Tuxedo@ビルボードライブ東京のこと

昨晩はTuxedo@ビルボードライブ。
月1で音楽流しながら飲んでる会に最近我々より一回り若い女子が仲間入りしたのですが、70-80年代のブラック・コンテンポラリーが大好物というなかなかの強者。今回は彼女のお供におっさん3人ついていく形で。
待ち合わせで入り口前で入場する人を眺めていたら、お洒落してきた人と小汚いまんまの人と半々くらいで面白い。私は会社帰りなので小汚い部類。

で、実際そんな感じの音楽なので。
音だけ切り取れば洒落た匂いはするのだけど、ステージは70年代アメリカのコーラスグループのようなダンス込みでブラコンやソウルにストレートに影響を受けたダンスミュージックや甘いバラードをかましまくる。
実際、80年代のヒットチャートに入っていたブラック・ミュージックって、ごく一部を除けばそんなべらぼうに品がいい曲ってあんまりない。ちょっとダサくて、でもそれが故に「何かいい」。
そして彼らはそういう時代のそういう音楽へのオマージュに溢れた楽曲の数々を、「お洒落に」ではなく「シャレっ気」をもって披露する。ものすごくテンション上がったとか感動したとかではないけど、ものすごく「ええ感じ」の音楽。

で、そこで考えたのだけど、日本の「シティ・ポップ」的なカテゴリに入る音楽って、そういうブラック・ミュージックをベースに、いかに「品がある」ようにするか、いかに音楽としての偏差値高くするか、というところにぶっこんでいる音楽なのかな、と思って。
だから「敢えて狙って偏差値52にぴったりぶっこんでくる」ような80年代ブラコン勢や彼らTuxedoのようなアウトプットにはならない、日本独自のものになり。
そしてそういう音が日本独自だからこそ、この世の中でネット上で地続きになることで見つかって面白がられて、結果としてVaporwaveのムーブメントに繋がっていったのかな、とか考えたり。

新しい動きで生まれる音楽、過去の動きをオマージュする音楽。いろんな音楽がある世の中がいい。面白い。

嵐の楽曲がストリーミング解禁されたこと

嵐がSNSアカウントを公開すると同時に65曲をストリーミング解禁
以前はインターネットに親を殺されたのかと思うレベルだったジャニーズ事務所ですが、5月に各グループのグッズのネット通販を開始し、10月からは嵐も微妙にYouTube使い出したり一部楽曲を公開していましたが、ここにきて一気に来ました。
ただ、嵐がシングル楽曲をこういう形で出すのは、他のグループ以上に納得度が高かったりします。

嵐は活動休止を既に宣言し、ベスト盤もリリースしています。つまり、シングル楽曲をパッケージとして売るというビジネスは既に一段落ついた状態です。とすると今後更にこの楽曲群で、事務所が利益を生もうとすると、もうこれしかないということになります。

以下7月に書いたこと
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The Beatlesの場合では、ダウンロード配信開始がiTunes開始から7年後の2010年。一方ストリーミングで解禁されたのは2015年。Spotifyのアメリカでのサービスインが2011年、Apple Musicは2013年ですから、ストリーミングのリリース判断はダウンロードと比較して格段に早いのですが、ほぼ持ち歌全曲が「既に知られている」彼らの場合、「新たなユーザーがパッケージやアルバムデータを購入する」ことに期待するよりも、ストリーミングならではの聴かれ方に乗る方がビジネスとして得られるところが大きいと早々に判断したと推測できます。
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嵐のシングル楽曲も広く知られたものが多いだけに、むしろストリーミングに乗せることで、CDを新譜で出すほどではないですが今後も継続して利益を生み続けるということです。

これ以前のジャニーズのデータ系のサービスとしては去年来、関ジャニ∞が「関ジャニ∞アプリ」で、「CDやDVDを買った人だけがシリアルコードの入力でスマホで視聴できるようになる」という、画期的かどうかは知りませんが間違いなく「類を見ない」というかエゲツないサービスがありまして、そのために旧譜をシリアルコード付きで再発とかしておりますが、正直これが広く喜ばれるサービスとして人気を博したかと考えると、まあ、あんまりそうとは思えない。

