ミュージック・テイト(帝都無線)が破産したこと

8月23日に(株)ミュージック・テイトが破産の手続きを開始しました。

ミュージック・テイトは元々存在していたレコード屋チェーンの「帝都無線」の流れを汲むお店。恐らくもっとも有名な店舗は、紀伊國屋書店新宿本店の2階の書籍売り場に島のように存在していたあの店だと思います。

2011年に紀伊國屋を撤退後、西新宿7丁目の中古輸入レコード屋密集地帯に移転、紀伊國屋にいた時から売りにしていた「演芸」に完全に絞り、専門店化して生き延びていました。

また、それ以前から西新宿7丁目にあったV系専門店の自主盤倶楽部もミュージック・テイトによる運営でした。

移転したその店舗もコロナで疲弊、2022年9月に引き払い、それ以降は自主盤倶楽部の店舗を間借りというか、平日の昼間はミュージック・テイトがメイン、夕方以降と日曜は自主盤倶楽部メイン、みたいな住み分けで営業していたものの、その組み合わせにはだいぶ無理があったこともあってか、8月20日に両店揃って閉店。
その3日後に破産という形でした。

そもそも元々の帝都無線は、新宿を拠点に都内中心に展開していた新譜レコード屋のチェーン。
私が確認することのできる最古の1986年の資料を見てみると、新宿界隈で新譜レコードを販売していた「レコード店」は16店舗あり、そのうち6店舗が帝都無線という、今考えるとかなりエグい状況。GoogleMapに貼ってみるとこんな感じ。

当時新宿地域にあった新星堂・山野楽器は各2店舗ですから、およそ新宿のヌシと呼んで差し支えないレベルです。まあ、新譜屋だけで16店舗というのが今の頭で考えると猛烈にエグいわけですが。

ただ、山野楽器は戦後間もなくから都内の各デパートにテナントとして出店を開始してバブル期まで店舗網を拡大、一方新星堂は1970年代以降ダイエーやジャスコの新興スーパーと組んで大量出店。
そのベースがあったからこそ1990年代を生き抜き、現在両チェーンとも新宿地区からは完全撤退してはいるものの、チェーンとしては一応生き残っているわけですが、そういう「次の手」を打ち損ねた帝都無線は、ヴァージン・タワー・HMVの外資系超大型店舗には太刀打ちできるはずもなく、「CDバブル」の恩恵を受けることなく1990年代後半には紀伊國屋書店の店舗しか残っていませんでした。

今は2020年代、生き残ったはずのチェーンも縮小の一途をたどっているわけで、それでも正直、2020年代にここまでCD店がもっているとは正直思っていなかった。よくやった。

Summer Sonic 2023の運営のこと

去年のサマソニは、スタジアムのスタンドが一時通路まで満杯になって身動きが取れない状況になったり、女性受けするタイプのグループの出番前のステージ最前付近への入口付近で混乱が起きたりしていました。
今年はそれらについては、自分が見た限りではさほど気にする状況ではなくなっていたものの、それはそれで今年は今年の問題が発生しておりました。


■熱中症&長期待機問題
「熱中症で多くの人が救護室に」という件は当日の昼過ぎにはスピード報道されていた問題ですが、これ恐らくその相当数がNewJeansでアリーナにいた人たちだと推測します。

19日の早朝には入口ゲート前に数百人レベルの行列ができていたということで、要するに早い人は朝から昼の開演までロクに日陰もない場所にずっといたということですので。
入口でスポーツドリンクが没収された、という話もありましたが、それは今回に限った話ではなく、サマーソニックは従前からアリーナには水とお茶以外の飲食物の持ち込みは禁止というルールでここまで来ていたわけで。

とはいえ、こういう炎天下で取り上げて代替の飲料を持たせずに中に入れるのはどうよとか、他のフェスと比較しても古株率が低く年ごとの参加者の入れ替えが激しいサマソニでそのルールはどこまで周知されていたのよとか、気になる点もあります。

また、私は19日はBlurを観た後マリンスタジアム横の出入口(MAPでSUB ENTRANCEとなっているところ)から出たのですが、その時すでに数百人の女性が列をなしていて。
翌日のジャニーズWEST目当ての人たちです。

「これはちょっとどうなの」と一瞬思いましたが、ジャニーズ系のファンの方は、単独コンサートの場合はファミリークラブ(ジャニーズ系の総合ファンクラブ)に入っていてもなかなか抽選に当たらず、当選発表の直後には当たらなかったチケットがオークションサイトに超高値で出品されていたり、忸怩たる思いをしてきている人たちです。

それが、推しが出演しますという発表があった後でもチケットが確実に入手でき、かつ自分の踏ん張りしだいで最前付近も狙える、という他にはなかなかないチャンスがサマソニ、ということなので、そりゃ必死になって頑張る気持ちもわかるわけです。

かくして両日とも開演前から入り口前に長蛇の列という状況が発生し、そこを突破してアリーナの最前付近に陣取ることができたとしても、開場の9時からお昼まで3時間からほぼ日陰のない場所での待機を余儀なくされるのです。
正直、来年以降もまだまだ暑い夏が想定される以上、放置するのはちょっとまずいと思います。

「秋に開催をずらせ」「屋外は夕方以降にしろ」みたいな意見もありましたが、興行的にそれはちょっとしんどいですし、それで規模が小さくなった結果、どメジャーなミュージシャンを連れてこれなくなりました、みたいなことがあったらちょっと悲しい。

他の一部フェスでは既に
1)事前にサイトで「フェイバリットミュージシャン」登録受付
2)その登録者の中から各ステージの「入場順」を事前に抽選して通知
3)当日は開場後にその順番でアリーナ入場
ということを行っているところもあるので、さすがにこれを一部でも導入した方がいいのではないか、という気持ちです。

前日からの徹夜待機も、開場直後から長期間炎天下に晒されることも減ると思います。で、入場順の通知時に「遵守事項として水分・塩分の携行」を明記してみるとか何とか。
そろそろあの温度では冗談抜きで命にかかわってきますので、ここらへんなにがしかの対策はマストではないかと思いました。

