日曜日は新代田FEVERでClimb The Mindの25周年ライブ。
歌詞とメロディーはフォークの空気感すら漂うこともあるのですが、楽器、特にリズム隊がその空気からとんでもなく違う場所まで持っていく、そんなバンド。
25年の活動にしてアルバムは5枚という、寡作のバンドでもあります。
2010年のアルバム「ほぞ」は、自分史上のベストアルバムを選ぶとすれば相当上位に入るくらい好きなのですが、ライブには行けたためしがなく。
とにかく宣伝をしないのですよ。
名古屋のStiff Slack等、熱く支援するレコード店はいくつかあるのですが、今年半ばまでSNSもなく、公式サイトは20世紀臭がする始末。
つい先日まではその公式サイトをちょくちょく覗かないといけなかったわけですが、既にチケットを取った他のライブと被っていたり、酷い時にはサイトを見たその10日くらい前にライブが既に開催されていたり。
そもそもライブの回数が決して多くなく、かつ名古屋拠点のバンドですので、東京でのライブは多くて年に数回程度。
それが今回は思い付いてサイトを見に行ったタイミングとライブ開催の告知とのタイミングが奇跡的に合い、無事チケットを入手出来た次第。
フロアには高揚感というよりは何となく緊張した空気。
幕前にはずっと海外のスクリーモ系の音楽が流れていたのですが、それがふと途切れて、しばし無音になったと思ったらおもむろに出てくるメンバー。何の盛り上げもなく始まる。
ヒューとかウオーとか言う人もおらず、ただ拍手。
鳴る太鼓とギター。走る緊張。メンバーとフロアが対峙するような感覚。
彼らの音楽独特の空気が、何倍にもなって降ってくる。これはあかん。いきなり心に来る。
隣の青年は両手指を祈るように組んでいる。前のおっさんは首だけはリズムに合わせて微かに動いているものの、それ以外はピクリとも動かない。すごくわかる。
聴きながらずっと涙目だったのですが、サビメロがパンと来た拍子に本当に泣く。
ライブを観ている時に数年に1度あるかないかで発生する「嬉しくも悲しくもないのに涙が出る」現象。
徐々に演奏に熱が帯びてきて、フロアも動き始める。
そこまでアルペジオ気味だったギターがブレイクでガキッと鳴った時、声が上がる、腕も上がる、ついでにまた涙が出る。
周りの声も大きくなり、曲によってはサビでシンガロングも始まる。
緊張の中始まり、徐々に徐々に上がっていって、最後には熱狂と笑いの中で終わる、これ以上ないライブでした。
今年の夏になってやっとSNSも始めたので、これからは逃さず行ける。