RAY@渋谷WWWのライブのこと

昨日はRAYの新体制1周年ライブ@渋谷WWW。

「シューゲイザーアイドル」を冠して活動している、ガチアイドルな正統派ルックスとノリでオタクを殺す琴山しずくさんと、1日1音源、コアなバンドを含めて的確な感想を発信し続けることが話題となり、外様のおっさんを殺す内山結愛さんが2トップの5人組。

実際音楽的には割とゴリゴリですが、以前何かでちらっと観た際に割とそういう音楽とは合わない感じのパフォーマンスで違和感を感じたので、一度きちんと観たいと思いつつ、いい感じのライブが発表されたと思ったら既にチケット取った別のライブと日程被っていたり、休日出勤の日だったり、何度か涙を飲んで今回ようやくです。

幕前はずっとSUPERCAR。それわかる。
で、メンバーが出てきて歌い出すとやっぱり以前のような違和感。サウンドはRIDEの1stアルバム前みたいな音なのに、振付も歌も「開いた」感じで全然シューゲイズしていない、もっと言えばトラック以外は「普通のアイドルグループ」的な空気感。
ただそんな違和感も数曲観れば慣れてきて、あとはいい感じのホワイトノイズに乗って「可愛い」が展開されていくのをひたすら愛でる。

5人組ですが5人ユニゾンはなく、ソロか2声。ごくたまに3声。ただでさえトラックの音が厚いので、それ以上重ねると必要以上に重たくなってしまうということでしょうか。
決して「Born to Sing」「Born to Dance」な女の子たちではありませんが、というか、もしそうだったらそもそもシューゲイザーアイドルなんかやってないでしょうし。

90年代テクノ的な音色を交えた楽曲をいいところでぶっこんできて、そこではより華やかな歌と踊りになったり、シューゲイザーなので歌よりもイントロや間奏が長い曲もありますが、振付が諧謔性を帯びてくることでずっと観ていられるものになっていたり。思っていたよりずっといい。いいぞ。

普通の女の子たちが今できることを精一杯やっている感もガシガシ伝わってきて、大変に好ましいのですが、ただ、WWWという箱以上に動員を伸ばしていくためには、その精一杯を続けていくだけでは無理なのかということも、何となく感じて。
象徴的だったのが本編が終了した時。

前半と後半の間にもインタールード的な時間はあって、その時には曲終わりでメンバーがはけた後、環境音みたいなものが絵もなくずっと流れていて、正直それが何を意図するものか全くわからなくて。
で、その後何曲かやった後再度メンバーが全く同じようにステージからはけて、そしたら今度は環境音すらも鳴らず、今度のこれは何らか意図があるものだろうかと考えながら待っていて、恐らく会場の全員同じ気持ちで静かに待っていたのですが、そのまま数分経ったあたりでメンバーから「あの、ここアンコールのとこなんですけど」というアナウンスが入って、初めて「あれが本編終了だったんかい」ということを会場中が知るに至り、慌ててアンコールのコールが入る、ということがありまして。
正直、これは完全にライブ全体の流れを作れなかった演出の失敗だと思います。

そして、WWWというステージ後ろが全面スクリーンとして使用できる会場にも関わらず、そしてこういう音響的なトラックであればそれなりの映像なり視覚的な演出が乗せやすく映えやすいはずなのに、このライブでは既存のビジュアルがある曲以外はほぼ何もなく、たまに適当に既存の模様の照明を回してみたりするだけで。
ワンマンでこれは勿体ない、と正直思いました。

初めて観た時は下北沢シェルターで7拍子のハンドクラップを強要していたことと、オタクが3拍子でコールを打っているくらいが面白ポイントだったMaison book girlが、その後映像に凄い勢いで凝り始め、徐々に常軌を逸していき、それに伴って動員も伸ばし、結果人見記念講堂やLINE CUBE SHIBUYAで滅茶苦茶な映像と演出を伴ったえげつないショーを見せ付けるに至った、という事例もあります。

アンコールで披露した新曲の時の映像は、MVのようですが、何となくamazarashiのライブ映像を彷彿とさせるものがありました。
果たしてこれが正解の方向かはわからないのですが、ここから先のもっと高いところに向かおうとするのなら、メンバー以上に運営の大人たちにいろいろもっと頑張ってほしいと、思いました。
メンバーの言う「RAYが居る方向が光」に本当になるためにも。すごく期待しています。