あとは、そういう対策をしつつ、マリンスタジアムには現在移転改築の計画がありますので、「ドーム球場になりますように」とみんなで祈願することが大事だと思います。


■退場間に合わない問題
発生したのは19日のマリン、NewJeansが終わって次はPale Wavesという時。

NewJeansでアリーナに入った方々があまりにも多く、これもんで入場規制がかかるレベルだったため、ライブが終わった後の大量の退場者がアリーナから出切らないうちにPale Wavesの開演時刻が来てしまいましたという事象。
Pale Waves待ちの人たちはNewJeansがやっている最中は入場規制のためにアリーナの中に入ることままならななかったため、終演後の退場がおよそ完了するまで中に入れず待たされることになったわけです。

10分ほど開演を押したのですが、それでも捌けず、結果としてアリーナ前方ガラガラのままでPale Wavesは演奏を開始しなければいけなかったという地獄が発生した次第です。
結局Pale Waves待ちの人がおよそ入場完了できたのは2曲目の終わりくらいだったでしょうか。

「NewJeansの時は満杯なのにPale Wavesはガラガラ!」みたいな比較画像が投稿されていましたが、あれまさに「Pale Wavesをアリーナで見たい」人たちがまだ一切入場できていない状態の写真なので、そこらへんはよろしくお願いします。

しかしこれは割と難しいです。
退場者に「急げ!走れ!」とか言えるはずもなく、逆に入場者に「早くから入っておけ!」と言うことも割と理不尽。
従って、入場の状況を事前に予測して、転換時間を30分とか一律に決めずに次の開演時刻を余裕をもって設定しておく、くらいしか思いつかない。
すごく大変だと思います。


■メッセの床座り民問題
とにかく今回目立ったのは「メッセ内の任意の場所に座り込む人たち」の異常な多さです。
フードエリアの座席は早々に埋まり、時を追うにつれて徐々に床の人が増え、通路スペースにはみ出して、一時はステージ間を行き来する人たちの往来を邪魔するレベルに。
途中で運営も気付いたようで、一時的に排除はされるのですが、そんなにも経たないうちにまた増えてくるという半ばいたちごっこ。

その後可動柵を設置して、通路部分を分離し始めたのですが、すると今度は各ステージの後ろの方に陣取る人たちが増加、今度は観客スペースを圧迫し始めます。もちろんそこも運営が立つように指示はするのですが、こちらもいたちごっこ。

マウンテンからの退場の導線のど真ん中にも関わらず意固地に座り続け、ものすごい数の人が通る中でそこに座っていることに気付かなかった人の足が当たるたびに威嚇を繰り返すという、恐らく「他人の指示に従ったら『負け』」的な価値観をお持ちっぽいお兄さんもいました。

何故こんなことになったかというと「外がクソ暑いから」というのが間違いなく最大の理由ですが、もうひとつあるような気がしています。

昨今のサマーソニック、アイドルやダンス&ヴォーカルグループ等の非常にファンの求心力が高いグループの参加が増えています。

我々「だいたい音楽だったら何でもいいや」的なフェス大好き民は1日で6組とか7組とか回るわけですが、強力な推しがいて他にあまり興味がないというか他に興味を振るリソースがないくらいの人は、推しグループを観た後は恐らく「知らない人は興味ないけど、星野源とYOASOBIは知らないわけじゃないからせっかくだし観て帰るか」みたいな感じになるわけです。

かくしてステージ前でライブを観ているよりもそれ以外の特にすることがない時間の方が長い人の割合も増えて、でもフードエリアのキャパはこれまで通りで、結果として床座り民が増加する、というそういう仮説です。

来年もきっと暑いので、こういう状況は変わらない。
となると、「場を拡大する」以外に解決法はないわけで、現在のサマソニで幕張メッセはホール1-8を使用しているのを、イベントホール及び9-11まで全部使用すればいいのではないかと思ったのですが、それは収益を生まないところにコストをかけることになるので、もし自分が運営側だったらそういう意見は却下して、とりあえず置けるところに椅子をひたすら置いてごまかします。

それでも正味、割と転換点になりうる年になったんじゃないかと思いました。
割とサマソニ大好きなので、何とか来年も上手くやっていただければ幸いです。
でもヘッドライナーがDepeche ModeとかPulpとかだったら、ウハウハ言いながら苗場に行きます。よろしくお願いします。

Summer Sonic 2023で観たライブのこと

Summer Sonicに行ってきました。

チケットもBlurが発表された時点で「悔いなし」と判断して先行で入手し、半年以上前から千葉市内に宿を取り、万全で臨みました。
Blurは、ベストヒットと新譜のバランスが完璧で、大好きだとずっと言い続けている「Modern Life Is Rubbish」のA面とB面の間の「Interlude」もさわりだけですがやってくれて、もう最高だったわけですが、それぞれはだいたいTwitter(X)で触れましたので、ここでは特に言及したいと思ったのをかいつまんで。


GABRIELS
正直、サマソニへの参加が公表されて知ったバンド。
ジャズ風味の演奏に抜群の歌。声量があるから上手く聴こえるタイプではない、引いた感じの歌の時点ですごいヤツ。
ああ、素晴らしいなと思いながら音源を聴いたうえでライブに臨んだわけですが、これ素晴らしいどころじゃなかった。

心揺さぶられるレベルの歌と、猛烈に的確な演奏。
ばかっと浴びせられる音もいいというか、自分がだいたいそういう音を好んでいるわけですが、こういう、じわじわと浸透して来て結果として満たされるタイプの音楽。これすごくよいです。

Vo.のJacob Lusk氏は、元々テレビ番組「American Idol」で上位まで残ったことで知られた人のようですが、こんなんがそういうところにほいっと出てくるアメリカ、やっぱすごいわ。
ただ、結成の地はLAではあってもバンドのメンバー英系ということですので、コテコテにアメリカ受けするタイプの音ではなく、ヒットしているのもむしろUKというのも面白い感じで。
まだ1stアルバム。ワクワクします。
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ももいろクローバーZ
2011年のももクロかまってちゃんから2013年の西武ドームまではあらん限りの力を尽くして行けるライブには全部参加していたのですが、今回そこから10年ぶりくらいに観るのかと思って調べてみたら、本当に2013年のサマソニに出演していたのを観て以来丸10年ぶりでした。
それでも当時は「どんなに頑張ってもあーりんが20歳になる頃には解散するのだろう」と思っていました。あんな体力任せの滅茶苦茶なライブをいつまでもできるはずがないから。

