CDレンタル店舗が1000店舗を割ったこと

2023年の10大ニュースで「CDレンタルを行っている店舗がもうすぐ1000店舗を割りそう」と言いましたが、今しがたカウントしたら割っていました。

TSUTAYA:407
GEO:536
三洋堂:24
HYPERBOOK/SUNMUSIC:5
合計:972

「レコードレンタル」という業態が公式に始まったのは1980年の東京都三鷹市の黎紅堂。
その後数々のチェーンが立ち上がり、翌1981年の末までには公式な数だけで1000店舗に届こうかという数にまで増えましたので、栄枯盛衰の42年を経て黎明期の数にまで戻ったということになります。

そして今後ですが。

  • 4月23日にリニューアルオープンするSHIBUYA TSUTAYAにはDVDを含めてレンタルを行う予定なし
  • 大手フランチャイジーのVidawayが、現在19店舗に残っているCDレンタルを3月末で全店舗で終了することを公表(DVDレンタルはほぼ残存)
  • 明文堂書店(富山県/石川県)、精文堂書店(愛知県等)、WonderGOO(茨城県等)等、TSUTAYAフランチャイジー(レンタル部門)からの離脱増加

と、当然ですがより一層減っていく未来しかありません。

で、こうやって店舗の数が減ってくると困るのは小売りだけではないはず。
CDレンタルで使用されるCDは、店長がそこらの小売店で買ってくるのではなく「CDレンタル専用の卸代行企業」から購入します。
中には、たとえばYOASOBIの一連のアルバム、通常販売用はバインダーブック形態の特殊仕様品しかないところ、レンタル専用に普通のプラケースに入った盤を卸すなど、特別な盤の商いも行っていたり。

現在、レンタル用の卸代行企業は3社。

  • (株)グラモラックス
  • (株)MPD
  • テクタイト(株)

うちグラモラックスはゲオ・ホールディングスの子会社、MPDはCCCの子会社なので、もうそういう感じ。
テクタイトは様々な電子機器・電子部品の卸がメイン業務で、レンタルCDの卸は少なくとも現在はもう片手間もいいところ。

ということで、恐らく既に業界として「困る」ような時期はとうに過ぎ、ダメだったところは既に撤退済みで、残っているのは企業グループとしての判断一発でどうとでもなりそうなところのみでした。


CDを買うという行為は元々は「そこに収められた音源を聴くため」ですが、もはや現状ではその目的は縮小するところまで縮小し、別にあった「音源以外のCD付属品のため(DVD/アイドルなら特典券/K-POPならヨントンの抽選権等)」「ファングッズとして所有するため」がメインになっています。
一方CDレンタルをするという行為は「そこに収められた音源を聴くため」でしかないため、サブスクやYouTubeに取って代わられるのみ。

なので、CD販売は特に大手チェーンについては「CDを積む」ならわしがあるボーイズグループが隆盛である限りもう少し生き残る芽はあると思っていますが、CDレンタルについては正直何の芽も見当たらない。
正味、3月末までで終了と発表している店はVidawayのフランチャイジー以外にもけっこうありますので、4月になったらまたカウントしてみます。

というか、閉店をウォッチし始めた2010年頃には「あと10年もたないだろうよ」と思っていたので、正味よく頑張っている。