2021年のTSUTAYAの閉店は約90店舗だったこと

告知がおよそ出揃った感じですので、例年通りTSUTAYAの今年の閉店数をカウントしたいと思います。
TSUTAYA系列で今年明確に「閉店」したのは、数えることができた限りでは88店舗。改装して屋号がBOOKSTOREに変更したとか、少しだけ移転したとかは除いた数です。

<閉店>
01/03:TSUTAYA 加西北条店(兵庫県)
01/11:TSUTAYA 苫小牧三光店(北海道)
01/13:TSUTAYA 六甲道店(兵庫県)
01/17:TSUTAYA 天王台店(千葉県)
01/31:TSUTAYA BOOKSTORE 八王子オーパ(書籍のみ)(東京都)
01/31:TSUTAYA さがみ野駅前店(神奈川県)
01/31:蔦屋書店 豊栄店(新潟県)

02/07:TSUTAYA 幕張本郷店(千葉県)
02/14:TSUTAYA 北見店(北海道)
02/14:TSUTAYA 和田町駅前店(神奈川県)
02/14:TSUTAYA WAY 尾鷲店(三重県)
02/28:TSUTAYA 北仙台店(宮城県)
02/28:TSUTAYA 片倉町店(神奈川県)
02/28:TSUTAYA 宮崎台駅前店(神奈川県)
02/28:TSUTAYA 京王橋本店(神奈川県)
02/28:TSUTAYA 明石駅前店(兵庫県)
02/28:TSUTAYA 東加古川店(兵庫県)

03/07:TSUTAYA 新丸子店(神奈川県)
03/07:TSUTAYA 駿河湾沼津サービスエリア(上り線)店(静岡県)
03/10:TSUTAYA 大阪難波中店(大阪府)
03/14:うさぎやTSUTAYA 白石店(宮城県)
03/14:TSUTAYA 明文堂 松任店(石川県)
03/14:TSUTAYA 玉野店(岡山県)
03/23:TSUTAYA 那珂湊店(茨城県)
03/28:TSUTAYA ブック・スクウェア菰野店(三重県)
03/30:TSUTAYA La vista新杉田店(神奈川県)
03/31:TSUTAYA 岸和田荒木店(大阪府)
03/31:TSUTAYA WAY 新三田店(兵庫県)
03/31:TSUTAYA 大宮通店(奈良県)

04/02:TSUTAYA 友岡店(京都府)
04/11:TSUTAYA 大口店(神奈川県)
04/11:TSUTAYA 深堀店(長崎県)
04/20:蔦屋 緑ヶ丘店(岩手県)

05/09:TSUTAYA 南流山店(千葉県)
05/20:TSUTAYA 彦根店(滋賀県)
05/23:TSUTAYA 上本町店(大阪府)
05/31:蔦屋書店 厚木戸室店(神奈川県)
05/31:TSUTAYA 豊橋東店(愛知県)
05/31:TSUTAYA 泉佐野店(大阪府)
06/27:TSUTAYA 朝霞店(埼玉県)
06/30:TSUTAYA ココアドバンス 東長崎店(長崎県)

07/11:TSUTAYA 三ツ境駅前店(神奈川県)
07/11:TSUTAYA 岡崎戸崎町店(愛知県)
07/18:TSUTAYA 長浦店(千葉県)
07/31:TSUTAYA 札幌大通(北海道)
07/31:TSUTAYA 保木間店(東京都)
07/31:TSUTAYA すみや 大仁店(静岡県)
07/31:TSUTAYA 天神ショッパーズ福岡(福岡県)

08/08:TSUTAYA 鴨島店(徳島県)
08/09:TSUTAYA 王子台店(千葉県)
08/15:TSUTAYA 留萌高砂店(北海道)
08/15:TSUTAYA 千厩店(岩手県)
08/15:TSUTAYA 鶴川駅前店(東京都)
08/15:TSUTAYA 小浜店(福井県)
08/15:TSUTAYA 徳力店(福岡県)
08/22:TSUTAYA 大船渡店(岩手県)
08/22:TSUTAYA 南行徳店(千葉県)
08/31:TSUTAYA たまプラーザ店(神奈川県)
08/31:TSUTAYA 北宇和島店(愛媛県)

09/05:TSUTAYA 行田門井店(埼玉県)
09/12:TSUTAYA 瑞浪店(岐阜県)
09/19:TSUTAYA 盛岡南店(岩手県)
09/30:TSUTAYA 長町店(宮城県)
09/30:TSUTAYA 南浦和駅西口店(埼玉県)
09/30:TSUTAYA 名古屋本郷店(愛知県)
09/30:TSUTAYA 武庫之荘駅前店(兵庫県)
09/30:TSUTAYA 徳山店(山口県)

10/17:TSUTAYA 五所川原小曲店(青森県)
10/20:平和書店 TSUTAYA 津幡店(石川県)
10/31:蔦屋書店 小千谷店(新潟県)
10/31:TSUTAYA 高師店(愛知県)
10/31:TSUTAYA 豊川市田店(愛知県)
10/31:TSUTAYA JR西宮店(兵庫県)

11/14:TSUTAYA 八戸南類家店(青森県)
11/21:TSUTAYA 茗荷谷店(東京都)
11/28:TSUTAYA 韮崎店(山梨県)
11/30:TSUTAYA COMBOX246 秦野店(神奈川県)
11/30:TSUTAYA 稲沢店(愛知県)
11/30:TSUTAYA 八幡浜店(愛媛県)

