健康@Veats Shibuyaのこと

ヴィジュアル系とはなかなか難儀な「ジャンル名」でありまして。

ちょっとしたCDショップですと「ヴィジュアル系」というジャンルの棚があるのですが、Dir en greyとゴールデンボンバーがその同じ棚に収まっているというのは他のジャンルではありえないわけで。
それでもそれは、概ねバンギャの皆様が「仲間!」と判断してファンになれば概ねそれはヴィジュアル系になりうるという、ある意味健全な状況の結果ということでもありまして。

ただ逆に、ヴィジュアル系の中で音楽のジャンルとしてポストロック的な「非王道」の方や内省的な方に行くと、音楽性として相当にレベル高いことをしていても一度「ヴィジュアル系」の中に入ってしまうとその枠の外にまでは届きにくいという問題もありまして。
しばらく推していたBAROQUEなんかはまさにそれでしたが、結局コロナ禍のさなかに無期限の活動休止となってしまい。

そこでこのユニット「健康」の話です。
メンバーはlynch.のギタリスト悠介と 真空ホロウのフロントマン松本明人。ヴィジュアル枠内1名と枠外1名で組んだ場合はどうなるねん、という組み合わせ自体が非常に実験的なユニットです。
サポートのドラマーはユナイトの莎奈でベースはTHE NOVEMBERSの高松浩史という、こちらも枠内1名・枠外1名という組み合わせ。

音源はポストロック的ではあります。「ポストロック」言うてもそれはそれで現状相当広範な音を指す言葉になっていますが、その広範の中で割と縦横無尽に遊んでいて、でもやっぱり曲として難しくはなりすぎず日本人的な叙情は出まくっているという、自分にはかなりグッとくるタイプの音楽で。

で、金曜日の晩のライブ。

これがどうなっているかというと、その「広範」が更に無闇に拡張されている状態。
レンジやダイナミズムが当然のように音源をはるかに越えていき、微かに鳴る音はより微かに、爆音で鳴る音はより爆音で。音源では気付かなかったか聴こえていなかった様々な意匠も見えて聴こえてくる。何せメンバーがステージ上で謎の打楽器叩いていたりホースみたいなものを振り回しているのでイヤでもわかる。

で、聴きながら思っていたのは「もっとデカい箱でもっと爆音で聴きてえ!」ということ。Veats Shibuyaとか、さして天井も高くない箱ではなく、せめてホールクラスで。そういうスケールの音ですから。
映像も相当に凝っていたのにVeatsのスクリーン超小さいんですよ。あれもホールだったらデカくなる。たとえば人見記念講堂だったら、以前にアイドルグループMaison book girlがラストライブでスクリーンのみならずステージの外枠まで使ってえげつないレベルで映像かましていてビビったんですけど、ああいう感じでやってくれたら俺は泣くよ。

今回のライブで一旦活動は一区切りのようで。お互い本職のあるサイドプロジェクトなので仕方ないのですが、また近々でお願いします。ホールで。
だからホール埋めるには、今回みたく観客9割5分女子じゃいかんのよ。音としてはもう完全に両性に訴求しまくれる音なので、何とかしたいのですが。何とかなってほしい。

Billboard Japanのチャート集計指標変更のこと

ここのが一番記事としてはいい感じでしょうか。

Billboard Japan、Twitterの集計廃止 チャートハック目的の投稿減少なるか

オリコンと並んで日本のヒットチャートを集計しているBillboard Japanがその集計指標のうちTwitterとルックアップを除外することになったのですが、この発表を受けて一番ざわざわしているのは、ボーイズ・グループのファンコミュニティ界隈。

この界隈については以前にも言及したのですが、推しグループのチャートアクションを少しでもよくするために、ありとあらゆる努力を行います。

Twitterでもその集計数を少しでも上げるために、グループ名曲名にハッシュタグ付けてツイートしまくるのはもちろん、サブアカウントの作成を奨励しているところもあったりしたのですが、今回の措置によってそんな努力がもう数字に反映されなくなってしまいます。
というか、運営がそういうのに懸念を持ってのこの変更なわけですけど。

