SUMMER SONIC 2022で観たヤツのこと

3年ぶりのサマーソニックですよ。

もうあんまり無理はできないお年頃なので、きちんと2月の時点で千葉市内に宿を取り、かつ現場でも頑張りすぎないプランを検討した結果、今回はBEACH STAGEは全無視する方針を決定。だって遠いんだもの。
1日目はメッセとスタジアム1往復で済み、2日目はおよそメッセ内で完結する形でプランニング。
初老がフェスを満喫するためにはそれなりの努力と割り切りが必要なのです。
というわけで、観たの。

<1日目>

THE LINDA LINDAS
「みんなで一斉に音を出すと楽しいね!」のまんまで、うっかりデカいステージまで来てしまった感。
その「楽しい」がまんまダイレクトにこっちにも伝わってくるもんだから、数十年汚れて生きてきたおっさんはもう泣くしかない。
「この曲を日本で演れるなんて!」と感極まった様子でのラスト曲「リンダリンダ」が、自分が彼女くらいの年齢だった時とリンクして、もうダメ。最高。

リーガルリリー
彼女たちは過去にちょいちょい観ていたのですが、考えてみたら新代田FEVER以外の箱で観たことがなかったので、サマソニのデカいステージに乗っているのはどんなもんなんだろうと思い。
正直、やや厳しい。ほのかさんの歌詞はこの年代のバンドの中では非常に難解で、このスケールの会場では刺さるところまで届かない。
とはいえ、今回もラストで演ったド名曲「リッケンバッカー」の端的な歌詞とメロの殺傷能力は健在で、あとはこの曲に並ぶ曲を何曲作れるかだなあ、と思い続けて早6年。頑張って。

Awesome City Club
5人時代に3回くらい見ていて割と好きだったのですが、現体制というかエイベックス移籍以降は初。
シティポップ的でありつつどこかに猥雑なところもあって、というところが好きだったのですが、ヒットした「勿忘」はまるで別グループのようで、でも今年になって出たアルバムは十分に猥雑さも感じさせる作品で、じゃあライブはどうなのと思い。
結果、ニューアルバムから数曲、ビクター時代数曲がミックスされているパートは何の違和感もなく非常に楽しいのですが、ラスト2曲「勿忘」とドラマ主題歌になるという新曲だけ完全に別世界という、さもありなんという状況。
すごく気持ちはわかるのだけど、どっかで擦り合わせていかないと後々大変だと思います。

The Libertines(録画)
早めにスタジアム入った方がいいのでは、という判断と、なかなかこういう事態もないので観てみようという気持ちと。
撮り下ろしではあるっぽいのだけど、結果としてはどうにもこうにも。生じゃない分「フジロックをYouTubeで観る」時の気持ち以下でした。

MANESKIN
正直彼らに対してはピンと来なかったのですよ。Moverとかもっと言えばSultans Of Ping F.C.みたいな「Rockin' On誌推し枠」だろうという先入観もあり。
ただ、徐々に回りの信頼できる友人たちがいいよいいよと言い始め、前日の豊洲PITでの単独公演の感想がタイムライン上で爆発しているのを見て、これは観なきゃいかんかと。
結論、観て本当に良かった。
「スター」というものはなろうと思ったからなれるでもなく、持って生まれたカリスマ性とか、それに相応しい楽曲とかバンドとか、いろいろ揃っていないとなれないものなわけですが、何か生まれて初めてそういうのが全部揃っている「これからスターになろうとしている」生物を見ている感覚になりました。
初来日時のQUEENやBON JOVIを観ていた方々の感覚ってこんな感じだったのでしょうか。

King Gnu
2019年のVIVA LA ROCK以来。
当時は「白日」リリース少し後というタイミングでしたが、2019年のTwitterでの感想を探すと「ライブ観てもわからず、でもそのセンスが恐ろしく地肉化されたものであることは理解した。もう置いてけぼりでいい」と書いてありました。
が、その後向こうの方から更にわかりやすかったり違う角度からの楽曲をばんばんリリースしてくれたため、何となくわかった気になって今回臨んだのですが、やっぱりそれでも底知れない。
スケール更にでかくなってるし、でもまだ全然この先行けそうな感じもするし。だから思うんだけどそろそろこっちでも「J-POP」意識するのやめてもいいんじゃないか。今度こそ置いてけぼりになってもいいから、この先が観たい。

The 1975
2019のサマソニの割と色彩豊かなステージから完全なモノクロ世界的な演出。もうかっこいい。
10月の新作リリースを発信するにあたっての様々なデザインがそういう感じだったので、いち早くそのモードを持ち込んできたということが、何かうれしい。
1時間半のロングセットになったのは、The Libertinesの分ということもあるのだけど、Rage Against The Machineが急遽キャンセルになったことに伴って来週のレディング/リーズフェスのヘッドライナーになったことで、そのリハーサル的な側面もあったんじゃないかとか邪推することもできるのですが、それでもこのレベルのものを見せてくれるのであれば何の問題もないです。

UKではThe 1975に変わったことはあんまりポジティブには捉えられていないそうですが、それは何となく理解できそうな気もします。
それらは両方とも必要だと思うんですけど、Rage Against The Machineはどちらかといえば世の中の様々に「NOと言う」バンドであり、The 1975はどちらかといえば世の中の様々に「YESと言う」バンドであって、割と真逆だと思うので。
レディングの主催は何でそういうキャスティングをしたのかとも思うのだけど、まあギリギリだししゃあない。
あとは来週、現場の空気をひっくり返すだけだと思いますし、できると思います。

<2日目>

Tani Yuuki
ストリーミングチャートでは既によく見る名前なので、どんなもんかという気持ちで。
今のところ完全な全国一般流通のCDも出してないし(タワレコ限定流通はあり)、おっさんよくわからないので本当にこういう場があるのは素敵です。
で、快活そうな青年が非常に誠実に歌うという、大変にいい感じの現場。
あとは、リーガルリリーも然り、ひとつの楽曲がバズる形で注目されたミュージシャンに総じて言えるのですが、1曲がバズった後、どれだけその跡にその楽曲に匹敵するか越えていくかという楽曲を作れるか否かにおよその未来がかかっていると思っています。
彼の場合「Myra」「W/X/Y」とバズっているので、あとはもう既存のメディアメインの方々に直結する術を持つことができれば、と思います。

羊文学
UKギターバンド好きな人間は聴かなきゃいけないバンドなわけですが、今までライブ観たことなくてすみませんでした。ライブもいい。
とにかく「ギター音が歪まないのにデカい」の最高。前面には出てこないけど曲の中で渦巻いている感のあるエモさもたまらなくいい。
古い例で言えばあれだ、電子化する前のナーヴ・カッツェ。

リリカルリリィ
前日にリーガルリリーを観たので、この2組が同じイベントに出演することなど今後絶対ないだろうという予想のもと記念のつもりで。
こと声優系のアイドルグループは、21世紀以降のアイドルの「アイドル的なもの」を抽出して濃縮してぶっ込んでくるというイメージなのですが、まさにそれ。すげえ濃い「アイドル」感。
とはいえ楽曲によってはトラックのボトムが割とぶっといのとか、「これ普通にいい曲じゃないか」と思うのとかもあって腰に来たり心に来たりする。
で、声優さんですから声の耳心地は大変によく、総合的に言えば「劇物」ですこれ。
これ以上摂取すると割と簡単に依存症になるヤツ。ヤバい。猫になる。

EASY LIFE
正直、音源はいまいちピンと来ないままだったのですが、ライブすごいなこれ。
だから、1980年代のPet Shop Boysや、1990年代のPulpがもし2020年代に音を出したらこういう感じになるんだろう、ということがすごくよくわかりました。
非常に英国的に地獄のような歌詞を、でも軽やかに歌い演奏する。ライブを観ることでようやく咀嚼できた気持ちになりました。
もう一度きちんと音源聴きます。

