ウルトラ・ヴァイヴの1000円名盤シリーズのこと

インディーズ・レーベルのウルトラ・ヴァイヴは、去年も歌謡曲中心のリイシュー盤を税抜き1,000円でリリースしていたのですが、今年は以前に運営していたSOLID RECORDS時代に持っていた音源を1,000円で出してきます。
SOLID RECORDSですから、ラインナップを見るになかなかエグい感じで最高なのですが、ふとそろそろこういうCDのリイシューも収束していくのかなと思ったりして。

既にいくつかのニューアルバムでは、CDはDVD付きの限定パッケージでしか出さず、音源だけ聴ければいいという人間はダウンロードかストリーミングで聴けよ、という流れが日本でも散見されるようになっています。どんどんデータで聴く時代が進み、「CD」という入れ物はメモラビリア的な「豪華盤」でしか用いられなくなっていく。
早々に「廉価盤CDをリリースしてできるだけ多くの人に手に取ってもらおう」という発想は、我々40-50代以上にしか共有されなくなっていく。今回は音源的に完全にターゲットがその層なのでまだビジネスになると思うのですが、ここらへんの音楽にピンと来る層は、少なくとも私の周りではまだ音楽に対してのアンテナの高い方が多く、きちんとストリーミングも使いこなしています。

たまにしか音楽聴かないレベルのお年寄りは昔買ったCDをたまに再生するだけで、これからも音楽を聴き続けようというお年寄りにはお年寄りなりにどんどんストリーミングが普及していく。そうなると恐らく「廉価盤CD」というブツには存在意義がなくなります。特にこういうインディーズ的な音源では。

ただ、今回再発される音源、まだストリーミングに公開されている音源は多くなく。ざっとApple Musicの検索かけたところ、ストリーミングにまで出ているのは、

GARLICBOYS
THE FOOLS
THE POGO
SO NICE
CHIE & THE WOLF BAITS
トーキョーキラー
パパイヤパラノイア
松尾清憲
Mooney & Keni with Lucky Rhythm
Luft
ハレはれナイト
ミク★パンク 80sオン・キャプテン・レコード
ソリッドレコード夢のアルバム

ということで過半数に届いていません。あがた森魚やJET BOYS、ジュンスカのように他のレーベルから出ている音源はストリーミングにあるのに、今回CDで出る音源はまだないというパターンもあって、
ジュンスカなんかはメジャー以降の音源は全部ストリーミングで聴けるのにこのアルバムだけ聴けないという状況。
それって何かおかしくね?と思う程度には、私も現代にアジャストできている。

ただ、先日Pizza Of Deathレーベルがサブスク解禁した時のメッセージの歯切れの悪さもこれきっとそうなんでしょうけど、確かに「インディーズであり続けること」とストリーミングで他の全ての音と同じく並んで聴き放題になるということは、気持ち的に両立しにくいことなのかもしれません。

今後、どんどんストリーミングに音源は解禁されていき、CDはどんどんいらなくなっていくわけですが、今回の1000円シリーズですごく気になっているのが若松孝二監督映画の音楽群。こういう映画音楽はまとまっていることに意味があり、ストリーミングで楽曲単体で聴いてどうという感じでもないような気がして、じゃあこれらのCDは今後ストリーミングに公開されるのか、という気持ちが。
いやでも他の未解禁のアルバムは実際今後どうなんだ、という不安も増大し、もう持ってないヤツ大体全部買っちまえ、という判断をしているのが今の私です。これが恐らく今回のメイン購入層です。

V系ショップZEAL LINKの具合がいよいよよろしくないこと

先日、ヴィジュアル系専門CD店の具合がよろしくないことを書いたのですが、その後になってからいよいよもって具合が悪そうになってきたのがZEAL LINK。
元々は新宿・渋谷・名古屋・大阪に店舗を構えていたものの、2013年に新宿店が結構な一等地から高田馬場の路地裏に移転し、それでも4店舗体制を保っていたのですが、今年に入って4月14日に高田馬場店、5月29日に名古屋店が閉店し、そして今週になって6月30日での渋谷店閉店を発表するという急転直下。既にいくつか7月のインストアイベントが決まっていたにもかかわらず、それをすっ飛ばす形で。
4月5月6月と月刊閉店状態です。

