浜田省吾@NHKホールのライブのこと

15日は浜田省吾@NHKホール。
「観られるうちに観ておけ」シリーズで初の浜省です。

彼を初めて聴いたのはセルフカバーアルバム「Sand Castle」だったはずで、それ以降「J.BOY」あたりまでは割と一生懸命聴いていたのですが、その後自分の波的に洋楽ブームが訪れてしまいまして、可処分所得的な関係上、以降はざっとなぞる程度になってしまった、という感じです。

チケットは取ってもらったのですが、今回のツアーはホール中心で、かつ首都圏はNHKホールの2DAYSのみだったのをばっつり当ててもらいました。
入場するまで席番がわからない仕様だったのですが、いざ入場すると1階で列名に「P」が入っている。
NHKホールで「P」が入っている列ということは、オーケストラピット部に設置された席ということで、つまりは最前付近。ホールでこれは、ありえんくらい近い。
ああ、勿体ない。ありがたい。

幕前はずっと「The Moonlight Cats Radio Show」シリーズのカバー曲。

いざ演奏が始まってみると、いい意味で「思ってたんと違う」感覚。
彼は「ロック」であることはわかっているのですが、生で触れた音の感触としては間違いなく「ロール」も付いている。
音源ではそんなロックンロール的な感触は感じたことなかったのに。これは思っていたよりすごく楽しいぞ。

当然ながらスローナンバーにも名曲が山盛りある方なので、それはそういう曲をまとめてかましてくるので、それはそれでたまらなくグッとくる。

というか、ヴォーカルの「全盛期の維持っぷり」は、さだまさしレベルです。
正直衰えている方は少なからずいらっしゃいますので、この衰えてなさはもうそれだけでありがたい。

合間にはベテラン勢ではもう当たり前の休憩時間があったのですが、他には一切なかった、ラジオDJ的な構成で初期楽曲等の音源を流すというホスピタリティ。

そして後半、またいかすロックンロールと痺れるバラード。
特に本編終盤の怒涛のどメジャー曲の連発といったら、もう。

MCも軽妙だし、町支さんのとの絡みも楽しい。
楽しげなやりとりを見ながら「今に至る『浜田省吾』とは、浜田省吾と町支寛二の2人によるユニットの名称ではなかろうか」とかぼんやり思ったり。

ここまでベテラン勢のライブをいろいろ観てきて、活動30年を越えて現在に至るまで一線の方々の凄さを目の当たりにしてきました。
その中でもたとえば井上陽水、玉置浩二あたりには「圧倒的な『個』の力」を食らったわけですが、今回の浜田省吾については「個」の力を中心としながらも、そこにバンドがよってたかってその力をえげつないレベルにまで持っていく、という素晴らしいチームプレイを見せてもらった感じです。

一点だけ気になる点を挙げるとすれば、後方スクリーンに投影される映像のモチーフとか構図とか質感の、どうしてもトゥーマッチに伝わってしまう「生成AI」感。
便利だし、これでステージがよりよいものになるのであれば使わない手はないのだけど、時々ものすごく気になって。

とはいえ、次回のツアーが始まる頃には生成AIの性能がさらに上がって、全く気にならないものになり、ぼやいている今の自分は何だったんだ状態になるのでしょう。

ライブも過渡期です。そういうの観るのも面白いかもしれない。

「ドームツアー」のこと

Bruno Marsが来年頭に「日本6大ドームツアー」を行うことを発表しました。

「6大ドームツアー」とは、日本に存在する「ライブ会場として使用できる屋根付き野球場」が、現在は6か所ということで、そのすべてを網羅するツアーということになります。

B'z等が、ドームツアーっぽいツアー日程に突然「秋田大館樹海ドーム」とか「グリーンドーム前橋」とかでの公演をぶっこんでいたりして、それはそれで割と面白いのですが、それらの会場は対象としません。

ただ、6つのドームの中でも札幌・東京・名古屋・大阪・福岡はいいのですが、問題は西武ドーム(現名称ベルーナドーム)。

東京ドームでライブを開催できるのであればあんまり積極的には選ばれない、首都圏という意味で言えば割と端の方、電車は特に帰りは地獄、密閉型ドームではないので夏は暑くて地獄で冬は寒くて地獄という、およそドーム球場の利点があまりない会場なので、「西武ドームでライブをしよう」という判断を行う場合、

  • スタジアムライブをしたいが、3万人は何とかなっても5万人以上の動員は無理っぽい
  • 「ドームツアー」を開催したいが、東京ドームがどうしても押さえられない

のいずれかの理由しか思いつきません。

しかも前者の理由が当てはまりそうなのは、ももいろクローバーZの最初の西武ドーム公演(2012年)だけしか思いつきません。

東京ドームは当然野球が最優先、コンサート以外のニーズもある。そして集客力がある人であれば複数日以上連続で公演できると圧倒的に収益が上がるわけで、強いミュージシャンならできるだけ多くの日程でやりたい。

しかし、みんながみんな欲しがりますし、過去実績も反映されていそうなので、新たに多くの枠を一挙に得ることは相当に困難な状況です。

そんな状況で、これまでに「6大ドームツアー」をBruno Mars以前に行った実績があるのは
・Mr. Children
・EXILE TRIBE
・BIG BANG
・三代目 J Soul Brothers
・EXILE ATSUSHI
・サザンオールスターズ
・AAA
・ONE OK ROCK
・Nissy(西島隆弘)
以上です。

LDH所属が多いのは、前述の状況を踏まえれば、ある程度説明が付きそうです。
多くのグループがドーム級のスターになったものの、どうしてもニーズにマッチするだけの東京ドーム公演日を押さえられず、その溢れた分を西武ドームに回すという方針。

というかLDHの「ドームツアー」日程はかなりの割合で「押さえられるドームを手当たり次第に押さえまくる」様相、比較的スマートなSTARTO社と比較すると、ものすごい必死感があります。
下記の一覧ではまとめているので可視化されていませんが、こんな日程だったりします。

三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2015 "BLUE PLANET"

5/27-28:福岡ヤフオク!ドーム
6/20-21:ナゴヤドーム
6/26-28:京セラドーム大阪
7/5:札幌ドーム
7/15-16:さいたまスーパーアリーナ
8/5-6:京セラドーム大阪
8/28-30:西武プリンスドーム
9/30-10/1:東京ドーム
10/14-15,10/17-18:京セラドーム大阪

