日曜の晩はChilli Beans.のライブ。
誘われるままではあったのですが、これが非常に面白く。
2019年結成、2021年8月デビューの若い女の子の3ピースバンド。3ピースとはいってもドラマーはサポートで、正式メンバーはVo&G、G&Vo、B&Voの3人編成という形。
経験も浅くワンマン未体験(9月に開催予定)で、実際演奏はどんなもんかと思ったらきちんとうまい。というかシーケンス最小限できちんと演奏を聴かせようというかなり確固たる意志。
ただ、最初のうちは確固過ぎてベースの音が不自然にデカく、これはグルーヴとか期待したらあかんわいなとか思っていたら後半徐々にバランスもこなれてきてかなりいい感じに。
既存のバンドで近しいポジションを考えると、SCANDALとかSIREN SIRENあたりでしょうか。
それでも音の感触は曲によってUKっぽかったりUSぽかったりで、とにかくポップにという方向性でもなく、かつライブ演奏はきちんと荒々しくてエモい。
若者のこういう感情の発露を目の当たりにすることができて、何かとても嬉しい。拝みたい気持ちになる。ありがたいありがたい。
彼女たちの現所属はホリプロ、出自は音楽塾ヴォイス。
音楽塾ヴォイスは過去にyui、絢香、家入レオらを輩出した名門でございます。最近ではVaundyもここ出身。
Chilli Beans.の3人も元々はシンガーソングライター部門の生徒だったのが、勧められてバンド結成に至ったということですが、ここ最近の世の中を考えると何となく理解できるアクションです。
どれだけ手間をかけてシンガーを育成してデビューさせようとしたところで、それまで誰も知らない「歌ってみた」の人がいきなりバズって話題を全部持っていくのが当たり前という最近の世の中。
デビューさせて終わり、後は知りませんという方針ならいいですが、そこまで無責任になれないのであれば、正味かなり厄介な状況です。
だからこそ、今のところそういう急バズり度が低いバンド界隈、かつSIREN SIRENは解散し、SCANDALは結成15年を経て音的にもティーン向けとは言えない状態になってきて、ガールズバンド全盛の今の日本でも、ここらへんの「ポップでメジャー感のある音」は今の日本、層としてはそんなに厚くありません。
考えても相当いいところ突いているのではないかと思うのです。
今回は自主企画2マン、7月に1stアルバムをリリースして9月には恵比寿リキッドで初ワンマン。そして11月から全国8箇所回るツアーでファイナルは12月に豊洲PIT。
初ワンマンの3か月後に東京で再度ワンマンでキャパは3倍という、正味エグいレベルの急速拡大予定です。
ただ既に初ワンマンは完売、夏にはROCK IN JAPANとサマソニはじめフェスも決まっています。もしかしたら夏以降すごい勢いでメディア展開するのかもしれません。
何にせよ、恐らく12月の勝算は見えているのだと思います。
どういう形であっても、これから伸びていくバンドをこういうタイミングで見るのはワクワクします。
叩き上げでなくってもいいんだ。Princess Princessは元々アイドルバンドとしてオーディションで寄せ集められたわけですし、バンドじゃないけど渡辺美里は元々アイドル歌手のオーディション出身です。
で、渡辺美里が作った道の上に、音楽塾ヴォイスがyuiや絢香を乗っけて名を上げて、今度はChilli Beans.がこういうタイプのバンドの道を拡張していくのかもしれません。
いろんな音楽がいろんな流れで出てくる。そういうのがいいですよ、絶対。
あと、対バンのKlang Rulerも、「タイミング」のカバーやったり、間奏に「Smooth Criminal」のベースラインをぶっこんできたり、大変に楽しいバンドでした。
当然ですが、フロアはほぼ全員若者だったので「タイミング」のサビであの振り付けをするような方は誰もいらっしゃらず、私もすんでのところで止めました。賢明な判断だと思います。