ドレスコーズ@東京キネマ倶楽部のライブのこと

隔日ライブ週間、最後はドレスコーズ@東京キネマ倶楽部。
ドレスコーズはアルバム最新作が常に最高傑作と言っていい感じなのですが、音楽性もずいずい変化していき、つまりそうなるとライブも毎回違ってくるのでもう面白くてこれでワンマンは4回連続通算5回目。

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初めて観たのは2015年1月、アルバム「1」のツアー。メンバーが全員脱退してあからさまにバンドへの渇望の念を抱きながら作ったであろう曲もゴロゴロしているあのアルバムで、これ志磨くんはこれから一体どうなるのだろうという、正味毛皮のマリーズの解散ライブに赴いたのに近い気持ちで。結局不安は杞憂に終わったのですが、それ以降まさかドレスコーズがこんな方に転がっていくなんて思わなかった。

前作「平凡」には音源の時点でぶん殴られ、ライブにもぶん殴られる。三文オペラ後のライブではまるで演劇を観るようなライブで心動かされ、そして今回は本当に志磨遼平史上最高傑作と言っていいアルバム「ジャズ」を携えてのツアー初日。しかもコーストを埋められる動員力があるのに東京キネマ倶楽部。場所も最高です。バンドはG、B、Dr、Sax、Tromboneの5人編成。

初日なのでセットリスト細かく言いませんが、既発曲のアレンジも「ジャズ」の世界観に寄せた結果、完全に一連の作品として聴ける。ていうかこれめちゃくちゃ面白いわ。また、新しいバンドの新しいライブを観るような気持ちで。

そしてふと思ったのは、「平凡」から「ジャズ」は、随分作風が違って聞こえはしたけど、実はこれ相当に地続きじゃないのか、と。例えはものすごく悪いのだけど、前作が「Stop Making Sense」だとすれば今作は「Naked」のような位置なのではないかと。うん、よくない例えだけど、「音楽として繋がってる場所にある」ということを言いたいの。

もうひとつ、全ライブ一緒に行っている先輩が言ったのは「今回のライブが一番『素』だったよね」ということ。確かに、いろいろ背負っていた「1」の頃、キャラクターを完全に作りにいっていた「平凡」のツアー、完全に物語の主人公だった「三文オペラ」後のライブ。一番普通に「志磨遼平がライブやってた」感じがします。だから何かライブ中の景色が一番明るく抜けがよかったのだろうか。
そして「演じるものがなくなったからこそ、『ジャズ』のジャケットには顔がないのかな」と鶯谷「信濃路」で先輩。なるほど。

もう既にツアー前から次のレコーディングは始まっているようですが、完全に「どれだけ滅茶苦茶好きにやろうとファンが離れない」ポジションを得ていますので無敵です。今から楽しみです。