女王蜂
いたら観るでしょ当然。正直、女王蜂は日本の宝ではないかと思うのです。
Maneskin同様、こういう人がこういう意志を持ってこういう技術を持ってこういうバンドを持ってこういう活動をする、というのは世界規模の奇跡だと思うんです。
でも、ライブはイベントとかフェスでしか観たことないんです。濃すぎて強すぎてワンマンの尺で体が持つ気がしないんですよ。
約40分間、強烈な圧をいただきました。ワンマンも頑張って行きたいです。

milet
悪くない。素敵な声ですし、すごくきちんと作り上げた感じのステージ。
持ち曲の中からアップテンポの曲を出すだけ出して場を作りながら、ヒット曲はきちんと押さえていく感じの親切さ。
ただ、毎度思う通り、そういうJ-POP的な作りの曲よりも、UKの頭のおかしいクリエイターが作ったわけのわからないビートに奇声だけ乗せるとかの方が絶対彼女の声が映えると思うんですよ。
ステージあっち行ったりこっち行ったりしないで、わけのわからない衣装を着て超然として。そういうのを私は観たい。

Kula Shaker
いきなり「Hey Dude」。笑っちゃう。全体的に派手な部分は一切ないのだけど、ひたすら実直に紡ぐ感じのステージ。
ただ、ギターソロ以外の刻んでるところは全部ベース音の方が大きくてあんまり聴こえないのは仕様なんでしょうか。
ベース>オルガン>ドラム>ギター、みたいな音量なんですよ。でもおかしいなら途中で改善されるはずだし、やっぱ仕様なのか。
あと、ラストでmiletが呼び込まれての「Govinda」。
彼女の声がインド系メロに合わないはずがなく、これがすごくいい。milet本人のステージで思ったことが直後に多少なりとも回収されるという幸せ。いい。
あともうひとつ、曲の途中でいきなりHappy Mondays「Hallelujah」の一節をぶち込んできたのはあれ何だったんでしょうか。

Primal Scream
「Screamadelica Live」というタイトルが付けられていたわけで、ベテラン勢でよくある「過去の名作アルバム再現ライブ」のつもりで観ていたらもっと深かった。
頭3曲はアルバム通りですが、そこから「Come Together」になり「Inner Flight」になり、アルバムタイトル曲なのにアルバム未収録でその後「Dixie-Narco EP」で割とぽいっという感じでリリースされた「Screamadelica」。
要するにこれは単なるアルバム再現ではなく、「Screamadelica」という当時のコンセプトを今改めて表現し直したということではないかと。
そして本編最終曲「Shine Like Stars」の時、スクリーンに投影された人物、リアルタイムではわからなかったのですが、友人からあれはアンディ・ウェザオールの近影であるということを聞き、特に周年でもないのに今「Screamadelica Live」をやる意味までを理解した次第。

で、本編終わってメンバーはけたけど、まだ「Loaded」やってなくね?と思ったらアンコールでいきなりぶっぱなす。うわ最高だなと思ったらそこからも大変。
もう2日間いろいろ観て割とくたびれているのに、「Swastika Eyes」「Jailbird」「Country Girl」「Rocks」というプチ「Dirty Hits」状態。殺す気か。最高。

以上。運営とかで思ったことは次回。

ROTH BART BARON@日比谷野音のこと

ROTH BART BARONを初めて聴いたのは、2013年頃、きっかけは忘れましたがYouTubeで「小さな巨人」。とても「大きな音楽」だと思いました。翌日CDを買いに行きました。
初めて観たライブは2014年6月、渋谷のo-nest。素晴らしかったけど、こんな狭くて天井の低い場所で奏でられるべき音楽ではない、ホールかもっと広い場所で聴きたいと思いました。
始めて野外で観たのは2015年のVIVA LA ROCK。結局この年しか設営されなかったアリーナ入り口近くの特設ステージ。動員は数百人レベルで残念でしたが、でも演奏は本当によかった。
あとは「もっと長く聴きたい」一点のみ。

クラウドファンディングでロンドンに滞在したり、ドラマーが脱退したり。ようやっとA_o名義での活動や「関ジャム」でメディアに乗っての2022年8月7日。日比谷野音でのワンマン。


感無量。たとえ実動員が1000人程度だったとしても。僕はこの音楽をまさにここで聴きたかったんです。

ゲストは北海道羅臼出身の新進気鋭のSSW森大翔。Yogee New Wavesのフロントマン角舘健悟、そして新曲「月に吠える」を歌う中村佳穂。
ゲストパートの直前がA_o名義の「BLUE SOULS」だったので、彼女がコロナ陽性でなければこの日ROCK IN JAPANでBiSHのステージを16:30に終えたアイナ・ジ・エンドも駆けつけたのではないかという邪推もできるのですが、詮無いことですし、その分ということか、中村佳穂が「月に吠える」に入る前に「BLUE SOULS」を一節歌うという「粋」もありましたので、これはこれでOK。

というか、中村佳穂と折坂悠太が評価とともにこれだけ広く遡及できるのであれば、ROTH BART BARON=三船雅也と蓮沼執太ももっと知られていいだろうよと、常々思っている身としては、ここでの中村佳穂との接点は嬉しくもあり。

それでも、そういうゲストがあったり新曲があったりでも、やっぱり今回は聴き馴染んだ曲が計10人のバンド編成で日比谷野音という場所で鳴らされることが自分にとっては一番重要で。
アンコールの初期曲「化け物山と合唱団」から「小さな巨人」の流れでは本当に泣きそうになりました。10年近く、これを待っていたんだと思いました。
そういうライブでした。

彼ら、今年も野外フェス出ます。
8/13:RISING SUN ROCK FESTIVAL(北海道)
8/27:Millennium Deadstock Festival(福井)
8/28:SWEET LOVE SHOWER(山梨県)

行くご予定があれば是非に。
もしくはこの日比谷野音公演、8/13までアーカイブ観られます。

彼らの最近のワンマンは概ね撮影可、SNS拡散可なんですが、YouTubeに上げたのは初めて見た。
どこまでOKか正直わかんないですが、中村佳穂出演部分、また観て泣きそうになったので以下。
これ観て気になった方はもれなくアーカイブ購入して観よう。約束だ。

レコード店のショッパー袋のこと

先日、このツイートが割と読んでいただけたので、こちらでも改めてやってみます。

新譜屋・中古屋にかかわらず、割とこういう状況はありまして、たとえば昨年10月に惜しまれながらも閉店した千葉県館山市のカミヤマサウンドステーション、数年前に行った時はちゃんとロゴ入りの袋だったのが、閉店の報を聞いて伺った際には何かの包装紙を切って貼ってこさえた謎の袋に入れていただきまして。

こういう内職な袋は他になかなか見ないですが、白無地とか紺無地とか、あとはこういう謎デザインの袋も割とよく見ます。

当然ですがCD屋・レコード屋、アナログでやや景気のいい一部を除けば、そう経営も明るいわけでもなく、経費はできるだけ抑えたい。
でも過去から独自ショッパー袋を使っていたところは、それがお店のアイデンティティでもありますので、そう簡単にもやめられない。

特に印刷に1色ではなく2色以上使っているところとかは当然単価も高くなるので大変です。
店舗網がどんどん小さくなっても2色刷りが誇り高い大阪のDISC J.J.とか。

東京都内3店舗を構えるココナッツ・ディスクなんかは、デザインが2色であることに意義があるタイプ。

で、1色でもショッパーズ袋を作るのがキツくなってきた場合だけでなく、新規開店にあたってできるだけ経費を抑えたい、というパターンもあります。
その場合、多くは初手から汎用袋を使用するのですが、「それじゃあんまりかなあ」と考えるお店もそこそこあったりします。
ではどうするか、ということなのですが。

1)紙袋にハンコを押す。
画像は浜松市にあるいい感じのセレクト&中古ショップ、SONE RECORDS。でもこの時はやや薄くてよくわからないやや残念な押捺。
あと、最近は東京のRAREが独自袋をやめて紙袋+ハンコになっているかと思います。

