地名が入ったバンド名のこと

先日ちょっと話題になった週刊プレイボーイの「週プレNEWS」に掲載された市川紗椰さんのコラム。

なぜ日本には地名を付けたバンドが少ない? その理由を市川紗椰が考察「アメリカの場合、州への帰属意識が直結している気がする」

彼女の文章にしては今回は多少キレに欠けるというか、ふわっとした印象がしたのですが、そもそもキレのある結論が出しようのないテーマではありますので止むを得ません。

ただ、これもう少し突っ込んでみたらもう少しわかることもあるのではないかと思いまして、気持ち突っ込んでみました。

地名そのもの、または地名を含んだバンド名と、そのバンドの出身地を比較してみました。
冒頭の「○」はそのバンドの出身地とバンド名がマッチしていると判断できるもの、「×」は違うと思われるものです。
バンド名の後のカッコの中は、実際のそのバンドの出身地。


■大陸等
×America(イギリス)
○Europe(スウェーデン)
×Asia(イギリス)
○Eurasia(タイ)

×タンゴ・ヨーロッパ(日本)
○ASIAN KUNG-FU GENERATION(日本)
△Asian Dub Foundation(イギリスのインド系人がメイン)


■国名
×Japan(イギリス)
○U.K.(イギリス)
×Brazil(タイ)
×FINLANDS(日本)

○The Presidents of the United States of America(USA)
×China Crisis(イギリス)
×Mexico 70(イギリス)
×MONGOL800(日本)
×rumania montevideo(日本)

アメリカの州
×Idaho(カリフォルニア洲)
○Kansas(カンザス洲)
×Texas(イギリス)
×Nevada(イギリス)

×Utah Saints(イギリス)
×Hawaiian6(日本)
×Alabama 3(イギリス)
○The Georgia Satellites(ジョージア州)


■都市名
○Boston(ボストン)
○Chicago(シカゴ)

×Berlin(イギリス)
×Warsaw(イギリス)
×Jerusalem(イギリス)
×Beirut(USA)
×Saint Etienne(イギリス)
×Katmandu(イギリス)
○Portishead(イギリス・ポーティスヘッド)

○New York Dolls(ニューヨーク)
○Atlanta Rhythm Section(アトランタ)
○The Detroit Cobras(デトロイト)
○Miami Sound Machine(マイアミ)

×Telefon Tel Aviv(USA)
×Eyeless In Gaza(イギリス)
×Hanoi Rocks(フィンランド)
×Paris Angels(イギリス)

正味、地名を付けたバンドは山ほどいるというか、たとえばDiscogsで「Tokyo」を検索してみると「Tokyo(30)」という表示も。
要するにここまで世界に古今東西30バンドは存在していたということで、あとヴァン・ダイク・パークスのアルバムタイトルでもある「Tokyo Rose」をバンド名にしたのも(12)とか出てきます。

ので、上記はあくまでもほんの一部ということで、よろしくお願いします。
あと「X JAPAN」や「THE LONDON SUEDE」は、自国外に活動を拡大しようとしたときにバンド名が被った結果、地名を便宜上追加で付けたものなので今回は除外しています。

で、列挙したところで正味ものすごく明確に何かわかるというわけではないですが、Kansas、Boston、Chicagoといった有名バンドが正しくその地域出身なので何となくそんな感じに思えますが、その実、JapanやBerlinを筆頭に、特に自分のルーツに関係ない地域の名前を付けているバンドの方がむしろ多い、ということは何となくわかります。

特にイギリスのバンドは割とやりたい放題やっているようにも見えます。これが国民性なのか。
その中でPortisheadは、出している音の割に素直でいいと思います。

で、日本の都市名はどうなの、という点ですが、「Tokyo」はさっきの検索結果の通り、世界中にバンド名として使用されていますし、国内でもTOKIO、東京スカパラダイスオーケストラ、東京事変等々いらっしゃいますので、「東京」以外で探してみます。

■日本の都市
×Kobe(インドネシア)
△Hiroshima(USAの日系人)

×Kyoto Protocol(マレーシア)
×Shock Nagasaki(USA)
×Nagasaki Sunrise(ポルトガル)

○仙台貨物(仙台)
○T.C.R.横浜銀蝿 R.S.(横浜)
○オーサカ=モノレール(大阪)


■日本の地域名
○湘南乃風(湘南)
○Kinki Kids(旧ジャニーズ関西事務所)
○なにわ男子(旧ジャニーズ関西事務所)
○琉球アンダーグラウンド(沖縄)

○赤坂小町(レーベルの所在地)
○井乃頭蓄音団(井の頭公園で結成)
△高円寺百景(吉田達也が高円寺在住)
△フジファブリック(志村が富士吉田市出身)
?井の頭レンジャーズ(メンバーの詳細わからず)
?LUI FRONTiC 赤羽JAPAN(少なくともプー・ルイは赤羽在住ではないはず)

多くはないですが、ここにアイドルグループを入れると、「いぎなり東北産」「OS☆U(大須)」「大阪☆春夏秋冬」「KOBerrieS(神戸)」等々、一気に数が膨らむので、全体として「海外は多い」「日本は少ない」とは言えない事態にも。

とはいえ、市川さんの文内の「アメリカの音楽史は『この土地で生まれた音楽』というのが大きな柱で、地名と音楽は切っても切れない」という指摘は間違いない事実ですし、その国土の広さからいってもアメリカほどの地域的アイデンティティは日本には確かにないですし、おおよそこの文章は間違いはないと思います。

ただ、最近日本のバンド/グループ名もだいぶ自由になりつつあります。
1992年の結成時には相当頭おかしいバンド名だった「水中、それは苦しい」ですが、その後「溺れたえびの検死報告書」「神はサイコロを振らない」「原因は自分にある」等々、文章そのままのどうかしてるバンド/グループ名がガンガン増えていきまして。

そういうバンド/グループ名って海外あんまりないと思って確認したら、They Might Be GiantsとJohnny Hates JazzとCuriosity Killed The CatとI Was A Cub Scoutと。思い出してみたら割とあってどうしようかと思っています。

というか、I Was A Cub Scout大好きなんですよ。