K2 RECORDSが閉店すること

遂に来たるべき時が来ました。
「東のジャニス、西のK2」と主に俺とかに謳われたレンタルCDショップの雄であるK2 RECORDSが12月30日にレンタル終了、年明けから在庫処分セールを行って1月28日完全閉店です。

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レコードレンタルの黎明期に東大阪市の近大前に開店し、関大前や難波に支店を出した後、2007年に日本橋の現在地に統合の形で移転、ビデオ・DVDには手を出さず音源に特化、廃盤や輸入盤のみのレア盤含めて惜しげもなく貸し出し、コアなファンを多数付けていたこの店も、コロナ禍による客数減には耐え切れなかった模様。

CDレンタルは通常、レンタル専用の卸店から商品供給を受ける形で行われるため、逆に言えばその卸店が扱っていない盤は通常レンタルとしては扱えません。
ただ、卸店で扱わない盤も、通常店舗等で購入して特殊な手続きを行うことでレンタル用として扱うことが可能になるということですので、ジャニスやK2はずっとそういう手続きを行っては店舗運営を続けてきたわけで。

そもそも黎明期のレコードレンタルというのは、音楽好きのおっさんが手持ちのレコードで始めたり、多分にパーソナルな品揃えがベースにあることも多く。
実際自分が初めて通った四日市市のレンタルレコードも、The Stranglersの「No More Heroes」はないのに「The Raven」はあったり、The Smithsは徳間盤12インチまで完璧に揃っていたりする頭のおかしい店で、そのせいで私はこんなことになってしまいました。

自分が全国の店舗の開店閉店を気にし出したのが2010年頃だったのですが、その頃には頭のおかしい黎明期のレンタル店はほぼ完全に駆逐されていて、TSUTAYAとGEOの体制はほぼ出来上がっていました。
一部の大型店ではかなりコアな音源を扱っていることもありますが、概ねレンタル専用の卸店から仕入れられる一律化された品揃えが普通になっていて。

それでもその頃に至っても黎明期に近い「パーソナル」な面を保って他では扱わないようなCDをレンタルしていた店舗は、知っている限り全国で4軒ありました。

スモールミュージック(東京都杉並区):2011/04/17閉店
フリップミュージック(広島県広島市):2014/08/24閉店
ジャニス(東京都千代田区):2018/11/30閉店
K2 RECORDS(大阪府大阪市):2022/01/28閉店

前者2店は後者2店より小規模な「セレクトCDレンタルショップ」とでも言うべき風情の店でしたが、そういう店だけでなく、ジャニスやK2の規模でも難しくなってしまったということで。

自分も過去よりは盤を買う数は減っていることは間違いないのですが、何やかんやでまだ結構買っています。流行に乗って新たにリリースされるアナログ盤につい手が伸びてしまうというのもありますが、80-90年代のバンド等の中でもデータ化されない音源がある程度可視化されてきたこともあって、それらをやっぱり持っておきたいという気持ちが湧いてきて中古盤屋を巡ったりとか。
こういうレンタル店がなくなるということは、とりあえず買ってしまう自分のような人間でなくても、そういう盤でしか聴くことのできないバンドの音源に触れることができる、最も手軽な接点が失われるということでもあります。

まあ、そもそもものすごく局地的な話ではありますし、サブスクで検索したらそんなの気にならないくらい山ほど聴けるので、やっぱノスタルジーにすぎないんですが、それでもジャニス閉店の時にも感じた、あの膨大なライブラリーが処分セールの形で散逸してしまうのはある意味「損失」なのではないかと、ジャニスの閉店セールに行った分際で言ってみます。