東北を中心に、多い時には10近い店舗網を持っていた、CD/DVD販売及び書籍販売店のチェーン「スクラム」ですが、10月22日に宮城県大崎市の古川店の閉店をもって全店舗閉店、屋号が消滅しておりました。
1983年に当時の宮城県泉市に出店、以降各地で開店したり閉店したりで以下のような感じ。
泉店(宮城県・1983-2003)
香寺店(ブックバーン)(兵庫県・1988-1991)
大河原店(宮城県・1995-2022)
古川店(宮城県・1999-2023)
東根店(山形県・2002-2016)☆
富谷店(宮城県・2003-2015)☆
札幌桑園店(北海道・2004-2009)☆
元町店(北海道・2004-2007)☆
利府店(宮城県・2005-2016)☆
盛岡南店(岩手県・2006-2009)☆
発寒店(北海道・2006-2008)☆
石巻店(宮城県・2007-2016)☆
仙台中山店(宮城県・2008-2015)☆
大館店(秋田県・2012-2023)☆
鏡石店(福島県・2012-2023)☆
八戸城下店(青森県・2012-2015)
2023年に鏡石店、大館店、古川店と残った店舗が一気に閉店したわけですが、これどうも他のチェーンとは様子が異なっているようで。
スクラムを運営していた企業は「アビリティーズジャスコ」。その名の通りイオングループですが、本業は「障碍者の就労支援」を行う会社です。
要するにスクラムは、その就労訓練を行った人が実際に働く場として設けられた店舗、ということです。
☆を付けている店舗はイオンモール等イオンの中にテナントとして入居していた店舗です。
現在のアビリティーズジャスコのサイトはこちら(http://www.ajscrum.co.jp/)ですが、このドメインから察することができるように、元々は店舗としてのスクラムのサイトで、実際普通のCDショップのように新譜情報やインストアイベントの告知が普通に掲載されているサイトでした。
それが現在のような就労支援企業としてのサイトにリニューアルされたのは2013年。まさに新規店舗の出店が止まったタイミングです。
2016年には再度リニューアルを行って店舗案内すらもほぼなくなるわけですが、これは3店舗をバンダレコードに譲渡したタイミング。
スクラム 石巻店(1/30閉店)→バンダレコード石巻店(2/2開店)
スクラム 利府店(2/9閉店)→バンダレコード利府店(2/13開店)
スクラム 東根店(2/16閉店)→バンダレコード東根店(2/20開店)
営業的には問題なかった店舗を敢えて減らしにかかったということで、これつまり「障害者の雇用の促進等に関する法律」で定められた雇用割合や適用範囲が大きくなっていくに伴って就労支援のニーズが高まり、就労支援のみでビジネスが十分に成り立つようになったということだと思います。
いや、もちろんCD販売がウハウハ言うほど儲かるなら継続もあったでしょうけど、それはさすがになかったということで。
全閉店にここまでかかったのは実際にその店で働いている人の事情とかもあったのだろうな、と想像します。
ということで、ただ窮して消えていくチェーンとは少し違う感じの終焉でした。
ちなみに「アビリティーズジャスコ」は、1989年にジャスコがイオンに名称変更して34年、イオングループの様々な企業の中で唯一今も「ジャスコ」の名を残す企業だということは押さえておきたいポイントです。