残るは大阪のみということになるのですが、大阪店のTwitter見ていてふとこのセールの告知に気付いて、これをもう少し早く知っていたら今の惨状をもう少し早く予想できたかもしれないと思ったわけです。

このセールは4月下旬から開始され、ゴールデンウィークの終わりと共に終わる予定だったものが今も続いている形ですが、こんな30-70%引きという、ものによっては足が出るレベルの割引率のセールをそんな延々と続けている意味を考えるとおよそお店の気持ちがわかります。
これは「今期の決算での利益」とかそんな先の黒字のことなどどうでもいい、「とにかく今、たった今、少しでも多く現金が欲しいねん」という心の叫びです。その現金がないと自転車操業すらできない、それくらい追い込まれているからこそのセールです。

というか、1週間を切ってからとはいえ、事前に閉店を告知するのはまだ顧客に対する気持ちがあるからです。先日の池袋Brand Xとか、古くは2010年10月に蒸発した札幌のGURUGURUとか、あんな夜逃げ同然に店閉めて音信不通になったりはしないという気概を、ZEAL LINKには感じるのです。
だから、関西のバンギャの皆さんは是非心斎橋に走っていただき、在庫を買い漁っていただければと思います。がっつり現金払いで。もしかしたらまだ間に合うかもしれません。

2012年夏に札幌行った時、GURUGURUの跡地がどうなったか見学に行ったら、こんな感じのまま残されていて、少し笑った後悲しくなったのを覚えています。

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サカナクション「834.194」のこと

サカナクションのニューアルバムは、ものすごい納得感のあるアルバム。ここまでバンドの音楽的な構造をつまびらかにしていいのか、と思うレベルで。
このアルバムは「ユリイカ」と「セプテンバー」のアレンジや置き場所だけ見ても「2枚組アルバム」と言うよりは「2作のアルバムを1パッケージで同時リリース」と言った方がよい塩梅で。サザンの「kamakura」ではなく、ブルーハーツの「Stick Out」と「Dug Out」的な方針。

その2枚の差異については山口氏自身が既に語っているのを読んだのですが、要するに「作為」と「無作為」。1枚目の東京の方が「作為」で2枚目の札幌の方が「無作為」。
それで気が付いたのが、私はサカナクションをインディーズ2枚目の「Night Fishing」で知り、特に「ナイトフィッシングイズグッド」はいたく気に入っていていて、しかしその後メジャーに行ってのアルバム「シンシロ」を聴いて「悪くはないんだけど、何か違う」と思ったのですが、その違和感の理由を今さら。
そうやって本人に語られ、改めて過去作をだーっと聴いてみるとものすごくわかるんですよ、その「作為」の歴史が。メジャー以降特に意識されたそれが。もちろんそういうのだけでなく「シンシロ」なら「雑踏」とか、「DocumentaLy」なら「years」が一番インディーズ時代の「無作為」に近いか。
でもどうしてもアルバムの中では「脇」の位置に置かれて。

そう考えながら改めて前作「Sakanaction」を聴くと、この段階で既にそんな「作為」と「無作為」が意識されていたのではないかと思いまして。事前にCMで使われていたメロディーが「夜の踊り子」の「え?そんなところのメロなの?」と思う位置に置かれていたりとか、「ミュージック」のライブでの演出はあれ「無作為から作為に渡るための装置」と考えると具合がよかったりとか、個人的にはメジャーに行ってからの曲で一番インディーズの空気感に近いというか敢えて寄せてきたと思える「僕と花」が収録されていたりとか。

どちらかが「本質」というわけでなく、どっちもサカナクションなんだけど、明確にそこには差異があり、その双方を徹底的に突き詰めてみたのが今作。

1枚目は、あの狂ったように「盛りまくった」楽曲である「新宝島」が違和感なくアルバムの真ん中に存在できている時点でもうどっかおかしいし、「ミュージックステーション」出演の際ですら徹底的に「作為」をぶち込んできた「忘れられないの」は、これ圧倒的にフェイクであることが強調されているのに、それが故に「大人に褒められたい」みたいなノリでそういう音楽に近寄っている若いバンドを自壊に導くような恐ろしい出来。全編笑えるレベルでめくるめくキャッチー。

