さだまさし@東京国際フォーラムのこと

ここ何年か、「観られるうちに観ておけ」という方針のもと、ベテランミュージシャンのコンサートに積極的に参加しようという試みを行っております。

60年代、70年代から一線で活躍しているミュージシャンの方々もお年を召され、いつ「引退します」と言い出してもおかしくない状況。
その方針でもって観たミュージシャンの中でも、井上陽水は何も言わずに一線から退き、萩原健一は鬼籍に入ってしまいました。

で、そういう方針を実施するにあたっての理由のひとつに「さだまさしのコンサートは一度は観ておかないといかんね」という飲み屋での話がありまして。

さだまさしはコンサートでのMCというかトークがものすごい、という話は前々から有名なところではあり、何となれば「トークのベスト盤」「トークだけのBOXセット」までリリースされ、正規公演でないとはいえ、「トークだけのライブ」まで開催する始末。
それを一度でも実際に体験してみたいという気持ちで。

ただ、彼のコンサートはなかなかチケットが取れないことでも有名で、何度も涙を飲んで今回ようやく、22日有楽町の国際フォーラムで開催のコンサートに。

今年リリースされたアルバム「生命の樹~Tree of Life~」に伴ってのツアーの一環、そのアルバムにはグレープ名義の曲も3曲収録されていることもあって、吉田正美も帯同しているという素敵状態。

アルバムツアーなので新曲多め、かつ全体的にもコンセプチュアルな選曲だったこともあって、所謂ヒット曲は少なめでしたが、それでもここぞというところで有名曲が出てきたり、吉田さんがちょいちょい入ったり出たりしてグレープのヒット曲をやってくれるので、満足度めちゃくちゃ高い。

そしてトーク。
吉田氏との気の置けないくだけた感じの会話や、バックバンドのメンバーを弄りつつ笑いに持っていくコーナーも素晴らしかったのですが、やはり長尺の一人語りがすごい。3人分の会話を一人で少しずつ声色を変えながらテンポよく転がしていくのはもう完全に落語のスキル。

コンサートは3時間弱の割と長丁場だったのですが、メドレー的に披露された曲を別にカウントしても全18曲、それだけトークに時間を割いていたということで。

実際、長尺のトークが終わって曲に入ったところでトイレに立つ方もいらっしゃって、何を最大の楽しみにして来ているのかも人それぞれという、他になかなか見ない状況。

全体通して、歌い、ギターを弾き、バイオリンも弾き、語り、笑いを取り、グッとくる話もする。
もう様々なエンターテインメントをパッケージした完璧な「ショー」です。

きっとずっとこういう感じなのでしょうから、「あの曲を生で聴きたい」で来られる方も、「今回はどんな面白い話をしてくれるのか」で来られる方もいて、トークの途中に「グレープの頃からコンサートに来られている方」に拍手を求めたところ、びっくりするくらいの数の人が拍手されていたので、半世紀にわたって魅了され続けている人もいる。
そりゃチケットなかなか取れんですわ。


あと、他の昔から活躍されているミュージシャン、矢沢永吉や小田和正は大都市の割と大きな箱に大勢を集める形のライブに移行していますが、昔ながらの「地方のホールを細かく回る」形のコンサートツアーは、年齢という点でもしんどくなっていると思います。
で、体調崩して以降ツアーと言えども関東近郊しか回らなくなり、2022年には自身の音楽活動を終えた吉田拓郎のような方もいらっしゃったり。

そんな中、今回のさださんのツアーは、5月から12月の7ヶ月で38か所42公演という、割としっかり地方のホールも回るツアー。

彼に近しい方々を確認すると、ユーミン(71)が先日リリースされたアルバムに伴うツアーが13か月に渡って全62公演、THE ALFEEは22公演と数は少なめですが3か月足らずでツアーしていて、本当にベテラン勢の凄さがわかります。

さださんの場合、このツアーをこなしたうえで、時折ツアーで訪れた地方都市のNHKで、コンサート終了後深夜まで番組したりしていますので、本気でモンスタークラス。

吉田氏とのトークで「あと10年やる」みたいなことを話していましたが、割と普通にしれっとやっている気がします。恐ろしい。


「観られるうちに観ておけ」の方針はこれからも続けようと思うのですが、そろそろ自分の方も気にしなければいけないお年頃になってまいりました。頑張ります。