また、ジャニーズを出ていった「新しい地図」の3人が、ほとんど既存メディアに出ることはなくなったものの、ネットを主戦場にすることでそれなりにうまくやっていけているという事実も、ジャニーズを動かした理由のひとつかもしれません。

そしてこのタイミングというのは、来年1月に予定されているSixTONESとSnowManのデビューに際しての音源リリース形式を見定めるにあたっての情報収集という側面もあるのではないかと思ったり。
CDは2グループのスプリット盤形式という、両ファンにとってはなかなかにキツい仕様ですが、データ販売は来るのか、いきなりストリーミングはあり得るのか。SixTONESなんか去年の露出時に「ジャニーズをデジタルに放つ新世代」とかいうコピー出してますので、「これまでが放たなさ過ぎなだけじゃねえか」というツッコミはとりあえず置いておいて、でもこれで嵐以下だと少し寂しい。

CDパッケージは熱烈なファンの方にとっては「フラゲ」という形で、データのリリースより数時間でも早く入手し聴くことができるというメリットは残りますので、ファングッズとしてはある程度以上売れることは間違いないですし。
そして今後順調にCDショップが消えていって、世の中の過半数が「もうCDなんかフラゲどころか店頭では買えないし、通販で送ってもらったら発売日以降にしか入手できんわ」という状況になった頃、静かにCDパッケージは、少なくとも「通常盤」は消えていくのです。

もう一点、ジャニーズも今後どんどんストリーミングに出ていくことが恐らく既定路線になっていくとは思うのですが、問題は過去音源をどう扱うか。
特に、男闘呼組とか忍者とか、事務所的には半ば黒歴史化しているグループの音源。男闘呼組はBMG、忍者はコロムビアですが、CDの再発もさせてなくてけっこうなプレミア価格になっている盤もあるんですが、やっぱりデータも元からなかったことにされてしまうのでしょうか。悲しい世の中です。
「こんな世の中じゃ」って書こうとしたけど、彼は忍者じゃなくて平家派だった。

!!!(Chk Chk Chk)@O-EASTのライブのこと

昨日は!!!(Chk Chk Chk)の来日公演。
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Hot Chipも行ったしこっちも近しいダンス系アクトだし観ておくかくらいのノリでの初見。結論。全然違うじゃねえか。
音源聴いている限りでは、彼らは「ダンス・ミュージック・ユニット」であり、「バンド」という認識では全くなかったんですよ。でも観てみたら面白いくらいに徹頭徹尾「バンド」でありまして。
フロントのニックは上下揃いのチェックのジャケットにチェックの半ズボンという最高に頭悪い服で出てきて、ものすごい適当でぬるいダンスを、でも絶えず踊りながら客を煽ったり、何かあるたびにフロアにダイブしつつ歌いまくるという、ダサいを突き抜けた結果としての「これものすごくアリ状態」に。
バンドの演奏はタイトなのにそういう感じなのでどっかルーズな感じも醸し出す。
これ何に一番近いかと言えば、あれですよ「マッドチェスター」ですよ。2019年に世界で一番、当時の再現ではなく最新の音楽として、でも「マッドチェスター」のズルズルしたああいう感じを出せるバンド。カリフォルニアのバンドなのに。

こういうタイプの外タレ公演としては異例なくらい外国人客が少なく、でも外国人多めの公演並みの統一感のない沸きっぷり。でもこいつらのこれ観たら絶対そうなるよな、一体感で感動するとかじゃなくて「お前ら最高だから俺も今最高だわ」的な、ある意味ライブとして最強な空気を作る。
こういうのをライブバンドって言うんですよ。ていうか、彼らはこうやって20年間サバイブしてきたのです。あんまり売れた感ないのにずっと現役で生き残っている海外のバンドは間違いなくライブに外れはないので、来日したら行きましょう。だいたい最高です。
でも、有名どころは最近チケット代が2万円とかそういうところに行きつつあるので、こういうバンドにすればいい。6,500円。コスパ最強でした。

