオプション検索は、地域だけで検索して結果表示させた後に改めて指定しないといけなくなった
  • Google等の検索で、例えば「TSUTAYA 池袋」と検索しても、「TSUTAYA 池袋ロサ店」等の個別店舗ページが検索結果に引っかからないようになった

という状況で、自分としては「改悪」に近い状況でして非常に憤っていたのですが、通常の20倍である自分がそもそも異常だと思い我慢していました。
しかも本来の用途とは違う使い方ですし。
それが、ここんとこまた少しずつ修正が起こなわれています。

  1. 個別店舗ページがGoogle等の検索の際に出るようになった
  2. 政令指定都市は元々「区」まで指定しなければいけなかったのが「市」までになった

1)については、これはあちこちから「何で出ないんだ」と怒られたのではないかと予想します。
そもそも何で検索に引っかからないように細工したのかという点で考えると、とにかく結果を見るためにはTSUTAYAポータルを経由する必要があるという形にして、トップ含めたPV全体を伸ばしたいという意図というか、数値優先でトップダウンでそういう話になったのではないか、という気もしなくはないです。
が、そのために利便性が相当に犠牲になっているわけで、普通に考えればそりゃ怒られます。

2)については先日もお伝えしたようにガンガンTSUTAYAは店舗数が減っていますので、そうしないとかなり悲惨なことになるわけで。
修正しないままの状態だった場合、たとえば神戸市内にあるTSUTAYAを探そうとした人が地域で絞り込もうとすると、店舗を表示する前に実際の区の数は9区あるのに「神戸市垂水区」「神戸市西区」しか検索候補に出てこず、かつその下には1店舗ずつしかないという地獄です。

これはもう店舗数の減によって「不便」&「みっともない」状態になってしまったことの是正ということと考えてよいと思います。

正直、今後これ以上の改善が図られるかどうか考えた場合、さらに今後母数が減っていく中でその検索にお金をかけるか、ということを思えば期待薄なので、これからもこの微妙に使いにくい検索機能を使い倒していく所存です。

というか、もう東北には岩手県と福島県、東海には愛知県しか店舗が残っておらず、東京都や神奈川県には1店舗ずつしかないのに、まだ全国チェーンとして頑張っている感を微妙に出そうとしてマップを更新しないWondeGOOの店舗検索よりは、まだ大丈夫です。

新星堂の「駅ビル店」がなくなること

新星堂が今年になってすごい勢いで店舗を閉めています。
2022年に7店舗、2023年には6店舗を閉店させ、順調に縮小していたのですが、今年に入って1月だけで9店舗閉店します。
これにより一気に全国40店を割り込み、一時は200店舗を数えていた店舗網もいよいよ最終局面か、という感じです。

そしてその縮小に伴って、新星堂「らしさ」を感じる部分も失われつつあります。
この31日に閉店する「国分寺駅ビル店」。これによりかつては新星堂にやたらあった「駅ビル店」という支店名が消滅します。

2004/06閉店:新星堂 八王子駅ビル店
2006/02閉店:新星堂 青森駅ビル店
2008/01閉店:新星堂 金沢駅ビル店
2008/02閉店:新星堂 熊谷駅ビル店
2011/01閉店:新星堂 千葉駅ビル店
2012/01閉店:新星堂 取手駅ビル店
2016/08閉店:新星堂 小岩駅ビル店
2017/05閉店:新星堂 草加駅ビル店(マルイに移転)
2019/07閉店:新星堂 甲府駅ビル店
2023/07閉店:新星堂 新越谷駅ビル店
2024/01閉店:新星堂 国分寺駅ビル店

小岩駅ビル店(2016年8月31日閉店)

この、微妙に雑にも見える支店名。
1970年代後半以降、すごい勢いで支店を増やしていった頃の新星堂、最初はその街の駅前商店街に路面店として出店することが多かったのですが、特に国鉄の民営化以降、ただの駅舎だった場所に駅ビルを建ててそこで商売をすることが増えていくのに伴い、竣工したその駅ビル内にも店舗を出したり、路面店を畳んで引っ越す事例が増えていきました。
それで引っ越した際に旧店舗と違うことを表すために付いたのが「〇〇駅ビル店」という支店名のようです。