で、もうひとつ廃止されるのがルックアップ。雑に言えば「CDをPC等に取り込んだ回数」ですが、自分にとってはこちらの方が気持ちとしては残念感大きい。

オリコンチャートは元々「CD売上数」に特化したもので、さすがに今の世の中それだけではあかんと「合算チャート」を新たに作成するにあたって、ダウンロードとストリーミングの回数も指標化した、という流れ。
そして「CD売上数」の中に「レンタル店で使用されるCD」が含まれるかどうかですが、「調査協力店」の一覧の中にレンタル用CDの卸企業の名前が入っていないことから、自分は含まれないという認識でいます。

要するに、レンタルCDの動きがチャート集計に絡んでいたのはBillboard Japanのルックアップだけだったのが、今回それがなくなるということ。
もはや風前の灯火なレンタルCDですが、チャート的には完全にこれで「ないこと」になるわけです。

21世紀入って少しくらいまでは、大人数にとってほぼイコールであった「音楽を聴く」と「CDを手にする」というふたつの行動が、今となってはあまりにも違う意味を持つようになりました。
で、CDレンタルは正味「音楽を聴く」と「CDを手にする」がほぼイコールであって初めて成立するビジネスであり、2020年代には存在意義がなくなりかけていると言っていいのですが、TSUTAYAやGEOも独自チャートを出していない今、チャート的なプレゼンスはこれで消滅するということで。

CD販売の方も風前の灯火、と言いたいところなのですが、前に言ったようにボーイズ・グループの台頭で「CDを積む」方針で活動しているグループが増加したところに、更に現在韓国の大手芸能事務所が日本発のグループをデビューさせようと動いていることを筆頭に、今後ボーイズ・グループ方面は一層の拡大傾向で、「CDを手にする」アクションはむしろ増えるかもしれないという状況。
利益率のいい盤をここまで買ってくれる人がいるんですから、そりゃ集まってきます。
この件はまた追って突っ込んで確認したいと思います。

最近のレンタルCD/DVD界隈のこと

最近ライブとか映画の感想ばかりですが、いろいろ聴いたりウォッチしたりはしております。

TSUTAYAは相変わらずバタバタと閉店していますし、Tポイント事業もいろいろ課題山積でCCCどうすんねんと思っていたら、先日「TポイントとVポイントの統合」が発表されました。
統合の結果誕生する新会社はCCCが6割の出資ということですので、この新会社をうまいこと転がすことができれば、CCCは連結の決算でなら何とかかっこつけることができるかもしれない状況。
まあ、上手く転がせれば、の話ですが。

ということで本日はTSUTAYA以外のレンタル業界隈のことをかいつまんで。


■ゲオが新店舗をオープンさせている
今や主業はセカンドストリート名義店舗でのリユース事業になっているゲオ。
レンタルしか行っていないゲオの小型店舗を次々に閉店させ、セカンドストリート名義の中型大型店舗の出店を強化し始めてはや数年。
「ゲオ」名義の店舗は今年に入って既に30店舗が閉店し、TSUTAYAほどではなくても割と快調なペースで店舗網を縮小していたのですが。

何故か9月以降「ゲオ」名義で3店舗がオープンしています。1店舗は既存店舗の移転の形ですが、2店舗は新規オープン。

09/17:ゲオ 豊橋岩田店(愛知県・移転)
09/22:ゲオ 黒磯店(栃木県)
10/07:ゲオ 釧路鳥取店(北海道)

2022年にDVDレンタルを行う店舗が新規オープンするという、割と想像していなかった事態が発生しています。

黒磯店はTSUTAYAから2km程度しか離れていない場所という、割と殴りに来ている感じの場所の出店。ここら栃木県北部のTSUTAYAはビッグワンというFCが牛耳っているのですが、別にいよいよビッグワン社の状況が悪化したという話も聞きませんし、すごく強気を感じます。

