CD/DVD販売レンタル界隈2023年10大ニュースのこと

ブログやXというかTwitterで既に触れたものやや多めではありますが、2023年のCD/DVD販売レンタル界隈で起きたことの中から、ざっくり10大ニュースをつまんでみました。

 

■トップカルチャー、レンタル撤退失敗
2021年7月に「2023年中にレンタルから全面撤退」宣言をしていたTSUTAYAの最大手フランチャイジーのトップカルチャーですが、関東から相当数の店舗を引き上げたりはしたものの、結局年を跨いでも残存店の約半数でレンタル継続中。

レンタル撤退した店舗は、雑貨販売やらショップインショップの形でテナント誘致等を行っていましたが、そっちが結果としてレンタル以下の収益性しかなく、それ以降進むに進めなくなっているものと思われます。

蔦屋書店 八王子みなみ野店(レンタル継続)


■大きな都市圏でもTSUTAYAレンタル消滅
TSUTAYAは相変わらず閉店しまくっていますが、さすがにこれだけ多いと、徐々に大きな空白地域も目立ち始めました。
京都市ではDVDレンタルができる従来型のTSUTAYAが、7月の太秦店の閉店をもって全滅。
神戸市は郊外ロードサイド型のジェームス山店のみの残1。
その他政令指定都市の残数は以下の通り(DVDレンタル実施店のみ)。

札幌市:4
仙台市:8
さいたま市:5
千葉市:2
横浜市:11
川崎市:3
相模原市:1
新潟市:10
静岡市:4
浜松市:3
名古屋市:4
京都市:0
大阪市:7
神戸市:1
岡山市:6
広島市:7
福岡市:3
北九州市:2
熊本市:6
(東京都23区:16)

市という地域を越えて見てみると、大阪府の北摂地域、豊中市・吹田市・茨木市・高槻市を擁し、千里ニュータウンもある地域ですが、今年に入っても閉店が止まらず、2/18に高槻南店が閉店すると残りは江坂南店のみとなります。
こういう、広域の単位でいよいよな感じが、今年はもっと拡大するのではないかと思います。

TSUTAYA 江坂南店

 

■ミュージックテイト、消滅
1980年代半ば頃をピークに、新宿を拠点にして割と言わせていた感のあるレコード店チェーン、帝都無線=ミュージックテイト。
2011年に紀伊國屋書店新宿本店2階の店舗を引き払い、西新宿7丁目に移転して得意としていた演芸の音源に絞った専門店として再開。
しかしコロナ禍で窮して、クラウドファンディングを募りつつ同じ会社で経営していたV系専門店「自主盤倶楽部」の店舗を曜日や時間で使い分ける形で運営していたのですが、7月にまとめて閉店して8月には破産しました。

 

■スクラム、消滅
一方、イオンの子会社「アビリティーズジャスコ」が運営していたCDショップチェーン「スクラム」。
「アビリティーズジャスコ」の本業は障碍者の就労支援、その訓練を受けた人の実際の就労の受け皿という位置づけでもあったスクラムですが、その本業の就労支援だけでも会社を回していける目途が立ったということでしょうか、東北を中心に最大で10店舗近くあった店舗網を徐々に減らしていき、10月の古川店閉店によって全店が閉店と相成りました。

スクラム 大河原店(2022年7月閉店)


■ドラマ、消滅寸前
下北沢と高円寺、また日野・八王子・相模原等の首都圏西側ではCD/DVDレンタルチェーンとしてお馴染みだったドラマ。
2010年代からアミューズメント・古着販売等に軸足を移し、レンタル取扱い店舗は徐々に削るように減っていったのですが、2023年に残っていたレンタル取扱い店舗が一気に閉店、現状で残っているレンタル店舗は相模原市の淵野辺店のみ。しかもレンタル面積は2023年に大幅減。もうヤバい。

ドラマ 高円寺庚申通り店(8/13閉店)


■新星堂、50店舗割れ
新譜CD店、タワーレコード・HMV・山野楽器は漸減程度でまだ踏ん張っていますが、為す術もなくズルズル行っているのが新星堂。
2006年にCCCと業務提携するも2008年に解消、2011年には光通信グループの一員になってモバイル系の販売を一部店舗で始めたものの2012年に解消、同年、WonderGOOを運営するワンダーコーポレーションの傘下に入ったものの、単独子会社としては再建を諦めて2016年にはワンダーコーポレーションに吸収合併、2018年にはワンダーコーポレーションの親会社であった茨城県拠点のスーパーマーケットチェーンのカスミがワンダーコーポレーションごと手放し、ライザップの傘下企業になって今に至ると、もう本当に「いらない子が家を転々とする」状況。
2023年末時点での全国店舗数は43店舗、外資系が入る直前の1980年代末頃には約200店舗を数えた一大チェーンがここまで減りました。
そして2024年1月には一気に9店舗の閉店が決定。今年、どうなるのか。