中には小岩駅や草加駅の高架下とか、それビルちゃうやんみたいな場所でもそう命名されることがありましたし、過去に路面店が存在していなかった地域でも付いていますので、「駅ナカの商業施設に出店した場合、〇〇駅ビル店とする」みたいなルールが一時的にでも社内で施行されていたのかもしれません。
駅ビルや駅ナカの商業施設にも名前があるのだからそれを付けるべきでは、と思わなくもないですし、実際「天王寺ミオ店」や「アトレ吉祥寺店」のようにちゃんと駅ビル内商業施設名が付いている例も割とあります。

国分寺市の場合、元々路面に国分寺店があり、駅の商業施設は1989年の竣工時に「国分寺エル」と名付けられたものの、ほぼ1棟借りで丸井が入居。
新星堂はそのテナントとして入居したため「国分寺丸井店」だったのが、2013年にリニューアルして施設の名前が「セレオ国分寺」になった際に、丸井はそのまま入居しつつもテナント条件が変わったのか新星堂は丸井の範疇から外れ、結果「国分寺駅ビル店」と改名されました。

こういう家主側のいろいろな都合で施設としての名乗りが変わることもままありますので、そこらが多少面倒臭いことになっても問題がない「駅ビル店」の方が割と合理的じゃないかとも思います。
これについても実際のところはよくわからないのですが。

そんな「駅ビル店」ですが、首都圏の駅ナカ商業施設は収益がそれなり以上に上がらなければ割と頻繁に店を入れ替えてきますし、地方では郊外に商業の中心が移って駅周辺は衰退してしまい、どっちにしても「駅ビルでCDを売る」のがしんどくなってしまった今、なくなるのはもう止むを得ません。


もうひとつ、新星堂ならではの支店名が「〇〇ヨーカドー店」。
これも1970年代後半以降、大型スーパーマーケットが各地にオープンした際に路面からそのスーパーの建物内に移転したことによる事例でもありますが、もうひとつ「その都市にある複数のスーパーに同時に新星堂が出店していたので区別するため」というパターンもあります。

わかりやすい例が東京都の西部、東大和市。
現在はイトーヨーカドーとヤオコーがそんなに広くない道路を挟んで向かい合わせに建っていますが、ヤオコーの場所では以前はダイエーが営業していて、新星堂はそれぞれに「東大和ダイエー店」「東大和ヨーカドー店」を出店して、競合のどっちが殴り倒されても概ね問題ない体制を敷いておりました。

結果としてダイエーは2012年に閉店するのですが、新星堂 東大和ダイエー店はそれ以前の2010年に閉店、イトーヨーカドーは現在も営業中ですが、新星堂 東大和ヨーカドー店は2021年に閉店。
結局どっちのスーパーが勝つかという話以前に己の問題で閉店しました。

何故「イトーヨーカドー店」ではなく「ヨーカドー店」が正式な支店名になったかはよくわかりませんが、当時の社内DBの仕様上登録できる桁数の制限等があったか、もしくはただ長いのが面倒臭かっただけか、よくわかりません。

そんな「ヨーカドー店」は、国分寺駅ビル店と同時に明石ヨーカドー店が閉店しますが、それでもまだ3店舗残っています。

船橋ヨーカドー店(千葉県)
四街道ヨーカドー店(千葉県)
立場ヨーカドー店(神奈川県)

船橋ヨーカドー店

正味、イトーヨーカドー自体があんまり具合がよくないのが気になりますが、新星堂はそれ以上に具合が悪いので、できるだけ頑張れ。

NUANCEの「dubrise」@渋谷WOMBのこと

1月20日は、割と推しているアイドルグループNUANCEのライブだったんですが、ちょっといつもと違うヤツ。

NUANCEはちょいちょい普通でないライブを開催しています。
ワンマンライブでもそこここに寸劇やコントとかが挟まったりしていたのですが、ライブによってはガチでお笑いの人を呼んできて、その中でメンバーも割と気合いの入ったコントをしてみたり落語をしてみたり。

そもそもライブアイドルはだいたい四六時中ライブをしているわけで、ガチのオタクやライブより特典会目当ての人が相手であったとしても、さすがに毎回同じものを見せるわけにもいきません。
そのため運営は毎回セットリストをいろいろ考えているわけで、NUANCEの運営はそれが行き過ぎた結果コントとかになるわけですが、それはメジャーなアイドルグループがテレ東の深夜にテレビでやってることを、それも興行としてやっているのだと考えれば、一応筋は通っている。