キャップとかTシャツのこと

日本プロ野球チームの帽子って、成人男性が球場のそば以外で被ると何であんなに職務質問されそうな感じに見えるのでしょうか。MLBの帽子は特に何の問題もないし、日本のチームでも子供や女性が被る限りそれほどでもないのですが、成人男性はほぼ皆が皆、何故ああなるのか。
昨日、恐らくラグビーのために日本を訪れ、きっと野球も好きで東京も好きになってくれたのでしょう、巨人軍の帽子を被った外国人のおじさんを見かけたのですが、やっぱり揺るぎなく職務質問されそうな感じになっていました。

音楽関連のアパレルで圧倒的に野球帽に近い存在はdj hondaのキャップ。さすがに最近は減りましたが一時期はけっこう被っている人多くて、しかもあのキャップを被っている人に限って、絶対クラブとか行かなさそうな人ばっかりで、何故なんだろうとずっと思っていました。

あと、別のパターンとしては、ゴールデンボンバーのせいでTAMIYAのTシャツが無闇に流行っていた時、きっと金爆が好きなバンド女子なのでしょう、ギターケースを背負ったTAMIYAシャツの女の子が歩いていたんですけど、めっちゃギター弾けなさそうにしか見えなくて、それはやめた方がいいと思ったりとか。

最近はユニクロがいろんなコラボしたりしているせいで、誰がどんなミュージシャンのTシャツ着ていてもあんまり違和感なくなってきましたが、私が人生で一番衝撃を受けたのは、もう10年以上前、会社帰りの道ですれ違った、アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウのジャケット柄のTシャツを着た50代過ぎくらいのおばちゃん。YESではなくABWHだったんですよ、間違いなく。
見かけによらずリアルタイムでめちゃくちゃプログレ聴いていた人なのか、でもそうだとしても何でそのチョイスなのか。他のは買っても保存用で、でもこれは下ろして着ちゃってもいいかなと判断したのか。永遠の謎です。

で、逆に昔のならプロ野球の帽子もいけるんじゃないかと思いまして、見てみたのですが、昔の日本ハムの帽子とかは割合と今は行けそうな気もする。
調子に乗って、ダイエー・ホークスの初代ヘルメットを確認しましたが、やっぱりこれは悠久の時を超えて、これを被ることを他人に強要するとハラスメントになるなあと思いました。

眉村ちあき/フィロソフィーのダンス/大阪☆春夏秋冬@新宿LOFTのこと

昨日は行けなくなった友人のチケットをトスしてもらって新宿LOFT。

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音源だけ聴いているだけでは本質を捉えにくいという点では3組共通ですが、眉村ちあきはその文字通り「フリースタイル」っぷり、フィロのスはそのハッピーでアッパーな空気感、大阪☆春夏秋冬はその勢いと熱量と、そのライブは三者三様で、これかなり素晴らしいブッキングじゃないかと思ったり。

眉村ちあき。
相変わらずの落ち着きのなさで、また知らん曲もたくさんやり、突然思い付いてこの日誕生日だった大阪☆春夏秋冬のMAINAへのバースデー・ソングを即興で歌っては名前を間違えたり、絶好調。
で、彼女はこの世の他の何とも似ていないとは思うのですが、一番近い存在として1990年代のUSを中心にしたLo-Fiバンドの一派、特にGuided By Voicesあたりが挙げられるんじゃないかと突然思い付いて。
1曲の完成度を時間をかけて磨くよりもその時々のアイデアを優先し、結果やたらと楽曲を量産してはライブでやり倒すといった点で。
こういう配信中心の世の中になって、そういうタイプのミュージシャンはむしろ生きやすくなっていると思うので、もっと彼女みたいな活動方針の人が出てくればいいのにと思う。