12/12:TSUTAYA 国久保店(静岡県)
12/14:TSUTAYA 阿佐ヶ谷店(東京都)
12/17:TSUTAYA 粕屋仲原店(福岡県)
12/26:TSUTAYA すみや 磐田南店(静岡県)
12/26:ビデオ100 丸亀土器店(香川県)
12/26:ビデオ100 さぬき三木店(香川県)
12/26:ビデオ100 今治鳥生店(愛媛県)
12/31:TSUTAYA ロックタウン周南店(山口県)
12/31:TSUTAYA 富久店(愛媛県)

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TSUTAYA 保木間店(2021年7月閉店)

一方新規開店は以下のような感じ。

<開店>
04/28:TSUTAYA 鶴岡ミーナ店(山形県)
06/25:TSUTAYA BOOKSTORE カラフルタウン岐阜(書籍のみ)(岐阜県)
07/19:TSUTAYA BOOKSTORE イオンモール白山店(石川県)
08/05:TSUTAYA BOOKSTORE アプラたかいし店(書籍のみ)(大阪府)
09/10:TSUTAYA 鴻巣吹上店(埼玉県)
10/27:TSUTAYA BOOKSTORE 則武新町(書籍のみ)(愛知県)
12/01:TSUTAYA BOOKSTORE 名鉄名古屋(書籍のみ)(愛知県)

当然のように新規開店は「書籍のみ」店舗が多めですが、それでも通常のTSUTAYA型店舗も2店オープン。山形の庄内地域とかここ数年すごい勢いで減っていたのですが、まだビジネスの目はあると踏んだのでしょうか。

差し引きしても圧倒的に閉店が多いわけですがただ、今年はそう単純に「今年も減ったね! 大変だね!」で話を終われない事情があります。
主にWonderGOOとフタバ図書のせいです。

まずWonderGOO。2021年に謎の動きを見せました。
WonderGOOは結構な割合の店舗が「WonderGOO TSUTAYA」を冠したダブルブランド型店舗です。運営のワンダーコーポレーションがTSUTAYAのフランチャイジーとしても名を連ねていることもあり、WonderGOOの店舗内のレンタル部分はTSUTAYAのフランチャイズとして運営しているために、ダブルブランドの看板を掲げていたのですが。

それが今年前半は数店舗で「WonderGOO TSUTAYA」または「WonderGOO」が「TSUTAYA」単独名義の店舗にいわば「業転」する動きを見せていました。
が、年の後半に入ると全く逆に、いくつかの店舗でレンタルを撤収して「WonderGOO」単独名義の店舗に改装するという動きがありまして。
「WonderGOO TSUTAYA」が「WonderGOO」になるとその分「TSUTAYA」は当然減るわけですが、その分は上記閉店にはカウントしていません。込みにすると四捨五入で100になりそうです。

<WonderGOO→TSUTAYA>
02/13:TSUTAYA 苫小牧店
03/05:TSUTAYA 十和田元町店(青森県)
07/01:TSUTAYA 八千代大和田新田店(千葉県)

苫小牧と十和田は「WonderGOO」単独名義の店舗が改装して「TSUTAYA」になり、八千代は「WonderGOO TSUTAYA」のダブルブランド型店舗が「TSUTAYA」の単独になった形です。

<WonderGOO TSUTAYA→WonderGOO>
06/18:WonderGOO 高崎店(群馬県)
06/XX:WonderGOO 那珂店(茨城県)
11/XX:WonderGOO 下館店(茨城県)
11/XX:WonderGOO 足利店(栃木県)
12/XX:WonderGOO いわき鹿島店(福島県)
12/XX:WonderGOO ひたち野うしく店(茨城県)

こっちの「WonderGOO TSUTAYA→WonderGOO」への変更は、あんまりガンガン「WonderGOO単独名義になります!」みたいなことを公式も言っていないため、非常に情報が乏しい。もしかしたら他にもあるかもしれません。
直営とフランチャイズの置かれた立場の相違とかもあるのかなと思うのですが、正味この動きはよくわかりません。もしかしたら本人もよくわかっていないかもしれません。

そしてフタバ図書。
元々広島県を強力な地盤としてTSUTAYAの本格的な参入を阻んできたフタバ図書ですが、前からことあるたびにネタにしてきたように、長年にわたる粉飾決算が明るみに出たりとかでいろいろおかしくなった結果、CCCの資本に頼らざるを得なくなり、その結果「フタバ図書」単独名義の店舗が11月までにすべて「フタバ図書TSUTAYA」の名義に変更。
わかりやすく軍門に下りました。

<フタバ図書 TSUTAYAとしてのオープン>
04/09:フタバ図書 TSUTAYA GIGA五日市店(広島県)
05/20:フタバ図書 TSUTAYA 五日市福屋店(書籍のみ)(広島県)
05/27:フタバ図書 TSUTAYA 広大前店(広島県)
06/03:フタバ図書 TSUTAYA 大竹店(広島県)
06/10:フタバ図書 TSUTAYA GIGA宇品店(広島県)
06/17:フタバ図書 TSUTAYA GIGA防府店(山口県)
06/24:フタバ図書 TSUTAYA GIGA福岡春日店(福岡県)
07/08:フタバ図書 TSUTAYA 広店(広島県)
07/15:フタバ図書 TSUTAYA 横川店(書籍のみ)(広島県)
07/21:フタバ図書 TSUTAYA MEGA中筋店(広島県)
07/29:フタバ TSUTAYA GIGA与野本町店(埼玉県)
08/05:フタバ図書 TSUTAYA ALTiアルパーク北棟店(広島県)
08/19:フタバ図書 TSUTAYA GIGA大宮店(埼玉県)
08/26:フタバ図書 TSUTAYA 岩国店(山口県)
08/26:フタバ図書 TSUTAYA TERAイオンモール福岡店(福岡県)
09/02:フタバ図書 TSUTAYA GIGAフレスタモール岩国店(山口県)
09/09:フタバ図書 TSUTAYA GIGA呉駅レクレ店(広島県)
09/16:フタバ図書 TSUTAYA GIGA祗園店(広島県)
09/22:フタバ図書 TSUTAYA 三次店(広島県)
09/30:フタバ図書 TSUTAYA GIGA武蔵浦和店(埼玉県)
10/14:フタバ図書 TSUTAYA 海田店(広島県)
10/21:フタバ図書 TSUTAYA GIGA上安店(広島県)
10/28:フタバ図書 TSUTAYA TERA広島府中店(広島県)
11/04:フタバ図書 TSUTAYA 可部センター店(広島県)
11/11:フタバ図書 TSUTAYA 八本松店(広島県)
11/18:フタバ図書 TSUTAYA ALTI福山店(広島県)

