第71回紅白歌合戦の出場者傾向のこと

紅白の出場歌手、出ました。
いろいろトピックスはありますが、何か今年は事前の噂ネタの露出が随分少なかったような気がします。
正味あちこち顔を出したりくっついて歩いてはネタを拾うという芸能記者の例年のパターンが今年は不可能だったからだと思います。

まず事務所の切り口で見ると、ジャニーズのインフレ止まらず今回のSixTonesとSnow Manを入れて合計7組。まあこの2組はどっちか出してどっちか出さないということもできませんので、これは既定路線。
今回気になるのはアミューズのシェア。福山雅治、Perfume、星野源の固定組にプラスして今年はBABYMETALと司会の大泉洋追加。徐々に拡大しています。

レーベルとしては、ただでさえ強いソニー系がさらに躍進した感じがします。元々坂道系は全部そうですが、既存組では他にもFoorin、MISIA、LiSA、リトグリ。初登場を見てもJUJUとmiletはレーベルも事務所もソニーですし、SixTonesのレーベルはSMEでNiziUはエピック。再登場組では鈴木雅之も。もう圧倒的です。
かつてはゴリゴリに言わせまくっていたエイベックスは、今回は瑛人、Kis-My-Ft2、GENERATIONS、Snow Manということで、ジャニーズとLDHと流行ったのに乗っかった事例だけですから、相当に差がついてしまいました。

ただ、それよりも何よりも、AKB48が出ないことよりも、ミスチルが12年ぶりの出場なのにファン以外にはあまり話題になっていないことよりも、今回ビビったのは紅組の演歌勢の削減。
とりあえず例年通りの出場歌手中の演歌のシェアを。

2003[紅:11/31 白:10/31]
2004[紅:10/30 白:09/28]
2005[紅:09/31 白:10/31]
2006[紅:11/27 白:09/27]
2007[紅:10/31 白:08/27]
2008[紅:09/26 白:08/27]
2009[紅:08/25 白:08/25]
2010[紅:08/22 白:05/22]
2011[紅:08/25 白:06/25]
2012[紅:07/25 白:05/25]
2013[紅:07/25 白:06/26]
2014[紅:07/27 白:05/24]
2015[紅:07/26 白:06/26]
2016[紅:07/23 白:05/23]
2017[紅:07/23 白:05/23]
2018[紅:06/22 白:05/22]
2019[紅:06/21 白:05/20]
2020[紅:04/20 白:05/21]

紅組は例年、石川さゆり・坂本冬美・天童よしみ・水森かおりの4枠は2003年以来固定、残り2-3枠はちょいちょい入れ替わっておりまして、そこが未出場の女性演歌歌手の希望でもあったのですが、その2枠が一気にばっさりやられました。

白組の5枠は純烈も入れての数ですが、五木ひろし・氷川きよし・三山ひろし・山内惠介の4人の並びはまだ5年程度なので、希望はあるかもしれません。というか純烈気にする前に、今の氷川きよしは演歌の枠で数えていいのかという迷いは正直あります。そもそも今の氷川きよしは白組でいいのかという点については、考えないようにします。

ここで、演歌で今年リリースしたシングルの売上上位ベストテン。確認できた限りですが。太字が今年の出場歌手。

紅組 売上(順位)   白組 売上(順位)
水森かおり 29,200(4)   氷川きよし 67,500(2)
丘みどり 26,200(13)   純烈 50,000(5)
市川由紀乃 14,300(11)   山内惠介 48,100(3)
椎名佐千子 9,300(16)   三山ひろし 24,000(9)
岩本公水 8,100(13)   辰巳ゆうと 21,600(7)
杜このみ 7,900(11)   中澤卓也 21,200(10)
森山愛子 7,000(19)   真田ナオキ 18,600(17)
川中美幸 6,400(34)   福田こうへい 17,800(10)
島津亜矢 5,600(32)   竹島宏 13,100(10)
葵かを里 5,500(25)   新浜レオン 11,800(7)
         
天童よしみ 4,700(32)   五木ひろし 8,000(18)
石川さゆり 400(94)  
坂本冬美 ---(--)  

この男女の差がいろいろ示しています。紅組の2枠がなくなったことがどれだけ女性演歌歌手にとって悲しいことか推測していただけるかと思います。

ただ、この表作っていて結構驚いたのが、演歌歌手のシングルの今年の売上が総じて落ちていること。去年同じことをやった時の数字がこちら。相当減ってます。
演歌歌手の皆様もさすがに今はほぼストリーミングに楽曲は出していますが、それが原因とは思えない。

これは、一部のトップ歌手を除いてリリースのたびに地道に行っていた、ドブ板レベルで各地を回るキャンペーンが今年はなくなってしまったことと、演歌の購買層が総じて外出を控え気味であったためにリリース情報を得られなかったり、店舗に赴けなかったりした、ということではないかと思います。

それにしてもこの猛烈な減りっぷり。図らずも演歌は既にアイドル並みかそれ以上に固定層に支えられているジャンルであるということが察せられるわけでございます。
男性歌手の方が全体的に減少の割合が低く済んでいるのは、やっぱり女性の方がガチofガチなコア層が厚いということでしょうか。女子はいつだって女子です。

あと、坂本冬美は上の表では値が入っていませんが、新曲のリリースが先週でまだ数字が出ていないからです。
そしてその新曲は桑田佳祐作詞作曲の「奇曲」と呼んでいいレベルの凄まじい出来。これを紅白で歌うのを待っています。
石川さゆりは例年のルーチンで行けば今年は「天城越え」の予定です。