そこから現在、まだまだ彼女たちの活動は継続されているわけで、それは大御所ミュージシャンとのコネクションや、警視庁や各地方自治体等「公」との繋がりを重視した点も功を奏していると思っているのですが、じゃあライブはというと確かに大幅な「省力化」が図られていました。
顕著だったのが「怪盗少女」。夏菜子のエビ反りジャンプは既になく、その直前の間奏は元々メンバーのソロパフォーマンスパートだったのが客いじりパートになっていたり。

もうそこには2011年の滅茶苦茶な彼女たちの姿は当然なく、あーりんの、多分自分が最後に聴いた自己紹介は「ももクロ最年少、高校2年17歳です」だったはずですが、「ももクロ最年少、27歳です」になっていて、れにちゃんに至っては三十路の既婚なわけで。
年齢は着実に増えているものの、当時とほぼ変わらない自己紹介に痺れ、どうしようもなく愛すべきわちゃわちゃした感じは健在で、でも当時にはなかった堂々としている空気もあって。
変えるべきもの、変わらざるを得ないもの、絶対に変えないもの。きちんと年を経て取捨選択をしながら活動を続けて、今もここにいるのだと思うと、少し感動しました。
久しぶりにワンマン行くかな。
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INHALER
U2のBonoの息子のバンド。したがいましてそれだけでいろいろ言われてしまうわけですが、音はさして似ているわけでなく。
声を伸ばした時とかブレスの感じとか似ているっちゃ似ているのですが、それは多分に遺伝もあるのでどうしようもなく。

で、生で聴いて強く感じたのは、お父ちゃんたちが出す音との類似点というよりはU2を含むアイルランド出身のバンドとの共通項。
Boomtown RatsとかThe Alarmとか、すごく好きだったけど一瞬でいなくなったCactus World Newsとか、最近だったらFountaines D.C.とか、そこらへんの感じ。
言葉にしにくいのですが、何というか、スマートになり切れない感じというか、どっかに熱いものを秘めている感じとか。言葉にすると何となくニュアンス違って来たような気がしますが、でも独特の感じ。

ダブリンで生まれ育ち、きちんとアイルランドの男になっている感がとても頼もしい。
正味音的に目新しいことをやっているわけでもなく、というかむしろ「中道」と言っていいくらいのあたり。でもそういう音を凄まじく堂々と鳴らしているのが大変にかっこよく。
大ヒットすることは多分ないと思うんです。それでも長く愛されるバンドには十分になっているような気がします。
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運営等で気になったことは追って。

2023年上半期のTSUTAYAのこと

半年たったのでやろうやろうと思いつつ、1か月遅れでTSUTAYAの主にレンタルまわりのことを。
相変わらず快調に閉店しています。以下、公表されている8月までの閉店店舗と、CD/DVDの取り扱いをやめて書籍専門店に鞍替えした店舗。
8月までで100店舗越えています。

01/09:TSUTAYA 東根店(山形県)
01/09:TSUTAYA 鶴見緑店(大阪府)
01/13:平和書店 TSUTAYA 松ヶ崎店(京都府)
01/15:TSUTAYA 高麗川店(埼玉県)
01/15:TSUTAYA 三好店(愛知県)
01/15:TSUTAYA フジグラン緑井店(広島県・書籍専門店へ移転)
01/15:TSUTAYA 松山インター店(愛媛県)
01/16:TSUTAYA 三軒茶屋店(東京都・CD取扱終了)
01/22:TSUTAYA 新所沢店(埼玉県)
01/22:TSUTAYA セブンタウン小豆沢店(東京都)
01/22:TSUTAYA 蛍田店(神奈川県)
01/23:TSUTAYA 錦糸町店(東京都)
01/31:TSUTAYA 柏青葉台店(千葉県)
01/31:TSUTAYA 明文堂 魚津店(富山県)
01/31:TSUTAYA 和泉26号線店(大阪府)
01/31:TSUTAYA 己斐本町店(広島県)

02/05:WonderGOO TSUTAYA 三郷店(埼玉県・WonderGOO単独名義に)
02/05:蔦屋書店 稲城若葉台店(東京都)
02/05:TSUTAYA 古賀店(福岡県)
02/12:TSUTAYA 松森店(宮城県)
02/12:TSUTAYA 相馬店(福島県)
02/12:TSUTAYA 明文堂 能登七尾店(石川県)
02/12:TSUTAYA 明文堂 能美店(石川県)
02/12:TSUTAYA 東三国駅前店(大阪府)
02/19:TSUTAYA 亀有店(東京都)
02/19:TSUTAYA 名谷駅前店(兵庫県)
02/20:TSUTAYA おゆみ野店(千葉県)
02/26:TSUTAYA 下呂萩原店(岐阜県)
02/26:TSUTAYA 三方原店(静岡県)

03/05:TSUTAYA 沼津学園通り店(静岡県)
03/05:TSUTAYA WILL 三津店(愛媛県)
03/05:TSUTAYA 川之江店(愛媛県)
03/08:TSUTAYA 仁井田店(秋田県・CD取扱終了)
03/10:TSUTAYA ココアドバンス有家店(長崎県)
03/12:TSUTAYA 泉古内店(宮城県)
03/12:蔦屋書店 多摩永山店(東京都)
03/12:TSUTAYA 夙川店(兵庫県)
03/12:フタバ図書 TSUTAYA 岩国店(山口県)
03/27:TSUTAYA 医大通り店(佐賀県)
03/31:TSUTAYA 坂下店(福島県)
03/31:TSUTAYA 米沢相生町店(山形県)
03/31:TSUTAYA 四日市店(三重県)
03/31:TSUTAYA 楠木店(広島県)
03/31:TSUTAYA 防府店(山口県)
03/31:TSUTAYA AVクラブ 清水バイパス店(熊本県)
03/31:TSUTAYA 宜野湾上原店(沖縄県)

04/02:ブックエース 見和店(茨城県)
04/02:TSUTAYA 長居駅前店(大阪府)
04/09:TSUTAYA あざみ野店(神奈川県)
04/09:TSUTAYA 東浦店(愛知県)
04/16:TSUTAYA ブックセンター名豊 大府店(愛知県)
04/20:TSUTAYA 十三店(大阪府)
04/23:TSUTAYA 涌谷店(宮城県)
04/23:TSUTAYA 三鷹新川店(東京都)
04/28:TSUTAYA 川俣店(福島県)
04/30:TSUTAYA 久喜店(埼玉県)
04/30:TSUTAYA 羽村店(東京都)
04/30:TSUTAYA 甲西店(滋賀県)

