嵐がSNSアカウントを公開すると同時に65曲をストリーミング解禁。
以前はインターネットに親を殺されたのかと思うレベルだったジャニーズ事務所ですが、5月に各グループのグッズのネット通販を開始し、10月からは嵐も微妙にYouTube使い出したり一部楽曲を公開していましたが、ここにきて一気に来ました。
ただ、嵐がシングル楽曲をこういう形で出すのは、他のグループ以上に納得度が高かったりします。
嵐は活動休止を既に宣言し、ベスト盤もリリースしています。つまり、シングル楽曲をパッケージとして売るというビジネスは既に一段落ついた状態です。とすると今後更にこの楽曲群で、事務所が利益を生もうとすると、もうこれしかないということになります。
以下7月に書いたこと。
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The Beatlesの場合では、ダウンロード配信開始がiTunes開始から7年後の2010年。一方ストリーミングで解禁されたのは2015年。Spotifyのアメリカでのサービスインが2011年、Apple Musicは2013年ですから、ストリーミングのリリース判断はダウンロードと比較して格段に早いのですが、ほぼ持ち歌全曲が「既に知られている」彼らの場合、「新たなユーザーがパッケージやアルバムデータを購入する」ことに期待するよりも、ストリーミングならではの聴かれ方に乗る方がビジネスとして得られるところが大きいと早々に判断したと推測できます。
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嵐のシングル楽曲も広く知られたものが多いだけに、むしろストリーミングに乗せることで、CDを新譜で出すほどではないですが今後も継続して利益を生み続けるということです。
これ以前のジャニーズのデータ系のサービスとしては去年来、関ジャニ∞が「関ジャニ∞アプリ」で、「CDやDVDを買った人だけがシリアルコードの入力でスマホで視聴できるようになる」という、画期的かどうかは知りませんが間違いなく「類を見ない」というかエゲツないサービスがありまして、そのために旧譜をシリアルコード付きで再発とかしておりますが、正直これが広く喜ばれるサービスとして人気を博したかと考えると、まあ、あんまりそうとは思えない。
また、ジャニーズを出ていった「新しい地図」の3人が、ほとんど既存メディアに出ることはなくなったものの、ネットを主戦場にすることでそれなりにうまくやっていけているという事実も、ジャニーズを動かした理由のひとつかもしれません。
そしてこのタイミングというのは、来年1月に予定されているSixTONESとSnowManのデビューに際しての音源リリース形式を見定めるにあたっての情報収集という側面もあるのではないかと思ったり。
CDは2グループのスプリット盤形式という、両ファンにとってはなかなかにキツい仕様ですが、データ販売は来るのか、いきなりストリーミングはあり得るのか。SixTONESなんか去年の露出時に「ジャニーズをデジタルに放つ新世代」とかいうコピー出してますので、「これまでが放たなさ過ぎなだけじゃねえか」というツッコミはとりあえず置いておいて、でもこれで嵐以下だと少し寂しい。
CDパッケージは熱烈なファンの方にとっては「フラゲ」という形で、データのリリースより数時間でも早く入手し聴くことができるというメリットは残りますので、ファングッズとしてはある程度以上売れることは間違いないですし。
そして今後順調にCDショップが消えていって、世の中の過半数が「もうCDなんかフラゲどころか店頭では買えないし、通販で送ってもらったら発売日以降にしか入手できんわ」という状況になった頃、静かにCDパッケージは、少なくとも「通常盤」は消えていくのです。
もう一点、ジャニーズも今後どんどんストリーミングに出ていくことが恐らく既定路線になっていくとは思うのですが、問題は過去音源をどう扱うか。
特に、男闘呼組とか忍者とか、事務所的には半ば黒歴史化しているグループの音源。男闘呼組はBMG、忍者はコロムビアですが、CDの再発もさせてなくてけっこうなプレミア価格になっている盤もあるんですが、やっぱりデータも元からなかったことにされてしまうのでしょうか。悲しい世の中です。
「こんな世の中じゃ」って書こうとしたけど、彼は忍者じゃなくて平家派だった。