全国的に店舗をガンガン減らしていく中、何故か広島市界隈だけは凄い勢いでTSUTAYAの看板が増えているという面白状態になりました。当事者にとっては面白がられてもムカつくだけだと思いますが。


あと、地味すぎるトピックとして「ビデオ100」と「すみや」の件を。

ビデオ100はTSUTAYA系列でありながら、地方ではレンタルだけでなく販売や書店等の総合店舗型が多いところに、レンタルのみ等の比較的シンプルな業態の店舗の一部が掲げていた屋号。
かつては北海道や九州にも展開していたものの、現状四国のみに残る状況となっていたのですが、12/26に残った4店舗のうち3店舗が一気に閉店、残るは徳島藍住店だけということになります。

すみやは元々静岡を地盤としていた独立したチェーンでしたが、2006年にCD/DVD部門はTSUTAYAの子会社になり、そこから2007年にかけて約50店舗が「TSUTAYA すみや」名義に変更されました。
サウンドトラック専門店だった渋谷店等、「すみや」単独名義の店舗も一部残りましたがほどなく閉店。そしてそこから徐々に「TSUATYA すみや」も減り続け、この7月に大仁店、12月に磐田南店が閉店になることで、「TSUTAYA すみや」名義で来年残るのは三島店のみ。

茨城県神栖市の「TSUTAYA OUTLET」名義の店舗の閉店も決まり、「TSUTAYA」「蔦屋書店」以外の名義をどんどん整理していってるのではないか、という気もします。

だから、なおのこと「フタバ図書 TSUTAYA」だけが今の流れの中ではとても異質に感じて。
本当にこれまでフタバ図書に阻まれ、広島県内(福山市周辺を除く)になかなか本格的に展開できなかったTSUTAYAが、遂に勝利して大喜びしたいだけなんじゃないかとも思ったりして。
だったら、「フタバ図書 TSUTAYA」名義の寿命は「TSUTAYA すみや」よりもさらに短いんじゃないかと思います。
まあ、そうでなくてもあんまり先は長くないんですけど。

K2 RECORDSが閉店すること<訪問編>

先週、キング・クリムゾンが東京で来日公演を行ったわけですが、今月の頭くらいにはまだ追加のオーチャードホールのチケットは買えました。
一方、来週以降はいろいろ予定が入っていて、週末が完全に空いていて大阪の日本橋まで行って帰ってこれるのも今週が今年で最後。
んでもって可処分所得も限られているということで、自分の中で「キング・クリムゾン vs K2 RECORDS」の戦いを半日ほど行った結果後者勝利。

品揃えとその分類とレコメンドの独特っぷりはどの販売店と比較してもぶっちぎり、異常な域に達している独立系レンタルCDショップ関西の雄、K2 RECORDSが今年いっぱいでレンタル終了、来年の1月下旬には閉店ということで、どうしてももう一度訪れたかったのです。

実際K2 RECORDSが大阪市内に来た頃には私は東京に出てきていたので実際にレンタルしたことはないのですが、その名声というか「この店頭おかしい」という声はあちこちから聞こえてきていて、店舗を構える日本橋界隈は他にもナカとかサウンドパックとかいい中古屋がありますので、大阪訪問時にはそこと一緒に覗いてはビビッて帰る店でした。
というわけで行ってきました。

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この店の異常さは店内マップのジャンル分けでおよそ察していただけるわけですが、これでもここに載っているのは「大分類」で、例えば「パンク」の棚を見ると更に「スカパンク」「アイリッシュパンク」等の「小分類」に分かれていたり、「レイキャヴィク/北欧」みたいななんか凄い分類があったりとか、もう眺めているだけで楽しいのです。

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で、せっかくなので店内をグルグルしてから中古盤を数枚購入しようとしたところ、既に閉店の報を聞いた方々が大挙押し寄せていらっしゃっていて、かつ皆さん山のようにレンタルされますのでもう長蛇の列。
あそこのカウンターは端末も1台ですし、数名で手分けして作業できるような感じでもないのでサクサク捌くこともできず、結局並び始めてからお買い上げ完了まで20分以上かかりました。

今後レンタル終了まで更に来店者増えると思いますので、これから行こうと考えている方は是非、時間に余裕を持ってお越しください。

というわけで、K2 RECORDSだけで終わるにはいかないので他にも回ったところ、程近くにある中古屋ナカ2号店の店頭に、名古屋のバナナレコードの段ボールが積まれていたのが気になったり、今回は大手の店舗は完全にスルーしたところ、帰ってきてからタワーレコード丸ビル店の閉店発表に気が付いて絶望したり、そんな感じの大阪訪問でした。