フィロソフィーのダンス。
相変わらず最高に楽しい。この日はアッパーな曲で押しまくるのではなく緩急付けた感じのセットリストで、それもなかなかいい感じ。ハルちゃんとマリリの歌はもう間違いないのですが、おとはすとあんぬちゃんの歌が観るたびにうまくなっていて、それはこの完成度から更にまだ伸びしろがあるということで、本当に恐ろしい。
が、この日の白眉はものすごく中途半端にSCOOBIE DOコヤマシュウの物真似をするハルちゃん。何だそれは。面白いじゃないか。でも3マンでそれやってもあんまり伝わらないと思った。

大阪☆春夏秋冬。
ハードな曲を並べてこの日も一歩も引かない押しっぷり。観ていて熱くなるのは間違いないのだけど、彼女たちの場合本当に気にしてしまうのが、前2組がぐんぐん伸びている最中な一方、彼女たちは正直今のところピークから少し落ち着いてしまっているところ。
2017年の@JAM EXPO、横浜アリーナのメインステージで「いつかワンマンをここでやる」という宣言をしたのを覚えています。でもだったら今LOFTみたいなキャパの箱で企画ライブに出ている場合じゃないだろうと正直思うのです。
「全部エイベックスが悪いんや」と言ってしまうこともできるし、正直そう思ってるところも多分にあるわけですが、各メンバーの恐ろしいほどのダンス経験値やMAINAの圧倒的な歌唱力が今のスタイルで本当に100%以上に発揮されてるのかと言えば、ややアンマッチのような気もしています。
グループとしてのポテンシャルはとてつもないことは間違いないので、何とかガツンと行っていただきたい。

ただ、現在のアイドル界隈、概ねZeppクラスやった後、それ以上に伸びてかつ人気をある程度以上でもキープできているグループは、AKB坂道・スターダスト・ハロプロ・アミューズ・WACK以外にあんまりいないわけで。
正直、そこが限界なのかという気持ちにもなりますが、でもJ-POP界隈ではもう既存メディアに乗らない形でビッグネーム化している事例がいくつも出ているわけで、何とか基本性能高いのは当然として、様々な手をうまいこと使いこなしててっぺん取るようなグループ、出てこないかなと期待もしているのです。まだしているのです。

「楽曲派」アイドルについての補足のこと

先日、RealSoundからご依頼いただき、「楽曲派」アイドルの歴史について書きました。

Perfumeの登場、BABYMETAL世界的ヒット……「楽曲派」アイドル誕生から現在に至るまで

プロットを詰めて編集の方に確認取った上で全体を書く形で進め、プロットまではいろいろ細かいところまで挙げたりもしたのですが、全体的な流れ優先でだいぶ省略したところもあります。

  • amiinA・代代代・ヌュアンスあたりの、今一番好きなあたり、「ジャンルを特定できるほどではないが、プロデューサーによる楽曲コントロール下で『楽曲派』と呼んでいい活動をしている」グループ。
  • 元々非アイドルの曲を歌うグループ。要するにアイドルネッサンス。
  • 眉村ちあき・里咲社長あたりの、自作自演組。

ここらへんはどう触ろうか幾分考えた結果、流れ重視と判断して略しました。すみません。
バンもんのみさことか大森靖子のような、アイドルとそうじゃないっぽいのと二股かけているのは、それ入れたら絶対全体がブレると思って最初から入れてません。

私は普段はただのサラリーマンですので、基本、編集の方から要望いただけば、削ったり書き足したりは厭わない習性ではあるのですが、逆に「ここは押さえたい」と思って納品時にそう明記をさせていただいたのが「Perfume以降のテクノアイドル」と「さくら学院の部活動」の部分。

「楽曲派」についての文章はWebでもそこここにあって、ただそれらは総じて「こういう音楽性のグループがいるよ」という紹介のものばかりだったので、今回私の原稿も世に出る余地があったのですが、そういう原稿の中でいろいろ書かれている中で、自分としては歴史上決定的なポイントだと思っていたにもかかわらずほぼ誰も触れていなかったのがその2点だったので。