で、今回の「dubrise」と銘打ったライブシリーズはまた別の普通じゃなさ。
ざっくり言うと「ライブでBack To Back」。

クラブでDJが複数人同時にブースに入り、1曲ずつ交代で繋いでいくプレイがBack To Backですが、それをライブの形でやるわけです。
片方のグループがステージで歌い踊り、その曲が終わりそうになる頃にはもう片方のグループがステージ後方に控えていて、曲のラストだけ少しダンスを合わせたり歌を重ねたりしながら前後が入れ替わり、次のもう片方のグループの曲になだれこむ。それをひたすら繰り返すというスタイル。

正味、自前の曲じゃない振りや歌を、一部とはいえ入れ替わる数だけ覚える必要がある分、メンバーの負担デカいです。
そして通常の場合、PA側も複数のオケをとっかえひっかえになりますので、こちらもしんどいです。
ただ、そういう演る方はしんどいが観ている方は面白いヤツを、敢えて実行に移してくれるグループはそれだけでもう信頼に足るともいえるわけで。

そして今回の「dubrise」は、更に前に観たのよりもエグくなっていまして。
そもそもオーガニック気味な曲もレパートリーとして持っているNUANCEと、今回のお相手は割とハイカロリーなダンス系の楽曲がメインのsituasion。
普通にやってたらとてもBack to Backとして繋がらないのですが、今回何かNUANCE側のオケがおかしい。持ち曲の中でも割とニューウェイヴ方面の楽曲を揃えてきているのはわかるのですが、そのオケにいつもなら入ってないビートやSEがバンバンぶっこまれている。

いわばオケがREMIX化している感じ、さらにそれを完全に繋いで1本のMEGAMIX的なロングオケセット。それに乗せて休みなく続く1時間半のパフォーマンス。主催の方がゲストの方に寄せていくのもどうかしていますが、でも通常よりも遥かにアタック強めのオケに乗ったからかメンバーの歌も踊りもまた少し違って「強い」感じで、それも大変に楽しい。

今回のライブは、名古屋で開催したところ、異様な反響があったために東京で再演を行ったという形で、かつそれをWOMBというクラブ系の箱で演ったことにも意味があり。
ダンス系に寄せたオケの低音がもうエゲツないレベルで、純粋に音楽としても新しいエクスペリエンス。

正味、普段の普通のライブを観たことがない人にはなかなか伝わりづらいところもあります。
それでも、ライブアイドルは様々なアイデアで工夫を凝らしたライブで、来てくれるオーディエンスを少しでも面白がらせようとしているわけです。

というか、今後もしアイドルにハマることがあれば、そして顔のひとめぼれとかでなければ、是非運営の姿勢も含めて選んでいただければと思います。
少なくとも、運営がTwitterでメンバーやオタクへの文句を晒しているようなグループは避けた方がいいです。マジでいるのよ、たまに。

まあ、滅茶苦茶なメンバーもオタクもたまにいるので、なかなか難しいところではあります。

CD/DVD販売レンタル界隈2023年10大ニュースのこと

ブログやXというかTwitterで既に触れたものやや多めではありますが、2023年のCD/DVD販売レンタル界隈で起きたことの中から、ざっくり10大ニュースをつまんでみました。

 

■トップカルチャー、レンタル撤退失敗
2021年7月に「2023年中にレンタルから全面撤退」宣言をしていたTSUTAYAの最大手フランチャイジーのトップカルチャーですが、関東から相当数の店舗を引き上げたりはしたものの、結局年を跨いでも残存店の約半数でレンタル継続中。

レンタル撤退した店舗は、雑貨販売やらショップインショップの形でテナント誘致等を行っていましたが、そっちが結果としてレンタル以下の収益性しかなく、それ以降進むに進めなくなっているものと思われます。

蔦屋書店 八王子みなみ野店(レンタル継続)