押さえられた東京ドーム日程は2日間のみ。
それでは首都圏のニーズを賄いきれず、西武ドーム・さいたまスーパーアリーナを導入、そして「チケットが当選さえすれば会場がどこであろうとかまわない」系の強火のファンが一定層存在することを前提に、東京よりは押さえやすい京セラドーム大阪の日程を強化。
それでも連続では押さえられず、ひとつのツアーなのに3回大阪に訪れるという日程に。

効率とか一切踏まえていませんが、それでも「どうしても観たい」ファンからすれば御の字な日程、ということになります。


STARTO社も、他に比べれば古くからの実績があり、相当に多くの東京ドーム公演を行っていますが、それでもドーム級の集客ができるグループを多数擁していますから、それはそれで大変です。

STARTO社所属のグループで西武ドーム公演を行ったことがあるのは現状でKis-My-Ft2のみですが、その公演は2018年。

5/5-6:ナゴヤドーム
5/19-20:福岡ヤフオク!ドーム
6/15-17:東京ドーム
6/29-7/1:京セラドーム大阪
7/14-16:メットライフドーム

札幌ドーム公演がないが西武ドーム公演はある、変則型5大ドーム公演。
東京ドームは3日間のみ、西武ドームを千秋楽に配置する、少しでも行きたい気持ちにさせようというスケジュール。

2018年と言えば、夏に関ジャニ∞がベストアルバムに伴う5大ドームツアー、11月からは嵐が活動休止前最後、5大ドームで合計50公演という規模のツアーを開始しています。

それらを優先した結果、不足分を西武ドームで補ったという推測も可能です。

というか、STARTO ENTERTAINMENT社は、KinKi Kidsをはじめ、関西ジュニアから選抜したメンバーを濃い目の関西色のままでデビューさせていますが、最初からそういうつもりだったかどうかはともかく、現在そうしているのは「東京ドームを今以上に押さえることは困難なので、大阪ドームを『本拠地』と言えるグループをある程度以上の割合で持っておく必要がある」からではないかとも思ってしまいます。


もう一点、先刻のKis-My-Ft2のように札幌ドームはドームツアーでも割と忌避されることが多く、他のドームでは2日間開催でも札幌ドームは1日だけみたいなスケジュールが散見されますが、機材の運搬に他会場よりコストがかかるために他より忌避されやすく、更に商圏的にどうしても集客が難しいことから日程も短くなりがちです。

が、時折平気で他と同じ日数でぶっこんでくる場合があります。
例として、嵐の2017-2018年のツアー。

11/17-19:札幌ドーム
12/1-3:東京ドーム
12/8-10:福岡ヤフオク!ドーム
12/15-17:ナゴヤドーム
12/24-26:東京ドーム
01/12-14:京セラドーム大阪

東京ドームが2回合計で6日ありますが、それ以外は場所ごとのニーズを全く考慮していない各ドーム3日間のスケジュール。

後期の嵐は人気がえげつなかったため、「チケットが当選さえしてくれれれば会場はもうどこであろうと構わない」強火のファンが圧倒的に多数いますので、こういうスケジュール設定も可能になります。
まあ、そういう場合、地域のホテルが枯れがちですのでファンでない方も注意が必要です。私も食らったことが2回あります。

ということで、来年のBruno Marsの6大ドーム公演。

1/4-5:バンテリンドーム ナゴヤ
1/10-11:大和ハウス プレミストドーム(札幌)
1/15-16:ベルーナドーム(西武)
1/19-20:京セラドーム大阪
1/23-24:みずほPayPayドーム福岡
1/27-28:東京ドーム

まさに「チケットが当選さえすれば会場はどこであろうと構わない」、強火のファンが多数いることを前提にしたスケジュールです。

そして今回すごいと思ったのが「6大ドーム公演日程を1か月未満の期間にまとめた」こと。

他の方のドームツアーの日程詳細を確認するとよくわかりますが、とにかく調整が難しく、ひとつのドーム公演と次のドーム公演との間に1か月以上空くことがざらにあります。
それでも国内在住のミュージシャンならおうちに帰ればいいんですけど、海外ミュージシャンのワールドツアーとかではそういうわけにもいきません。

だから洋楽の来日ドーム公演は、ニーズはあっても東京と大阪で1回だけとか、東京のみで連続公演とかになりがちなのですが。

今回のBruno Mars来日での一番のファインプレーはライブネイションの日程調整担当者だと思います。

以上より、

  • 過去に東京ドーム公演の実績があまり多くない
  • 首都圏のニーズがそれなり以上に高い
  • 「チケットが当選すればどこであろうと行きたい」強火のファンが多い

という状況が揃った場合、今後も「6大ドームツアー」が開催されることになるのかと思います。


以下、2大ドームツアー以上の一覧をスプレッドシートで公開します。

  • 抜け漏れご容赦。
  • 東京と大阪の過去スケを舐める形で作成したので、「西武と名古屋と福岡だけで開催」とかがもしあったら確実に見落としています。
  • 単体のドーム公演、ひとつだけドームを含んだツアーはは対象外。2ドーム以上を回ったものを対象としています。
  • 括りは年ではなく「発表されたひとつのライブツアースケジュール」基準
  • 冒頭の年表記は「ツアー開始して最初のドーム公演日」
  • 1回のツアーのスケジュールの中で実際に公演を行ったドーム
  • 追加公演も含む
  • 台風やコロナでの中止分は回数には入れず
  • 「札2」の2は「札幌ドームではそのツアーで2回公演を行った」
  • 旧ジャニーズ系等でかつて行っていた「1日2公演」は「2」でカウント
  • 後ろから2番目の数字は「そのツアーで回ったドーム数」
  • 最後の数字は「そのツアーでの全ドームの公演数」
  • 各行末尾に「*」が付いているのは「ドームのみでなく、他の会場での公演も含んだツアー」である印
  • マス内に「-」が入っているのは「他の会場での公演」に、「東京ドームではなく神宮球場」とか「ナゴヤドームではなく日本ガイシホール」とか、そのドームに近接した別会場での公演がある印。

「ドームツアー一覧(2026/07)」

「一番大規模なドームツアーは2018-2019年の嵐(5ドーム合計50公演)」とか「一番「定期的に」行われたドームツアーはKinKi Kidsの年末」とか「一番間が空いて複数回行われたドームツアーはGLAY」とか、適当に探して遊ぶと暇つぶしにはなります。