2枚目はこれも山口氏が語っていたように「作為」を覚えてしまったが故に、アプローチはインディーズ期とは全く逆ですが「無作為」を敢えて意識した音。
確かにもうインディーズの頃とは全く違うし、意識してこれということはもう「ワード」とか「マレーシア32」のようなバランスの音は無理なのかなとも思うのですが、「ワンダーランド」の最後のノイズの嵐が途切れて「さよならはエモーション」のイントロがすっと入ってくる時の感覚は、メジャー以降の彼らには感じてなかったものだし。
実際、このアルバムの中で一番好きだと思った曲は「さよならはエモーション」でした。

筆は遅いしリリース延期もするけど、それでもやっぱりこのバンドの己の音楽に対しての真摯さと、それでも洒落を忘れないゆとりと。つくづくいいバンドだと思います。
とりあえずアルバムリリース後最大のエポックは、音ハメ動画の第一人者もりもり氏の動画に山口氏の公認が付いたこと。

謹慎になった人たちの音源のこと

あんまり体調良くないので、さっきまで寝ていてまた寝るんですが、とりあえずApple Musicだけ確認しておきました。

くず
紫SHIKIBU
ザ!!トラベラーズplus
ロンドンブーツ1号2号
田村亮
Re:Japan
ビッグポルノ
ムーディ勝山
2700

とりあえず今のところは全部聴けます。瀧の時にソニーがスピーディーに対応したところ、まさかのそっちの方からの反対が多かったことを受け、一旦はよしもとミュージック様子見といったところでしょうか。心証はめちゃくちゃ悪いですが、一応相手は指定暴力団ではないので刑法にかかるものではないですし。
ロンブーの「岬」は常に聴けるようにしておいてほしい。「ムーディ勝山はどうでもいいな」とか一瞬は思ったんですけど、駄目だ。そういう小さい積み重ねで道は少しずつ悪い方に行ってしまうから。

レイザーラモンHGも「Y.M.C.A.」というか「YOUNG MAN」のカバーをCDで出しているんですけど、これはApple Music乗ってない。印税と使用料のバランス等の権利的なものか、HGキャラでこの曲をガチで歌っているのが後世に残ることで、その後にカバーしたGENERATIONSとかに影響が及びかねないからか。

あゆみくりかまきも災難被るのかなあ難儀だなあ、と少しだけ思ったのですが、「ゴマスリッパー」の歌詞はくまだまさしじゃなくてたむらけんじでした。

ザ・コインロッカーズの売り方のこと

秋元康氏が手掛けるガールズ・バンド・プロジェクトの「ザ・コインロッカーズ」が6月19日にデビューシングルをリリースしたわけですが。
正直、このプロジェクトは秋元康氏にとっての「実験」だと思っていたんですよ。さすがに今の世の中の流れでこれ以上「CDを積む」ことを前提にしたビジネスを継続していくのは難しく、そういう状況下で次にどこに進むべきか、そこを探るためのひとつの打ち手。

実際蓋を開けてみたら、確かに握手券は付いてないし、デビューと同時にストリーミングに曲は公開されているし(これはAKB坂道も最近は速攻で出ていますが)、今のところは無理くり既存メディアの番組の枠に入り込む形での出演もない。
楽曲は「ロックバンドだぜ」的な感じではないところにむしろ好感を持っているのですが、でも作曲家はタイトル曲はAKBの「Teacher Teacher」共作曲の人、カップリングも乃木坂46だったり日向坂46の曲を書いている人。要するにいつもと同じところに曲依頼を放り込んでコンペ中心で決めていく、AKB以降と全く変わらないやり方。
ドラマ主題歌のタイアップ付けるし、CDはカップリング違いの3種リリースだし、深夜帯にテレビの冠番組を始めるし、AKBや坂道みたいに組織的なものではないけど渋谷で購入者対象のハイタッチ会やってるし。

もう少しドラスティックに舵を切ってくると思っていただけに若干「あれ?」感はあるのですが、これまでがあまりにも「成功」の定型として盤石すぎたので、これくらいずらすだけでも大変なことというのもわからなくもない。
これから活動を続けていく中で異様なカリスマ性を発揮するのとか、めきめき上手くなって馬鹿テクになるのとか、オーディションの時と違う謎の楽器を操り出すのとか、あからさまに頭おかしいのとか、そういう図抜けたのが出てくると途端に面白くなってくるスタイルだとも思うので、もう少し観察していきます。