Perfumeだけで後に誰もフォロワーが続かなかったら「固定化チーム方式」がその後続いたかわからないし、さくら学院もそもそも「部活動」という「楽曲派」的なコンセプトでの活動こそが、今のBABYMETALに至る全ての始まりにあるわけで。この2点が意外に最重要ポイント、というのが自分の認識です。

ブログというか、ブログ前の個人サイトとしても、10年近く前からミュージシャンに対する「思い入れ」はポジもネガもほぼ封印し、「いいアルバムだよ」と「いいライブだったよ」以外はだいたい過去に遡って俯瞰したり、細かい事実の点と点を線で結んだから何か見えてくるんじゃね、みたいなことしか書いてないですし、そしたら案の定依頼される原稿もタイムラインに沿って俯瞰するようなのばっかりになっていますが、それはほぼ私の本意にも沿ったものですので、これからもご依頼お待ちしております。

とりあえず今回の原稿については、流れ上そう書いたけど小泉今日子『BEAT POP』についてはアルバムとしてのレベルは高いかどうかはいろいろ異論もあるので、そこに突っ込みがなかったので助かった。
後に同様の「BEAT POP」方式で制作された、山瀬まみ『親指姫』や内田有紀『愛のバカ』とか。アルバムとしては正直散漫だよね。でもどれも大好きなんだよ。

で、今の私立恵比寿中学なんか、2nd以降オリジナル・アルバムが普通に毎回「BEAT POP」方式で、でもアルバムとしてもよくできているので、やっぱ世の中って進化していくんだな、と思います。

フタバ図書が割と危ういこと

V系CDショップZEAL LINKリサイクル系のエンターキングが先日運営企業含めて召されてしまったこととか、新星堂・WonderGOO、文教堂もかなり厳しいことをお伝えしてまいりましたが、最近では広島の雄であるフタバ図書がじんわりと嫌な感じになっております。
以下、今年に入ってからの閉めたり縮小したりの状況。

<閉店>
05/06:フタバ図書 TERAワンダーシティ店(愛知県)
08/08:フタバ 上板橋店(東京都)
08/25:フタバ図書 GIGA今宿店(福岡県)
08/31:フタバ図書 八丁堀店(広島県/書籍のみ)
09/16:フタバ図書 広電楽々園店(広島県/書籍のみ)
09/30:フタバ図書 GIGA箱根ヶ崎店(東京都)
09/30:フタバ 羽村店(東京都)

<営業縮小>
02/17:フタバ図書 GIGA福大前店(福岡県/書籍・CDの販売停止)
02/17:フタバ図書 高陽店(広島県/書籍・CDの販売停止)
09/16:フタバ図書 MEGA岡山青江店(岡山県/新刊書籍の販売停止)
09/16:フタバ図書 ゆめタウン黒瀬店(広島県/新刊書籍の販売停止)

先日閉店すると聞いて箱根ヶ崎のお店に行ってみたのですが、悲しいほどの投げ売り状態でした。

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かつ9月末にはオンライン販売も停止。元々フタバ図書のBtoCサイト自体がそのオンライン販売サイトに組み込まれた形でできていたところを無理くりかっ剥いだおかげで、現在フタバ図書のサイトはこんな悲しい状態に。小奇麗に直さずこのまんま、というところからだけでも相当状況としてはよろしくないことが伝わってまいります。
9月以降の新たな閉店の報は今のところ入ってきていませんが、上半期で閉めるところ閉めて状況見ている感じでしょうか。これでもあかんだらまた年明けくらいにまたいくつか閉めたり、とか。

業態としてはネットカフェやらフィットネスの方、要するに「モノ消費からコト消費」的な方に向かっていますが、ネットカフェは既に随分前から淘汰の時代に入っていますし、フィットネスもここ数年ですごい勢いで他業種がぶっこんできていますので、正直そろそろ供給過剰になるんでないかと思いますし、正味これで安心とはビタイチ思えない。