2)無地汎用袋にシールを貼る。
画像は2017年に閉店した、下北沢の一番街商店街にあった「オトノマド」というレコ屋。
確か無地の袋を取り出し、商品を袋に入れてからこのシールを貼って渡された記憶。何かよかったです。

3)透明汎用袋に店ロゴ入りカードを入れる。
画像はこれも2020年に閉店した、名古屋・大須のAndyというレコ屋。
半透明の袋にカードを入れることで透けてロゴが見えてショッパー袋っぽくなるという算段。

ぐるぐるお店を回っていると、いろんなお店がありますが、それでもやっぱりロゴ入り袋や上記のような工夫に触れると嬉しくなります。
一部「袋入れますか」と聞いてくれる店の場合「ロゴ入りの袋ですか?」と質問し、「無地のです」と言われたら「じゃあいりません」と言ってしまう程度には鬼畜ですが、でも日帰り用のトートも1泊以上用のリュックもLPサイズが入るサイズを購入してあるのでぬかりはないのです。

あと、材質が塩ビかポリかとか、細かいことも割といけそうな気もするのですが、そろそろやめておきます。

ただ、ロゴ入りショッパー袋は嬉しいのですが、でもゲオの袋のように「これ斤量いくつなん?」と思ってしまう、舐めたら溶けるんちゃうかくらいに薄くなってしまうと「もう無理しなくていいよ…」とも思ってしまいます。本当に無理しなくていいです。

ジャニーズのCD売り上げの推移のこと

先日、ジャニーズ所属のグループのCD売上について「2020-2021年は過去最大レベルに達しています」ということを言いましたが、正直な話体感レベルで間違いないと思ったものの、具体的な数値を見ないまま言っていました。
何となく気持ち悪かったので、過去約30年についてオリコンのCD売上数値を調べてみました。

■シングル
1993:1,570,000
1994:3,600,000
1995:4,650,000
1996:5,230,000
1997:7,900,000
1998:7,540,000
1999:6,330,000
2000:7,110,000
2001:4,880,000
2002:3,080,000
2003:5,760,000
2004:3,150,000
2005:5,670,000
2006:7,620,000
2007:5,300,000
2008:6,750,000
2009:6,330,000
2010:7,820,000
2011:5,980,000
2012:6,680,000
2013:7,100,000
2014:7,360,000
2015:5,450,000
2016:5,860,000
2017:5,660,000
2018:5,840,000
2019:5,210,000
2020:9,370,000
2021:9,590,000

■アルバム
1993:540,000
1994:730,000
1995:2,130,000
1996:1,450,000
1997:3,200,000
1998:2,120,000
1999:1,260,000
2000:1,910,000
2001:3,760,000
2002:1,490,000
2003:1,580,000
2004:910,000
2005:2,060,000
2006:2,410,000
2007:2,480,000
2008:1,260,000
2009:3,860,000
2010:2,570,000
2011:2,110,000
2012:2,690,000
2013:1,270,000
2014:3,050,000
2015:2,900,000
2016:3,580,000
2017:2,500,000
2018:1,860,000
2019:3,920,000
2020:2,360,000
2021:4,100,000

結果として、やっぱり2021年がジャニーズ事務所にとって最もCDを売った年だったことがわかりました。よかった。
よかったんだけど、やっぱどうかしてる日本。

1993年の売り上げを見ていると、ようこんな数値でやってたもんだと思うくらいですが、当時は光GENJIがいよいよシオシオになり、SMAPはデビューしていたもののまだブレイクに至っていない状態だったので止むを得ない。

で、シングル・アルバムとも売上が飛び出ている1997年はKinKi Kidsのデビュー年ですが、正味単体でここまでのインパクトがあったグループは他にないんじゃないでしょうか。1stアルバム&1stシングルが同時発売で、抱き合わせセットも販売されていたが故のこういう状況でもありますが。

昔はデビューして数年すればある意味「陳腐化」してしまい、売上が相当減るのが常で、過去の事例で言えば光GENJIは1988年に3rdシングル「パラダイス銀河」で売上のピークを迎えましたが、その5年後のシングル売上はおよそ1/10になっています。
が、最近のグループは、バラエティ番組での継続的な露出もあって、デビュー以降の売上の減りもさほどではなくなっているというのもこの売上の大きさに寄与していると思います。

あと、これはこれで別途掘ってみたいと思っているのですが、ジャニーズ初の東京ドーム公演は1989年の光GENJIでしたが、それ以降は1998年1996年にSMAPが2DAYS公演するまで東京ドーム公演はありませんでした(「ジャニーズ野球大会」を除く)。
それが2019年には、嵐を筆頭にジャニーズ合計27日間の東京ドーム公演を行うに至っているわけで。いろいろ規模がデカくなっている。

興行の規模が大きくなっていくのはいろいろ理解できるのですが、この2021年にCD売上の最高値を叩き出すジャニーズ勢。
「複数枚買いしてます!」ということを競うようにSNSで発信していることが、他のファンを刺激しているという側面もありまして、結果として、なのかもしれませんが、そういう意味ではジャニーズ割とネットをうまく使ってるんじゃないかと思います。

ひたちなかの新フェスに行ったこと

23日、2日間のうち1日だけですが、ROCK IN JAPANが去ったひたちなか市で新たに立ち上がった新フェス「LuckyFM Green Festival」に行ってまいりました。
事前からいろいろ確認したりしていましたので、ある程度時系列で。

<事前>
ROCK IN JAPANが、それまでのひたちなかでの開催ではなく、千葉市の蘇我スポーツ公園で開催されることが発表されたのが2022年1月5日の正午。しかしその数時間後には具体的な内容等の発表はなかったものの、国営ひたちなか海浜公園で今夏新フェスを開催します、という声明が。
具体的な日程とフェス名、第1弾ラインナップが発表されたのは4月28日。

開催まで3か月を切った中での告知開始というのは新しいフェスとしては致命的なほど遅く、かつ発表された7/23-24という日程は、浜松市の渚園でFUNDAY PARK FESTIVAL、大阪市舞洲でOSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVALと、中堅どころのフェスの開催が既に発表されていて、正味かなりの条件の悪さに、果たしてこれどうなるものかと思っておりました。

その後ラインナップや日割りが公開されるにつれて、23日は「年寄りが好きそうなミュージシャン」密度が異常に高く、24日はJ-HIPHOP勢の密度が異常に高いという、2DAYSというよりは「違うフェス1日ずつやるんじゃね?」的に思えてしまうほど。

エリアマップについては発表されたのを見て非常に納得。
ROCK IN JAPAN最大のステージGRASS STAGEとその導線沿いの施設やステージはばっさりとカット。翼のゲートから近い3ステージのみを活用する形になっていました。

具体的な位置関係としては
・WATER STAGE(=旧LAKE STAGE)
・GREEN STAGE(=旧SOUND OF FOREST)
・LUCKY STAGE(=旧WING TENT)
という3ステージ構成。

そして1日目の「年寄りが好きそうなミュージシャン」、2日目のJ-HIPHOP勢はそれぞれおよそGREEN STAGEに集中させるという戦略。
逆に言えば他の2ステージはやや目玉的なミュージシャンには欠けるもののおよそ通常のフェスであり、ただしGREEN STAGEの存在によって他のフェスとは何か明らかに違う雰囲気もある、というそんな状況に。
そして1日目のタイムテーブルについては、発表されたときに後半だいぶWATER STAGEとGREEN STAGEのライブ時間帯が被っているのを見て、「ということは、それなりに動員の目途が付いたのかな」とは思ったのですが。

自分は6月の下旬頃に1日目だけ行ってみよう、7月22日はその前の週の日曜出社分の代休を当てて前乗りしようと思い立ち、足と宿の予約を行ったわけですが、開催1か月前を切った段階で、常磐線の特急は当然、宿も水戸駅どころか勝田駅前のホテルが余裕で予約できるという事態に、やはり不安バリバリで出かけることになるわけです。


