ももいろクローバーZ「祝典」のこと

ももクロ、ちょうど3年ぶり6枚目のアルバム

もはやメジャーデビュー初期のようなトリッキーな楽曲はほぼありませんが、言ってみれば彼女たちのメジャーデビュー以降、そんなトリッキーさをベンチマークして活動する地下アイドルがそれこそ山ほど出現した結果、ポップス音楽として成り立つあらかたのトリッキーさが既存になってしまったわけで。

パイオニアが無理する必要もなく、というか今作は、ジャニーズ楽曲を主戦場にしているKOUDAI IWATSUBOやEXILE TRIBE勢に多く楽曲を提供しているamon hayashiが参加していたり、むしろより一層「王道」的な方向性のアルバムです。

2011年から2012年頃にはもう夢中になって彼女たちを追っていたのですが、その時からまさかこんなにグループとしての活動が続くなんて思ってもいませんでした。
ちょうど追っていた時期が「身体能力&体力任せ」の無茶苦茶なライブをやり倒していた頃なので、特にそう思ったというのもあるかもしれませんが、正味最年少のあーりんが20歳になるまで続けば御の字くらいの気持ちでいました。

ただ、改めて彼女たちの活動の経歴をずっと見ていくと、そこかしこに「長く続ける」ための工夫はありまして。

大御所からの楽曲提供に留まらない、初期のライブの常連だった「南国ピーナッツ」こと松崎しげるや、2012年の「ももクロ☆オールスターズ」や「お台場フォーク村」あたりからの昭和歌謡・ニューミュージック周りとの連携。

プロ野球では、田中将大選手(楽天)がファンを公言したことから始まったコラボレーションだけでなく、石川柊太選手(ソフトバンク・あーりん推し)や佐藤輝明選手(阪神・れにちゃん推し)と、モノノフ選手が現れるたびにきっちり拾って絡む。ここは特にグループとして特定の球団と何らかの固定的な関係を持たないところがポイント。

2013年以降継続して参加している警視庁主催のイベントや、2017年以降地方行政と組んで開催している「春の一大事」等の所謂「公」との接点を継続・拡大していく試み。

ヒットした時にその立場をその時の短期的な売上の最大化のみに使用せず、様々な立場の人や組織とコネクションをつなぐことで活動のフィールドを面的にも時間的にも拡張することに成功した結果が、この長期にわたる活動になっているということで。
もちろんコネクションをつなごうとした時、彼女たち本人のキャラクターが最大の強みとして機能したことは想像に難くないわけですが。

自分が本格的にももクロに転んだのは2011年2月25日、今は亡きSHIBUYA-AXで開催された「HMV THE 2MAN ~みんな仲良くできるかな?編~『ももクロとかまってちゃん』」という企画ライブで、どっちかと言えばかまってちゃん目当てで行ったところ、彼女たちのこの日のパフォーマンスが「『身体能力&体力任せ』の無茶苦茶なライブ」のひとつの頂点だったためなのですが。

今回のアルバムの収録曲「孤独の中で鳴るBeatっ!」が神聖かまってちゃんのの子作詞作曲ですが、これも2011年のその2マンライブ以来再び交わったささやかな、でも「コネクション」のひとつなのかと思うと、少しグッと来ます。少し。