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They Might Be Giants「Book」のこと

洋楽を聴き始めてからいろいろありました。
パンクの全盛期に遅れたことに少し劣等感もあったりしたのですが、ちょうど多感な時期にハウスやらテクノやらマンチェスターやらシューゲイザーやらグランジやらメロコアとかがどかどかと出てきて、そりゃ面白かったわけです。

が、じゃあ誰が好きなんだと問われたら、少なくともUSではそういう新たなシーンが勃興する前からいて、様々なブームを経てなお根本的なところは何も変わっていないThey Might Be Giantsが結局ずっと一番好きなんじゃないかと、思うのです。

眼鏡のジョンと歯茎のジョンの2人組。
1982年結成、ソノシートを電柱にぶら下げたり、留守電に曲を吹き込んで新聞広告に電話番号を掲出したり、インターネット前からインターネットみたいなことをしながらずっと活動し続けている人たち。

自分が彼らを知ったのは、深夜の音楽番組「ポッパーズMTV」でかかった「Don't Let's Start」のMV。いたく衝撃を受けまして、それ以降所謂オリジナル・アルバムは全部追っているつもりですが、「子供向け」作品も多く作っていたりとにかく多作な人たちなので、揃っている自信はありません。
というか彼らが長い活動期間で得たグラミーは唯一「子供向け音楽アルバム」部門のみなので、アメリカの世間的にはむしろそっちの人なんじゃないかとも思ったりもします。

で、今作「Book」。子供向け作品を含めれば、1986年の1stアルバム以降3年空いたのは初めてです。正味その時点でどうかしてるのですが。

アルバムとしてはいつもそうではあるのですが、普段以上に「できた曲を並べた」感がハンパない。
シングルやリード曲を狙った「メロディにフック効きまくり」の曲も、敢えてミニマムな構成にした曲もなく、若干真面目な歌詞が多めなくらい。逆に言えば「彼ら史上最強に自然体に近い」アルバムと言えるのかもしれません。
恐らくこれもコロナ禍による作用だとは思うのですが、かといって悲壮な空気感は一切ない、そこは普段通りの彼ら。
さすがに40年近くやってきたこと、何があってもブレることはなかったようです。

ので、「最高!」という感じではないのですが、アルバムとして通して聴くには割といいアルバムなんじゃないかと思っています。
というか、いきなり枯れた音になったりしない限り、ずっと好きです。枯れた音になったらそれはそれでいいかもしれないけど。


RINGWONDERUNG@渋谷CLUB QUATTROのこと

なかなかライブに本格復帰するタイミングを掴めずにいたところ、行かないかと誘われたのがRINGWONDERUNGというアイドルグループのライブ。
彼が推すなら間違いなかろうと、日程だけ見てOKして、その後にチラと音源聴いてみて「割と好きな方だな」ということを確認した後、せっかくなのでごく稀にしか経験できない贅沢「曲をまったく知らない状態でライブ」でいこうと決め、それ以降一切聴かずグループのことも何も調べない状態で当日。

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渋谷クラブクアトロ、床にテープ貼って1人当たりのエリアを区切る形になっているので、恐らく通常の満員の半分くらいですがソールドアウト。
通常の定員で換算するとマウントレーニアホールとかのレベルですが、それでもぽっと出のグループにはなかなか大変な動員数、かつ結成2年のその2年間はほとんどコロナ禍という状況で、どうやってこの規模までファンを固めたのか、メンバーにそれなりのグループの元メンバーでもいるのか。
そうやっていろいろ考えつつよくわからんままライブが始まるわけですが。

楽曲は「楽曲派」と声高に言うほどではないけれども、かなりしっかり。「ボカロP的な音作りメイン、時々BiSHをベンチマークする」的な塩梅でしょうか。レベルは相当高い。
一方、歌は滅茶苦茶うまい。圧倒的にうまい。別にアイドルは歌がうまくなきゃ駄目だというつもりは全くないのですが、でも全員が歌えることでここまで表現できるんだというなかなかな感動。

BiSHというかWACKの楽曲は、松隈ケンタ氏の意向で複数人のユニゾンは原則使用していないわけですが、個人的には大人数ユニゾンはアイドルが使用できるかなり強力な「武器」だと思っています。
そしてRINGWONDERUNGの場合、みんなうまいのでユニゾンの「武器」っぷりが他にないレベルで、2人ユニゾンから5人ユニゾンに切り替わった時の「ギアが一段上がった」感とか、他のグループにはない気持ちよさでした。

終わった後検索して調べてみたところ、元々は東宝芸能出身の方が設立した事務所所属だったり、2年の間に出られるイベント全部出てるんちゃうかレベルの頻度でライブしていたり、きちんとマネージメントされた環境で出られる現場に出まくることできっちりファンを集めていったことがわかります。
そしてメンバーは、テレ東の「THE カラオケ★バトル」の「全日本大学生歌うま王決定戦」決勝出場者を中心に集められたということで、そりゃ歌うまいわ、抜群だわ。理解しました。

ということで、地力は相当に図抜けていますので、何かのきっかけで頭ひとつ出てきたりもするんじゃないかと思いますが、地力だけで何とかなるものでもないのがアイドル界隈でもあり、これ難しい。
とりあえず、また観に行きます。



K2 RECORDSが閉店すること

遂に来たるべき時が来ました。
「東のジャニス、西のK2」と主に俺とかに謳われたレンタルCDショップの雄であるK2 RECORDSが12月30日にレンタル終了、年明けから在庫処分セールを行って1月28日完全閉店です。

