上白石萌音「あの歌」のこと

上白石萌音と佐藤栞里の2人ロケ映像は、現代のテレビ番組界において、動物の赤ちゃん映像に次ぐレベルの破壊力を持っているのではないかと思っているのですが、そんな上白石萌音のカバーアルバムがリリースされました。

70年代の楽曲を収めた盤80-90年代の楽曲を収めた盤の2枚同時発売、全21曲。
70年代の方は全曲鳥山雄司氏の編曲、80-90年代の方は大橋トリオ・清塚信也・GLIM SPANKY・n-buna(ヨルシカ)・河野伸・遠山哲朗という布陣の編曲。
この80-90年代の方のメンツが気になって聴いてみた次第です。

が、正味のところ、皆さん「仕事しました」の範疇ですね、これ。
いろいろ趣味的な音世界をちょいちょい入れ込んではいるのですが、萌音さんの声質がすさまじくフラットで癖がないのでどんな曲でも違和感はない代わりに、エゲツないアレンジを乗せるとアレンジの方が圧倒的に優勝してしまって「上白石萌音のアルバム」にならなくなってしまう、というあたりを考慮した制作者の意図を通した結果のアウトプットがこれ、ということなのでしょう。

だったらFishmansは「いかれたBABY」よりも「Orange」あたりの曲の方が合っていたのではないかとか、面倒くさいことを考えたりもしつつ、通して聴いた結果、最強だったのは80-90年代の方で唯一プロモーション用の文章に名前が載っていなかった遠山哲朗氏アレンジの「まちぶせ」。
この曲が80-90年代の方に入っていることに違和感があるっちゃあるのですが、歌詞の主人公の女性のヤバさをなんとなく感じさせる、不穏さを表現したような刻むギターとパーカッションの入り方が最高です。

で、上白石(姉)は本名名義でこのようにリリースしているのですが、上白石(妹)の方は歌手活動するときの名義は「adieu」ということになっていて、これ妹だからって何気に酷くないか、虐げられているのではないかと一瞬思ったんですけど、ライトリスナー目線で改めて考えたら、「上白石萌歌」と「上白石萌音」のCDが店頭で並んでいたら確かにちょっと困ることもあるのではないかと。
ユーザーフレンドリーな姉妹。