池袋のCD店・五番街の閉店と、タワレコの新店舗オープンのこと

池袋、東武百貨店の7階に店を構えている孤高のCDショップ「五番街」がいきなり昨日8月5日にお亡くなりになった模様です。


閉店のお知らせです。

近年は演歌に力を入れていたものの流行歌からクラシックまで全般を取り扱い、さすが百貨店内に店を構えているだけあって店員さんの大変に丁寧な対応も印象的なお店でした。

「株式会社五番街」としての経営、そして月頭の第3営業日ですので、恐らく会社の経理上の問題で店を存続できない事態に陥ったものと思われます。
2007年に一斉閉店した香川県のタマル、2009年に一斉閉店した石川県のヤマチク、そこらへんと似た事情ではないかと推測しますが、この2024年まで踏ん張ってこうなるのはやっぱりキツい気持ちになります。

ということで、2021年に生存確認作業を行った東京23区の「街のレコード屋」ですが、これまでの間に大塚の聖楽堂も閉店を確認しています。
大岡山の音楽堂は、私が行った時はいつも閉まっているのですが、不定期に店を開けているという話も。また浅草のヨーロー堂は、雷門通り沿いの店は閉じましたがすぐ裏手に移転して営業継続中です。


一方で、この期におよんで新たに開店するCD店も。
それもTOWER RECORDSが2店続けて新店舗。
8月30日には神奈川県海老名市のビナウォーク5番館に、9月13日には名古屋市港区のららぽーと名古屋アクルスにそれぞれオープンします。

ビナウォークには元々新星堂が長い間入店していましたが、今年の1月に閉店。タワレコはその場所とは異なる位置への出店です。
ららぽーと名古屋アクルスには2018年のオープン以来専門のCD店はなく、別棟の蔦屋書店もCDの取扱いは原則なし、ヴィレヴァンがちょっと売っている程度です。

そういうところにタワレコが店舗を出す意図ですが、それぞれの告知ページに「8,000人収容可能なイベントスペース『ビナステップ』」「定員3,000名を誇るイベントスペース『デカゴン』」というフレーズが入っていることがその答えではないかと思います。

タワレコは渋谷店・新宿店をはじめ、店の床面積の半分近くが常設のイベントスペースになっている錦糸町パルコ店等、「イベントで人を集めて盤を売る」ノウハウやコネクションについては他チェーン以上のものを持っています。
池袋サンシャインシティの噴水広場のイベントでのCD販売も、2021年2月の新星堂撤退以降は原則タワーレコードが仕切っています。

他の大規模イベントが可能な商業施設のイベント会場の例は川崎駅近のラゾーナ川崎。
施設中央のルーファ広場が1万人規模の集客が可能で、かなりの規模のリリースイベント等も開催されていますが、入居しているHMVが施設内では移転して床面積小さめになっても退去しないのは、その規模を誇るイベント会場があり、かつ商業施設への集客になるためその会場を使う費用等がかからない、そこの旨みがやはりあるからではないかと思います。

双方、大都市圏から電車一本で行ける駅近の施設というのも共通点。
逆に言えば、自家用車でないとなかなかリーチできない郊外型のモールだと、今後の店舗の維持はどんどん難しくなってくるということかもしれません。

そういう「ファンビジネス」におもねることが本当に正解なのか、という点は確かにあるのですが、正味「CDショップ」という業態にとってはもうそこにしか命脈はないので。

従来タワーレコードは店の床面積70坪あたりを境にして、それ以上は「TOWER RECORDS」、それより小さいと「TOWERmini」という屋号で営業してきましたが、今回の2店舗は双方50坪以下の狭めの店舗で、本来「TOWERmini」サイズの店舗ですが、「TOWER RECORDS mini」という、どっちつかずの屋号での出店です。
多分「タワレコ」って呼んでもらって本当に差し支えない屋号にしたい、くらいの意図だと思います。