Summer Sonic 2023の運営のこと

去年のサマソニは、スタジアムのスタンドが一時通路まで満杯になって身動きが取れない状況になったり、女性受けするタイプのグループの出番前のステージ最前付近への入口付近で混乱が起きたりしていました。
今年はそれらについては、自分が見た限りではさほど気にする状況ではなくなっていたものの、それはそれで今年は今年の問題が発生しておりました。


■熱中症&長期待機問題
「熱中症で多くの人が救護室に」という件は当日の昼過ぎにはスピード報道されていた問題ですが、これ恐らくその相当数がNewJeansでアリーナにいた人たちだと推測します。

19日の早朝には入口ゲート前に数百人レベルの行列ができていたということで、要するに早い人は朝から昼の開演までロクに日陰もない場所にずっといたということですので。
入口でスポーツドリンクが没収された、という話もありましたが、それは今回に限った話ではなく、サマーソニックは従前からアリーナには水とお茶以外の飲食物の持ち込みは禁止というルールでここまで来ていたわけで。

とはいえ、こういう炎天下で取り上げて代替の飲料を持たせずに中に入れるのはどうよとか、他のフェスと比較しても古株率が低く年ごとの参加者の入れ替えが激しいサマソニでそのルールはどこまで周知されていたのよとか、気になる点もあります。

また、私は19日はBlurを観た後マリンスタジアム横の出入口(MAPでSUB ENTRANCEとなっているところ)から出たのですが、その時すでに数百人の女性が列をなしていて。
翌日のジャニーズWEST目当ての人たちです。

「これはちょっとどうなの」と一瞬思いましたが、ジャニーズ系のファンの方は、単独コンサートの場合はファミリークラブ(ジャニーズ系の総合ファンクラブ)に入っていてもなかなか抽選に当たらず、当選発表の直後には当たらなかったチケットがオークションサイトに超高値で出品されていたり、忸怩たる思いをしてきている人たちです。

それが、推しが出演しますという発表があった後でもチケットが確実に入手でき、かつ自分の踏ん張りしだいで最前付近も狙える、という他にはなかなかないチャンスがサマソニ、ということなので、そりゃ必死になって頑張る気持ちもわかるわけです。

かくして両日とも開演前から入り口前に長蛇の列という状況が発生し、そこを突破してアリーナの最前付近に陣取ることができたとしても、開場の9時からお昼まで3時間からほぼ日陰のない場所での待機を余儀なくされるのです。
正直、来年以降もまだまだ暑い夏が想定される以上、放置するのはちょっとまずいと思います。

「秋に開催をずらせ」「屋外は夕方以降にしろ」みたいな意見もありましたが、興行的にそれはちょっとしんどいですし、それで規模が小さくなった結果、どメジャーなミュージシャンを連れてこれなくなりました、みたいなことがあったらちょっと悲しい。

他の一部フェスでは既に
1)事前にサイトで「フェイバリットミュージシャン」登録受付
2)その登録者の中から各ステージの「入場順」を事前に抽選して通知
3)当日は開場後にその順番でアリーナ入場
ということを行っているところもあるので、さすがにこれを一部でも導入した方がいいのではないか、という気持ちです。

前日からの徹夜待機も、開場直後から長期間炎天下に晒されることも減ると思います。で、入場順の通知時に「遵守事項として水分・塩分の携行」を明記してみるとか何とか。
そろそろあの温度では冗談抜きで命にかかわってきますので、ここらへんなにがしかの対策はマストではないかと思いました。

あとは、そういう対策をしつつ、マリンスタジアムには現在移転改築の計画がありますので、「ドーム球場になりますように」とみんなで祈願することが大事だと思います。


■退場間に合わない問題
発生したのは19日のマリン、NewJeansが終わって次はPale Wavesという時。

NewJeansでアリーナに入った方々があまりにも多く、これもんで入場規制がかかるレベルだったため、ライブが終わった後の大量の退場者がアリーナから出切らないうちにPale Wavesの開演時刻が来てしまいましたという事象。
Pale Waves待ちの人たちはNewJeansがやっている最中は入場規制のためにアリーナの中に入ることままならななかったため、終演後の退場がおよそ完了するまで中に入れず待たされることになったわけです。