<前日>
22日夕刻に勝田駅着。時刻表示LEDの上に「ようこそ」がかかっていたり、駅中コンビニが張り切っているのはROCK IN JAPANの時と変わらないのですが、とにかく駅前の「平常運転」感がすごい。

いや、ROCK IN JAPANで前乗りしたことがないので比較はできないのですが、駅中、駅周辺含めてフェス的雰囲気は街中にほぼ皆無、テント数張りが畳んで置かれている以外に何か準備したような様子もなく。
ここに来て不安を拭えるような状況はまだありません。


<当日>
ホテルの朝食会場も正味ガラガラ。9時前にチェックアウトして駅前に向かうと置いてあったテントがシャトルバスの切符売り場になっていましたが、ほぼ並ばず購入完了、全く並ばず乗車、席がだいたい埋まるくらいのタイミングで詰め込むことなく発車。

ここまでずっと不安は続いていたのですが、いよいよひたちなか海浜公園に近付いてきたあたりで具合が変わってきます。
勝田駅前からひたちなか海浜公園までは片側2車線の道路がずっと続いているのですが、その歩道寄りの道路に渋滞が発生。とはいえ中央寄りを走るバスはノンストップで公園の方へ向かい続けます。
要するに、駐車待ちの列が道路に長く伸びていたわけで。果たして広大な駐車用地には既に大量の車が止まっていて、そこから公園へ向かう人の長い列。ゲート前には既に長蛇の列ができていて、結局入場までに30分かかるくらいには混んでいて。

まったくもって杞憂でした。そして理解しました。
今回の主催はFM茨城。全国メディアではなく完全な地場メディアです。
このラッキーフェスはROCK IN JAPANのように全国から客をしこたま呼ぶ形と同じところを目指すのではなく、少なくともまずは地元の茨城の方々に愛されるフェスとなるべく位置付けられ、恐らくFM含めた地元メディアでは相当な告知を行った結果、「地元から自家用車で訪れる」観客の割合が圧倒的に多い形で集客にある程度成功していたと。
すごく理解しました。主催者発表では1日目は15,000人目標で13,000人まで持ってこれたとのこと。すみませんでした。


で、観たの。

■Creepy Nuts
初見。とはいえ全部聴いたことある曲しかやらない。

1.合法的トビ方ノススメ
2.よふかしのうた
3.堕天
4.2way nice guy
5.かつて天才だった俺たちへ
6.のびしろ

正味、初めて生で観た際の「感動」は薄め。生バンドではないということと、R-指定の「熱」というかそのメッセージは割とメディアを経由したとてあんまり劣化しないレベルのものであるということか、と思いました。
あのやたらポップな音作りは「届かせる」ためにそうなっているのだろうな。


■相川七瀬
初見。「シングル曲だけにしました」とMCで仰って本当にそうだったのですが、多少シーケンスは被るものの、概ねG/B/Drの音で成り立っていて普通にかっこいい。元々の曲の足腰がしっかりしてるんだなと改めて思う。

1.LIKE A HARD RAIN
2.恋心
3.Sweet Emotion
4.BREAK OUT!
5.夢見る少女じゃいられない

メンバー紹介でドラマーを「息子です!」と紹介してビビる。ここまでもイベント時に叩いたことはあったものの、1ステージ全部を担当するのはこれが初めてということで。
お母さんのバックバンドをしていること、そしてお母さんがあんな女性だということ。全くもって想像できません。
贅沢を言えば、間奏にM/A/R/R/Sの「Pump Up The Volume」のベースラインを意味もなくぶっこんでくる「Bad Girl」も生で聴きたかった。


■杏里
初見。のはず。
相川七瀬の時に気になるほど悪かったわけでは全くないのですが、それでもサウンドチェックの段階でバンドの音が滅茶苦茶きれいで笑う。やっぱ違うのよ。

1.Windy Summer
2.Remember Summer Days
3.Last Summer Whisper
4.悲しみがとまらない
5.CAT'S EYE
6.オリビアを聴きながら

頭の「夏」縛りがとにかく最高で。あと、「CAT'S EYE」も流れに合うアレンジに仕立ててあって大変に素敵。こういうのをシティポップって言うんじゃないの。
ただ、途中で他ステージでやったMagie Laneを呼び込んで一時いきなりステージからいなくなったり、大分押したり、禁止されているはずのシンガロングを割と執拗に求めてきたり、最近のフェスではなかなか見ない自由奔放さでした。


■CHAI
3回目くらい。最新アルバムがそれまでの流れと相当違う音だったので、ではライブはどうなっているのかと思いこちらへ。
ステージ開始前のサウンドチェックでラッキーフェスにかけたか、いきなり「Get Lucky」のカバー演奏を開始してもうその時点で最高。

1.END
2.クールクールビジョン
3.PING PONG!
4.N.E.O.
5.カーリー・アドベンチャー
6.まるごと
7.Donuts Mind If I Do

で、最新アルバムの音とそれまでの音の食い合わせは正味あんまりよくないままでした。
しかし全体の演奏力・パフォーマンス力がバチクソ上がっていて、多少違うくらい気にしていられないくらいの圧倒的ステージ。
やっぱ揉まれているだけある。こんなのこんな小さなステージでやって終わらせちゃダメよ、本当。


この後、RIP SLYMEを観にGREEN STAGEに戻ろうとしたのですが、あからさまに雲行きが悪くなり、雨雲レーダー観たらすごい赤いのが接近中で、こりゃあかんと思ってテントに入ってSiMを観ていたのですが、降雨開始前に「落雷警報発令のため、テントから出てください」という場内アナウンスがありライブも中断。

さてどうしようと思って見渡したところ、ROCK IN JAPANに行ったことがある方にはおなじみ、翼のゲート入って右奥、テントエリア手前の公園施設の公衆便所棟が目に入ったので、便所入口脇の屋根のあるスペースにハイボール持って飛び込む。
しばらくは便所に並んでいる方の一部に「何でお前そんなとこで何飲んでるねん」的な目を向けられましたが、10分しないくらいのうちにゲリラ来襲、俺勝利。
ただし、雨が止んだ後はご飯、飲酒&喫煙を優先してしまったためRIP SLYMEは最後の「熱帯夜」だけ。


■ゴールデンボンバー
たぶん3回目。3人化してからは初めて。
相変わらず、場の転換でドラムキットを出してはくるんだけどサウンドチェック一切やらなさ加減の時点でもう面白い。

1.#CDが売れないこんな世の中じゃ
2.抱きしめてシュヴァルツ
3.元カレ殺ス
4.首が痛い
5.女々しくて

今回喜矢武豊の「ギターソロじゃなくて」はメロン&納豆ソロでした。あとは樽美酒が尻を出すか鬼龍院が裸になるかだなあと思っていたら、案の定樽美酒が尻を出したので安心しました。
最後も安定の「女々しくて」。もうわかってるんだけどさ、でも安定して楽しいじゃないですか。これが観たかったんですよ。


一時止んだりするものの、断続的に割とガチの降雨が続き、うっかり今回の持参をコールマンのガチ雨具ではなくコンビニポンチョで済ませてしまっていたため、この雨量では何とも辛い。
そもそもこのフェスに来ようと思った動機が、自分は大変に脆弱であるため心が折れたのと、あとは落雷警報で遅延していて最後までいると帰りの特急間に合わない可能性もあって、金爆終了の時点で撤収。
石井竜也さんごめんなさい。


ということで、割と楽しく過ごしました。
少なくともこのフェスは「ROCK IN JAPAN」の穴埋めではなく、地元にとっての新しいフェスを立ち上げようという動きであることはわかりました。