05/07:フタバ図書TSUTAYA アルティアルパーク北棟店(広島県・CD取扱終了)
05/07:TSUTAYA 若里店(長野県)
05/07:TSUTAYA 瀬戸共栄店(愛知県)
05/07:TSUTAYA 前原店(福岡県)
05/07:TSUTAYA 那覇新都心店(沖縄県・CD取扱終了)
05/14:TSUTAYA 4号せんげん台店(埼玉県)
05/14:TSUTAYA 都城店(宮崎県)
05/20:TSUTAYA 精華台店(京都府)
05/21:TSUTAYA 伊佐店(鹿児島県)
05/28:ヨシヅヤ津島北テラスTSUTAYA 新津島店(愛知県・CD取扱終了)
05/28:TSUTAYA 清水春日店(静岡県)
05/31:TSUTAYA 鶴ヶ島店(埼玉県)
05/31:TSUTAYA 豊田高橋店(愛知県)
05/31:TSUTAYA 具志川店(沖縄県)

06/04:TSUTAYA 亀岡店(京都府)
06/11:TSUTAYA 益子店(栃木県)
06/18:TSUTAYA 十日町店(新潟県)
06/18:TSUTAYA 八尾老原店(大阪府)
06/18:TSUTAYA 安芸府中店(広島県)
06/25:TSUTAYA 深大寺店(東京都)
06/29:TSUTAYA 神辺店(広島県)
06/30:TSUTAYA みどりが丘店(埼玉県)
06/30:TSUTAYA 砺波店(富山県)
06/30:TSUTAYA 陣屋西店(愛媛県)
06/30:TSUTAYA 水俣店(熊本県)

07/06:TSUTAYA 武蔵小金井店(東京都)
07/17:TSUTAYA ふじみ野駅前店(埼玉県)
07/17:TSUTAYA 小千谷インター店(新潟県)
07/17:TSUTAYA 倉吉中央店(鳥取県)
07/19:TSUTAYA 本宮店(福島県)
07/23:TSUTAYA 光が丘店(東京都)
07/23:TSUTAYA AVクラブ 次郎丸店(福岡県)
07/27:平和書店 TSUTAYA 太秦店(京都府)
07/30:TSUTAYA 宇都宮駅東口店(栃木県)
07/30:蔦屋書店 千曲屋代店(長野県)
07/30:TSUTAYA 相良店(静岡県)
07/31:TSUTAYA 岐阜オーキッドパーク店(岐阜県)
07/31:TSUTAYA 津島モール店(岡山県)
07/31:TSUTAYA 中間店(福岡県)

08/06:TSUTAYA 高槻店(大阪府)
08/17:TSUTAYA やまとまち店(宮城県)
08/27:TSUTAYA 港南丸山台店(神奈川県)
08/31:TSUTAYA 夏見台店(千葉県)
08/31:TSUTAYA 白揚 瑠璃光店(愛知県)
08/31:TSUTAYA 上小田井店(愛知県)
08/31:TSUTAYA 潮江店(高知県)
08/31:TSUTAYA 山内店(沖縄県)

(TSUTAYA 光が丘店)

で、見ての通りどこかの地方に著しく偏っているということはあまりなく、全国満遍なく閉店しています。
もう戦略としてどうこうという時期は過ぎ、いよいよシュリンクの度合いを強めているということで。
そんな中でもトピックっぽいところを掻い摘んで。


■レンタル専業小型店舗が風前の灯に
かつてはある程度の都市圏であればちょっとした駅前にはどっかしらのCD・ビデオレンタル店舗があったものですが、そういう都市部駅前型のレンタル専業店舗はいよいよ絶滅寸前になりつつあります。
決して上記の閉店店舗がそういう店ばかりということはないのですが、先日カウントしてみたところ、TSUTAYA系列店舗が全店で900強、うちレンタルを行っているのはその2/3ほどの650店舗弱。
しかしそのほとんどは郊外の割と広い床面積の店舗で書籍売り場を伴って行っていまして、昔の駅前型の「DVD」「CD」「コミック」のレンタル専業で営業しているのは30店舗ほどでした。小型店舗でスペースが限られていますから「じゃあトレカと書籍と雑貨も売るか」みたいなこともできず。
そろそろあの、薄暗くてごちゃごちゃした雰囲気の店はなくなると思います。
ただ、ゲオはどんなに狭い店でも、入口そばの一番いいところにイヤホンとかPB商品置いているのは徹底している。さすが直営店9割。


■CDレンタルもヤバい
現状、DVDを扱わずCDレンタルだけで営業しているという店舗は、2021年末の大阪・日本橋のK2 RECORDS閉店をもって全滅しているはずですが、DVDと一緒であってもCDレンタルができるお店は、ガンガン減っています。
店舗は残存しても「サウンドレンタルの営業を終了します」みたいな文言を掲げて、撤去したスペースをコミックレンタルの拡充とか、トレカのデュエルスペースにしている店舗も割と多め。
こちらもざっくり数えてみると、TSUTAYAもゲオもCDレンタルを取り扱っている店舗は各600店舗未満にまで減少し、もう間もなく全国で1000店を切りそうな勢いです。
というか、残っている店舗でも本当に売れ筋というか、有名どころをざっくり並べているだけの「気持ち営業」みたいなところもあって。SNSで「この店のレンタルCDの品揃えは悪すぎる!」みたいな不満を見たりもしますが、もうそれどころじゃないというか、この業態もそろそろ終わるかなと思います。


■東京都下と沖縄県のレンタル店舗が急減
東京都の店舗は、「レンタル専業小型店」を中心に以前からガンガン潰れていましたが、下記の「都下」で閉店した店舗はいずれも書籍等の販売も行っていた郊外型。

02/05:蔦屋書店 稲城若葉台店
03/12:蔦屋書店 多摩永山店
04/23:TSUTAYA 三鷹新川店
04/30:TSUTAYA 羽村店
06/25:TSUTAYA 深大寺店
07/06:TSUTAYA 武蔵小金井店

東京都についてはそういうタイプの店舗も間引かれまくり、23区以外のレンタル取扱い店は、最盛期には50店舗以上あったのが、現在残り10店舗です。

一方沖縄県は、2019年に名護店が閉店し、昨年は宮古島の店舗でレンタルが終了したり、ここ数年徐々に減っている感はあったのですが、今年はキてます。

03/31:TSUTAYA 宜野湾上原店
05/07:TSUTAYA 那覇新都心店(CD取扱終了)
05/31:TSUTAYA 具志川店
08/31:TSUTAYA 山内店