釧路地域についてはTSUTAYAは2019年に完全撤退しているのですが、今回のゲオは最後のTSUTAYAがあった場所とは釧路市の旧市街地を挟んでほぼ逆の位置。
というかゲオ釧路鳥取店は以前に存在していたものの建物の老朽化のために2019年に閉店したのですが、約3年のブランクを経てようやく新たな適地(閉店したツルハドラッグの跡)を獲得して今回改めての新オープンという形。
なのですが既存の釧路星が浦店から2km強しか離れていない場所ですし、元々の釧路鳥取店よりも500mほど西、より星が浦店の方に寄っていますので、やっぱりこちらも強気を感じます。

旧作は30店舗も閉店していれば数店舗閉店セールしないだけで集められるでしょうし、割と初期投資低めでオープンは可能だと思います。
また、半ば中古のリユースが中心でレンタルはおまけ程度の店舗かもしれないですし、いろいろ邪推はできるのですが、それでも2022年にレンタルの新店舗オープンするの頭おかしい。


■福岡市ウッドランド、遂に閉店
福岡市の南区に「ウッドランド」という孤高のレンタルDVD店があります。
かつては数店舗のチェーンだったようなのですが、私がこっち方面に物心ついた時点で他の支店は既になく、残ったこの店舗もオープン34年を経てこの10月末に閉店と相成ります。

かつてチェーンとして存在してた屋号が消滅することも多くなっておりまして。

2015/07:ピープル(西新宿店)
2016/03:BIG BEN(勝田店/大みか店)
2017/01:ファレノ(十日市場店)
2019/02:人気堂(東刈谷店)
2019/02:ハリウッドムービーズ(高島平店)
2019/06:ビデレコ(曽根店)
2022/03:サンホームビデオ(江別店)

ざっくり拾っただけでもこんな感じで、既に「終わった」業態とはいえ割と寂しいことです。


■ビデオ合衆国USV、いよいよ危ない
消える屋号があるということは、現状いよいよ危うい屋号もあります。

・メディアステーションポパイ(広島県・残1店舗)
・キングスロード(徳島県・残2店舗)
・アイドル(長崎県・残1店舗)

そして本格的に危うくなっているのが、かつては東海地方と兵庫県を中心に全盛期には60店舗近い店舗網を誇ったビデオ合衆国USV
現在残り3店舗のうち愛知県一宮市の尾西店が、この週末24日に閉店です。

で、この尾西店の閉店は他2店が閉店するのとは異なる状況があります。
TSUTAYAは店舗の9割がCCCの直営ではなくフランチャイズですが、他のチェーンもおよそ同様にフランチャイズによる店舗があります。
ビデオ合衆国USVの場合、CCCにあたる運営本部企業はカジ・コーポレーションという企業ですが、尾西店はカジ直営の最後の店舗ということです。
残るのは岐阜県大垣市の店舗と神戸市の多聞店のみですが、この双方ともFC店舗。本部機能の統治がこれまでもどの程度効いていたかはわかりませんが、これで確実に放逐されてしまうことに。

上記キングスロードも本部企業は既に2017年にレンタル業からは撤収していて、残った2店舗はいずれもFC店で、実は屋号も「キングスロード」ではなく「キンスロ」と、微妙に変更しています。
とはいえ、残った2店舗のうちのひとつ、脇町店の看板加工のものすごいやっつけっぷりは最高ですが、泣けてきます。

時々メディアにも取り上げられる「令和の世の中でVHSばかりのレンタル店」、三重県伊勢市のジョイフルも、裏は取れていませんが恐らくかつて存在していたレンタルチェーン・ジョイフルの残党の可能性が高いと思います。