で、会員じゃないのでまったく中は読めていないのですが、フタバ図書は昨年社長が急逝して実弟が後を継いだ、その際に諸々あって結果として「40年間粉飾決算を続けていた」という、過去に聞いたことのないレベルでえげつない事態が発覚しておりまして、今回のこの流れも、結局社内で何とかしようとしてでも如何ともできずに粉飾を認めたということのようであり、正直立ち直れるのかどうかもまったく未知数です。

広島駅の大規模な再開発も決定し、広島駅からマツダスタジアム行く時だいたい前を通ることになるあのフタバ図書も経営云々以前に物理的に風前の灯状態。

こんな粉飾の話は前代未聞ですし、企業としての規模もこれまで以上に大きく、正直なところ今後の想像のしようもありませんが、割と大きめの総合書店を全国に出していますので、ものすごく嫌な感じは致します。
またこれもよくなるにしろ悪くなるにしろ動きがあれば今後も。よくなる気はまったくしない。

Official髭男dism「Traveler」のこと

Official髭男dismのニューアルバム「Traveler」がやっぱりすごかった。

彼らについては認識するのが本当に遅くて、名前は聞いたことあるけど「何か変な名前だな」で終わり、「ノーダウト」は聴いたことあるけどその時は彼らだとは気が付かなくて、そしてある日深夜テレビで「Stand by you」を聴いて遅まきながら腰を抜かすんですよ。
何がすごいって、今1回聴いただけなのに聴き終わった直後から脳内リピートが始まるレベルのメロディの強さ。

「Stand by you EP」、そしてその後のシングルを聴いて浮かんだフレーズは「ユーティリティの怪物」。片っ端からタイアップ付いて、そのタイアップ対象にきっちり以上に合わせてきているにも関わらず、どう聴いてもまったくブレなくOfficial髭男dismでしかない。
ということで、死ぬほど期待していたアルバムでしたが、軽くその期待を超えてくる恐ろしさ。すごい。

何となく以前、いろんなミュージシャンを野球に例えるとどうよ、ということを考えたことがあります。
米津玄師は道具は野球のものを使ってはいるものの、よくわからないルールを勝手に発明して微妙に何か違うスポーツを始めたけどそれめっちゃおもろいやん、みたいな感じで、あいみょんは過去の名選手のスタイルをきっちり会得しつつも独自のスタイルもさらにプラスしてものすごい成績を上げている、という感じで。

その流れでOfficial髭男dismを過去音源から例えると、インディーズ初期は剛速球ぶん投げる高校野球界期待のエース。それが「エスカパレード」あたりになるとプロ入りしてものすごい曲がるカーブと高速スライダーも駆使してチームの勝ち頭クラスに。で、「Stand by you」以降になると、恐ろしい落差のフォークボールと何だかよくわからない魔球まで投げるようになってもう日本球界を代表するピッチャーになってしまった、みたいに見える。すごい成長です。
「エスカパレード」は微妙にまだインディーズだったことを考えるとこのアルバムが言ってみればメジャーデビューアルバムになるわけですが、この時点でこんな凄まじいスタンダード感を携えた、J-POPの王道をぶち抜いてしまうような音作ってどうすんのよ、という気持ち。

ライブはVIVA LA ROCKで観たのだけど、こちらも恐ろしくこなれていてすごく気持ちよく観られて「うわ、これワンマン観なきゃ」と思ったらもう武道館売り切れだったし、今回のツアーも箸にも棒にもかからん。

本当にこれからどうなっていくのか、正直空恐ろしくなる。けど、メディアの露出量のみでなく、こういうあからさまに優れたバンドが正しく注目されてフックアップされる今の世の中は悪くない。