メンバー見てみると、だいたい可愛いんだけど、完全にキまった目をしてるのとか、リスカの跡あるやろみたいのがいい感じに混じっていて、とりあえずそういうのでミュージック・ステーション出てみるのもありかもしれません。いろんな意味で。

オリコンとビルボードの上半期チャートのこと

オリコンの上半期チャートが出たのですが、合算チャート等も入ってきて、オリコンでは都合4つのシングルチャートが並列している状態。
そこで、ビルボードの上半期チャートも含めて並べてみました。

■オリコン(CDシングル)

01 AKB48 ジワるDAYS
02 乃木坂46 Sing Out!
03 欅坂46 黒い羊
04 日向坂46 キュン
05 King & Prince 君を待ってる
06 SKE48 Stand by you
07 NMB48 床の間正座娘
08 Kis-My-Ft2 君を大好きだ
09 STU48 風を待つ
10 SEVENTEEN Happy Ending

■オリコン(合算シングル)

01 AKB48 ジワるDAYS
02 乃木坂46 Sing Out!
03 欅坂46 黒い羊
04 日向坂46 キュン
05 米津玄師 Lemon
06 King & Prince 君を待ってる
07 SKE48 Stand by you
08 あいみょん マリーゴールド
09 NMB48 床の間正座娘
10 Kis-My-Ft2 君を大好きだ

■オリコン(デジタルシングル)

01 米津玄師 Lemon
02 back number HAPPY BIRTHDAY
03 あいみょん マリーゴールド
04 米津玄師 Flamingo
05 菅田将暉 まちがいさがし
06 Foorin パプリカ
07 King Gnu 白日
08 back number オールドファッション
09 Uru プロローグ
10 MISIA アイノカタチ

■オリコン(ストリーミング)

01 あいみょん マリーゴールド
02 あいみょん 今夜このまま
03 あいみょん 君はロックを聴かない
04 King Gnu 白日
05 あいみょん 愛を伝えたいだとか
06 ONE OK ROCK Stand Out Fit In
07 エド・シーラン Shape of You
08 ONE OK ROCK Wasted Nights
09 あいみょん 貴方解剖純愛歌~死ね~
10 あいみょん ハルノヒ

■ビルボード

01 米津玄師 Lemon
02 あいみょん マリーゴールド
03 DA PUMP U.S.A.
04 あいみょん 今夜このまま
05 米津玄師 Flamingo
06 欅坂46 黒い羊
07 back number HAPPY BIRTHDAY
08 日向坂46 キュン
09 乃木坂46 帰り道は遠回りしたくなる
10 あいみょん 君はロックを聴かない

もういろいろ社会が分断化されてしまって「国民的ヒット」など存在しない世の中ですが、それでもこうやって並べると、いかにCDシングルチャートが世間のマジョリティとかけ離れてしまっているか、ということがよくわかります。
前々から申していますように、今やCDシングルチャートは、もはや少数派となった「CDシングルをたくさん売りたいと思っているミュージシャン」のための限定的なチャートにすぎませんので、もうあんまり気にしなくていい。

合算は合算言うてもCDの割合が大きめですので、あんまり変わらない。デジタルシングルチャートは単曲ダウンロード数のカウントなのでどうしても「若者向けだけどストリーミング解禁してない」ところに偏り気味。ストリーミングは今一番リアルなチャートだとは思うのですが、ひとりでたくさん聴いてもカウントは上がりますので、正直CD複数枚買いと近似値的なところは出てきますし、半年で丸めるとこんな感じになってしまう。
やっぱ正直なところ、ビルボードが一番バランスいいような気がする。

今後なのですが、LDH系や乃木坂46も既にサブスクのストリーミング・サービスを解禁してはいるものの、新曲出たからといってそっちの1位になることもなく、やはり広くバズってるところが上に来ることは間違いなく、しかしどうやってバズらせるかについては、King Gnuの「白日」がドラマ主題歌という既存のメディアを用いて上に来た一方、あいみょんはある程度認知が上がってからリリースした「今夜このまま」「ハルノヒ」以外はノンタイアップであり、純粋にリスナーの支持を少しずつ積み上げた結果のこれだったりとか、正直こうやれば行ける的なテンプレートはまだ世の中にない状態と考えていいでしょう。
でも、CD全盛期のエイベックスみたいに、とりあえずタイアップ付けてばかすか露出すればある程度には売れていた頃よりは、今ずっと健全じゃないかとも思うわけで。