BARBEE BOYS 4PEACE@ZEPP HANEDAのライブのこと

15日はBARBEE BOYS 4PEACE@ZEPP HANEDA。

ドラムス小沼氏は、解散期間中にオフィス・オーガスタのスタッフとなって2020年の代々木第一体育館でのライブを最後に勇退し、現在出版部門のトップ。
KONTAは不慮の事故で四肢麻痺。

結果4人がおよそ横に並び、イマサはギター、エンリケはベースを座って弾き、KONTAは車椅子に、杏子は椅子に座って歌うという「4PEACE」のスタイルで活動を再開した、というライブです。

BARBEE BOYSについて書く時は毎回言っていますが、彼らくらい過小評価されているバンドはそうそういないと思っています。が、その理由もわかります。「フォロワーが皆無だった」からです。

エロスとユーモアを多分に含んだ男女の機微を、どこか洒落感まで漂うポップネスに満ちた楽曲と演奏に乗せ、美男美女のツインヴォーカルが代わる代わる歌うという奇跡的な組み合わせ。

普通に暮らしていたらそんなバンド組めるはずもないというか、似たようなことをやっている人たちすら、古今東西パーマネントなバンドではほとんど見当たらないレベルの唯一無二っぷり。
思う限り一番近かったのはN'夙川BOYSでしょうか。カバーもしてるし。
東京事変もカバーはしていますが、それは変則的。

女性Vo.バンドが日本で世間に広く認知されるきっかけになったのはREBECCAですが、BARBEE BOYSと同じ1984年のデビュー。
女性Vo.バンドはその後爆発的に増加していくことになりますが、やっぱりBARBEEみたいのは出てこないので。出てくるわけがない。


で、ライブ。
そりゃドラムがいないわけですから、バンドサウンド的には正直物足りない。
ですが、その分ギターとベースの音が恐ろしいくらいシャープになっていて、「演奏を聴く」という意味では全く問題ないというか、これはこれでものすごいことになっています。

ドラムレスでも、弦が唸りまくっていることはバキバキに伝わる、そういう演奏の結果、「ふしだらvsよこしま」「プリティドール」といった、彼らのディスコグラフィーの中では大変に地味な1stアルバムの、その中でも地味だった2曲がこのスタイルでは抜群にカッコよく聴こえるのがすごい。
きっとバンドの方も、この相性を見つけた時嬉しかったに違いない。

KONTAは発声しようというタイミングで少し首を後ろに倒してから歌っていて、これは多分今の体の状況で、一番声が出るスタイルを探った結果なんだろうと思います。
結果ほぼ変わらない爆発的なヴォーカル。かっこいい。

杏子も他メンバーと頭の位置を合わせるように座っての歌唱でしたが、座りながらでもスカートの裾をフリフリしていて大変に相変わらず。

01.あいさつはいつでも
02.三日月の憂鬱
03.ふしだらVSよこしま
04.プリティドール
05.暗闇でDANCE
06.Dear わがままエイリアン
07.泣いたままでlisten to me
08.冗談じゃない
(休憩)
09.女ぎつね on the Run
10.あいまいtension
11.勇み足サミー
12.打ち上げ花火
13.norma jean<reprise>~ノーマジーン
14.目を閉じておいでよ
15.わぁい わぁい わい
16.なんだったんだ?7days

EN.チャンス到来

5人バンド時代とどっちがいいと問われれば、そりゃ5人の方がいい。
でもそれがもう如何ともし難くなった今、できることをこんなに磨いてやってくれるのであれば、もう観る側としては何も言うことないです。

フォロワー的存在が皆無のバンドです。彼らの歌を歌えるのは彼らだけなのですから、活動し続けるという判断をして、生み出した曲を奏で続けてくれるだけで本当に御の字で。

次回12月にまたやってくれるということなので、このスタイルに合った別の曲をガンガンかましてほしいです。「各アルバムのラスト曲」縛りとかどうだろう。
このスタイルの「ダメージ」とか「ラサーラ」聴きたいです。

首都圏と名古屋圏のライブ会場のこと

27日、渋谷にバンダイナムコが運営する新しいライブハウス「Shibuya LOVEZ」が開業するというニュース

こんな場所によく2,000人キャパの箱を作れたなあと思いましたが、確認してみると確かに長年に渡って割と広めの駐車場だったエリアで、割とこの前の道を通ったこともある。駐車場だった。

他にも今年の首都圏ライブ会場については、
・昨年閉店した新宿BLAZEが五反田で再始動
・5,000人規模のSGCホール有明オープン
・渋谷のTAKE OFF 7がPITに模様替え
等の動きがあるわけですが、ざっと首都圏のここ3年の新規オープン。

2023/04/17:Zepp Shinjuku(1,500)
2023/09/29:Kアリーナ横浜(20,033)
2023/10/15:SUPERNOVA KAWASAKI(500)
2024/04/06:横浜BUNTAI(5,000)
2024/05/29:LaLa arena TOKYO-BAY(11,000)
2024/06/10:GT LIVE TOKYO(180)
2025/02/01:SHIBUYA FOWS(200)
2025/02/14:渋谷音楽堂(430)
2025/09/18:MY LIVE(400)
2025/09/23:ENSQUARE LIVE HALL(150)
2025/10/03:TOYOTA ARENA TOKYO(10,000)
2026/02/23:JET ACTION(200)
2026/02/26:BLAZE GOTANDA(500)
2026/03/01:大塚FUTURE:(300)
2026/03/27:SGCホール有明(5,306)
2026/06/17:Shibuya PIT ZERO(250)
2026/06/27:Shibuya LOVEZ(2,026)

2019年頃からのみなとみらいの大箱「ぴあアリーナMM」「Kアリーナ横浜」の連続オープンやZeppの増殖に加えて、近年のBリーグの会場兼用の大箱を含むオープンで、首都圏のライブ会場不足問題は一時期より相当緩和はされてきているのではないかと思いますが、CD売れなくなったこともあって興行の全体数も増え続けているので、現状どの程度なのかはよくわかりません。

みなとみらいのKアリーナ横浜は、一時期退場が地獄とかいう話もありましたが、何とか横浜駅から直結の橋も完成しまして。
そもそも「音楽専用会場」として20,000人というキャパはやはりエグいです。

この次に大きい音楽専用会場は東京ガーデンシアターで8,000人、ここも2019年オープンなので、それ以前だったら国際フォーラムホールAの5,000人が最大ですから、どんだけ環境よくなったのって話です。