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レコードレンタルの黎明期に東大阪市の近大前に開店し、関大前や難波に支店を出した後、2007年に日本橋の現在地に統合の形で移転、ビデオ・DVDには手を出さず音源に特化、廃盤や輸入盤のみのレア盤含めて惜しげもなく貸し出し、コアなファンを多数付けていたこの店も、コロナ禍による客数減には耐え切れなかった模様。

CDレンタルは通常、レンタル専用の卸店から商品供給を受ける形で行われるため、逆に言えばその卸店が扱っていない盤は通常レンタルとしては扱えません。
ただ、卸店で扱わない盤も、通常店舗等で購入して特殊な手続きを行うことでレンタル用として扱うことが可能になるということですので、ジャニスやK2はずっとそういう手続きを行っては店舗運営を続けてきたわけで。

そもそも黎明期のレコードレンタルというのは、音楽好きのおっさんが手持ちのレコードで始めたり、多分にパーソナルな品揃えがベースにあることも多く。
実際自分が初めて通った四日市市のレンタルレコードも、The Stranglersの「No More Heroes」はないのに「The Raven」はあったり、The Smithsは徳間盤12インチまで完璧に揃っていたりする頭のおかしい店で、そのせいで私はこんなことになってしまいました。

自分が全国の店舗の開店閉店を気にし出したのが2010年頃だったのですが、その頃には頭のおかしい黎明期のレンタル店はほぼ完全に駆逐されていて、TSUTAYAとGEOの体制はほぼ出来上がっていました。
一部の大型店ではかなりコアな音源を扱っていることもありますが、概ねレンタル専用の卸店から仕入れられる一律化された品揃えが普通になっていて。

それでもその頃に至っても黎明期に近い「パーソナル」な面を保って他では扱わないようなCDをレンタルしていた店舗は、知っている限り全国で4軒ありました。

スモールミュージック(東京都杉並区):2011/04/17閉店
フリップミュージック(広島県広島市):2014/08/24閉店
ジャニス(東京都千代田区):2018/11/30閉店
K2 RECORDS(大阪府大阪市):2022/01/28閉店

前者2店は後者2店より小規模な「セレクトCDレンタルショップ」とでも言うべき風情の店でしたが、そういう店だけでなく、ジャニスやK2の規模でも難しくなってしまったということで。

自分も過去よりは盤を買う数は減っていることは間違いないのですが、何やかんやでまだ結構買っています。流行に乗って新たにリリースされるアナログ盤につい手が伸びてしまうというのもありますが、80-90年代のバンド等の中でもデータ化されない音源がある程度可視化されてきたこともあって、それらをやっぱり持っておきたいという気持ちが湧いてきて中古盤屋を巡ったりとか。
こういうレンタル店がなくなるということは、とりあえず買ってしまう自分のような人間でなくても、そういう盤でしか聴くことのできないバンドの音源に触れることができる、最も手軽な接点が失われるということでもあります。

まあ、そもそもものすごく局地的な話ではありますし、サブスクで検索したらそんなの気にならないくらい山ほど聴けるので、やっぱノスタルジーにすぎないんですが、それでもジャニス閉店の時にも感じた、あの膨大なライブラリーが処分セールの形で散逸してしまうのはある意味「損失」なのではないかと、ジャニスの閉店セールに行った分際で言ってみます。

ジャニーズの紅白出場のこと

先日、紅白の話をしたのですが、ジャニーズ勢のここ何年かの出場したりしなかったりの出入りが非常に目まぐるしいため、これは一度可視化した方がよいのではと思ったので表にしてみました。

起点は1980年、田原俊彦の初出場のタイミングとし、出場していない歌手・グループを含めてデビュー日順に並べました。
オレンジ色の地になっているのはCD/レコードデビューした年。ジャニーズ勢の場合、ジュニア内ユニットとして相当長く活動を続けた末にデビューというパターンも多いのですが、「結成」をキーにしてしまうとそもそも紅白の話から離れますし、ジュニア内ユニットのまま消滅したのまで拾い切るのはちょっと無理なので。
「在籍期間」は、CD/レコードデビューから、ソロは退所、グループは解散や活動休止までです。
また、SAY'Sとかテゴマスとか舞祭組とかのようなグループ内ユニットや、修二と彰とかトラジ・ハイジとかのような企画ユニットは入れていません。

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いろいろわかります。
まず、「レコードデビュー」のさせ方が少年隊の前と後で変化しています。「前」はその年の一押しはいてもそれ以外の人/グループも割とデビューしていますが、「後」は一撃必殺というか、デビューまで至るのはおよそ「一押し」のみで、代わりにデビューさせたからには紅白まで確実に送り込む。

ジャニーズは現在に至るまで割とイベント等に絡ませる形でデビューさせるパターンが多めですが、「前」の時期には乃生佳之のように映画「だいじょうぶマイフレンド」絡みでデビューまではしたもののそれ以降は何かシオシオみたいな、「人生賭けて企画物」に見えてしまう状況もありました。
それが「後」になると、そういう単発の企画には既存デビュー組から企画ユニットを出すスタイルでこなしていくようになっています。