そしてこちらも何度も言いますが、CDプレーヤーは持っていなくても1か月に約1,000円出して音楽を聴こうという若者はもうそれは今では間違いなく「音楽好き」であり、ストリーミングに音源を解禁しないのであれば、そのミュージシャンはそんな若者にとっては「この世に存在していない」のと同じです。
既存のファンと心中するつもりなのであればもう何も言うことはないのですが、たとえば旧曲を敢えてタイアップに持ち込んでうまくバズらせれば、CDではあんまり動かなかった過去曲でそれなりのアガリを得られるとか、いろいろやれることはあると思うんですよ。

絶対そういうプロモーションでいろいろ新旧がトライしている世の中の方が面白いと思うのですけど、それでも解禁しないのか。頼むよ。

ミス慶應コンテストの続報のこと

先月、ミス慶應コンテストが2つ立ち上がって面倒臭いことになっている旨をお伝えしましたが、今どうなってるか改めて見てみました。

元々の話を改めてしますと、中野美奈子とか青木裕子とか竹内由恵とか女子アナを多数輩出してきたミス慶應コンテスト、それを開催してきた団体が不祥事で2016年のコンテストを中止する形で活動を停止し、それを勝手に引き継ぐ形で昨年2018年から改めて別団体がミス慶應コンテストを再開したのですが、段取り等いろいろ悪くてあんまり褒められない状況で。
それでも今年もその団体が開催しようとしたところ、全くの別団体がこちらも「ミス慶應」を掲げてコンテストを立ち上げ、結果として現在2つの「ミス慶應コンテスト」が並列して存在している状態、ということです。

前回の記事に対して「大学は何をしてるんだ」みたいなコメントがいくつか付いたのですが、お前ら落ち着け。私も関係者も誰も「慶應義塾」とは言ってない。これは特定の大学の文化祭とかのミスコンではありません。もしかしたらファイナリストは全員特定の大学の学生かもしれませんが、「ミス慶應コンテスト」と言うだけであれば「ミス平成」「ミス令和」と同じであり、元号そのものに特定の商標が登録できるはずもなく、というか実際過去からのミス慶應コンテストもそういう「体」の、大学とは全く関係ない非公式のコンテストです。

というわけで、現状のTwitterのフォロワー数確認。

■前からある方
事務局公式Twitter:3,015
1.堀部佳那美:2,692
2.村中暖奈:4,800
3.増田美咲:2,860
4.佐藤冴夏:3,186
5.浦田直佳:924(元々のアカウントは現在も凍結中)
6.岩井彩花:2,086
7.田代麻純:2,175

■今年からの方
事務局公式Twitter:3,505
1.新野七瀬:4,174
2.森千晴:6,590
3.山中陽菜:5,698
4.宮崎玲奈:4,428
5.濱松明日香:53,000
6.里中真菜:3,707

途中で結構な割合でアカウントが凍結されるという事件も起こり、1人は未だに凍結が解けず別IDにした結果、他に比べると少なくなったりの不幸もあったのですが、今年からの方の濱松さんが一人異常値を叩き出していて、一体これ何なんでしょうか。
いや、美人さんであることはわかるんですけど、おっさんだから若い女の子はだいたい可愛く見えるので、この差になる理由がさっぱりわかりません。
ファイナリストからグランプリを決める際、どういう手段を使うのか知りませんが、これこのままだったら少なくとも今年からの方は圧倒的じゃないか。と思ったもののTwitterのフォロワー数はまあいろいろありますので、わかんないか。

前回のエントリーを書いている時「せっかくだからふたつのコンテストを戦わせて統一王者を決定しよう」ということは思ったものの、ネタとしていまいちだと思って書かなかったのですが、その後小倉智昭氏が「とくダネ!」で全くそれと同じことを仰っていたので、本当に書かなくてよかったと胸をなでおろしました。

「リリース日」とMVの公開のこと

YouTube Musicがサービスインした際に書いた文章があります。

YouTubeが始めた新しいサービスのこと

配信やストリーミングが主流化することで「アルバム」とか「カップリング曲」という概念がどんどん希薄化している中、ここに来て「リリース日」の概念が揺らいでいるという状況なわけですが。
YouTube Musicがリリースされた時、迷いを見せていたsumikaですが、今回は新作リリース日にMVも公開する形にしてきました。あそこで悩んだ結果としては非常に正しいと思われる方針になったわけですが、ここでふと「そもそも」の部分を考えてみる。

何でMVをリリース日より前に公開することが通例になっていたの?