逆にそっちの環境がよくなってくると、ステージから照明用のバトンから建て込みの手間がかかる割に人数が入れられない、大規模以下の汎用アリーナ系の会場はより一層キツいです。

代々木第二体育館や東京体育館がまさにそんな感じの会場で、代々木第二体育館の場合、ライブ仕様にすると5,000人に満たないレベルのはずですので、最近の状況を見るとライブはあっても年に数回程度。
グッズがよく売れそうなアイドル・V系・YouTuber系中心で、それも2DAYSにしてVIP席を設置して規模や単価を上げることで収支を整えようとしている感が強い興行が多めです。

昨年夏のチョコレートプラネットの20周年「CHOCO FES」のチケット代とか相当強気なのですが、それでも余裕で完売しているので人気者はすごい。

チケットの値付けは一昔前と比べると、こんな感じにVIP席で2桁万円とか相当にダイナミックに設定できるようになりましたので、今後この2会場のスケジュールの埋まりっぷりが、「不足」のバロメーターになってきそうな気がします。


一方、最近会場不足のせいでライブがなかなか設定できないが故に「名古屋飛ばし」と言われていた名古屋地域。
元々の「名古屋飛ばし」というフレーズは、東海道新幹線に「のぞみ」が初めて登場した際に名古屋駅を通過扱いする列車が設定されたことで生まれたことは存じております。鉄オタだもの。

ライブの「名古屋飛ばし」としては、自分が四日市市在住時期の1988年、The Woodentopsの来日公演が東阪のみで名古屋公演が設定されず、泣きそうになったことを覚えています。

ただ、あの頃は会場がないというより、東海圏域のライブは「めちゃくちゃ流行っている人」と「ハードロック/ヘヴィメタル」以外は完売することがあまり多くなかったため、「止むを得ない」という気持ちもありました。

実際、アルバム「Once Upon a Time」が世界的に大ヒットして盛り上がっていた当時のSimple Mindsの名古屋公演を鶴舞の名古屋公会堂に観に行って、寒々しいにも程がある地獄のような客入り状況に、いたたまれない心地で耐えていたことを覚えています。

今は相当そういう状況も変わってきてはいるでしょうが、近年は本当にやりたくても会場がなかったということは事実。

たとえば2025年以前に存在した、名古屋市内または近郊にある2,000人規模以上のライブ会場は、

・ナゴヤドーム(49,427)
・豊田スタジアム(44,380)
・ポートメッセなごや(15,000)
・AICHI SKY EXPO(約10,000)
・日本ガイシホール(10,000)
・センチュリーホール(3,012)
・愛知県芸術劇場大ホール(2,480)
・日本特殊陶業市民会館フォレストホール(2,290)
・Zepp Nagoya(1,864)

そして、上記のうち日本ガイシホールとセンチュリーホールは改修のため年単位で休業。確かに足りないような気がします。

が、昨年になって
・IGアリーナ(17,000)
・COMTEC PORTBASE(2,244)
という、大箱とちょうどいい感じのとが新規オープンし、さらに今年になって日本ガイシホールが改装完了したことで、今後だいぶ緩和されるようになるのではないでしょうか。

日本武道館公演が「特別公演」的な位置づけが多く、通常の全国ツアーの一環に組み込まれることが少ないのは、日本武道館の予約ルールが首都圏の他ライブ会場を押さえる通常の流れとかなり異なっているから、と言われていますが、名古屋圏の会場も他地域と異なる部分があってそこの調整も大変だという話を聞きます。

そこももう少しうまく動けるようになれば、完全に「名古屋飛ばし」的状況は払拭されるのではないでしょうか。

というか名古屋圏の大箱、日本ガイシホールは笠寺で東海道線、ポートメッセはあおなみ線、IGアリーナは名城公園で地下鉄の他にも多少歩けば名鉄で犬山方面にも瀬戸方面にも向かえるという、会場ごとに路線も違っているのがすごくいい。

首都圏は、有明とみなとみらいは近隣大箱でのライブが被ると大概ですし、海浜幕張なんか今ですら割と無茶な状況がしばしば発生するのに、さらに「日本最大級」のが新たにできるので、これ一体どうするんだ。

OF MONSTERS AND MENの来日公演@Zepp Shinjukuのこと

5月27日は、OF MONSTERS AND MENの来日公演@Zepp Shinjuku。

約6年半待ちました。

当初、来日公演は2020年1月に設定されていて、楽しみに待っていたところメンバーの体調不良とのことで延期発表。
止むを得ないと思っていたらその直後からコロナ禍突入し、3月には延期が撤回されて正式に中止。

そこからやっとです。

アイスランド第3の刺客というか、bjorkやSigur Rosが「考えるな、感じろ」的独特のサウンドとして世界的な存在になっている今、比較的セオリーに則ったバンドサウンドでもって、でもやっぱりどこかにアイスランドっぽさも携えたまま、世界的に知られるようになったバンドです。

昨年リリースされた4枚目のアルバムは、全体的に弾ける感じはないものの、大変に滋味深い感じでそれはそれで大変によろしかったので、大変楽しみにしていました。

幕前は、Khruangbinとかの「さもありなん」な曲もありつつ、アイスランドやスウェーデン等北欧のバンド系多め。もう開始前から雰囲気を作りにかかってきます。

バンドは5人組
・Vo、G、Keyの女性
・Vo、Gの男性
・Gの男性
・Bの男性
・Drの男性
ですが、それに加えてサポートに
・Keyの男性
・KeyだったりGだったり、たまにカホン叩いたりもする男性
以上の7人組。

01.Television Love
02.Dream Team
03.King And Lionheart
04.Tuna in a Can
05.Towering Skyscraper
06.Human
07.Styrofoam Cathedral
08.Alligator
09.The Actor
10.The Block
11.Mouse Parade
12.Dirty Paws
13.Crystals
14.Ordinary Creature
15.Little Talks
16.Visitor

EN1.The End
EN2.Fruit Bat

果たして、バッキバキの演奏技術をこれもんで見せつけるような感じもなく、元曲のレンジをさらに強調して「すごいサウンドスケープ」的に聴かせるでもなく、割合「普通」。

でも「普通」ではあるんだけど、楽曲の足腰の強さであるとか、バッキバキではなくともものすごくよいい演奏であるとかで、全体的に大変に聴いていて気持ちいい。

ただ、元々男女ツイン・ヴォーカルのバンドという認識でいたのが、「歌」はNanna嬢の方がほぼ全体をコントロールしているのが面白くて。
ヴォーカルもべらぼうに歌い上げるとかでもないのですが、とても耳心地良く、存在感のある声が演奏のちょうどいいところに乗っかって、これも大変に聴いていて気持ちいい。