残ったUSVの2店が「野良」化することでどういう変貌を遂げるのか、少しドキドキします。
TSUTAYAもいろいろありますので、そっちはまた近々で。

ヌュアンス@川崎クラブチッタのライブのこと

10月7日は川崎クラブチッタでNUANCEのライブ。

5月の新体制初ワンマンが非常によいライブだったのですが、全体的な評判もよかったようで「再演」するということになり、それで6月に日程が決まっていたものの、メンバーのコロナ感染で延期になったのがこの日程。
が、それ以降TIFや@JAM等の大型アイドルフェスを含んだところで新体制のスキルがガンガン上がり、彼女たちの「基礎」でもある商店街での公演を含むツアーもあって、結局「再演」はどこかに行ってしまい、「ツアーファイナル」としての公演になったのがこれ。

ヌュアンスのバンド編成でのライブがダメだったことはなく、今回も抜群だったので、前回との差異を挙げてみることにします。

  • 新メンバーのこなれ具合がハンパない。そりゃあれだけステージをこなしていればそうなるのですが、5カ月間を開けて観ると感動するレベル。
  • 新メンがこなれた結果、お姉さん2人のわかと珠理の自由度が格段にアップしました。5月はまだ慣れていない新メンをフォローすべくわかも珠理もMCもかなり頑張っていたのですが、新メン慣れた結果そこまで頑張らなくても大丈夫に。
  • お姉さん頑張らなくてもよくなった結果、珠理が通常運転に。本人曰く「ゾーンに入った」くらいの集中っぷりだったようですが、5月の彼女及び今回の他メンがあからさまに頑張っていることが伝わってくるのと比較すると「頑張りの伝わり感やや薄め」というか、正直「いつも通りの珠理」で。観ていて「俺たちの珠理が戻ってきた!」くらいの気持ちで。
  • 新メンで特にヤバかったのが恭美。時々菩薩みたいな笑顔になるようになった。下々を見渡している。これはいけない。

ということで、来年4月に神奈川県民ホールでのワンマンを発表したわけですが、いやこれどうするの。
ヌュアンス運営の癖として、無理めの発表をして、その後死ぬほど頑張って辻褄を合わせるというのがすごくあるのですが、これ本当どうするんでしょうか。

Underworld×サカナクション@東京ガーデンシアターのライブのこと

10/4は東京ガーデンシアターでUnderworld×サカナクションのライブ。

元々は7月に開催予定だったものがサカナクション山口一郎氏の体調不良のため延期され、思ったより早くリスケしてきたなと思っていたら、再び体調悪化。
契約の縛りか、保険が下りない条件に引っかかったか、よくわかりませんが、今回は再び延期や中止はなく決行決定。
とはいえ普通のライブはさすがに無理ということで、「4人によるDJセット」という形でアナウンスされていました。

で、さすがにこれで何のケアもなしというわけにもいかず、希望者に払い戻しも行われた結果、会場に着いてみたら本当にちょいちょい歯抜けになっている。
かくいう自分も友人と行く予定だったのがソロに。
でも、一郎レスの4人がサカナクション名義で音を出すということが過去にあったか今後あるかということを考えると、少なくとも珍しいものは観られるわけであり、具体的にどういうことをやるか全くわからないライブというのも他になく「2枚のうち1枚だけ払い戻しが可能」ということを確認できた時点で参加決定。

そのサカナクション。
本当にただのDJで4人がターンテーブルの前で誰かのレコード回し始めたら「金返せ」コールも辞さない構え、逆に「ミュージック」の始まりみたいにマックブックが並んでいてでもよく見たらひとり足りねえじゃねえか、みたいな始まりだったら最高、くらいの気持ちで眺めていたのですが、これが思っていたよりいい。

サカナクション楽曲を各トラック単位で解体して、そのトラックを加工しながら重ねていって結果としてリミックス的リコンストラクション的な音像を作っていく。
テクノミュージシャンの行う「ライブ」的なものではあるのですが、時折生演奏も入ったりするのでそれだけに留まらないダイナミズムもあったり、ちょいちょい加工された一郎ヴォイスも挿入され、曲の流れ上の盛り上がりとは違うところでまた盛り上がったり。