80-90年代の欧米によくあった「アルバムに先駆けて先行シングルをリリースする」というパターンでのシングルの存在は、現在ではMVに置き換わっています。
アルバム型のミュージシャンの場合、リリース予定のアルバムから先行して収録曲のMVを公開し、アルバムのプロモーションとして機能させています。アルバムリリース後にまた別の楽曲のMVを公開することも多いですが、これは要するに当時の「シングルカット」と同じ考え方ですし。

一方日本のシングルは「アルバムからのカット」というよりは、シングルはシングルとして出して、追ってリリースするアルバムにそれを収録するというパターン多めです。主従が逆なので、じゃあその場合のシングル楽曲のMVの役割って何なのと考えたら、「初週の売上の最大化」じゃないのかと思うわけです。
MVでできるだけ世間の話題にしてもらって、それでもってシングルの存在やそのリリース日を認知してもらい、その週にさっくり店舗でCD買っていただいてオリコン上位、みたいな。

だとすれば、もう先行公開なんぞいらないんじゃねえの、という話です。

オリコンの順位を気にしているミュージシャンももう多くなく、アイドルですらCDを積もうとしているのは秋元康界隈と他一部のみになっています。チャート情報としてビルボードの方を取り上げる既存メディアもちょいちょい出てくるようになり、そうなるとYouTubeの再生回数も順位に反映されますので、先行でMV公開する順位的にはむしろ不利。
売上としてもCDだったら初週の順位が重要ですが、今はむしろどれだけ長く多く聴いてもらえるかがキモなので、初週を気にしたプロモーションとは全く違う形になります。
sumikaの今回の判断はそういう意味でもとても正しいと思うのです。

ただ、既にそっちにアジャストしているミュージシャンは、ばんばん配信で楽曲リリースしてMVも出して、それらが溜まったあたりでまとめて未発表曲ちょっと入れてアルバムとしてリリースという、50-60年代前半までのジュークボックス時代の「アルバム」の概念にどんどん遡っているのが、状況としてはおもしろい。
おもしろいんですけど、アルバム単位で聴くのがすごく普通というか、アルバム単位で好き嫌いを言うのが普通だったおっさんにとってはどんどん生きにくい世の中になっている。頑張れおっさん。

大都市圏のTSUTAYAの動向のこと

毎度、TSUTAYAの話ですが。
1-3月は怒涛の閉店攻勢でしたが、4月以降はそれほどでもなくなってきまして、ただ大都市圏の店舗に何となく共通の動きが出てきているような感じで。
大都市圏から「レンタル」のお店があからさまに減っているのです。

大阪市。
2016/10/01:TSUTAYA BOOKSTORE 梅田MeRISE オープン(レンタルなし)
2018/05/06:TSUTAYA 梅田堂山店 閉店
2019/05/06:TSUTAYA EBISUBASHI レンタル終了

キタ、ミナミの2地域でレンタルできる大型店舗が消えたりレンタルをやめたりして、現在大阪の中心商業地域でレンタルを継続しているのは阿倍野店のみになりました。


東京・新宿。
2014年以降:新宿TSUTAYAが工事のため一部営業休止の開始
2017/02/02:新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館 オープン
2017/12/06:新宿TSUTAYAをTSUTAYA BOOK APARTMENTとしてリニューアル(レンタルなし)

店の数は減りませんが、DVDレンタルは歌舞伎町に移転し、CDレンタルは消滅。JR駅にほど近い新宿TSUTAYAはコワーキングスペースを中心にした新業態の店舗になりました。


東京・池袋。
2019/06/30:TSUTAYA 東池袋店 閉店予定

池袋は東武ブックスがTSUTAYA BOOKSTOREになったり、旭屋書店がCCC傘下に入ったりして、無闇にTSUTAYA系の書店が増えていますが、サンシャインシティ脇の東池袋店が閉店決定したことで、池袋地域のレンタル店舗は西口のロサ会館内の店のみになります。


東京・上野。
2019/05/06:蔦屋書店 上野店 閉店

上野はレンタルも取り扱っていた蔦屋書店が閉店したことで、地域にレンタル店が消滅しました。ちなみにこれで新譜が買える店舗も上野から消えました(演歌専門店「リズム」を除く)。


