ウルトラ・ヴァイヴの1000円名盤シリーズのこと

インディーズ・レーベルのウルトラ・ヴァイヴは、去年も歌謡曲中心のリイシュー盤を税抜き1,000円でリリースしていたのですが、今年は以前に運営していたSOLID RECORDS時代に持っていた音源を1,000円で出してきます。
SOLID RECORDSですから、ラインナップを見るになかなかエグい感じで最高なのですが、ふとそろそろこういうCDのリイシューも収束していくのかなと思ったりして。

既にいくつかのニューアルバムでは、CDはDVD付きの限定パッケージでしか出さず、音源だけ聴ければいいという人間はダウンロードかストリーミングで聴けよ、という流れが日本でも散見されるようになっています。どんどんデータで聴く時代が進み、「CD」という入れ物はメモラビリア的な「豪華盤」でしか用いられなくなっていく。
早々に「廉価盤CDをリリースしてできるだけ多くの人に手に取ってもらおう」という発想は、我々40-50代以上にしか共有されなくなっていく。今回は音源的に完全にターゲットがその層なのでまだビジネスになると思うのですが、ここらへんの音楽にピンと来る層は、少なくとも私の周りではまだ音楽に対してのアンテナの高い方が多く、きちんとストリーミングも使いこなしています。

たまにしか音楽聴かないレベルのお年寄りは昔買ったCDをたまに再生するだけで、これからも音楽を聴き続けようというお年寄りにはお年寄りなりにどんどんストリーミングが普及していく。そうなると恐らく「廉価盤CD」というブツには存在意義がなくなります。特にこういうインディーズ的な音源では。

ただ、今回再発される音源、まだストリーミングに公開されている音源は多くなく。ざっとApple Musicの検索かけたところ、ストリーミングにまで出ているのは、

GARLICBOYS
THE FOOLS
THE POGO
SO NICE
CHIE & THE WOLF BAITS
トーキョーキラー
パパイヤパラノイア
松尾清憲
Mooney & Keni with Lucky Rhythm
Luft
ハレはれナイト
ミク★パンク 80sオン・キャプテン・レコード
ソリッドレコード夢のアルバム

ということで過半数に届いていません。あがた森魚やJET BOYS、ジュンスカのように他のレーベルから出ている音源はストリーミングにあるのに、今回CDで出る音源はまだないというパターンもあって、
ジュンスカなんかはメジャー以降の音源は全部ストリーミングで聴けるのにこのアルバムだけ聴けないという状況。
それって何かおかしくね?と思う程度には、私も現代にアジャストできている。

ただ、先日Pizza Of Deathレーベルがサブスク解禁した時のメッセージの歯切れの悪さもこれきっとそうなんでしょうけど、確かに「インディーズであり続けること」とストリーミングで他の全ての音と同じく並んで聴き放題になるということは、気持ち的に両立しにくいことなのかもしれません。

今後、どんどんストリーミングに音源は解禁されていき、CDはどんどんいらなくなっていくわけですが、今回の1000円シリーズですごく気になっているのが若松孝二監督映画の音楽群。こういう映画音楽はまとまっていることに意味があり、ストリーミングで楽曲単体で聴いてどうという感じでもないような気がして、じゃあこれらのCDは今後ストリーミングに公開されるのか、という気持ちが。
いやでも他の未解禁のアルバムは実際今後どうなんだ、という不安も増大し、もう持ってないヤツ大体全部買っちまえ、という判断をしているのが今の私です。これが恐らく今回のメイン購入層です。