結果として1時間強、非常に面白く聴くことができました。
そりゃバンドとしてのライブには適うべくもありませんが、でも今後またそういう事態が起きる可能性もそんな高くなく、そしてパッケージにする用の映像収録を行っている様子もなく、たまにステージ前をGo Pro持ったスタッフが左右に動いていたりするくらいでしたので、この音を再びフル尺で聴くことは恐らく不可能。
本当に「今ここでしか聴けない」音を体験できたということが何とも嬉しい。

Underworldは前に観たのがたぶん2003年のフジロックだと思います。どんだけぶりだ。
当然期待はしているのですが、きちんとその期待まんまをかましてくれる「盤石」感。アガるのですが何か泣けてくる。
そりゃそうだ。自分が20代の頃にクラブに行ったり自分でDJやってみたり友人のイベントに参加したりしていた時、「Born Slippy Nuxx」は最強最高のアンセムであり、逆に生半可な流れで選曲することも憚られるレベルの曲で。
当時、1990年代以降の「テクノ」に夢中になり、でも当時は「これらはこの時代の音楽である」という感覚があったのですが、そこから何年か経ったのち「テクノもエヴァーグリーンたりえる」ことを理解し、そのエヴァーグリーンの象徴みたいな曲が、目の前で爆音で披露されているのですよ。
きちんとオーラスでやってくれた「Born Slippy Nuxx」で自分の20代をエグるだけエグって締め。

結果として、十分以上に元を取った感。
ただ、何年か後に改めて万全な状況でもう一度やってほしいという気持ちも。とりあえず一郎は時間かけても万全に。

バナナレコードが関西に出店したこと

東海の中古レコ屋の雄、バナナレコード。

私も高校時代には、栄というよりむしろ伏見に近い古いビルの地下にあった旧本店で、ナゴムのレコード買ったりいろいろお世話になっていたものです。
一時期は渋谷・吉祥寺・横浜にも店舗展開していたのですが、2014年には関東から完全撤収して再び愛知・岐阜のみでの営業になり、昨年には遂に栄地区からも完全撤収、大須に本店機能を移していまして、正直ちょっと心配していたのです。

が、今年になって7/2に大阪梅田、9/4に京都四条と、立て続けに関西地区で店舗展開を始めまして一瞬これは何が起きたのかと思ったのですが、ちょっと調べて理解しました。

バナナレコード、関西地区を基盤にしている「カメラのナニワ」の傘下に入ったのですね。
大阪梅田店は元々中古カメラ販売を行っていたフロアを、京都店は元々ビルの1-3階でカメラのナニワとして営業していたところの2階を、それぞれバナナレコードとして改装してオープンしたという形。

何となく背景は想像できます。
バナナレコードは栄地区から完全撤収したところからも察するに、正味「めちゃくちゃ景気がいい」とは言えない状況。
カメラのナニワは、東京のビックやヨドバシのように総合家電量販店という方向には舵を切らないまま現在に至った結果、いよいよ独立した機器としてのカメラの需要が先細りしてきて、既存商品の販売面積を減らしてでもとりあえず何らか短期で利益が出る別の商材を欲していたという状況。
両者の意図が合致するのも納得です。

これで当面はいけますが、気になるのは現状安定しているように見える「アナログ」需要がこのまま長期にわたって安定するのかという点。
シティポップ的なところの周辺を見るに、「流行り」の匂いもまだ拭えない感じもしておりまして、またバナナレコードもここまでずっと継続してアナログを扱い続けてはいたものの特に「アナログにこだわりまくった」経営でもないわけで。

ですので、カメラのナニワ傘下でバナナレコードがどう変わるのか変わらないのか、変化があるとすればそれは愛知・岐阜の店舗にも影響があるのか。
とりあえず関西の2店舗がどういう商品構成なのか見てみないことには、どういう意図かの詳細はわかりませんので、近々で行ってみたいと思います。

というか関西というか神戸に行きたいんですよ。神戸もっこす石屋川店のラーメンをもう4年も食っていないので。
世界で一番好きなラーメンです。すごく美味いというよりは、当時の自宅から徒歩2分だったので、学生時代3年間だいたい週2で食っていたからという理由です。