その分、少年隊後の数年は「デビューすれば紅白」パターンが続いたのですが、TOKIO以降状況ががらりと変わり、「SMAP」「TOKIO」にほぼ固定された2枠時代が15年も続くことになります。
SMAPの過去グループと比較しての特異点は「デビュー時までにゴールデンの歌番組がほとんど消滅してしまい、バラエティに活路を見出さなくてはいけなくなった結果、むしろお茶の間タレントとして最適化された」ところにあるわけですが、TOKIOも同様に続き、1998年までにはSMAP・TOKIOともゴールデンに冠番組を持つことになります。
要するにSMAP・TOKIOのタレントとしての認知度・人気が圧倒的かつ長期に渡ったせいで、その後デビューするグループが入り込む余地がなくなり、そして恐らくNHK側も枠の拡大を望まなかったことで、こういう状況が続いたのではないかと思います。

そこに風穴が開くのが、デビュー10年目にして人気が一段シフトアップした嵐の存在。
歌手としても2組をしのぐ平均売り上げを記録するようになり、俳優・タレントとしての人気もSMAP・TOKIOに肉薄した結果、当然の状況として枠を拡大されたところに、事務所側はもう1枠、NYC boysの出場までを勝ち取った形。
そしてそれ以降はジャニ側の発言力が増したか割とユルユルになっていき、タレントとして頭角を現した関ジャニ∞が4つめのレギュラー枠を勝ち取り、他に2枠時代に出場してこなかったグループを出場させたりすることになります。

SMAPが解散したり、TOKIOが出場できなくなって既存の枠が空いたことで、更に混沌の度合いを増しての今ということになりますが、KAT-TUNが今回初出場したことで、嵐の出場によって「決壊」が起きた2009年以前にデビューした現役グループでいまだ出場に至っていないのはNEWSだけということになりました。

出ていなかった既存グループの出場順としては、V6が出て次にKinKiが出て、のようにせき止められていたグループの出場にはある程度デビュー順が意識されているような気がしますが、何年間出るかとかその基準はさっぱりわかりません。
ただ、「元メンバーのやらかし度」が高いグループは後回し、みたいな気もします。単に想像ですが。
来年にはNEWSも出られればいいと思うし、出て「『生きろ』」を歌ったら泣くかもしれません。

若いファンの中には、11月デビューのなにわ男子が出ていないと言って嘆いていた方もいらっしゃいましたが、光GENJIも1987年8月デビューで社会現象レベルの人気を博したものの、初出場は翌年でした。来年に期待しましょう。
さらに15年目にして初出場のKAT-TUNやデビュー20年で1回出てそれっきりのKinKi Kidsのファンに至ってはもう何となく「悟り」みたいな境地を感じてしまいます。強い。

ただ、去年には7枠を占めていたのが(Snow Manがコロナ絡みで辞退したため実際の出場は6枠)、今年5枠にまで縮小しているので、事務所内での競争も今後さらに激化するかもしれませんが。こういう状況、前例がないのでわからんのですよ。
様々な思惑の結果決まることとは思いますが、それでも嵐や関ジャニのように、有無を言わさない認知度を得られれば出ることにはなるでしょうから、頑張って推していただきたいと思います。

あと、前に昨年が「最大の7枠」と申しましたが、調べてみると2015年が実際の出場も7組いてここが最高でした。すいません、マッチさんをカウントしていませんでした。

第72回紅白歌合戦の出場者傾向のこと

第72回紅白歌合戦の出場歌手が出ました。

とりあえず、まふまふと中村佳穂でしょうか。
近年の「ネット発」が選ばれがちな状況下、「顔を伏せているわけではないから生放送のステージに出られないこともない」属性の方たちの中では、確かにまふまふか須田景凪(バルーン)が筆頭ではないかと思います。
中村佳穂については、NHKというよりは細田守監督の慧眼の結果ですが、あの曲をmillennium paradeの生演奏で演るのはかなり観たい。

ジャニーズ枠は今年は5。昨年はSnow Manが決定していたにもかかわらず、コロナの絡みで辞退を余儀なくされ、元々は7、実質6という値でしたが、今年はさらに減りました。

<2020>

関ジャニ∞
Kis-My-Ft2
King & Prince
SixTONES
Snow Man(辞退)
Hey!Say!JUMP

<2021>
KAT-TUN(NEW)
関ジャニ∞
King & Prince
SixTONES
Snow Man

1994年以降2008年までは長らくSMAPとTOKIOの2組体制だったのですが、2009年に嵐、2012年に関ジャニ∞がレギュラーとして参入して枠拡大、それ以降その他のグループが出たりいなくなったりを繰り返しつつだいたい5組程度を維持していて、昨年発表時の7組は歴代ジャニーズ濃度最高値だったのですが、さすがに過ぎたようです。
ちなみにSMAPとTOKIOの2組体制時代、2001年と2004年はSMAPが不出場、2001年は稲垣メンバーの件での辞退だったわけですが、その2年を1組だけで支えたTOKIOがその後ああいう件のためにその後出場しようがなくなってしまったのは、皮肉というか何というか。

それでも、各グループともメディアに出まくっていて露出は多い分楽曲の知名度も他よりは高く、元々紅白が持っていた「その年流行った楽曲が集まる場」という側面では、ジャニーズ勢は総じて馴染むといえば馴染むわけで。

とはいえ今年特に気になるのは、男子グループではDISH//、女子グループではBiSH。グループの勢い的には両者1-2年前に出ていてもおかしくはないのですが、DISH//は北村くんのお茶の間への浸透、BiSHはNHKアニメの主題歌が決め手になったのではないかと思います。
というか、2010年代前半から地道にやってきたEBiDANとWACKが、遂に紅白にまで来たかと思うとなかなかに感慨深い。