9月にも1店舗の閉店が決定、今年の3月までは県内12店舗あったのが半年で県内の店舗がおよそ半減という、割と容赦ない感じです。


■京都市内のTSUTAYAレンタル、消滅
市町村の単位で見てみると、最もエグいのが京都市。
政令指定都市でも、札幌市が残り3店舗とか、相模原市が残り1店舗とか、神戸市が残り2店舗とか、かなりギリギリ感があるのですが、京都市内については7/27の平和書店 TSUTAYA 太秦店の閉店をもって、遂にレンタルができるTSUTAYAがなくなりました。
・京都岡崎 蔦屋書店
・平和書店TSUTAYA 京都リサーチパーク店
店舗としてはこれらが残っているのですが、いずれもレンタルは扱っていません。
京都市内のTSUTAYA以外のレンタル店、ゲオは3店舗残っています。そして今年になって円町店を閉店させたものの、ビデオ1は市内に現在4店舗。
「京都市内で最大の店舗網を誇るレンタルDVD店チェーンはビデオ1」というよもやの状況になっております。

あと、トップカルチャーだけでなく、割と書店系のフランチャイジーの動きが(悪い意味で)活発になってきつつありますので、そちらも近々で。

DEAD OR ALIVEの初期音源集のこと

7月26日にDead Or Aliveの「Let Them Drag My Soul Away - Singls, Demos, Sessions and Live Recordings 1979-1982」がリリースされたのでとっとと買ってきました。

CD3枚組、1枚目には前身バンドNightmares In WaxがリースしたEPの3曲と再リリースされた際の別MIX2曲の5曲、Dead Or AliveがEpicと契約する前にリリースしたシングル4枚の10曲。
2枚目には未発表曲を含んだデモが13トラック、3枚目にはPeel Sessionのスタジオライブ音源8曲とライブ音源2曲。
もう現存するメジャー前の音源を全部詰め込んだような編集盤です。

Pete Burnsは2016年に亡くなっていますが、生前にメジャー前の音源が改めてリリースされたことはほぼなく。
あったのは今回のDisc1に収録されているNightmare In Waxの「別MIX2曲」、これは「You Spin Me Round」がヒットしてからのリリースですが、実際これだけで、それ以外含めてまとめてリリースされることはここまで本当に一度もありませんでした。

その理由としては、マスターを紛失していてできなかった説とか、ピートがこの時期を黒歴史化していた説とか、他人が権利を握っていて頑として動かなかった説とか諸説ありまして、自分はずっと「マスター失くした説」を提唱していました。
ピートは晩年酷く困窮していたようで、様々な権利を売り払ったりしていたのですが、そんなならこの時期の音源を何とかしてリリースすれば、自分みたいなヤツがウホウホ買うので出せばいいのに出さなかったのは、結局「元」がないからだろう、という想像のもと。

今回CDに収録された音源は非常にクリアですが、今の世の中であればレコード音源でもPC取り込んで加工すればこれくらいにはなるかもしれないし、やっぱり何で今になってリリースされたのかはよくわかりません。

Dead Or Aliveにはこれまで「元々ゴスな音を出していたバンドがいきなりメジャーでダンスミュージックにイメチェンして大ヒット」というイメージを思っていましたが、今回改めてこの過去音源からメジャーの1st、そして大ヒットした2ndアルバム「Youthquake」までを通して聴いて、そのイメージが全くの誤りだったことがわかりました。
初期シングルは割とエグい値段で中古屋の壁に貼ってあったりした時期もあり、ほとんど聴いたことがなかったのですが、金出してでも聴いておけばよかった。

メジャー前、初期のNightmares In Waxの音源の時点でもうKilling Jokeっぽい「ダンスミュージック的なリズムへの能動的な意識」を聴くことができますし、「It's Been Hours Now」の別Ver.「It's Been Hours Now 2」は、元曲からメロディ楽器をほぼ剥がした結果ほとんどダブのような聴き心地。
2枚目にはその後のメジャーからの1stに収録されシングルにもなった「Misty Circle」や「What I Want」のデモ音源も収録されていて、それらのトラックは概ね打ち込みのみで制作されていたり。

既にバンド活動の最初期から打ち込みやドラムマシーンを導入していたKilling JokeやSisters Of Mercyの活動に触れ、もしかしたら「Isolation」に象徴されるようにエレクトロ路線に舵を切りつつあった1980年前後のJoy Divisionにも触れていたかもしれません。
MIDI規格とかデジタルシンセサイザーとか、楽器環境が激変する中で、それは極めて自然な流れだと思いますし、何よりもDead Or AliveにはPete Burnsという「華」がありました。

それ故にメジャーに迎えられ、1stではFashionやJohn Foxxを手がけていた新進気鋭のプロデューサーZeus B. Heldを迎えて完全にダンスミュージック方面に舵を切り、2ndではこちらも当時新進気鋭のプロデューサーチームStock Aitken Watermanによって大ヒットに導かれるわけです。

果たしてこれがPete Burnsにとってベストな流れであり彼の人生であったのかどうかということは、その後を考えると正直よくわかりません。
当時の同年代のリバプールのミュージシャンのようにそこそこ売れつつ細く長く音楽を続けていった方がよかったのではないかとも思うのですが、でもやっぱり本人じゃないのでよくわからない。

書店チェーンのCD販売用の店名のこと

書店チェーンの中にはCDも売っているところが割とありますが、CD売り場に別の屋号を掲げたり、CD販売も行っている店舗には別の店名を付けたりすることがままあります。
たとえば紀伊國屋書店、それなり以上の大きな店舗にはCD売り場がショップインショップの形で展開されていて、囲われたそのエリアの入口には「Forest」という独自屋号が付いておりました。

が、ここ最近の紀伊國屋書店で「Forest」を見ることがめっきりなくなりました。まだCD売り場の面積がそこそこ大きな店舗はありますので、残っているところもあるのかもしれませんが、ここ最近自分が行った数店舗ではもう名無しの単なる「CD売り場」になっていました。
そういう独自の屋号でCD売り場を展開しているところ、概ね風前の灯火状態のような気がしたのでざっくり調べてみました。