新星堂 新越谷駅ビル店(7/26閉店)


■CDレンタル、全国で1000店舗割れ寸前
所謂ビデオレンタルは、元々レコードレンタルのチェーンが1980年代後半以降、安価なビデオデッキの普及も相まって兼業で始めた業態ということになりますが、ソフトレンタルの元祖の直系であるCDレンタルは、1989年にはその店舗数のピークで全国に6000店以上存在していたのですが徐々に減り、最近では閉店だけでなく「DVDレンタルは継続してもCDレンタルは終了」というところも割と多く、ビデオ/DVDレンタルに少し先駆けて死にそうになっています。

2024年1月頭でカウントした「CDレンタルを行っている店舗の数」は、
TSUTAYA:428
ゲオ:543
三洋堂書店:26
HYPERBOOK/SUNMUSIC:5
その他:2

合計:1004

以上ではないかと思います。
単独で営業している店等でサービス内容の詳細が確認できないところもあるのですが、もしあったとしても数店舗のプラス程度ですので、恐らく今月中には全国で1000店舗を切ります。公式なレンタルレコードの始まりは1980年、雨後の筍状態で類似店が営業開始してチェーン展開したため、翌1981年には既に全国で1000店以上にはなっていましたので、栄枯盛衰の42年以上を経てその頃の数にまで戻ったということになります。


ちなみに「CDレンタル専業」店舗は、2021年12月に大阪日本橋のK2 RECORDSが閉店したことで全滅しました。のはず。

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■ディスクユニオン、平成J-POP/アニメ・ゲームストアオープン
ここからはよい方のニュース。
時代と空きテナントの状況によって変幻自在の営業を続けるディスクユニオンですが、元々新宿における本拠地であった山田ビルに、7月「アニソン・ゲームミュージック」8月「平成J-POP」と、過去最強に時代の流れにおもねった感じの店舗をオープン。さすがユニオンというところですが、平成J-POP館は元々「日本のロック・インディーズ館」だったのですが、実際今も「80年代インディーズ」の棚も割と大きめに取られていたり、単に多少メインジャンルのボリュームを変更して看板を架け替えただけだったりします。それでいい。

アニソン/ゲームミュージックストア

 

■FACE RECORDS、全国拡大
元々宇田川町の裏通りの雑居ビルにひっそり佇んでいたFACE RECORDS。2011年にYellow Pop渋谷店が撤退した跡に収まってシスコ坂に進出したのですが、2020年宮下公園に建った商業施設MIYASHITA PARKに支店をオープンさせ、それ以降は全国各地の割とお洒落気味な商業施設の「アナログレコード店があったらいいな」的なニーズに応えまくり、今年になって支店を次々にオープンさせています。

3月:札幌ステラプレイス
4月:名古屋LACHIC(期間限定)
10月:京都高島屋SC

この4月には1年間の期間限定としていた名古屋LACHICの店舗が、改築された中日ビルにパーマネントな店舗として移転オープンします。
ディスクユニオンは、新しい土地への店舗という方向では割と腰が重め&お洒落感は皆無ですので、アナログブームに乗っていけるのは今のところFACE RECORDSくらいです。
この後さらに伸ばしていくのか。

Face Records SAPPORO STELLAR PLACE

 
■新規の新譜CD販売専門店がオープン
驚いたのが佐賀県佐賀市に立地する双日商事開発株式会社が運営するショッピングモール、モラージュ佐賀。
元々宮脇書店がその大きな店舗エリアの片隅でひっそりとCDも販売していた、という形だったのですが、3月に宮脇書店が撤収。
CD販売どころか書店ごとなくなるという事態に陥ったのですが、そのまま後継の書店も決まらない12月、何故かCD販売の専業店がオープンするという謎事態が発生。

サウンドコミュニケーションWe's モラージュ佐賀店。
We'sはここまで旭川や鹿児島でタワーレコードが撤収した跡に出店したり、豊橋で新星堂が撤収した跡に出店したりと、空いたところにいっちょ噛みし続ける特殊チェーンですが、長岡市ではリバーサイド千秋から追い出されたと思ったら近所のイオン長岡に移転再オープンしたり、名古屋では施設ごと割とポンコツ化しつつあったアピタ緑から近所の小ぎれいなヒルズウォーク徳重に移転したり、割としぶといチェーンでもあります。

韓国雑貨も併売するという、玉光堂っぽい作戦もこらして、K-POP輸入盤とボーイズグループのまとめ買い需要を当てにして頑張っていくのだとは思いますが、正直頭おかしい。


そんな感じで。
今年はたぶんレンタルは決定的な状況になるような気がしていますが、CD販売はもう少し続いていくのではないかと思っています。新星堂以外。