それが徐々に熱を帯びて、最後の方になってくるとエモーションの塊みたいになってきて、こっちも「あー!!」ってなったら終わった、そういう感じです。

ものすごく尖っていたり、奇をてらったところは何もない、すごく他人に伝えにくいライブではあるのですが、それでも恐ろしいほどの底力を持ったバンドが実力を見せつけた、素晴らしいライブでありました。

唯一もにょもにょしたのが、ニューアルバムに「Kamikaze」という曲が収録されているのですが、そのタイトルを実際歌っているところは「カミカジ」にしか聴こえず、まあそれはKaraokeを発音すると「カリオキ」になるのと一緒のようなもんだなと思いつつ、来日公演ではどう対処するのかしないのか、と思っていたら、そもそも演らなかったことです。

韓国の伝統芸能ベースのバンドのこと

韓国と言えばK-POPですが、日本の音楽がJ-POPとアイドルだけではないように、その他音楽も当然あるわけで。なかなか既存メディアで紹介されることは少ないけれど。

バンドシーンだったら、Wave to earthとかSilica GelとかCADEJOとか魅力的なバンドもいるし、アイドルでも所謂「K-POP」のような絞り込まれビルドアップされた感じではない、日本的なアイドルグループのシーンもあります。



また、日本の演歌から派生したと言われ、K-POP以前には韓国の大衆音楽の主流だったトロットも、K-POPが勃興して以降下火が続いていたのですが、最近はオーディション番組等によって再評価され、若手の歌手も続々デビューして活躍している模様。


で、先日タイムラインに流れてきたのがOBSG(オバンシングァ)というバンド。
これが死ぬほどかっこよくて。

この旋律の特徴が何だと調べたら、京畿民謡だということで。バックにチープなシンセ音も入っていることもあり、トロットやポンチャック的な匂いも微妙にさせつつ、様々な音楽を交雑させていく感じがやたらかっこいい。キャラも異常なレベルで立っているし。


そして関連から探っていってもう1組心動いたのががLEENALCHI(イナルチ)。
こっちの元はパンソリ。打楽器に合わせて行う口述詩で、日本で言えば何に近いのだろう、琵琶語りか、講談か。ただ「声」の技術としてはかなり緻密っぽい。

パンソリは、詩に寄り添うのが打楽器なことが特徴なわけですが、そのリズムを猛烈に強化・モダナイズしたのがLEENALCHI、と言えばいいか。
ただただ、音楽としてかっこいい。

で、これらの2バンドもそうだし、ソウル五輪の開会式でも披露されていたサムルノリもそうなのですが、韓国は新たなアイデアを乗せて伝統芸能をアップデートしていく方向の動きが多いのかと思いました。

日本では、伝統楽器の拡張という側面では、和楽器バンドや吉田兄弟がいたりしますが、伝統音楽をそのジャンルごとモダナイズさせていこうという試みを行っているのは、知っている限り民謡クルセイダーズくらいでしょうか。
芸能山城組や鼓童の手法はモダナイズと言っていいのか。芸能山城組なんかケチャやガムランや更に他の国の民謡まで手を出しているので、唯一無二ですが、置き場所がない。

というか、東儀秀樹がバンドをバックにQUEENを篳篥で吹いたり、伝統芸能と呼んでいいのかわかりませんが、森高千里が演歌っぽい曲を自作してそれを城之内早苗がカバーしたり、音楽ではないですが歌舞伎の題目にONE PIECEやナウシカをぶち込んだり、韓国とは逆に「モダンなものを既存のフォーマットに取り込んでいく」形が日本では多いのかな、と思ったり。

韓国おもしろい。
でもずっと好きな日本以外のアジアのバンドは台湾のTIZZY BACです。

メジャーチェーンのCD店の店舗数を数えてみたこと(2026)

以前、思い付いたらやっていた「CD販売チェーンの店舗数の推移」、気が付いたら2021年からずっと放置していました。
せっかくなので、過去分も全部掘り起こして数値を並べてみたところ、割と面白かったので、そのまま掲載します。

■TSUTAYA(CD販売取扱店)
2011:940
2012:924
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1449
2013:882
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1436
2014:851
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1411
2016:829
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1389
2021:675
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1061
2026:314
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は651

この5年の間、年間100店舗以上閉店することも多く、さもありなんという感じです。
ただ、ここまでの体感として「CD販売は残してもCDレンタルをやめる、という店の方が多いんじゃないのか」と思いましたので「CDレンタル取扱店舗」を検索したところ、255でした。
やはりそんなもんです。

で、今後は店舗型サービスとしてSHARE LOUNGEを積極的に展開していくというようなことをCCCの方が仰っていたような気もするのですが、現在のところSHARE LOUNGE設置店舗は49。それも三井住友銀行と提携してOlive LOUNGEに併設したSHARE LOUNGEも含めての数。

正味、フランチャイジーが地方のロードサイド型店舗をSHARE LOUNGEにしても、どれだけ需要あるんかとは正直思います。


■GEO(CD販売取扱店)
2011:981
2012:1063
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1127
2013:1106
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1192
2014:1096
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1218
2016:836
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1167
2021:622
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1132
2026:不明(検索条件に「CD販売」がない)
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1009

検索に「CD販売」のチェックボックスが消えているという非常事態。
正直「もうそこには力入れておりません」という宣言にも等しいかと思います。

確かに他のCD販売チェーンは、それなりにイベントとかを開催して、CDの「推し活」による需要にアジャストしていこうという動きがありますが、ゲオのそういう動きは無に等しいので、そういうことなのでしょう。

「CDレンタル」はまだチェックボックスあったので、そっちを確認したら376。
TSUTAYAと併せて考えても、恐らく今年中に「日本のCDレンタル取扱店」は、500切ると思います。

で、ゲオは会社としては現状で完全にセカストに主軸を置いているわけですが、既存のゲオ店舗は閉店しなくても気が付いたらレンタルやめていて、黄色い看板の「ゲオ」ではなく、黄緑の看板の「ゲオモバイル」になっていたりするので、油断ができません。