あとは、「変な名前のバンドをその名前で舐めるな」ということはトルネード竜巻の時に思い知ったはずなんだけど、もう一度気合い入れなおします。

HOT CHIP@赤坂BLITZのライブのこと

本日は、雨風いよいよ強まってくる中を赤坂へ。

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HOT CHIPを前に観たのは2012年のHostess Club Weekender。未だに覚えているというか、「ブチ上がった」という意味では今でも人生で3本の指に入るすごいライブでした。
彼らは音源を聴く限りでは正直、こじんまりとしたダンスポップです。どんなもんか、くらいの気持ちで観始めて速攻でものすごくいい意味で裏切られる。サポート2名を入れて合計7名が楽器とっかえひっかえ極上のグルーヴをぶちかます。何だよこれ。音源これじゃただのライブ前のデモテープ状態じゃねえか。

音源だけ聴いていれば一番近いのは、今日も幕前にかかっていたTalk Talkとかの80年代シンセ系バンドなんですよ。シンセの音色とかモロにそれっぽい時もある。ただそこに90年代以降のテクノとかブラックミュージックとかを潤沢に摂取させた結果、どう聴いても彼らとしか言えない謎のオリジナリティを獲得し、さらに音源が普通の人間だとすれば、ライブになると身長3メートル、握力500kgwみたいな怪物と化すのです。

今回は初のワンマンっていうんですから、そりゃ行きます。そしてまた、最初から最後まで踊らされっぱなしの上がりっぱなし。ニューアルバムのツアーですから新曲多めですが、およそアレンジそのものは音源とさして変わらないのにもうすごい。いろんなものなぎ倒すがごとく。みんな大好き1stアルバムの「Boy From School」はまた前に観た時とは違うアレンジになってるし、そして今年のワールドツアーからラインナップに加わったBeastie Boysの「Sabotage」のカバー。
もう楽しすぎて笑うしかない。

今回の東京大阪の単独ライブは正直、朝霧JAM招聘のおまけみたいなものだと思うので、今回中止になった朝霧JAM組の皆様には大変申し訳ないのですが、何とかして彼らを一度でも生で観ていただきたいと心から思う者です。
ただ、メンバーのファッション含めたルックスは本当によくない。もう少し何とかした方がいいと思うのだけど、ライブ観たら何も言えねえ。

エンターキングの続報のこと

先日、エンターキングが破産になるまでの顛末を記しました。

エンターキングがおよそ消滅したこと

多少続報が出てきましたので、今日はその件を。
まず、管財も指人名され正式に破産手続きの開始が決定しました。

追報:「エンターキング」の(株)サンセットコーポレイション(千葉)/破産手続き開始決定


まず債権の保持が必須ですので、もうこれで「エンターキング」として再び在庫一掃セールをしたりすることはありえなくなりました。
が、店舗そのものを債権として、それを第三者に売却して現金化することは可能です。
というか、既にそういう動きが起きているようです。

先日申し上げたように、エンターキングは正式に発表のうえで閉店セールをして閉店した店と、8/28まで普通に営業して8/29の破産の事実上の発表以降店を開けていない店とがありまして、その後者の方は以下の6店舗。

・千葉中央店(千葉県千葉市)
・南行徳店(千葉県市川市)
・白金店(千葉県市原市)
・西船橋南口店(千葉県船橋市)
・新松戸店(千葉県松戸市)
・西新井店(東京都足立区)

そして、新松戸店の店先に「桃太郎王国」の屋号で年内に営業再開しますというビラが貼られたという噂を聞き、駿河屋と提携して「桃太郎王国」の屋号でエンターキング的な業態の店舗を展開している株式会社エイムアントレーの情報を漁ってみると。

株式会社エイムアントレー

6店舗のうち3店舗はこの企業が引き受けた模様です。
桃太郎王国の現在の3店舗のうち習志野店は元々エンターキングの屋号で営業していた店舗ですので、そこで何らかの繋がりがあったためかもしれません。

この「桃太郎王国」、そもそもこの業態を始めたのが2018年なんですけど、何でこんな先の無い業態にぶっ込んでいくのか、そこはちょっとわからない。
もしかしたらそこらへんがわからないから、自分は起業とか無理だったりするのかもしれません。働かないでお金が欲しい。