MIC RAW RUGA@club asiaのこと

9/23はclub asiaで、女の子ラップグループMIC RAW RUGAのワンマンライブ。

2人組でのデビュー以来ずっとMIC RAW RUGA (laboratory)名義、要するに研究生的なグループだったのが昨年11月に(laboratory)が取れて正規グループとして活動開始、その正規名義では初のワンマン。
自分は2020年2月のMIC RAW RUGA (laboratory)名義での初ワンマン以来だったのですが、その時は3名でそこから1名脱退しての2名追加という状況、さてどうなってるかと思いまして。

結論。めちゃめちゃよくなってます。

とにかく圧倒的な「チーム」感。初期組のREIとAKIRAはもう盤石というか、2人でダンスのみを披露するガチな場もあったりしていろいろ間違いないのですが、今年になってからの新メンバー2名も、MIYAはメロディのあるパートをおよそ一手に引き受けてしまうレベルでよい「歌」を歌えるし、HANNAHは他3名と声質がかなり違っているので、他メンバーと声を重ねた時に特にすごくいい感じになります。
何か揃うべきメンバーが遂に揃ったという気持ちになりました。

ライブの流れとしては冒頭にアガる曲ではなく「HOW RAW」「PAY YOU BACK」という、彼女たちにしてはわりとドープめの曲を並べてきたところに運営の自信というか、「これを観ろ」感をすごく感じて。
元々「りんねラップ」流れの「かわいいラップ」グループだったはずなのが、楽曲担当のE TICKET PRODUCTIONの実験精神もあってか、ゴリゴリめの「かっこいい」の方にまで足を突っ込んでいき、でも今のメンバーならそれを乗りこなせるという運営の信頼と、実際間違いなく己のものとして表現できるメンバーと。
そういう意味での「チーム」感かもしれません。

もっと見つかってほしい。それだけの存在にまでなっていると思います。
ここまで主催公演でゲストを呼びつつ他のアイドルグループとの交わりはあったのですが、あんまり大規模なアイドルフェスには出ていなくて。

今の彼女たち抜群だと思うので、何とかフェス系ガンガン出てほしい。そして見つかってほしい。特に女の子オタにもっと訴求できます。今回9:1くらいだったのですがもっと女子呼べると思うんですよ、かっこいいもの。

あと、「新メンバーが入って確変発生」というパターンを近々で彼女たちとNUANCEの事例で確認できましたので、他のそういうグループにも期待したい。
新メンバーお披露目の瞬間は観たもののそれ以降観ていないクマリデパートとか、先日新メンバー発表されたRAYとか。

最近アイドル関連あんまり行けていないので、そろそろそっちも頑張ろうと思いますが、来日勢含めていろんなミュージシャンがここんとここれまでの分をぶちかましてくるので、日程的にも経済的にも大変なんですよ。
もう少し落ち着いてほしい。

映画「アザー・ミュージック」のこと

休みに映画でも観るかと思い、特急ゆかりとか、のんちゃんとかも考えたのですが、結局渋谷のシアター・イメージフォーラムに「アザー・ミュージック」を観に行くという選択。

我ながら地味な選択だと思いながら観たら、思った以上に地味でした。すごく地味でした。

ただそれでも、敢えてイーストヴィレッジのタワーレコードの向かいに店を出すにあたって「Other Music」という店名を付けたのも素敵だと思ったし、割とすごいメンツがちょっとずつ出てきて、ミュージシャンも含めて広く愛されていた店だということはすごく伝わってくる、何かいい映画でした。

閉店への物理的なプロセスは割と尺を取っていたのですが、「閉店を判断する」に至る心理的、環境的なプロセスについてはさして尺を取ってなかったのが不満と言えば不満か。

ただ普段からレコ屋のことをぼんやり考えている身にはまさに燃料みたいな題材であり、結果猛烈にいろいろ思うわけです。その「『閉店を判断する』に至るプロセス」について日本と比較して。