Pax(成田本店)
青森市を代表する書店チェーンの成田本店はCD売り場を「Pax」という屋号で運営していました。青森駅近くのしんまち店の場合は地階がPaxとして営業していましたが、2014年の改装時に撤収。
しんまち店から割と近くの再開発施設アウガにも成田本店とその中にPaxエリアがありましたが、そっちは書籍販売ごと2009年には撤収しています。

タイムクリップ(文真堂書店)
徐々に徐々にしかし確実に店舗網が削られていて、今後が少し心配な群馬県拠点のチェーン、文真堂書店。割とCD販売取扱店は多く、その大部分が「タイムクリップ」という屋号を併用、またタイムクリップ単独名義の店舗もかつて数店舗ですが展開していました。
現状ではCD取扱店はまだまだあるものの、タイムクリップ名義で営業している店舗は1店舗のみ。

KaBoS(勝木書店)
福井県本拠地で関東にも店舗展開している書店ですが、うちCDやゲームなど書籍雑誌以外の扱いもある店舗についてはKaBoS/SuperKaBoSの店舗名で展開しています。
とはいえ、元々勝木書店グループだった店舗で現在営業しているのはほとんどがKaBoS/SuperKaBoS名義の店舗。
が、いろいろ取扱商品が変更された結果か、書籍・雑誌しか扱っていないのにKaBoS名義の店舗があったり、若干ややこしいことになっています。

MEDISITE(三洋堂書店)
東海地方を中心に展開している三洋堂書店のうち郊外の大きめな店舗の多くはCDやゲーム販売・レンタル等も含めて総合書店として営業し、店頭に「MEDISITE」の看板を掲げて営業していました。
しかし、恐らく2015年頃以降の新規店舗・移転店舗や改装を行った店舗では、扱う商品がそのままであってもその看板を外しているようです。

STUDIO WONDER(今井書店)
鳥取県・島根県を中心に店舗展開している今井書店、大型店舗やショッピングモールに入った店舗の一部ではCD売り場を「STUDIO WONDER」という屋号で運営していました。
が、現状ではSTUDIO WONDER名義は消滅、CD取扱店舗は「メディア館」または「サウンドスタジアム」という名称で営業しています。

フィルモアレコード(黒木書店)
福岡県を拠点に営業していた黒木書店は、ほぼ各店舗に割と大きなCD販売エリアを持っていて、「黒木書店」と同じくらいのデカさで「フィルモアレコード」という看板を出す店舗もあったのですが、2016年に運営企業が特別清算。それ以降は大部分の店舗が宮脇書店傘下となって営業を継続しています。
ほとんどの店舗は看板も掛け変えずに「黒木書店」の体で営業しているため、「フィルモアレコード」の看板もそのままの店舗もあるのですが、実際現在その屋号が企業内で生きているかどうかはわかりません。

サウンドファースト(ブックファースト)
神戸三宮等、一部サウンドファースト単体の店舗もありましたが、多くはブックファーストのショップインショップの形で展開していました。
2011年に一気にサウンドファーストの看板を外しましたが、それは元々阪急電鉄傘下の企業だったブックファーストが2012年に経営をトーハンに移行するにあたっての措置だったんじゃないかと思います。

TSUTAYA RECORDS(TSUTAYA)
ちょっと他の「書店」とは毛色が異なりますが。TSUTAYAの看板の一部が黄色地になっていて「TSUTAYA RECORDS」の文字が入っている店舗がまだ多少残っていますが、これは自分の知る限りではTSUTAYA店舗の中でも「CD販売」を行っている店舗の表示だったはずで。
それが店内のいろんな改装やら業態の調整やらで現状必ずしもそうはなっていないようですし、そもそもTSUTAYAがヤバい。

およそこんな感じで、看板を外したり縮小したりしているところがほとんどです。
そんな中、小規模ではありますが2019年から新たにCD売り場に独立した屋号を掲げて営業し始めるという、逆張りを開始したのが富山県拠点の中堅チェーンBOOKSなかだ。

富山市郊外のショッピングセンター・ファボーレの店舗に元々あった名無しのCD売り場に、2019年にトオン・ミュージックという屋号を付けて営業を開始します。
その後も2021年に魚津店、2022年にイオンかほく店でも同様に名無しのCD売り場がトオン・ミュージック名義に改装されています。

富山県とかほく市は石川県ですが、双方とも新譜販売店はほとんどありません。
富山県内の大手は高岡市にHMVがあるだけで、富山市内では総曲輪の商業施設の紀伊國屋書店のCD売り場が言うほど大きくなくても県内最大。
石川県内では大手は金沢のタワーレコード、白山市松任の新星堂。そして双方とも個人経営の店舗はほとんど残っていません。


元々富山県を拠点に営業している書店チェーンは文苑堂書店と明文堂書店が二大巨頭。そして双方がTSUTAYAのフランチャイジーでもあります。
ただ、文苑堂書店はCD/DVDレンタルやCD販売を近年すごい勢いで縮小、TSUTAYA名義店舗もBOOKSTOREへの改装を行って、今はCD販売やレンタルはあってもいつでもその取り扱いを切り離せる体制になっています。
明文堂書店はTSUTAYAとの繋がりは現在も強そうですが、そもそも明文堂書店そのものが今年に入って3店舗閉店しているという割としょんぼりした状況。
要するにますます県内から新譜販売店が減っているわけです。


一方、CD売上は間違いなく減っていますが、そんな中で単価は上がっております。
例の米津玄師の映画主題歌CDシングルは、初回限定版が4,800円、通常版が2,200円。
ジャニーズ系等では単価はそれほどではなくても、3種リリースのシングルを「3種セット」で一発予約・購入できるようになっていたり。

また、女子アイドルのCD売上が目に見えて減っている一方で、男子アイドル/ダンス&ヴォーカルグループが戦国時代の様相を呈しておりまして、かつそれらのグループは総じて女子アイドルグループと同様に「CDを積んでもらう」戦略でもってプロモーションを行っています。
このファン層をきちんと押さえることができる店舗であれば、もう少し「CD販売」は生きていけるのではないかと思います。

ということで、BOOKSなかだは県内のCD販売店舗が減っていく中でそこに勝機を見出し、「CDを販売している」ことの周知の強化を行ったのではないか、と思っています。
本当に勝てるかどうかはわかりません。