■大きな都市圏でもTSUTAYAレンタル消滅
TSUTAYAは相変わらず閉店しまくっていますが、さすがにこれだけ多いと、徐々に大きな空白地域も目立ち始めました。
京都市ではDVDレンタルができる従来型のTSUTAYAが、7月の太秦店の閉店をもって全滅。
神戸市は郊外ロードサイド型のジェームス山店のみの残1。
その他政令指定都市の残数は以下の通り(DVDレンタル実施店のみ)。

札幌市:4
仙台市:8
さいたま市:5
千葉市:2
横浜市:11
川崎市:3
相模原市:1
新潟市:10
静岡市:4
浜松市:3
名古屋市:4
京都市:0
大阪市:7
神戸市:1
岡山市:6
広島市:7
福岡市:3
北九州市:2
熊本市:6
(東京都23区:16)

市という地域を越えて見てみると、大阪府の北摂地域、豊中市・吹田市・茨木市・高槻市を擁し、千里ニュータウンもある地域ですが、今年に入っても閉店が止まらず、2/18に高槻南店が閉店すると残りは江坂南店のみとなります。
こういう、広域の単位でいよいよな感じが、今年はもっと拡大するのではないかと思います。

TSUTAYA 江坂南店

 

■ミュージックテイト、消滅
1980年代半ば頃をピークに、新宿を拠点にして割と言わせていた感のあるレコード店チェーン、帝都無線=ミュージックテイト。
2011年に紀伊國屋書店新宿本店2階の店舗を引き払い、西新宿7丁目に移転して得意としていた演芸の音源に絞った専門店として再開。
しかしコロナ禍で窮して、クラウドファンディングを募りつつ同じ会社で経営していたV系専門店「自主盤倶楽部」の店舗を曜日や時間で使い分ける形で運営していたのですが、7月にまとめて閉店して8月には破産しました。

 

■スクラム、消滅
一方、イオンの子会社「アビリティーズジャスコ」が運営していたCDショップチェーン「スクラム」。
「アビリティーズジャスコ」の本業は障碍者の就労支援、その訓練を受けた人の実際の就労の受け皿という位置づけでもあったスクラムですが、その本業の就労支援だけでも会社を回していける目途が立ったということでしょうか、東北を中心に最大で10店舗近くあった店舗網を徐々に減らしていき、10月の古川店閉店によって全店が閉店と相成りました。

スクラム 大河原店(2022年7月閉店)


■ドラマ、消滅寸前
下北沢と高円寺、また日野・八王子・相模原等の首都圏西側ではCD/DVDレンタルチェーンとしてお馴染みだったドラマ。
2010年代からアミューズメント・古着販売等に軸足を移し、レンタル取扱い店舗は徐々に削るように減っていったのですが、2023年に残っていたレンタル取扱い店舗が一気に閉店、現状で残っているレンタル店舗は相模原市の淵野辺店のみ。しかもレンタル面積は2023年に大幅減。もうヤバい。

ドラマ 高円寺庚申通り店(8/13閉店)


■新星堂、50店舗割れ
新譜CD店、タワーレコード・HMV・山野楽器は漸減程度でまだ踏ん張っていますが、為す術もなくズルズル行っているのが新星堂。
2006年にCCCと業務提携するも2008年に解消、2011年には光通信グループの一員になってモバイル系の販売を一部店舗で始めたものの2012年に解消、同年、WonderGOOを運営するワンダーコーポレーションの傘下に入ったものの、単独子会社としては再建を諦めて2016年にはワンダーコーポレーションに吸収合併、2018年にはワンダーコーポレーションの親会社であった茨城県拠点のスーパーマーケットチェーンのカスミがワンダーコーポレーションごと手放し、ライザップの傘下企業になって今に至ると、もう本当に「いらない子が家を転々とする」状況。
2023年末時点での全国店舗数は43店舗、外資系が入る直前の1980年代末頃には約200店舗を数えた一大チェーンがここまで減りました。
そして2024年1月には一気に9店舗の閉店が決定。今年、どうなるのか。

新星堂 新越谷駅ビル店(7/26閉店)


■CDレンタル、全国で1000店舗割れ寸前
所謂ビデオレンタルは、元々レコードレンタルのチェーンが1980年代後半以降、安価なビデオデッキの普及も相まって兼業で始めた業態ということになりますが、ソフトレンタルの元祖の直系であるCDレンタルは、1989年にはその店舗数のピークで全国に6000店以上存在していたのですが徐々に減り、最近では閉店だけでなく「DVDレンタルは継続してもCDレンタルは終了」というところも割と多く、ビデオ/DVDレンタルに少し先駆けて死にそうになっています。