23日の年寄り好きのするラインナップ、24日のJ-HIPHOPはできるだけ広く老若男女を集めようという意識。
特に23日の方は、こういう地域型新フェスには欠かせない協賛企業からの出資を募るにあたり、お金を出す判断をされる地位の方が「知っている方が出演している」と認識できることが、割と重要事項であるが故のこのメンツである必然性があるのだろう、と思ったり。

このフェス、各ステージに屋根&椅子付きの「協賛者様席」が用意されていたのですが、大きなWATER STAGEのそこは概ねスカスカだったのに対し、GREEN STAGEの相川七瀬や杏里の時はもう立ち見が出るレベルの大入りだったりとか。

もちろん、ROCK IN JAPANによる地元への経済効果は多大なものがあり、それに比べればこの新フェスはもうその何分の一かそれ以下かくらいのレベルで減少していると思います。
それでも、その経済的なところを早急に取り返そうということはメインの目的ではなく。
そしてここ数年のROCK IN JAPANはチケット発売と同時に即完してしまうが故に「地元の文化」とは言い難かったという状況もあり、それを「茨城のもの」として改めて再構築して行こうという意志も割と伝わったよいフェスでした。
来年もできるだけ行こうと思います。

あと、千葉移転と同時に勝田駅前の「ROCK」像も引っ剥がされて移転してたら最高に笑えるなと思っていたのですが、普通にありました。ロッキンオン社そこまで鬼畜ではなかった。

TSUTAYAの2022年上半期のこと

TSUTAYAの件、2022年も半年経ったのでざっくりまとめておきます。
過去数年ウォッチし続けてきまして、年間のまとめはこんな感じ。

2019年:約100店舗
2020年:約80店舗
2021年:約90店舗

で、2022年1-6月上半期の閉店は各印できた限り61店舗。割とワイルドに減らしています。

01/04:TSUTAYA 石堂店(青森県八戸市)
01/07:TSUTAYA 瓢箪山店(大阪府東大阪市)
01/15:TSUTAYA 大鳥居店(東京都大田区)
01/15:TSUTAYA 葛西店(東京都江戸川区)
01/16:TSUTAYA 函館港町店(北海道函館市)
01/16:TSUTAYA 東戸塚店(神奈川県横浜市戸塚区)
01/16:TSUTAYA 碧南店(愛知県碧南市)
01/23:TSUTAYA OUTLET 神栖店(茨城県神栖市)
01/23:TSUTAYA 東大島店(東京都江東区)
01/26:TSUTAYA 京橋店(大阪府大阪市都島区)
01/31:TSUTAYA 赤坂店(東京都港区)
01/31:TSUTAYA 新橋店(東京都港区)
01/31:TSUTAYA BOOKSTORE ビーンズ赤羽店(東京都北区)
01/31:TSUTAYA シァルプラット東神奈川店(神奈川県横浜市神奈川区)
01/31:TSUTAYA 伊東店(静岡県伊東市)
01/31:TSUTAYA 豊岡アルコム店(兵庫県豊岡市)

02/06:TSUTAYA 武蔵小山店(東京都品川区)
02/06:TSUTAYA 藤井寺駅前店(大阪府藤井寺市)
02/10:TSUTAYA 下高井戸店(東京都杉並区)
02/10:TSUTAYA 八戸ノ里店(大阪府東大阪市)
02/18:TSUTAYA シティオ洲本店(兵庫県洲本市)
02/18:TSUTAYA シティオ三原店(兵庫県南あわじ市)
02/20:TSUTAYA 川崎三の辻店(神奈川県川崎市川崎区)
02/20:平和書店 TSUTAYA 堅田店(滋賀県大津市)
02/27:TSUTAYA 花小金井店(東京都小平市)
02/28:TSUTAYA 湯沢店(秋田県湯沢市)
02/28:TSUTAYA 東浦和店(埼玉県さいたま市緑区)
02/28:TSUTAYA 高田馬場店(東京都新宿区)
02/28:TSUTAYA JR住道店(大阪府大東市)
02/28:TSUTAYA 遊ING 浜町店(長崎県長崎市)

03/07:TSUTAYA 市川オリンピック店(千葉県市川市)
03/11:TSUTAYA 幡ヶ谷店(東京都渋谷区)
03/13:TSUTAYA 四条寺町店(京都府京都市下京区)
03/13:TSUTAYA 東香里店(大阪府枚方市)
03/20:TSUTAYA 昭和通り店(山梨県中巨摩郡昭和町)
03/20:TSUTAYA 東浦通店(愛知県名古屋市南区)
03/21:TSUTAYA 遠軽店(北海道紋別郡遠軽町)
03/21:TSUTAYA 武生南店(福井県越前市)
03/31:TSUTAYA BOOKSTORE ビーンズ西川口店(埼玉県川口市)
03/31:TSUTAYA 北柏店(千葉県柏市)
03/31:TSUTAYA 鴨居店(神奈川県横浜市緑区)
03/31:TSUTAYA 横須賀堀ノ内店(神奈川県横須賀市)
03/31:TSUTAYA 中洲gate’s店(福岡県福岡市博多区)
03/31:TSUTAYA 甲南通り店(鹿児島県鹿児島市)

04/03:ブックエース 内郷店(福島県いわき市)
04/07:TSUTAYA 宮内店(広島県廿日市市)
04/10:TSUTAYA 熊見店(兵庫県姫路市)
04/10:TSUTAYA 三原店(広島県三原市)
04/13:TSUTAYA 綱島店(神奈川県横浜市港北区)
04/15:TSUTAYA 大宮指扇店(埼玉県さいたま市西区)

05/05:TSUTAYA 北朝霞店(埼玉県朝霞市)
05/08:TSUTAYA 小岩店(東京都江戸川区)
05/08:TSUTAYA 坂店(広島県安芸郡坂町)
05/15:TSUTAYA 平須店(茨城県水戸市)※茨城町に移転
05/29:TSUTAYA 名寄店(北海道名寄市)
05/31:TSUTAYA 松井山手駅前店(京都府京田辺市)

06/05:TSUTAYA フジグラン新居浜店(愛媛県新居浜市)
06/05:TSUTAYA 船堀店(東京都江戸川区)
06/20:平和書店 TSUTAYA ノースウエスト店(岐阜県大垣市)
06/28:TSUTAYA 神明通り店(福島県会津若松市)
06/30:TSUTAYA 札幌駅西口店(北海道札幌市北区)

年度が変わって以降はそれ以前よりは落ち着いた感じになっていますが、実はこの8月の閉店は現在把握しているだけで10店舗確定していますので、下期は下期でガッツリ来るのではないかと思います。
いくつかトピック的に傾向をつまんでみると。

■トップカルチャー、レンタル撤退進行中
昨年7月に運営全店舗でレンタル事業からの撤退を発表している大手フランチャイジーのトップカルチャー、その発表以前からちょいちょい小中規模店舗は閉店しておりまして。

2021/05/31:蔦屋書店 厚木戸室店
2021/06/13:TSUTAYA アトレヴィ田端店
2021/10/31:蔦屋書店 小千谷店

で、この上半期には大きな動きはなかったのですが、

2022/07/03:蔦屋書店 南笹口店(新潟県新潟市中央区)
2022/07/03:蔦屋書店 豊科店(長野県安曇野市)

と、7月3日に2店同時閉店。他にも閉店はせずともレンタルを撤収して、日用品コーナーを設置したり、ARスポーツの体験エリアを設けるなどの置き換えを実施しています。
何に置き換えるのかは現在のところ探り探りという雰囲気ですが、「これ」という方針が見つかれば速攻で他の店も置き換わっていくのではないかと思います。


■東京23区東部での減少拡大
東京都区内のTSUTAYA減少は、小田急沿線で運営していた小田急商事の店舗がほぼ一気に撤収したり、世田谷区杉並区の駅前型小規模店舗がほぼ一掃されたり、西側が割と目立っていたのですが、ここに来て東部の動きが激しくなってきています。
特に江戸川区はなかなかのスピード感。