また最近は「ゲオデジタルベース」というデジタルガジェットとソフトに絞った新業態に移行するパターンも出てきましたので、ますます油断できません。


■BOOKOFF(中古CD販売取扱店)
2011:955
2012:925
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は961
2013:917
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は948
2014:844
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は872
2016:819
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は849
2021:747
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は769
2026:704
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は779

さすがにTSUTAYAやゲオほどの減少幅ではないですし、BOOKOFFの場合は近隣にある複数の小型店舗を移転統合してひとつの大型店舗にするという動きが現在も活発ですので、店舗数は減っていても店舗の床面積はさほど減っていないものと思われます。

ただ、ブックオフについてもCD取扱は縮小されているところが多いです。
多数扱っている時には邦楽CDを割と細かくジャンル分けしていた店が、別々に並べていた「J-POP」と「80年代」と「70年代以前」をまとめて、そうやって圧縮したうえでその空いたスペースでアナログの取扱を開始したりしています。
正味「ヴィジュアル系」のコーナーがある店舗はかなり希少になりつつあります。

また、この3月に東京都立川市に存在していたBOOKOFF 立川栄店が「BOOKOFF FASHION 立川栄店」という新業態で再オープンしました。
立地的に放出したくはないがSUPER BAZAAR業態にするには床面積が狭すぎる、みたいな感じなのかもしれませんが、アパレル系に絞り込んだお店です。

これも今後、こっそり業転する店舗が出てきたりしないか、自分としては怖いです。


■Village Vanguard(New Style、DINER等は除く)
2011:326
2012:352
2013:358
2014:334
2016:333
2021:286
2026:248

2025年7月に「3割閉店」を宣言し、その宣言通り恐ろしいほど着々と閉めているヴィレヴァン。名古屋市天白区の本店すらこの5月末日に閉店予定(これは一応「老朽化」のための閉店ということですが)。

岡崎や京都・新京極、高知の路面店も閉店の予定に連なり、これで残る路面店は東京の下北沢と高円寺だけになるのではないかと思います。
これ、突然の雨漏りや店舗の修繕が必要な事態が発生して、急に雑損失が発生することが恐ろしいくらいに経営がしんどいのではないかなあ、とも思います。


■タワーレコード(VINYL含む)
2010:83
2011:87
2012:85
2013:84
2014:84
2016:80
2021:74
2026:69

「TOWER RECORDS mini」業態の店舗を2年で3店舗オープンさせていますが、その期間には枚方樟葉、苫小牧、イオン倉敷、鷲宮、武蔵小杉、名古屋駅パッセと、閉店も割と多めでした。
必要ならば新規出店もするが、使えねえなら潰すという、シンプルな推移になっていますが、割とキープしているのではないかと正直思います。

で、現在のタワレコのCD販売は、会場イベントを伴った販売に強みを持っていますので、その都市圏の商業的な拠点になりえない、なっていても人口規模の弱い店舗はこれからも死んでいく、ということにもなるのではないか、と思います。


■HMV(record shop等含む)
2010:37
2011:31
2012:43
2013:51
2014:51
2016:53
2021:57
2026:49

2008年には67店舗ありまして、渋谷店も潰れた2010年頃は本当にヤバかったのですが、その後ローソン傘下に入ったことで踏み止まり、その直後タワーレコードの筆頭株主がセブン&アイになったことで、敵対するイオンモールに入っていたタワレコが続々HMVに鞍替えするというラッキーもあって(途中で筆頭ではなくなって鞍替えも停止)、その後は割と安定している感じです。


■新星堂
2010:159
2011:157
2012:140
2013:128
2014:134
2016:120
2021:58
2026:21

1980年代あたりは300店舗レベルの店舗網を誇った日本一のチェーンだったのが、2010年以降も着々と減らして本当に存続の危機。

外資系のチェーンに持っていかれたというよりは、元々駅近のジャスコやらヨーカドーやらダイエーそのものが大店法廃止以降にできた郊外型大規模ショッピングモールにやられてしまい、下手に店舗網を持っていただけに新しいモールへの展開が遅れ、結果としてダイエーとかと一緒に弱っていった、と言った方がより正確かと思います。

中央線沿線で創業し、一時は荻窪に本社がありましたが、茨城県のスーパーの子会社になり、その後ライザップの子会社になり、現在の本社は土浦市。
茨城県のスーパーの子会社になった時は、本社が荻窪からつくば市の郊外になったのですが、それを聞いた時の本社スタッフの方々の気持ちを慮ると、他人事ながら胃が痛くなります。


■山野楽器(CD販売店のみ)
2010:31
2011:30
2012:30
2013:32
2014:31
2016:31
2021:23
2026:13

銀座本店は現存する最古の「音源(レコード)の販売店」だったのですが、2024年7月でCD販売をやめてしまいました。
元々戦後の首都圏のデパートに支店を出しまくることでレコード販売店としての店舗網を伸ばしていったのですが、百貨店自体がシオシオになっていったことでシュリンクしていくというパターン。現状で百貨店に残っているのは、大宮そごう、川越丸広、入間丸広の3店舗のみ。
また、東京近郊の主要駅の駅ビルにも多く入っていましたが、それも徐々に減らしていって16年で半減以下。
楽器や教室の稼業もありますが、そっちをバリバリ伸ばしている感じもなく、正味あんまりよろしくない状況ではないか、と思っています。


■玉光堂
2010:25
2012:26
2013:26
2014:26
2016:22
2021:17
2026:12

■バンダレコード
2010:11
2012:16
2013:16
2014:19
2016:26
2021:30
2026:17

■イケヤ
2010:16
2012:12
2013:12
2014:11
2016:7
2021:4
2026:4

「玉光堂」「バンダレコード」「イケヤ」は現在すべて株式会社玉光堂の運営(長野県松本市のライオン堂も)。
バンダレコードが玉光堂傘下に入ったのは2011年、イケヤが同じく傘下に入ったのは2018年。
それまでずっと玉光堂は北海道内に留まっていまして、バンダレコードを傘下に収めたことで結果として道外に出たことになったわけですが、その後何故か道外に新規で出店する店舗に「玉光堂」の看板を架ける試みを開始します。
そのうち現存しているのはイオンモール奈良登美ヶ丘の店舗。言うても新星堂が撤退した跡に入った店ですが。

バンダレコードは埼玉は所沢を本拠地にし、2000年代に所沢の路面にあった本店を畳みつつもWAVEや新星堂の跡地に入る形を中心に店舗網を増やしていきますが、いうてもそれは「残り滓」であり、単独では生き残れなくなった形。