2024年1月頭でカウントした「CDレンタルを行っている店舗の数」は、
TSUTAYA:428
ゲオ:543
三洋堂書店:26
HYPERBOOK/SUNMUSIC:5
その他:2

合計:1004

以上ではないかと思います。
単独で営業している店等でサービス内容の詳細が確認できないところもあるのですが、もしあったとしても数店舗のプラス程度ですので、恐らく今月中には全国で1000店舗を切ります。公式なレンタルレコードの始まりは1980年、雨後の筍状態で類似店が営業開始してチェーン展開したため、翌1981年には既に全国で1000店以上にはなっていましたので、栄枯盛衰の42年以上を経てその頃の数にまで戻ったということになります。


ちなみに「CDレンタル専業」店舗は、2021年12月に大阪日本橋のK2 RECORDSが閉店したことで全滅しました。のはず。

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■ディスクユニオン、平成J-POP/アニメ・ゲームストアオープン
ここからはよい方のニュース。
時代と空きテナントの状況によって変幻自在の営業を続けるディスクユニオンですが、元々新宿における本拠地であった山田ビルに、7月「アニソン・ゲームミュージック」8月「平成J-POP」と、過去最強に時代の流れにおもねった感じの店舗をオープン。さすがユニオンというところですが、平成J-POP館は元々「日本のロック・インディーズ館」だったのですが、実際今も「80年代インディーズ」の棚も割と大きめに取られていたり、単に多少メインジャンルのボリュームを変更して看板を架け替えただけだったりします。それでいい。

アニソン/ゲームミュージックストア

 

■FACE RECORDS、全国拡大
元々宇田川町の裏通りの雑居ビルにひっそり佇んでいたFACE RECORDS。2011年にYellow Pop渋谷店が撤退した跡に収まってシスコ坂に進出したのですが、2020年宮下公園に建った商業施設MIYASHITA PARKに支店をオープンさせ、それ以降は全国各地の割とお洒落気味な商業施設の「アナログレコード店があったらいいな」的なニーズに応えまくり、今年になって支店を次々にオープンさせています。

3月:札幌ステラプレイス
4月:名古屋LACHIC(期間限定)
10月:京都高島屋SC

この4月には1年間の期間限定としていた名古屋LACHICの店舗が、改築された中日ビルにパーマネントな店舗として移転オープンします。
ディスクユニオンは、新しい土地への店舗という方向では割と腰が重め&お洒落感は皆無ですので、アナログブームに乗っていけるのは今のところFACE RECORDSくらいです。
この後さらに伸ばしていくのか。

Face Records SAPPORO STELLAR PLACE

 
■新規の新譜CD販売専門店がオープン
驚いたのが佐賀県佐賀市に立地する双日商事開発株式会社が運営するショッピングモール、モラージュ佐賀。
元々宮脇書店がその大きな店舗エリアの片隅でひっそりとCDも販売していた、という形だったのですが、3月に宮脇書店が撤収。
CD販売どころか書店ごとなくなるという事態に陥ったのですが、そのまま後継の書店も決まらない12月、何故かCD販売の専業店がオープンするという謎事態が発生。

サウンドコミュニケーションWe's モラージュ佐賀店。
We'sはここまで旭川や鹿児島でタワーレコードが撤収した跡に出店したり、豊橋で新星堂が撤収した跡に出店したりと、空いたところにいっちょ噛みし続ける特殊チェーンですが、長岡市ではリバーサイド千秋から追い出されたと思ったら近所のイオン長岡に移転再オープンしたり、名古屋では施設ごと割とポンコツ化しつつあったアピタ緑から近所の小ぎれいなヒルズウォーク徳重に移転したり、割としぶといチェーンでもあります。

韓国雑貨も併売するという、玉光堂っぽい作戦もこらして、K-POP輸入盤とボーイズグループのまとめ買い需要を当てにして頑張っていくのだとは思いますが、正直頭おかしい。


そんな感じで。
今年はたぶんレンタルは決定的な状況になるような気がしていますが、CD販売はもう少し続いていくのではないかと思っています。新星堂以外。