東京圏の他の地域では、2015年に「蔦屋家電」ができた二子玉川では、元々西口でレンタル業を行っていたTSUTAYAがこの7月に閉店が決定。また埼玉県の浦和では2015年駅構内に「浦和 蔦屋書店」がオープンしましたが、こちらもこの7月元々商店街にあったレンタルのTSUTAYA 浦和店の閉店が決定しています。
そんな感じで、蔦屋書店や別業態ができる分、従来のレンタルメインのYSUTAYAが追いやられる動きが、都市部のあちこちで発生しているということです。


小田急商事がFCから撤退したことで小田急沿線のTSUTAYAが一気になくなった件、埼玉県上尾市や大阪府豊中市のように、短期間で市内の店舗が一気になくなったり激減した件。
FCでも諸々動きはありますが、直営が多い大都市圏でこういう動きというのは、そしてそのような店舗というのは場所柄顧客数の絶対数も多いわけで、そういう店を絞っていくというのは、何らかの意図は感じるわけで。

ただ、その意図はわかっても、図書館もスムーズな感じしはないし、Tカードは脱退する企業もあるし、めっさ狙っていた中国市場の先鞭として展開した台湾ではいまいちのようだし、これどうやってくんだろうと思ったりもします。
ひとつだけ言えるのは、こういう形で企業体として動くにあたって、非上場化はこれ圧倒的に正解だったんだなあ、ということ。こんなん上場企業では絶対無理やん。

ドレスコーズ@東京キネマ倶楽部のライブのこと

隔日ライブ週間、最後はドレスコーズ@東京キネマ倶楽部。
ドレスコーズはアルバム最新作が常に最高傑作と言っていい感じなのですが、音楽性もずいずい変化していき、つまりそうなるとライブも毎回違ってくるのでもう面白くてこれでワンマンは4回連続通算5回目。

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初めて観たのは2015年1月、アルバム「1」のツアー。メンバーが全員脱退してあからさまにバンドへの渇望の念を抱きながら作ったであろう曲もゴロゴロしているあのアルバムで、これ志磨くんはこれから一体どうなるのだろうという、正味毛皮のマリーズの解散ライブに赴いたのに近い気持ちで。結局不安は杞憂に終わったのですが、それ以降まさかドレスコーズがこんな方に転がっていくなんて思わなかった。

前作「平凡」には音源の時点でぶん殴られ、ライブにもぶん殴られる。三文オペラ後のライブではまるで演劇を観るようなライブで心動かされ、そして今回は本当に志磨遼平史上最高傑作と言っていいアルバム「ジャズ」を携えてのツアー初日。しかもコーストを埋められる動員力があるのに東京キネマ倶楽部。場所も最高です。バンドはG、B、Dr、Sax、Tromboneの5人編成。

初日なのでセットリスト細かく言いませんが、既発曲のアレンジも「ジャズ」の世界観に寄せた結果、完全に一連の作品として聴ける。ていうかこれめちゃくちゃ面白いわ。また、新しいバンドの新しいライブを観るような気持ちで。

そしてふと思ったのは、「平凡」から「ジャズ」は、随分作風が違って聞こえはしたけど、実はこれ相当に地続きじゃないのか、と。例えはものすごく悪いのだけど、前作が「Stop Making Sense」だとすれば今作は「Naked」のような位置なのではないかと。うん、よくない例えだけど、「音楽として繋がってる場所にある」ということを言いたいの。

もうひとつ、全ライブ一緒に行っている先輩が言ったのは「今回のライブが一番『素』だったよね」ということ。確かに、いろいろ背負っていた「1」の頃、キャラクターを完全に作りにいっていた「平凡」のツアー、完全に物語の主人公だった「三文オペラ」後のライブ。一番普通に「志磨遼平がライブやってた」感じがします。だから何かライブ中の景色が一番明るく抜けがよかったのだろうか。
そして「演じるものがなくなったからこそ、『ジャズ』のジャケットには顔がないのかな」と鶯谷「信濃路」で先輩。なるほど。

もう既にツアー前から次のレコーディングは始まっているようですが、完全に「どれだけ滅茶苦茶好きにやろうとファンが離れない」ポジションを得ていますので無敵です。今から楽しみです。