イケヤは静岡の書籍も併売する総合書店も持っていたローカルチェーンですが、CCCと提携して生き残りを図ったもののうまくいかず、書籍部門は明屋書店、CD販売部門は玉光堂に身を預けるという形、本当にしんどそうに存続を図っています。

で、新星堂がガンガン店を減らした結果、現在玉光堂グループは、TSUTAYA、タワレコ、HMVに次いで日本で4番目の店舗網を持つCD販売チェーン、ということになります。


■ミヤコ
2010:10
2012:9
2013:8
2014:9
2016:8
2021:1
2026:1

かつては関西CD販売チェーンの雄が、現在は伊丹昆陽のイオンに入る一店舗のみ。
正味これもいつ力尽きるかと思いつつ見ていましたが、割合しぶとく頑張っています。


■JEUGIA(CD販売店のみ)
2010:12
2012:9
2013:8
2014:6
2016:6
2021:5
2026:5

こちらは既にカルチャー講座を含む教室事業をメイン業態としていますので、正直CD販売は二の次三の次状態。

それでも四条烏丸の[Basic.] の地下アナログ売り場は、いつも外国人でわちゃわちゃしていたり、押さえるところは押さえています。

山野楽器本店がCD販売をやめた今、三条本店が「日本最古の『昔から同じ場所で音源を売り続けている店舗』」のはず。


■BIG
2010:34
2012:29
2013:29
2014:24
2016:26
2021:9
2026:0

2025年1月末日をもって全店閉鎖とあいなりました。
「販売店が減ると卸が困るので、卸主導で店舗展開を行った」事例で、一時はすごい勢いで潰れる店舗の跡地にすごい勢いで居抜きでオープンさせていったのですが、元々潰れる店舗だったので、半年ももたずにBIGの方も潰れたりしていたのに加え、2017年あたり極小になってきた、という根本的な事態に直面。
そこから先はもう為す術もなく店舗網を減らしていっての現状、ということです。

公式サイトではなかなか閉店情報を出さないまま閉店していったので、自分としては大変厄介だったのですが、全店閉鎖後こういうメッセージを出す会社もあまりなく、ちょっと泣けます。


■We's
2012:13
2013:10
2014:11
2016:13
2021:10
2026:10

BIGとは別の「販売店が減ると卸が困るので、卸主導で店舗展開を行った」タイプ。
しかし一時からほとんど新店舗を出さなくなり、しかしほとんど閉店もしなくなり、地道に商売できている謎。
新潟県長岡市の大きなショッピングモールから追い出されたと思ったら、近所の古いイオンに店を出したり、元々古い郊外型アピタにあった店舗を畳んだと思ったら、近所の地下鉄駅直結の新しめのショッピングモールに移転したり、何かフットワークが軽いのも謎。


そんな感じです。
BIGは死んだし、新星堂も大変なことになっていますが、それでも2021年から考えると「よくぞここまで残っている」と言う方がむしろ正解だと思っています。

ただ、TSUTAYAもゲオも「CD販売」の場としてはいよいよ終わりに差し掛かっていますし、タワレコが最高益を上げたその原動力となったイベント連動型の販売手法を、小さなチェーンが同じような強度や頻度でできるはずもなく、いよいよ最終局面には入りつつある気はします。

宙也と町田康の対バン@下北沢のこと

10日は、友からの浮いたチケットのトスを受け、下北沢CLUB CUEで「LOVE 69 SYMATHIZER Vol.6」という企画ライブへ。

ざっくり言うと、35年前に交わっていた2バンド、アレルギーの宙也とINUの町田町蔵の、それぞれ今のバンドの対バン的なヤツ。

一発目はそのどっちでもない首振りdollsから。
一時期メジャーデビューしてた頃に、何かで音源を聴いたくらいだけど、ライブよかった。
メイク&割と凝った衣装等、ヴィジュアル系に放り込んでもいい風体にして、ゴリゴリ&ドカドカのクドくてナイスな演奏。
まあ、「ヴィジュアル系」はそういうバンド同士で対バンしたりして、バンギャの皆様に認知される必要があるので。


二発目。マチダ地蔵尊。
町田康と中村JIZO敬治を中心にしたバンド。
ベースがグレッチでやたら目立つのを「すげえ」と思いながら見てたのですが、よく見たらドラムは、スネア・桶胴太鼓・和太鼓が並んでいて頭おかしいし、その演奏もどうかしてる。

町田康の「輩」感もキレキレだし、それで紡ぎ出す言葉もキレキレだし、「長崎は今日も雨だった」のカバーもキレキレだし、かといって無理して尖ろうとしている感も全くない、要するに18歳の頃からずっとやってきたであろう、そういう町田康。

宙也とは「19からの音楽仲間」であり「断酒仲間」であり「猫仲間」だそうです。


三発目。極東ファロスキッカー。
宙也と、De-LAXのギターの秀樹と、女性B.と女性Dr.。
宙也は全くもっていつも通りの宙也なのですが、そのリズム隊がまずエグい。異常なレベルで硬質なビート&グルーヴを叩き出す。

秀樹の書くメロディは歌謡曲に突っ込んだ感じの甘い感じのが多いし、宙也の声は粘度が高いわけですが、それがそういう硬いビートに乗っかることで、全体としてものすごくいい感じになる。
さすが一回セッションして速攻結成されたバンドだけあります。


3バンドとも違う方向に大変によい、素敵3マンでした。

で、終わった後はいつも通りあずま通り商店街に入り、中華食ってバーでハイボール飲んで終電で帰宅。
見た目は随分変わったけれど、下北沢は昔も今も楽しいです。

映画「ストリート・キングダム」のこと

映画「ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。」観ました。

原作は未読。
「東京ロッカーズ」にはまるで間に合わず、かつ地方在住。
登場バンドで生で触れたことがあるのはメジャーデビュー後のJAGATARAと、ワールドミュージック系サウンド移行後のZELDAのみ、というスペックで。

映画としての純粋な感想は、「傑作!」というほど映画表現として、もしくは物語として優れていたかというと、それほどでもなかったのかなと思いました。

それでもすごく丁寧に作られているのはセットや衣装を見ればわかるし、そもそも薄らぼんやりとしか捉えられていなかった「東京ロッカーズ」を、フィクションを借りた形ではあっても全体像を把握できたのはとてもよかったし、それをこういう物語として残る形で紡いだ、という事実だけでも、すごく意味のある映画だと思いました。