10分ほど開演を押したのですが、それでも捌けず、結果としてアリーナ前方ガラガラのままでPale Wavesは演奏を開始しなければいけなかったという地獄が発生した次第です。
結局Pale Waves待ちの人がおよそ入場完了できたのは2曲目の終わりくらいだったでしょうか。

「NewJeansの時は満杯なのにPale Wavesはガラガラ!」みたいな比較画像が投稿されていましたが、あれまさに「Pale Wavesをアリーナで見たい」人たちがまだ一切入場できていない状態の写真なので、そこらへんはよろしくお願いします。

しかしこれは割と難しいです。
退場者に「急げ!走れ!」とか言えるはずもなく、逆に入場者に「早くから入っておけ!」と言うことも割と理不尽。
従って、入場の状況を事前に予測して、転換時間を30分とか一律に決めずに次の開演時刻を余裕をもって設定しておく、くらいしか思いつかない。
すごく大変だと思います。


■メッセの床座り民問題
とにかく今回目立ったのは「メッセ内の任意の場所に座り込む人たち」の異常な多さです。
フードエリアの座席は早々に埋まり、時を追うにつれて徐々に床の人が増え、通路スペースにはみ出して、一時はステージ間を行き来する人たちの往来を邪魔するレベルに。
途中で運営も気付いたようで、一時的に排除はされるのですが、そんなにも経たないうちにまた増えてくるという半ばいたちごっこ。

その後可動柵を設置して、通路部分を分離し始めたのですが、すると今度は各ステージの後ろの方に陣取る人たちが増加、今度は観客スペースを圧迫し始めます。もちろんそこも運営が立つように指示はするのですが、こちらもいたちごっこ。

マウンテンからの退場の導線のど真ん中にも関わらず意固地に座り続け、ものすごい数の人が通る中でそこに座っていることに気付かなかった人の足が当たるたびに威嚇を繰り返すという、恐らく「他人の指示に従ったら『負け』」的な価値観をお持ちっぽいお兄さんもいました。

何故こんなことになったかというと「外がクソ暑いから」というのが間違いなく最大の理由ですが、もうひとつあるような気がしています。

昨今のサマーソニック、アイドルやダンス&ヴォーカルグループ等の非常にファンの求心力が高いグループの参加が増えています。

我々「だいたい音楽だったら何でもいいや」的なフェス大好き民は1日で6組とか7組とか回るわけですが、強力な推しがいて他にあまり興味がないというか他に興味を振るリソースがないくらいの人は、推しグループを観た後は恐らく「知らない人は興味ないけど、星野源とYOASOBIは知らないわけじゃないからせっかくだし観て帰るか」みたいな感じになるわけです。

かくしてステージ前でライブを観ているよりもそれ以外の特にすることがない時間の方が長い人の割合も増えて、でもフードエリアのキャパはこれまで通りで、結果として床座り民が増加する、というそういう仮説です。

来年もきっと暑いので、こういう状況は変わらない。
となると、「場を拡大する」以外に解決法はないわけで、現在のサマソニで幕張メッセはホール1-8を使用しているのを、イベントホール及び9-11まで全部使用すればいいのではないかと思ったのですが、それは収益を生まないところにコストをかけることになるので、もし自分が運営側だったらそういう意見は却下して、とりあえず置けるところに椅子をひたすら置いてごまかします。

それでも正味、割と転換点になりうる年になったんじゃないかと思いました。
割とサマソニ大好きなので、何とか来年も上手くやっていただければ幸いです。
でもヘッドライナーがDepeche ModeとかPulpとかだったら、ウハウハ言いながら苗場に行きます。よろしくお願いします。