01/15:TSUTAYA 葛西店(東京都江戸川区)
05/08:TSUTAYA 小岩店(東京都江戸川区)
06/05:TSUTAYA 船堀店(東京都江戸川区)

区内に4店舗あったのが半年で残り1店舗(瑞江店)のみに。


■東大阪市、全滅
江戸川区以上にエグかったのが東大阪市。

01/07:TSUTAYA 瓢箪山店(大阪府東大阪市)
02/10:TSUTAYA 八戸ノ里店(大阪府東大阪市)

残った2店舗が約1か月の間に両方撤収。1/30にはGEOも1店舗減っていますので、昨年末には市内に5店舗あったレンタル店舗が2月上旬にはGEO2店舗のみになったという状況です。


■港区、陥落
23区の中でも昼間人口が多い地域は、正味レンタル事業はそもそも風前の灯火でしたが、1/31に赤坂店・新橋店が同時に閉店したことで、港区からはレンタル完全撤退。残っているTSUTAYA系は六本木のお洒落書店と田町のシェアラウンジ付き書店のみに。
新宿区・中央区・千代田区は既にレンタル陥落済み。山手線沿線ないしそれより内側でレンタルが残っているのはSHIBUYA TSUTAYAと池袋ロサ店のみです。

というかそれ以外の23区内をざっくり眺めてみると、駅前の小規模店は既に相当数が死滅、残存店で目立つのは馬事公苑店(世田谷区)・石神井台店(練馬区)・セブンタウン小豆沢店(板橋区)等、23区内でもロードサイド型の店舗だったり。

大阪府豊中市が2018年に続々と駅前型店舗が消え、残ったのがロードサイド型の上新田店だけであったり、神奈川県藤沢市では藤沢駅・辻堂駅に近い店舗が撤退する中でロードサイド型の村岡店は残っていたりとか、何か都市部郊外かかわらず全体的にそういう流れになっています。


■最北のTSUTAYA消える
03/21:TSUTAYA 遠軽店(北海道紋別郡遠軽町)
05/29:TSUTAYA 名寄店(北海道名寄市)

TSUTAYA 名寄店

日本で2番目に北にあった遠軽店と、最北だった名寄店が次々に閉店。
現段階での最北のTSUTAYAは網走市の「ひかりや書店TSUTAYA 網走店」ということになります。
ちなみに最東は北海道中標津町の中尾書店TSUTAYA、最南端最西端はともに石垣島のTSUTAYA 石垣店です。

TSUTAYAのみでなくレンタル店全体で見ると、最北端はGEO稚内店、最東端はGEO根室店、最南端兼最西端はGEO石垣店です。GEO石垣店はTSUTAYAより500mくらいの距離ですが、微妙に西南西の位置です。

moonriders「マニア・マニエラ」@ビルボードライブ東京のこと

発売時刻と同時にスマホとの壮絶な格闘の末、何とか押さえたライブ。どの席がいいとか言ってられない状況でしたので、結果としておっさん2人でペアシートでしたが、でもいいんです観られれば。

正味バンド自体は「割と好き」というレベルですが、今回は「マニア・マニエラ」という、死ぬほど好きなアルバムの再現ライブですので。必死になりました。
とはいえリリース当時のいろいろは知らず、CDになってリリースされたのを聴いた口ですが。すみません。

そんな感じなので、自分はこれでムーンライダーズ何回目でしょうか。カバーアルバムのレコ発ライブを日清パワーステーションで観たのが最初です。慶一さんが三角帽を被ってフロアを徘徊していたのを覚えています。

ビルボードはだいたい誰でもそうですが、ほぼオンタイムで登場。オリジナルメンバー5人が前列に並び、正式メンバーになったドラマー夏秋さん&サポートの澤部&佐藤が後列という陣形。
白井さんが最初にステージに登場、「変な音出す大会」を開始して、徐々にメンバーが入ってきて音を重ねていき、結果としてそれが「Kのトランク」になっていくという形でスタート。正しくアルバムの曲順通りに進みますが、当然のようにアレンジは全く違うわけで、全編にわたってシーケンスの使用は一切なく完全人力。
もうアルバムのアレンジは当然のようにここに至るまでの過程で解体し尽され、「花咲く乙女よ穴を掘れ」はむしろスワンプな匂いがするほど。楽曲は生きているのだということをいろいろ感じながら。

それでも「温和な労働者と便利な発電所」を生で聴くことは、今後の彼らのライブに全通したとしてあるのだろうかと考えると、割と神妙な気持ちにもなりつつ、でも曲終わりで慶一さんが「温和な労働者よ、立て!」とアジって起立を促して(本来現在のビルボードライブでは起立禁止)、「スカーレットの誓い」になだれ込むあたりの流れはさすが。
というか、「温和な労働者」「スカーレットの誓い」という、ムーンライダーズの数ある楽曲の中でも「シンガロング」度高めの曲で声を出せないのはなかなかキツい。薔薇がなくちゃ生きていけないんですよ。

で、アルバム楽曲全曲通していったん終了、メンバーおよそ一旦はけるんですがさすがに岡田さんは本人曰く「復帰まであと一歩」というレベルであって行ったり来たりを普通にするのもまだしんどいようで、そのままステージ上に残ってピアノソロ開始。
その流れで他メンバーが戻って来てアンコール的に「青空のマリー」。すごくいいな。泣くな。

岡田さんはもうそこにいるだけで嬉しいのですが、それでもまだいろいろ厳しいようで、介護のように楽器&楽譜替え補助のスタッフが後方に常駐する感じで、「やり慣れていて体で覚えている」曲以外メインは佐藤さんの方が担当していまして、あと概ねリズムギターと「大きな声を出す係」は概ね澤部さんという塩梅。
ていうか観るたび体積が大きくなっている気がするんだけど澤部。

あと、ビルボードライブに向かう時、大江戸線の六本木駅から上がって来たんですけど、B1階や1階に、不審者のようにうろうろ徘徊しているソロのおっさんが散見されました。中には鞄に薔薇を一輪さしている方もいらっしゃったりして。
ビルボードライブ東京、一見さんには割とわかりにくい場所なので、止むを得ない。他のライブにも行こう。楽しいよ。

E.YAZAWA ONE NIGHT SHOW(1日目)のこと

土曜、クソ暑くて外出の予定を取りやめてぼんやりしていたところ、突如事情で浮いたチケットが回ってきまして、1日目だけですが行ってきました。矢沢フェス。
幕張メッセ。

行きの地下鉄では対面にSUPER BEAVERのTシャツを着たお姉さん、京葉線では隣に布袋柄のG-SHOCKを付けたお兄さん。海浜幕張駅には大量の「IDOL」Tシャツ勢と矢沢ガチ勢。
ただ、一番多かったのはBUMP OF CHICKENのTシャツ。今回矢沢フェスは幕張メッセの4-6での開催でしたが、別棟の9-11の方でバンプのワンマンライブで。
圧倒的な兵力でした。

■布袋寅泰
まさかの一番手。だからこういう企画ライブは油断したらいけない。

1.Battle Without Honor Or Humanity
2.スリル
3.BE MY BABY
4.ファンキー・モンキー・ベイビー(カバー)
5.MARIONETTE
6.さらば青春の光
7.バンビーナ
8.POISON
9.DREAMIN'

何このだいたい全員知ってる曲並び。M2-4の本人曰く「ベイビー3連発」最高。実際もう会場沸く沸く。そりゃそうだ。
もう彼もたいがいレジェンドなのに、上位レジェンドに請われてひょいっと出演するのがそもそも大変にかっこいい。


■BiSH
次がBiSH。SUPER BEAVERを追い込むつもりかと思うなど。

1.SHARR
2.瞬く
3.HiDE the BLUE
4.オーケストラ
5.LiE LiE LiE
6.SMACK baby SMACK
7.FiNAL SHiTS
8,beautifulさ