最近の新宿ディスクユニオンのこと

とにかく時代の流れと近辺の空きテナントの状況に応じて変容し続けているのが新宿のディスクユニオン。

ROCK INNのギターショップ等が入っていた4階建てのビルを一棟借り上げで「ユニオンレコード」名義を復活させたりの大改編を行ったのが2018年。
紀伊國屋書店の隣に新築されたビルの1フロアに「ベストアルバムストア」という前代未聞の括りの店舗等、中古を中心に再編を行ったのが2021年。

それ以降大きな動きはなかったのですが、2023年夏、過去ほど大きくはありませんが割と興味深い感じで動かします
かつては新宿の総本山だった山田ビル。今も地上7階地下1階の全フロアをユニオンが占め、様々なジャンルのショップを各階に詰め込んでいますが、その2フロアに変更がかかるところが特に気になっています。


1)B1階:8月7日に「平成J-POPストア」オープン。

ユニオンがそこを狙ってきたかという気持ちにもなりますが、今の世の中において中古盤販売の「ど真ん中」になりうるジャンルですから、今のユニオン放っておかないというのもわかります。
何といっても、ここまでまともに売りようがないまま倉庫で腐っていた8cmCDシングルの在庫を、それなりの価格で売り抜けられる千載一遇のチャンスですから、これを逃すという判断はないということはすごくわかります。さすがユニオン。
このフロアは現状「日本のロック・インディーズ館」として営業していますが、恐らくそこらへんは概ねユニオンレコードの邦楽の棚にまとめられるんじゃないかと思います。
とはいえユニオンですから、現在のブーム的な流れが一段落したらしれっと戻ってくる可能性も。ユニオンですから。


2)1階:7月24日に「ディスクユニオン アニソン・ゲームミュージックストア」オープン。
平成J-POPよりも先にオープンするのに後に発表された、更に「そこを狙ってきたか」感のあるジャンル。
ただ、ここらへんはユニオンの既存ジャンル的には「その他」的なところに置かざるを得なかったわけで、でもきちんと買取りはしていたところ。
というのは、以前ユニオンに段ボール2箱くらい買取で送り付けたことがあったのですが、査定で一番高い値段が付いたのが「宇宙戦艦ヤマト」のサントラでして。
元々そこらへんのジャンルも含めてきちんと査定していたわけですので、むしろ「満を持して」感もあるかもしれません。

というかこのジャンルの中古扱いは、最近では元々ブックマーケットを運営していた株式会社エーツーが、通販サイトだった旧・駿河屋と合併してリアル店舗展開をし始めた「駿河屋」が、現在進行形ですごい勢いで店舗網を拡大しているわけで。
そこから察するに今最もニーズがあるとも言えるところ。やっぱりユニオンが逃すはずがない。

山田ビルの1階は、2018年の大改編時に若干ゆとりができた山田ビルにおいて、何故かディスクユニオン運営のカフェとして再オープンしたフロアだったのですが、やっぱ慣れんことしても駄目だったか、数日前に見に行ったらこんな感じで。

やっぱり山田ビルは全フロアで盤を販売していた方がいい。

沢田研二@さいたまスーパーアリーナのライブのこと

昨日は沢田研二@さいたまスーパーアリーナ。

彼のライブは5年前に一度観ているのですが、今回は「スペシャルゲスト:瞳みのる / 森本太郎 / 岸部一徳」がアナウンスされていて、要するにデビューから解散まで在籍したザ・タイガースのメンバーが揃うわけです。
ああ、これは観に行かなければならん。という、同じ気持ちの皆様で、さいたまスーパーアリーナはメインアリーナ超満員。最強の切り札を出してきたとはいえこれだけの集客力の75歳。
元祖ヴィジュアル系、強いです。

ライブは途中で休憩を挟んでの二部構成でしたが、もう少し細かく言えば四部構成。
1:ザ・タイガースのパート
2:80年代前半までのソロヒット曲パート
3:それ以降現在までの楽曲パート
4:アンコール

いきなり虎の着ぐるみで出てきて「シーサイド・バウンド」。恐らく3万人いるであろう観客がその一発でぶち上がる。
この年齢層のライブではなかなか見ない、いきなりほぼ総立ち状態。すごい。
元祖「バンギャ」と呼んでいいであろう、かつてのお嬢様方が当時に戻っている。いくつになっても「黄色い声」は出せるのです。
そして、MCではナベプロとの契約前の逸話等をメンバーで語る語る。「覚えてる?」「覚えてない」「えー」みたいな、お年寄り同士のいちゃいちゃがたまらなく愛おしい。

01.シーサイド・バウンド
02.モナリザの微笑
03.落葉の物語
04.銀河のロマンス
05.花の首飾り
06.青い鳥
07.君だけに愛を

ここで20分の休憩。ただし、MCがトータルで30分以上あったので妥当な線。
そしてそれ以降はほぼMCなし、ただし曲終わりの恒例「ありがとう、サンキュー、ありがとうね」は確実に入れてくる、以前に観た通りの感じですが、それでもやっぱりこのヒット曲連打は痺れる。

08.そのキスが欲しい
09.おまえにチェックイン
10.サムライ
11.ダーリング
12.勝手にしやがれ
13.時の過ぎゆくままに
14.危険なふたり
15.6番目のユ・ウ・ウ・ツ
16.TOKIO

ここからは最近の曲。
悪くはないのですが「思い出補正」がない分、心にダイレクトに来ることはない。
何となく思ったのは、ジュリーは「俎板の上の鯉」になる才能の第一人者だったのだということ。
結局彼が爆発的に売れたのはその音楽を他人に委ねていた時期であり、自我を押し出そうとしたPYG期とナベプロから外れて以降はそれほどではないということで。
「スター」とはえてしてそういうものなのか、と思ったり。

17.LUCKY/一生懸命
18.ROCK'N ROLL MARCH
19.時計/夏がいく
20.君をいま抱かせてくれ
21.愛まで待てない
22.いつか君は

アンコール出てきていきなり河内音頭にはビビりましたが、呼び込んだ合いの手仲間の中にいしのようこと南野陽子の「Wようこ」がいたので、何か得した気分。
と思ったら、その後改めてザ・タイガースのメンバーを呼び込んでからがヤバかった。
「十年ロマンス」や「色つきの女でいてくれよ」あたりを演ったらタイムライン的にも辻褄合うかなと思って期待していたら、出てきたのが「Time Is on My Side」ですよ。
これは要するにナベプロとの契約前、大阪で活動していた頃のレパートリーですよ。半世紀以上前に大阪のキャバレーで鳴らしていた音を今ここで鳴らしている。
そんなの最高じゃないですか。