今やアナログ専門に近い中古店は、新規オープンの方が多いくらいになっていますけど、Other Musicのような、ジャンルもあまり問わず新譜も中古もないまぜにして、とにかく「今のお勧め」をレコメンドしていくタイプの店舗って、日本でもあんまり多くありません。

中古全般をメインにしつつ新譜も多少という店は割とありますが、現状で「まさにそういうタイプ」と言えそうなのは、自分が行ったことあってそう感じたのに限れば、下北沢と京都三条のJet Set、埼玉大宮のMore Records、大阪堀江のFlake Records、名古屋のStiff Slack。
それくらいじゃないかと思うんですよ。

で、そういうお店って考えてみると今の世の中かなりしんどいと思うのです。

そもそもミュージシャンが己の存在を世に問おうとする場合、過去であれば少なくともフィジカルな盤を何らかの形でリリースすることになりますし、物理的に存在していればどこかの店舗のアンテナに引っかかってレコメンドされることもありえるわけです。

が、現状で新しいミュージシャンが音源を録音したとして「じゃあ盤作るか」の前に恐らくBandcamp等のサービスにアップするでしょうし、そこで人気が出たとすると、インディーズを経由する前にメジャーから声がかかることもあるでしょうし、「もうフィジカルは出さなくていい」という判断のもと、配信とライブと物販で食っていくという判断もできるわけです。
過去と比べて選択肢が増えた結果、そういう店舗の役割の重要度も相対的に減少していきます。

また、日本のタワーレコード等かつては輸入盤を廉価に販売することを特長としていたチェーンの洋楽の品揃えが最近悪くなっている理由を以前にまとめましたが、米国の店舗の立場でも同様の状況はあり得ると思います。
非米国のミュージシャンがフィジカルをリリースしたとしても、取り寄せようにも国内流通ですら限定的でとてもまとまった数を輸入して店に並べることができない状況。

またこれは映画内でも触れられていましたが、向かいのタワーレコ―ドの閉店(2006年)も大きかったようです。
他店と差別化ができるのであればひとつの地域に複数店舗があることで「こっちにないならあっちに行こう」「ついでにあっちの店も見に行こう」という買い回りも盛んになりますし、実際Other Musicも道を挟んで向かいにあったタワーレコードに対してのオルタナティブな品揃えであったことがその大きな存在意義でもあったわけで。

タワーレコード撤収の理由は、ウォルマートやベストバイが売れ筋の超メジャー作品を廉価で売りまくったせいですが、その結果そういう量販店では絶対に扱わない作品しか置いていないOther Musicにも影響を与えたということです。

CD/レコード店の縮小は「配信、ストリーミングサービスの伸長によってフィジカルが売れなくなったから」が最大の理由であることは間違いないにしても、単純にそれだけには収斂しきれない、様々な変化の結果が今ということなのか、と。

私はニューヨークに行ったのは1993年きりですので、まだOther Musicはありませんでした。タワーレコードには行きました。
思ってたより小さくて割とガチャガチャした店だったという記憶。

だから正味、1995年に移転オープンした時から現在に至るまで、タワーレコード渋谷店は世界最大であり続けているのではないかと思うのです。
つうか2022年にあれ維持してるの、何かの間違いとしか思えない。

!!!(CHK CHK CHK)@渋谷O-EASTのこと

月曜日は!!!(CHK CHK CHK)の来日公演@渋谷O-EAST。

3年前にも行ったんだけど、来るたび観たいバンドですので。
そういうのって時々あります。他の何にも代え難いヤツ。他にはHot ChipとかThe NationalとかAlt-JとかBeirutとかも、来日したらするたびに万難を排したい。
The Nationalについては、コロナで中止になった分を近々でどうにかしてほしい気持ちでいっぱいです。