BiSHなりのメジャーナンバーを揃えつつも全体的にアッパーめの流れでよし。「beautifulさ」でトゲトゲして終わるよくあるパターンではありますが、ハッピーに上げて締められるからよし。
ラストイヤーに向けてがんがん盤石度が上がっている感じ。

■SUPER BEAVER
まさかのトリ前。正味1-2日目通して最も知名度的には劣るし、過去に結構同じイベントに出たこともあるっぽいので「洋子推薦枠」ではないかとか思いつつ臨んだのですが。
ごめんなさい。最高でした。

1.名前を呼ぶよ
2.証明
3.時代
4.突破口
5.アイラヴユー
6.人として

凄まじく誠実なライブ。MCでそんな語らなくてもいいよ、楽曲と演奏でそんなのアホみたいに伝わってくるから。
自分は最初のソニー所属期の「NARUTO」の主題歌とかやってた頃のイメージからまったく更新できていなかったんですよ。
本当にごめんなさい。これからもう少し頑張って聴いたりライブ観たりします。

■矢沢永吉
圧倒的。日本で一番アグレッシブな70代。

1.止まらないHa~Ha
2.傘
3.Shake Me
4.チャイナタウン
5.YES MY LOVE
6.BIG BEAT
7.サブウェイ特急

<ENCORE>
8.恋の列車はリバプール発

「チャイナタウン」から「YES MY LOVE」のバラード連発が特に痺れました。
で、3組見て永ちゃん見て気付いたのは、結果としてアンコールの分だけは長いけれど、本編は他3組と全く同じ40分という持ち時間をきっちり守っていたこと。
結構ミュージシャン主催のフェスって、その主催がトリなのは当然として、他よりも尺が長いパターンが割と多く、それももちろんアリなのですが、今回は全員同じ条件というのが永ちゃんの「粋」みたいなものを感じました。

私が永ちゃんを初めて観たのは2007年のRISING SUN ROCK FESTIVALのステージに立った時。
彼はその前年の2006年、ROCK IN JAPANで初めてフェスのステージに立ち、それ以降ちょいちょいフェス出演、そして2019年には自身で「ONE NIGHT SHOW」を立ち上げて、今回が3年越しの第2回という流れだったのですが。
フェス出演初期にフェスという場の素晴らしさをすごく語っていたのを覚えているのですが、遂に自分の「場」を持つに至っているというのが、すごくいい。


観客のマナーとか思うところはあったんですけど、とりあえず演者はみんな最高でした。それが一番。
ただ、こういう大型イベントは概ね幕張メッセになるの、止むを得ないんですが正味もうひとつくらい別の場所ないのでしょうか。4月にSEKAI NO OWARIのイベントで来て、来月サマーソニックでまた来ます。ライブの特別感が微妙に薄れてしまって。
別のフェス行けよって話ですか。

Chilli Beans.@渋谷WWW Xのこと

日曜の晩はChilli Beans.のライブ。
誘われるままではあったのですが、これが非常に面白く。

2019年結成、2021年8月デビューの若い女の子の3ピースバンド。3ピースとはいってもドラマーはサポートで、正式メンバーはVo&G、G&Vo、B&Voの3人編成という形。
経験も浅くワンマン未体験(9月に開催予定)で、実際演奏はどんなもんかと思ったらきちんとうまい。というかシーケンス最小限できちんと演奏を聴かせようというかなり確固たる意志。
ただ、最初のうちは確固過ぎてベースの音が不自然にデカく、これはグルーヴとか期待したらあかんわいなとか思っていたら後半徐々にバランスもこなれてきてかなりいい感じに。

既存のバンドで近しいポジションを考えると、SCANDALとかSIREN SIRENあたりでしょうか。
それでも音の感触は曲によってUKっぽかったりUSぽかったりで、とにかくポップにという方向性でもなく、かつライブ演奏はきちんと荒々しくてエモい。
若者のこういう感情の発露を目の当たりにすることができて、何かとても嬉しい。拝みたい気持ちになる。ありがたいありがたい。

彼女たちの現所属はホリプロ、出自は音楽塾ヴォイス。
音楽塾ヴォイスは過去にyui、絢香、家入レオらを輩出した名門でございます。最近ではVaundyもここ出身。
Chilli Beans.の3人も元々はシンガーソングライター部門の生徒だったのが、勧められてバンド結成に至ったということですが、ここ最近の世の中を考えると何となく理解できるアクションです。

どれだけ手間をかけてシンガーを育成してデビューさせようとしたところで、それまで誰も知らない「歌ってみた」の人がいきなりバズって話題を全部持っていくのが当たり前という最近の世の中。
デビューさせて終わり、後は知りませんという方針ならいいですが、そこまで無責任になれないのであれば、正味かなり厄介な状況です。

だからこそ、今のところそういう急バズり度が低いバンド界隈、かつSIREN SIRENは解散し、SCANDALは結成15年を経て音的にもティーン向けとは言えない状態になってきて、ガールズバンド全盛の今の日本でも、ここらへんの「ポップでメジャー感のある音」は今の日本、層としてはそんなに厚くありません。
考えても相当いいところ突いているのではないかと思うのです。

今回は自主企画2マン、7月に1stアルバムをリリースして9月には恵比寿リキッドで初ワンマン。そして11月から全国8箇所回るツアーでファイナルは12月に豊洲PIT。
初ワンマンの3か月後に東京で再度ワンマンでキャパは3倍という、正味エグいレベルの急速拡大予定です。

ただ既に初ワンマンは完売、夏にはROCK IN JAPANとサマソニはじめフェスも決まっています。もしかしたら夏以降すごい勢いでメディア展開するのかもしれません。
何にせよ、恐らく12月の勝算は見えているのだと思います。

どういう形であっても、これから伸びていくバンドをこういうタイミングで見るのはワクワクします。
叩き上げでなくってもいいんだ。Princess Princessは元々アイドルバンドとしてオーディションで寄せ集められたわけですし、バンドじゃないけど渡辺美里は元々アイドル歌手のオーディション出身です。
で、渡辺美里が作った道の上に、音楽塾ヴォイスがyuiや絢香を乗っけて名を上げて、今度はChilli Beans.がこういうタイプのバンドの道を拡張していくのかもしれません。

いろんな音楽がいろんな流れで出てくる。そういうのがいいですよ、絶対。

あと、対バンのKlang Rulerも、「タイミング」のカバーやったり、間奏に「Smooth Criminal」のベースラインをぶっこんできたり、大変に楽しいバンドでした。
当然ですが、フロアはほぼ全員若者だったので「タイミング」のサビであの振り付けをするような方は誰もいらっしゃらず、私もすんでのところで止めました。賢明な判断だと思います。

「握手会」と最近のCD売上のこと

音楽業界、「盤」を売るためにアイドル歌手が「握手会」を開催するというのは、自分が認識している限り1980年代からあったもので。

それらのほとんどはレコード会社の地方支社と地元のレコード屋が組んで、ちょっとした都市のジャスコとかのショッピングセンターであったり街中の公園のステージで開催され、数曲披露してからの握手会(もしくは購入したシングルジャケットにサイン会)という流れ。
私も、伊藤麻衣子さんがそういうキャンペーンで四日市の諏訪公園に来たのに行っています。可愛かったです。
当然ですが当時の「熱心なファン」の中には、何枚も購入して何回も握手する人も少なからずいらっしゃいました。そこらは今とさして変わりません。

菊池桃子等ごく一部は既に1980年代半ばの時点で「全国握手会」と称して大会場に大人数を集めての握手会を開催していたようですが、そういうイベントを他歌手も続々追随してメジャーな現象になるということは当時はありませんでした。
それは、会場確保や設営等の準備とスタッフ人員等に伴う事前支出が大きな負担になるため、相当なビッグバジェット以外そんなことできなかったという単純な理由だと思います。

