Fontaines D.C.@渋谷O-EASTのライブのこと

18日はFontaines D.C.@O-EAST。3日ぶりのO-EASTです。

いつ彼らを知ったのかはあんまり覚えていないのですが、前作「Hero's Death」収録の「Televised Mind」が初めて彼らだと意識して聴いた曲です。
何かとんでもない熱量が籠っているのはすぐわかるにもかかわらず、わかりやすい形で表出することのない、やたらとミチミチした曲だという感想でしたが、アルバム通して聴いたら全曲だいたいそんな感じで。
そういうバンドだということはわかったのですが、過去の経験則としてこういうバンドはライブがヤバいということは何となくわかりましたのでこれは観たいと。

昨年のアルバム「Skinty Fia」で、明らかにバンドとしての音楽的多様さのギアが一段上がり、UKチャートでも1位。
フジロックにエントリーされた時は一瞬どうしようかと思っていたのですが結局キャンセルになり、どうなることかと思っているうちに9月に単独来日発表。
急いでチケット押さえたら、2022年の年間ベストに各メディア・各個人軒並み上位に入っているわ、グラミーで「最優秀ロックアルバム賞」、ブリットアワードで「最優秀インターナショナル・グループ賞」を受賞し、これもまたその直後の来日。
彼らの場合は前作の段階でかなり評価はされていたものの、それでもチケット買ったときにはまさかこんなことになっているとは予想もしていなかった状態でのライブ(その2)。

まず入場したら幕前のBGMがいちいち面白い。
KinksとかIggy PopからThe Cure、Primal Scream、Smashing Punmkins。まあそこらが流れるのはわかりますが、何故かその中にしれっとTyler The Creatorがぶっこまれたり。
アイルランド勢としてはThe Undertonesは当然のように「Teenage Kicks」なのに、U2かかったと思ったら「POP」収録の「The Playboy Mansion」という、なかなか普通はそれ選ばんよというところを持ってきたり。
そしてオーラスはストーンズの「Wild Horses」が爆音で響く中でメンバー登場。もうかっこいい。

いきなり頭が新作の1曲目、強烈に重いメッセージを持つ「In ar gCroithe go deo」から。
それでも熱いしたぎる音。アルバムタイトル曲「Stinky Fia」はアルバム中では打ち込みっぽい意匠の割と奇妙な感触もある曲でしたが、ライブでは猛烈なグルーヴを発してるし、「Televised Mind」は「熱量がわかりやすい形で表出することのないやたらとミチミチした曲」が、まさに火を噴くとこんなエゲツないことになるんかというものすごさ。

フロントのグリオン氏はそれでも自分の中でルールはあるのか、ほとんど「Yeah!」とか「Uh!」の類を発せず、歌も決してシャウトすることなくきちんと歌う。
その分体内でたぎっている分を放出するようにのしのし歩き回ってみたり、マイクスタンドを中心にしてぐるぐる回ってみたり、胸板でタンバリン強打してみたり、垂直跳びをしたりする。
オタ芸ができない場所のアイドルオタクが「マサイ」と呼ばれる垂直跳びを行うのも「たぎった感情の放出」と考えると、あの行動は理にかなっているのだとこんな場所で改めて思うなど。

そしてこの日最大のピークはアンコール3曲目「Boys In The Better Land」。
説明はよく聞き取れなかったのですが、どうやらフロアにいた若者が飛び入りでやるっぽい。
果たして本当に登場、猛烈な気合いでギターを弾いて歌い、実際音も1枚厚くなり、バンドの気合もフロアの気合も上がる上がる。沸く沸く。
後で調べたところ、割とあちこちのライブでこの曲はそういう感じでやってるらしくて、それすごくいいな。

で、アンコール4曲やってメンバーはけた途端にHappy Mondaysの「God's Cop」が割とデカい音でかかったので、ああ終わりだなと。これも「その曲かよ」という気が少ししました。
彼らも確実に今後当面は1200かそこらのO-EASTサイズの箱で観ることはありえない状況ではあると思いますので、そういう意味でも「観たいと思ったら観る」。これ鉄則です。