そいで、毎年やってる演歌枠の話。
とりあえず毎年恒例の出場歌手中の演歌のシェア。

2003[紅:11/31 白:10/31]
2004[紅:10/30 白:09/28]
2005[紅:09/31 白:10/31]
2006[紅:11/27 白:09/27]
2007[紅:10/31 白:08/27]
2008[紅:09/26 白:08/27]
2009[紅:08/25 白:08/25]
2010[紅:08/22 白:05/22]
2011[紅:08/25 白:06/25]
2012[紅:07/25 白:05/25]
2013[紅:07/25 白:06/26]
2014[紅:07/27 白:05/24]
2015[紅:07/26 白:06/26]
2016[紅:07/23 白:05/23]
2017[紅:07/23 白:05/23]
2018[紅:06/22 白:05/22]
2019[紅:06/21 白:05/20]
2020[紅:04/20 白:05/21]
2021[紅:04/22 白:04/21]

紅組:石川さゆり・坂本冬美・天童よしみ・水森かおり
白組:純烈・氷川きよし・三山ひろし・山内惠介

五木ひろしが不出場となりましたが、その分他の男性演歌歌手が選ばれることもなく、純粋に1減です。
紅組は去年の段階で丘みどりや島津亜矢が出たりしていた「浮動」的な枠が廃され、男子も五木ひろしの分が今年浮動枠に転じることもなく、これで若手演歌歌手は当面の間、ハンパなくヒットするかハンパなくタレントとして目立つかしないともう出てきようがなくなりました。今の演歌の置かれた状況では相当しんどい。
氷川きよしは、今年はポップスのアルバムをリリースしたこともあり、どんどん「演歌」でいいのか「白組」でいいのかわからなくなっているとしても。

今年は司会の紅組白組制が廃止されますが、さすがに番組全体の建付けまではいじれなかったようで、それでも来年以降どうなっていくかはやっぱり氷川きよしくらい気になります。
でも今年の最注目は、ギリギリのタイミングで代役として急遽抜擢された結果、「むしろこっちの方がよかったんじゃないか」レベルの活躍で株を大いに上げた川口春奈の司会っぷりです。沢尻エリカのいる方に足を向けて寝られない。でも沢尻エリカは今どこにいるのだろう。

竹内まりやのアナログとサブスクのこと

11月3日の「レコードの日」に、竹内まりやの「プラスティック・ラブ」12インチシングルと、アルバム「VARIETY」「REQUEST」がアナログ盤で再発されました。
12インチの方は1985年にリリースされた盤とは微妙にB面のVer.が異なっているので正確な意味での「再発」ではないのですが、そこらへんはだいたいのところで。

今回のこれはアナログ・ブーム、そしてシティポップ・ブームな世の中で、これ以上なく完璧に「ど真ん中」なリリースのため、どれくらい売れるもんかと思っていたのですが、数字出ました。

「プラスティック・ラブ」:約1.4万枚(シングル5位・合算18位)
「VARIETY」:約5,000枚(アルバム6位・合算9位)
「REQUEST」:約4,000枚(アルバム9位・合算14位)

いや、売れてるわ。マジだわ。
「プラスティック・ラブ」なんか1985年のオリジナルリリースの際は最高位86位ですよ。それが再発のアナログの売上だけでこの数字。
そもそもがかつてアナログでリリースされて世に出ている音源で、CDならずっと買えていたものです。そしてただでさえ減っているCD店の中でもアナログ扱う店舗は更に少なくて。
それでこれというのはなかなかエグい。まあ、一番エグいのは、各プレス工場のラインは今はどこもいっぱいいっぱいの中、よくぞこれだけの枚数を用意できたという点ですが。東洋化成主催の「レコードの日」以外では実現できなかったでしょう。

アナログの流行は日本だけのものではないですし、シティポップの再興は、2010年代のVaporwaveからFuture Funkへの流れが元曲の再評価という形でオーバーグラウンドに上がって来た時点で理解はできていたのですが、やっぱこうやって数値として可視化されると、これは一時期の流行というレベルではないということは何となく理解するしかなく。

これらの音源、「REQUEST」は9月14日に、「VARIETY」アナログと同時の11月3日にストリーミング解禁されています。
彼女の音源はまさに「徐々に」解禁されておりまして。

2019/05/10:RCA時代のアルバム
2020/03/24:TRAD
2020/11/24:Expressions
2021/09/14:REQUEST
2021/11/03:VARIETY

RCA時代はともかく、山下達郎氏との魔神合体によってMOON所属になって以降の音源は、最新アルバム→ベスト盤→MOON移籍後の1st→2ndという順序で解禁されていますので、次は「Quiet Life」になるはずです、多分。
下手したら今度は来年のレコードの日に「Quiet Life」「Bon Appetit!」がアナログリリースされ、そのタイミングに合わせてサブスク解禁とか。ありえる。

山下達郎氏の音源の方もそろそろ出てくれないかと思うのですが、海外のシティポップ勢からのものを大いに含んだ「何でサブスクで聴けないんだ」圧は竹内音源の方が強いと思いますし、竹内音源の作業が終わらないことには山下音源に手を付けられないのでないかと思います。

正味、夫婦ともどもコロナ禍以前からリリース含めての動きは、ただでさえマイペース気味だったのがより一層ペースが落ちているのですが、これはきっとずっと「ストリーミング音源の最適化」作業をずっと行っているためではないかと、割と本気で自分は思っています。

ABBA「Voyage」のこと

ABBAの40年ぶりのニューアルバムが11月5日にリリースされました。
まず音源の内容云々の前にそのタイムラインにビビる。
前作「The Visitors」は1981年11月リリース。CDが初めて発売されたのが1982年10月ですから、今回のこのアルバムが「ABBA史上初めてCDがレコードと同時にリリースされたオリジナルアルバム」なわけです。CDの時代全部すっ飛ばしですよ。