ですので、「握手会ビジネス」そのものについてAKB48が「創始者」というわけではなく、そういうふうに過去から綿々と続いてきた握手会を、一気に超大規模化&ルーティーン化して産業レベルで成立させた存在、という感じでしょうか。
過去の握手会ビジネスとAKBグループとの差異は、端的に言えば「握手会ビジネスのイオンモール化」という言葉で比喩できるかと思います。前にも言ったことを再度言ってるだけですが。

元々は少人数&小規模、歌手自身が転々と移動しながら多くの会場を回る形で開催されていたものが、大都市圏の大会場で圧倒的な規模で行われるようになったわけで。
かつては熱心なファンが個人単位で行っていた「複数枚購入で複数回接触」を事実上運営側が推奨し、そういう層の拡大を促した、という点もこの時の変化として挙げられるかもしれません。

「AKBグループ」という存在の、圧倒的な過去との相違点として、メディアを使用しての空中戦からどぶ板の地上戦までを一貫したブランドでもって実施できるだけの人数規模(キャラクターの差異も)であったことを生かしまくって、大人数を集められるだけの認知に繋げていったことが大きいと考えていますが、そんな認知拡大と共に、インターネットが一般にまで広がったことで口コミを拡大させやすく、また告知が圧倒的にしやすく&届きやすくなったこと、高速道路や新幹線が地方と都市を繋いだことでファンの移動が容易になったこと、大規模な握手会を開催できるだけの大きな「箱」が各大都市圏にできていたこと等、様々な周辺的な要因も込みで、AKBが「イオンモール化」を実現できたのだろうと考えます。

そして「劇場盤」とかもありますが、そういうビジネススタイルで運営していたアイドルグループが、各地のCD店の売上の中で相当な割合を占めていたことは間違いないわけで、海外で「新譜CD販売」という業態がほぼ絶滅状態である中、そういう売り方ではあっても店舗型の「CDビジネス」が生き残るのを支えたひとつの大きな要素であることには間違いありません。

しかしコロナ禍でそんな「大規模握手会ビジネス」はとどめ刺された感はありまして、AKB48の5月リリースの最新シングルは33万枚。正味それでもまだ頑張ってると思える数字ですが、一時期と比較するとそれはそれは減りました。
それ以外の接触上等型のアイドルグループも軒並みピークから見れば相当に売上数を減らしています。

それによってCD店も一蓮托生ですごい勢いで減っていくであろうと、正直思っていたのですが、ここ2年もちろん店舗数は減ってはいるのですが、何となくコロナ初期に想像していたよりも「踏ん張っている」感がありまして。
TSUTAYAは着々と減っていますが、郊外型の「書籍販売兼CD販売兼レンタル」型の店舗は都市型の「レンタル専業」店舗よりも減少の幅は低め。その他CD販売の大手チェーンも減ってはいますが、以前に「数年後を想像」した状況よりは「まだ維持している」と思えます。体感ではありますが。

そういう体感レベルに更に仮説を乗せてしまって恐縮ですが、オリコンのCDチャートの方を眺めていて「生き残っている」のひとつの理由として挙げられるのが「CDを売りたいタイプの男子ダンス&ヴォーカルグループ」の増加ではないかと思っています。

ジャニーズが、もちろん現役各グループ元気に活動中とはいえ、メディアの支配力というか影響という意味では数年前より相対的に低下した結果として、テレビ局が積極的に新しい男子ダンス&ヴォーカルグループを継続的に番組で応援する、というパターンがちょいちょい出てきています。

コロナ期間中に新規で、地上波メディアでも紹介されながらデビューした日本の「男子ダンス&ヴォーカルグループ」は以下の3組ですが、正味かなり盤を売りまくっております。

■JO1(2020年メジャーデビュー)
2020/03 1stシングル:394,000(3種)
2020/08 2ndシングル:330,000(3種)
2020/11 1stアルバム:195,000(4種)
2021/04 3rdシングル:317,000(3種)
2021/08 4thシングル:369,000(3種)
2021/12 5thシングル:450,000(4種)
2022/05 2ndアルバム:261,000(5種)

■INI(2021年メジャーデビュー)
2021/11 1stシングル:588,000(3種)
2022/04 2ndシングル:642,000(3種)

■BE:FIRST(2021年メジャーデビュー)
2021/11 1stシングル:220,000(5種)
2022/05 2ndシングル:146,000(5種)

一方相対的に低下したジャニーズも、メディアとのコネクションを駆使して各グループのメンバーをバラエティ等でガンガン露出したり新グループをこれまでより速いペースでデビューさせて対抗。
ジャニーズ勢がコロナ禍以降にリリースしたCDの売上はこんな感じ。過去5年内にデビューした4組を見てみます。

■King&Prince
2020/06 5thシングル:603,000(3種)
2020/09 2ndアルバム:636,000(3種)
2020/12 6thシングル:618,000(3種)
2021/05 7thシングル:507,000(3種)
2021/07 3rdアルバム:509,000(3種)
2021/10 8thシングル:484,000(3種)
2022/04 9thシングル:502,000(3種)

■SixTones
2020/07 2ndシングル:761,000(3種)
2020/11 3rdシングル:532,000(3種)
2021/01 1stアルバム:610,000(3種)
2021/02 4thシングル:529,000(3種)
2021/08 5thシングル:557,000(3種)
2022/01 2ndアルバム:558,000(5種)
2022/03 6thシングル:440,000(3種)

■Snow Man
2020/10 2ndシングル:1,145,000(3種)
2021/01 3rdシングル:1,030,000(3種)
2021/07 4thシングル:936,000(3種)
2021/09 1stアルバム:989,000(5種)
2021/12 5thシングル:843,000(3種)
2022/03 6thシングル:856,000(3種)

■なにわ男子
2021/11 1stシングル:909,000(7種)
2022/04 2ndシングル:595,000(5種)

ものすごくCD売れています。全部合計したら女子グループの目減り分くらいは埋められそうな勢いで。
ただでさえ新興勢力が盛り上がっている中、実はジャニーズ勢も「事務所所属グループの総売り上げ枚数」でカウントすると、SMAPの「世界で一つだけの花」がメガヒットしたとか楽曲単位の大ブレイクがあった年を除けば、2020-2021年は過去最大レベルに達しています。

これらのグループは積極的に接触イベントを行うタイプではないですが、特にボーイズグループのファン界隈で目立つのが「追い〇○○」というアクション。
「○○○」にはその時リリースされた楽曲やアルバムのタイトルが入ります。

フラゲ日に購入するのは当然として、土日にオリコン集計対象のCDショップを巡回し、さらに可能な限りの在庫を買い足すという行動をかなり多くのファンが行っています。
最近リリースされた盤で言えば、JO1の5/25リリースの2ndアルバムは「KIZUNA」というタイトルですが「追いKIZUNA」でTwitter検索すると、だいたいのニュアンスを理解していただけるかと。

これらの行動は、応募特典の口数を最大化することが概ねの目的ですが、オリコン集計対象のCDショップに発売週の日曜まで実施することが通例でして、それは要するに翌週のチャートに枚数としてカウントされるためであり、「売上に少しでも貢献する」ことを目的としているところもある行為でして。
恐ろしいほどのファンの底力を感じます。

「盤販売の権化」であり、今もそうあり続けるジャニーズの「事務所としての地位の相対的低下」によって「CD販売したい」勢がむしろ増加し、その増加に対してジャニーズが今の力で迎え撃ったところ割と各陣営が「本気で頑張りまくる」こととなり、「ボーイズグループ」という括りでは現在が史上最強にCDを売りまくっているという事態。
正直、実際に目の当たりにするまで想像すらしていませんでした。何だこの状況。

こういう状況をどう評価するのかは各人の捉え方それぞれだと思いますが、この結果としてCD販売店舗が生き残るのであれば、私は素直にうれしいです。

で、「キャバクラ」発言の作詞家の方についてですが、そこを気にする以前にそもそも過去の日本が単発のヒットではなく業界として「失くすほどの国際競争力を持っていた」時代のことを浅学にして存じ上げておりませんので、私は何とも言えません。