細かいところでは、小滝橋LOFT周辺の再現度が容赦ないレベルだなあとか、ミュージシャンの役を純粋な役者で固め、非ミュージシャン役に峯田・浜野謙太・渡辺大知というミュージシャン兼業を多く持ってきたのは面白いなあ、とか。


ただ、気になった点が2点。

ひとつはZELDA(ロボトメイア)の扱い。
映画の副題「自分の音を鳴らせ」は、映画全体を貫くメッセージであり、売れることと「自分の音」の間で揺れているバンドをずっと作中で描いていたわけですが、映画に登場した全バンドの中で最も「売れること」と「自分の音」とのバランスを取りながら長きにわたってしたたかに活動できたバンドは、史実としては間違いなくZELDAであり。

しかし映画の中ではヒロインの彼女もバンドやってみましたレベルの扱いで。
まあ、映画のストーリーにそういうリアルの部分をダイレクトにぶち込んだら、本編が歪むレベルで恐ろしく皮肉なことにもなりそうではありますが、もう少しでも「東京ロッカーズ以降」を描く中に差し込んでほしかったです。


ふたつめは作中での楽曲「もうがまんできない」の使い方。
正直あの演出にはものすごく違和感を持ちまして、パンフレット買って読んでみたらトモロヲさん自身がこの曲を「ポジティブ」と評している文言があり、「これは曲に対する認識が根本的に違うのだ」と思いまして。

私は10代の頃に「もうがまんできない」に初めて出くわして以降ずっと、この曲は「追い詰められて、でも自分の力ではどうにも状況を変えられない人間の断末魔」だと思っています。
自分の中でずっと、生半可に触れてはいけない曲です。

そうでなければ「それがちょっとの搾取ならば」の部分がああいう歌や演奏にならないし、そもそもこの曲名になっていないと思うので。

だから、自分の中で曲に対するそういう意固地さがもう少し薄ければ、もっと気持ちよく観られたであろうなあとは、思います。

でも、全体として「観てよかった」と素直に思える映画ではありました。

観た友人たちと呑んで話しても捉え方は様々で、SNSでもかなり賛否両論なのが面白い。
登場するバンドやミュージシャンをどう捉えるのかの角度、あの時代への思い入れや解像度、クドカンにフォーカスするのか、トモロヲにフォーカスするのか。

個々で見え方が相当違ってくる映画だと思います。
すごくいいことじゃないかと。


「今の峯田が31歳の役はさすがに無理があるだろう」説については、31歳の時の峯田は絶対に「ちゃんとして」見えないので、まあこれでもいいんじゃないかと思う派です。

久保田利伸@代々木第一体育館のライブのこと

29日は久保田利伸@代々木第一体育館。
40周年ツアーの東京公演。

何となく観たいとずっと思っていたところに友人からチケット浮いたとの報。そりゃ乗っかる。

代々木体育館に入ると夥しい数の花。ミュージシャン各氏はもちろん、ファンであることを公言し番組での共演もあるサンドウィッチマンや、CMで曲を使っているサントリーや、WBSのエンディングで曲を使用していたテレビ東京ミュージック等もあって面白いのですが、どうしても岩下志麻さんとの関連がわからない。

調べてみたら1994年に彼女が主演したドラマの主題歌を担当していたとのことですが、その繋がりだとすればその義理堅さよ。

代々木第一体育館と言えば、席がハズレだった時のハズレっぷりが他にないレベルでハズレなので、そこは少しドキドキしていたのですが、南スタンド1階の中ほどということで一安心。昔、OASISを観た時はアリーナの後ろから3列目という、ビジョンすら豆粒状態の席だったので、ほっとします。

開演時刻の10分程前から、バンドメンバーでもあるDJ DAISHIZENによるDJであっためにかかりますが、まあこれすごい。
頭からいきなりD'Angeloの「Brown Sugar」ぶっこみながら、The MetersからArrested Development。「Get Up And Dance」や「Get Lucky」あたりの大ネタもかましつつ、すごい勢いでとっかえひっかえしながらも実にスムーズに繋ぐ繋ぐ。もう気持ちいい。

そしてバンド演奏が始まるとまあこれもすごい。特にリズム隊完璧だと思っていたら、ドラムがChris Colemanでした。Princeともやったことあるし、Christina AguileraやBeckのライブサポートもしている人で、何でそんなレジェンド枠の人連れてきているんや。

ただ、バンドを見渡して「?」と一瞬思ったのが、こういうサウンドの場合他のバンドであればだいたいいるパーカッションと生ブラス隊がいなかったこと。
追って調べたところ、過去のライブによってはいたこともあるようなのですが、こういう大会場の周年ライブでいないということは、これが彼のライブの「基本」なのだろうと思います。

帰って調べても明確な理由は見付けられなかったのですが、音源聴き直したところ、パーカッションが引っ張るタイプの曲もあるといえばあるものの、その曲はやらなかったり、大幅にアレンジ変えていたり。

元々シンセブラス黎明期にそのサウンドを割とフィーチャーした音で出てきた人ですし、重要曲にそれらのパートが不要なバラード楽曲も多い人なので、そこらへん全体の塩梅での判断なのかと思います。

ただ、もうリズム隊の2人で完全にグルーヴは出来上がっていますし、そもそも久保田さんはリアルなソウル/R&Bを目指す人ではなく、それらのテイストを存分に含みつつも日本人に馴染む音楽を志してきた人ではあるので、これでいいんです。

彼の歌もいい。
ただ、その他の歌の上手い人、たとえば玉置浩二が単体でぶん殴りにくる声だとすれば、久保田利伸はバンドの演奏に乗っかることで本領発揮する感じだと思いました。チームプレイでぶん殴りにくるタイプ。

周年ライブなのでゴリゴリにヒット曲並べてくるかと思ったらそこまででもなく、とはいえみんな知っているような曲はきちんと漏らさず入れてくる、そして漏らさずバチクソに歌い倒す、キャリア全体を総括しつつもバランスを取った選曲の、そして存分に歌を楽しめる、大変に心地よいライブでした。

細かいところを言うと、テレビ東京のWBSで3月27日までエンディング曲として半年使用されていた「諸行は無常」、彼の楽曲の中では面白いくらい「抜け感」のある楽曲で非常に好きだったのですが、テレビで聴けなくなった直後に生で聴けるこの大団円感。

で、WBSの4月からのエンディング、中森明菜ですって。
彼女のライブも観たい。