自分が知る限りこれまでの「オリジナルアルバムのインターバル最長記録」は、The Pop Groupの「For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?(1980)」から「Citizen Zombie(2015)」までの約35年ですが、The Pop Groupが途中にメンバーチェンジ等挟まっているのに対して、ABBAはデビューから一切メンバーチェンジも脱退もなく、誰か死んじゃったりすることもなく、オリジナルメンバーでの再結成とオリジナルアルバムリリース。もうこの時点でレジェンド決定。

で、内容もまたこれ素晴らしい。何が素晴らしいって「すごくABBA」なこと。
「Waterloo」や「Lay All Your Love On Me」みたいな思い切り跳ねた楽曲はさすがにありませんが、でも今作の「Don't Shut Me Down」なんかもうABBAっぽさ役満状態じゃないですか。
ピアノのグリッサンドからリズムが入って次のグリッサンドでサビに行くとことか、Aメロのソロ歌唱から短いBメロでちょっとハモり、サビで盛大にハモるとことか、もう。

恐らく全盛期、曲作りについてある程度ルーティーン化されたメソッドとかもあって、それを久しぶりに持ってきたのだとは思うのですが、それでもこのブレなさはすごいよ。
声の老いはあります。たぶんちょっと声のデータいじってるところもあるでしょう。でもいいんだ。これでいいんだ。

あとは先日ネタにした際にも挙げた、このアルバムのきっかけとなった「ホログラム・ツアー」というか、何かいくつか記事を見ると「'Abbatar' concert」という表記になってますが、これを観たい。
延期に延期を重ねて遂に2022年5月に公演開始、そしてロンドンの同じ場所で12月までのロングランが決まっています。
なんだそのミュージカル公演みたいなのと思って公演予定を見に行ったら、完全にミュージカルのそれでした。

ドリカムのシングルが売れてないこと

前にこの記事を見て確認しようと思って忘れていたことを今日思い出したので、確認しました。

ドリカム中村正人、売り上げワースト記録更新明かし異例の呼びかけ

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<追記>
実際に中村さんがこの件を発信したのはご本人のブログ「MASABLOG」でツアーの状況報告のPSとして末尾で少し触れたのみの部分。
ここばっかり取り上げて申し訳ありません…。
MASABLOG 10/5
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今回のニューシングル「次のせ~の!で -ON THE GREEN HILL-」のCD売り上げ、最新の数値を見てみたところ、5週目で7,500枚弱。
順位的には、初登場で20位、2週目で下がったものの3週目には23位まで再浮上していますが、これがきっと中村さんの「呼びかけ」によるものだと思います。
が、それでも多少踏ん張った程度であって、1ヵ月たってドリカムをしてこの数というのは確かにちょっと辛い。

それで確認しようと思ったのは、「自己ワースト」と仰っていた点。
本当にそうかいなと思って確認したところ、デビュー直後の2枚「あなたに会いたくて」「APPROACH」はそもそもオリコンの集計に乗るレベルまで売れておらず、その後3枚目「うれしはずかし朝帰り」がプチヒットしたものの、4枚目「LAT.43°N」が5,000枚行かず。
そして5枚目「笑顔の行方」がドラマ主題歌としてバカ売れして以降はスター街道という流れであって、要するに今回のシングルは「自己ワースト4位」が正解。もしくは「ユニバーサル移籍後ワースト」でもありますが、ただもう30年以上前のブレイク以前のことですし、中村氏に危機感があるのは当然かと思います。
つうか今となっては、シングルとしてリリースされた当時「LAT.43°N」がそれだけしか売れていなかったことにビビります。

ただ、今回のニューシングル、楽曲自体は伊藤園「お~いお茶」のCMタイアップで割と耳にするものの、内容を確認すると楽曲自体は30年前にセガ『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』用に中村氏が書き下ろした楽曲のリプロダクション。
そしてシングルの内容的にもカップリングは別Ver.とカラオケが2Ver.の4トラックで、他の未発表曲はなし。
パッケージとしては当然ジャケ写は撮り下ろしでアートワークも奇麗なのですが、特殊パッケージや映像特典等が付くなどガチファン以外が「パッケージとしてどうしても欲しくなる」仕様ではなく。

要するに2021年、わざわざ出かけようにも近隣にCD販売店はなく、週末にショッピングモールに家族で出かけた際にCD販売店にエンカウントする率も徐々に減りつつあるこんな世の中、曲だけであればサブスク契約している人なら普通に聴ける今、TVCMでの接触程度でCD購買にまで至るような環境ではなくなっているわけで。
特殊仕様やライブフル収録の映像ディスク付き、果ては演歌の一部のようにカップリング曲を6種用意して時期ごとに差し替えて再発売するとか、各社各者パッケージの売上数を積むために様々な「武器」を搭載して、それでもギリギリの戦いを繰り広げている中、今回のドリカムのシングルはあまりにも平成の従来に近い方針だったというか「丸腰」すぎたというところでしょう。

いろいろミュージシャン・運営としての考えはあるとは思いますが、恐らく今後ドリカムがシングルをリリースする際には何らか「武器」を搭載することになるでしょう。
もしくはミスチルやB'zのように、「(デカいタイアップで確実に数が出ることが推測可能な場合を除いて)パッケージではシングルもう出さない」判断になるか。
まあ、実際こうやってオリコンシングルチャートは今のようなことになっていったわけで。時代ということで全部片づけよう。