23.河内音頭
24.Time Is on My Side(The Rolling Stones)
25.Do You Love Me(The Dave Clark Five)
26.(I Can't Get No)Satisfaction(The Rolling Stones)
27.ラヴ・ラヴ・ラヴ

ああ。本当に行ってよかった。
デビュー以来半世紀以上に渡る彼の人生を垣間見た気持ちになるライブ。
そして周りのかつてお嬢さんだった皆様の、恐らく当時と全く変わらない気持ち。
後ろの方できゃっきゃ言ってたグループの方も、私の隣ではかみしめるように聴いていた小さな元女子もいらっしゃって。

「推し活」どうこうというのはあまり得意ではないですが、でも長い方は半世紀以上に渡って推し続け、それで演者の方も活動し続けられている。
そんな素敵なことってないですよ。

そして全員後期高齢者になっても健在どころかまだバンドとしてきちんと素晴らしい音を出せているのが有難すぎて。
それ踏まえると、ローリングストーンズってやっぱバケモンだとは思います。

小田和正@有明アリーナのライブのこと

6月3日は小田和正@有明アリーナ。

最近、ベテランミュージシャンはいつ引退しちゃうかわからないのでできるだけ観るようにしています。
引退宣言した吉田拓郎も、なし崩しに隠居状態に突入した井上陽水もその方針のおかげで観ることができたのですが、小田和正については、ある朝起きて声が出ないと思ったら即やめそうな気がするので、是非とも早いところ観たいと思っていてようやく。

これが、他のミュージシャンとは全く違う、少なくともアリーナクラスでは経験したことがないタイプのコンサートでした。

ライブに行くときは多少なりとも「何これ!?」的なものを期待していくことが、自分にとっては普通になっています。
衝撃とか、圧倒とか、混沌とか、そういうタイプのヤツ。
たとえば同じ「歌うまい」カテゴリに入れられがちな玉置浩二とかは、ライブで観たらもう殴りかかってくるような圧倒的な「歌」だったんですが。

でも小田和正ライブは、それが一切ありませんでした。
当然歌は抜群にうまい。バンドの演奏も抜群。でもそれが何の引っかかりもなくすっと入ってくる。
圧倒的に曲はいいわけですが、それはもう音源で知ってるからライブ時の驚きにはならない。

場も自分が知っているよくあるライブのそれではない。盛り上がっていないわけではない。みんな楽しそうだし。
でも、自分が他のライブでよく知っている会場を飲み込む熱狂的な空気は皆無。温かくもすごくふわっとした空気感が会場全体を包んでいる。

だからそういうことなんだと、はたと気が付きます。
自分の方がここでは異端なのだと。
ここに集っている人たちは、音楽コンサートに、衝撃とか、圧倒とか、混沌とか、そういうものを期待して来ているわけではないのだと。
普段の生活と地続きの、でも少し違う彩りの体験としてのコンサート。

そういう体験として、彼の書く美しいメロディと、最近の割と抽象的な歌詞は凄まじくマッチします。
アホみたいにいろんな音楽にガツガツしている自分のような人間ではない人たちにとってこれはベストマッチなのかもしれない、実際アリーナクラスがすごい勢いでソールドアウトするわけですから、そういう需要はとてつもなくあるのだと。

彼の楽曲で最もレンジの広い「YES-YES-YES」は、もしかしたらもう「連れてゆくよ」のハイトーンの極みはもう出ないのかもしれない、実際今回の彼自身、低い方の音をなぞって、主旋律はオーディエンスに任せていたし。
でも、そういう「すごい」ではなくとも、場として「こういうのが聴きたい」は完璧に全うするというスタイル。

これはこれで「アリ」なのだと、理解した次第。
だから、生で観なきゃわかんないことがまだいっぱいあるんですよ。いや本当に観てよかった。


あとは、さだまさしと浜田省吾。チケット取れる気がしない。

Michael Head@下北沢シャングリラのライブのこと

5/30はMichael Head & The Red Elastic Bandのライブ@下北沢シャングリラ。

The Pale Fountainsは完全に後追いで聴きました。
初めて知ったのは、1980年代後半に東海地区の深夜に流れていたバナナレコードのTVCM。画面に映っているのはマーク・ボランなのに、流れてくるのは「Palm Of My Hand」のイントロという謎のCMでした。
二番目はその後関西に引っ越した後、よみうりテレビの土曜の深夜にテーマを決めて割とレアな作品も込みで映画を放映することがあったのですが、そのオープニングテーマが「Bruised Aracade」でして。

その頃には既にThe Pale Fountainsは解散し、Michael HeadはShackでの活動に移行、そっちはほぼリアルタイムで追っていたのですが、でもやっぱりThe Pale Fountainsの方が好きだなと思いながら。
1992年のShack来日時は貧乏学生のため行くこともなく、結局今回それ以来の来日。昨年のアルバムが大変によかったのもありますが、そりゃThe Pale FountainsやShackの音源もやることを期待しながら。

頭3曲、最新作からぎっちりやって、まあアルバムのリリースツアーだよねと思ったら直後に「Reach」。サビの「あ・あ・あ・あーい」を本人歌唱でシンガロングできる日が来るなんて思ってもいなかったよ。もう泣けてきそうだよ。
The Pale Fountains楽曲はもう1曲「Jean's Not Happening」も、印象的すぎるギターソロも含めて堪能。
Shackは「HMS Fable」からやたらやったような気がしますが良いアルバムなのでOKだし、大好きな「Undecided」もやってくれたのも素晴らしい。

40年以上活動し続けてチャート的にも昨年がキャリアハイという異常なレベルの現役感と、でも思春期の己のハートをえぐってくる異様な懐かし感が交互に訪れる謎のライブ。

Michaelは本当に楽しそうで、「Beautiful!」「Fantastic?」と盛んに言っていましたが、今もってこんなパキパキの音楽をかましてくるあなたが一番BeautifulでFantasticですよ。

また来てほしい。毎年来て新作ツアーと「From Across The Kitchen Table」完全再現と「Zilch」完全再現とかを順繰りにやってくれたら永遠に課金し続けます。