Jesus Jones@下北沢Shangri-Laのライブのこと

昨日は下北沢Shangri-LaでJesus Jonesのライブ。

とりあえず観たいじゃないですか。このタイミングならもうベストヒット選曲以外ありえないし、それもキャパ600程度でそのクラスの箱の中でも割と近く見える印象の元GARDENの箱です。
当時は割とアイドル人気的なところも高かったわけですが、果たして今回はおっさんだらけ。8:2くらいでおっさん。Tシャツも1991年のDOUBTツアーの時に買ったのを引っ張り出してきた友人をはじめ、布袋寅泰やM-AGEのTシャツもいて開演前から割と面白状態。

デビューアルバム「Liquidizer」リリース時の日本盤プロモーションの際、「20世紀末のロック界の救世主か、はたまた最後の徒花か」というフレーズが使用され、「Doubt」のプロモーション時には「やっぱり救世主だった!」とはしゃいだものの、人気は長く続かず結果としてやっぱり「徒花」感出てきてしまったバンドですが、でもそれは仕方ないことだとも思います。

所謂「ギターバンド」な音とダンスミュージックの融合、1980年代末頃にはThe Stone RosesやHappy Mondaysのような、どちらかと言えば「本能」に忠実な感じのヤツと、実際インタビューで「順列組み合わせ」という言葉も使っていたJesus Jonesのような「理」を優先して音楽を組み立てていった感じのヤツに分かれていたわけですが、どちらがシーンとして時代を席巻したかと言えばご存じの通り。
まあダンスするにはそりゃ本能に忠実な方がいいだろうと、今なら言えますが、当時は様々な試行錯誤が行われていたわけで。

そして「理」で組み合わせるにしても彼ら以降には、順列とは言えないレベルで複雑になっていったり、組み合わせていじくった結果もうギターバンドでもダンスミュージックでもない独特の音楽が生じたりして、ものすごい勢いで進化を続けました。
Jesus Jonesは正直その進化についていけなくなってしまった感じでドロップアウトしていった、そんなイメージです。

とはいえ、タイムラインとして1990年前後にしか存在できなかったが故にわかりやすい後継があまりいないタイプの音楽であり、だからこそおっさんは思春期まっさかりの頃に心を打ったこの音楽に生で触れて、改めて心を打つ、ということなんです。

かくしてフロアはモッシュが起こりそうになってでもちゃんとしたモッシュになるまで続かないとか、みんなでジャンプを始めてでもすぐ終わるとか、おっさんなりの荒ぶりと限界がそこここで見られる、それはとても愛しい現場になりました。


そしてアンコールで出てきたマイクが「30年来の友人!」と呼びこんだのが布袋寅泰。
去年、布袋のドキュメンタリー映画観に行った際、ミュージシャン仲間の名前を列挙したシーンがあり、その中にJesus Jonesは出てこなかった、ということもあって、開演前に友人と「来たら笑うよなあ」と言っていたのですが、実際出てきたらもう笑えない。
多分これからの自分の人生、10mない位置で布袋がギター弾いてるのを見ることは二度とないと思います。
そしてマイク・エドワーズが長身なので、「布袋がデカく見えない」というのも稀有な体験。

決して凄い演奏秘術とか、素晴らしい歌唱とか、そういうのはハナから期待していない、ただあの当時大好きだった、そしてあの当時以外鳴らなかった音楽を浴びることで、気持ちだけは思春期に戻って嬉しくなる。
もう本当にそれだけでいい、そういうタイプのライブでした。たまにはこういうのもすごくいい。


あと、ワンマンという話だったのに前座のバンドが出てきて、サンプリングやシーケンスは鳴ってはいるものの、少なくともヴォーカルスタイルはJesus Jonesとは相容れないタイプで、これ何なのと思っていたら、ヴォーカルとはえらく歳離れた感のあるギタリストがMCで「自分が呼んだ」ということを話し始めて。
要するに彼は、Jesus Jonesが好きすぎて今回招聘し、ついでに好きすぎてサポートアクトも担当するという、ある意味「ロマン」を実現した男でした。

だからこれからのライブに行く皆様は、tokyo honey trapも応援しよう。