で、CHK CHK CHKですが、やっぱりすげえ。
べらぼうに上手いとか、べらぼうに尖っているとか、壮大なサウンドスケープとか、ギリギリの緊張感とか、そういうのでは全くありません。
どちらかといえばいなたい感じの演奏なのですが、それでも明らかに最初からオーディエンスをぶん殴りに来るような気迫でカチ込んでくるため、こっちだって迎え撃たなければなりません。
というかそんなんもう勝手にアガりますよ。ステージ上で披露されるのがたとえヒゲダンスっぽいアクションであったとしても。
メンバーが代わる代わるヴォーカルを取ったかと思えば、ほぼ全員が何か叩いていたりする。
アガる瞬間のために全ての音が奉仕している。

で、前回と違うと思ったのがグルーヴ感。
前回までは割と90年代のMadchesterを継承したようなルーズなグルーヴ感という印象だったのですが、今回はいなたいなりにかなりタイトなグルーヴという印象。
それでどうなったかというと、即効性が増した。これはあかん。もう楽しい。

というわけで、今回も楽しい!楽しい!と思っている間に終わりました。
それでいい。それがいい。

これで7月中旬からの、フェス2つを含むライブ集中期間一旦終了。
もう少し他のネタもやります。頑張ります。

おとぼけビ~バ~@恵比寿リキッドルームのこと

金曜の晩は恵比寿リキッドルームでおとぼけビ~バ~。

2018年のアメリカのフェスCoachellaに招聘された日本人ミュージシャンはX JAPANとおとぼけビ~バ~だけだったわけで、そんなのを日本人が観ていないのはあんまりよくないことなのではとずっと思っていたところに招集がかかったので渡りに船。

結論。最高じゃないか。
そもそも彼女たちをパンクと呼んでいいのかどうかということは、音源の時点でいろいろ考えるわけです。
1曲1-2分で終わっちゃうところはパンクっぽくもあるのだけど、だいたいの曲でその尺の中にプログレもよもやの転調/変拍子をぶっ込んでくる。

案の定現場もそれなりに沸くのだけど、踊れそうで踊れない、少なくとも踊り続けようとすると「おっと」というタイミングが割と頻繁にやってくる面白現場。
これ何て呼べばいいのだろう。「痛快ミニマムプログレパンク」。何か違う気もしますが、要するにあんまり他に類を見ないタイプの音楽。もう何かすげえ楽しい。

そして馬鹿テク。「あんな無茶なリズムをあんな高速でキープする」だけでもリズム隊すごいのに、いやもう何この盤石感。
これが基礎にあるから、上に面白いモノを何でも乗っけていける。よしえさんのギターの位置は、他に見たことないレベルの高い位置ですが、あれは見た目以前に一番気持ちよく弾くためだと思うと合点もいくレベルの気持ちいい弾きっぷり。
「OK We are おとぼけビ~バ~どんどん行くぜ!」とよしえさんが頻繁に口にする通りどんどん行って、時々すげえと思って、時々笑って、だいたい痛快な気持ちになりっぱなしのライブ。

あと、開演前の我々の話題は「何曲やってどれくらいで終わるのだろう」という点でしたが、19時ほぼオンタイムで開始して最初の10分でたぶん7曲くらいやって、その後よしえさんの「安心してください。37曲やりますよ」という素敵なMC。
もう少しやってからVo.のあっこりんが「37曲やって、20時頃には帰っていただく…」と面白を被せてくる。

結果、本編は1時間強程度、ただしその後アンコールに次ぐアンコール。出てきて演奏時間11秒の「DM送ってやろうか」を一発やって去り、また出てきて再度「DM送ってやろうか」をやって今度は更に12秒の「DM送ってやろうか pt.2」を続けてやって去っていく等。
6回目くらいのアンコールでようやく最後に新譜でもオーラスの「レッツショッピングアフターショー」で締め。
この曲はタイトルに全くもって違わず「ライブが終わったら物販行け」という曲なので非常に納得度高く終了。
だいたい1時間20分くらいでした。曲数はわからん。わからんけど面白かったからよし。
みんなも観よう。