あゆみくりかまき@EX THEATERのライブのこと

19日土曜日、3人組アイドルグループあゆみくりかまきの解散ライブ。

正味のところ、彼女たちくらいわかりやすく大変な思いをし続けたグループもなかなかいませんでした。
ただ売れなくて終わりなのであればそれだけの話なのですが、彼女たちの場合は一度は勢いに乗り、このまま突き抜けるかと思わせただけに。

当時はラウドロック系のサウンドのアイドルがまだ珍しかったこともあって、3人組として活動を始めた2014年頃から目に見えて勢いづいて。

自分が観たことのある彼女たちのライブで最強だったのは2015年のSUMMER SONIC。
SUMMER SONICはフードコートエリアの小さなステージでアイドルのライブをずっとやっていたりもするのですが、2015年の彼女たちは全体で2番目にデカいMOUNTAIN STAGEのオープニングアクトとしての出場。
正規の一番手はGENERATIONS from EXILE TRIBEだったため、開場早々最前付近は女子ファンの場所取りで埋められ済みという、これ以上なかなか想像もできないレベルのアウェイ状態でのライブ。
それでも臆することなく挑み、会場ブチ上がりとまではいけずとも、鬼気迫るパフォーマンスできっちり場を作って去っていった彼女たちは本当にかっこよかったのです。

2016年の1stアルバムも素晴らしい出来で、この調子でいけば野望として掲げていた「武道館でのワンマンライブ」も、もう少し頑張れば行けるんじゃないかと思っていたのですが、その頃にはラウドロック系のサウンドのアイドルグループはそれこそ雨後の筍状態。
彼女たちのような「ラウドだけどアイドルソングの範疇」ではなく、より本格的なバンドサウンドを引っ提げてガチなトラックで歌うグループがボコボコと出てきて、中でもBiSHはすごい勢いで勢力を伸ばしてあっという間に追い抜いていきました。

「ラウド」推しのアドバンテージを失った彼女たちはかくして1stアルバム以降迷走を始めます。お笑いタレントに作詞を委ねたり、「ラウド」とは呼べないサウンドや、ちょっと泣ける感じのメロディに行ってみたり。
曲単体としてはよいものもあるのですが、グループとしてのアイデンティティはどんどん希薄になっていき、思うように動員も増えなくなっていきます。
2017年10月の段階でキャパ1600のEX THEATERも埋められず、結局武道館ライブも発表できず、それ以降突破口を探りながら何とか活動継続していたものの、他のアイドルグループと同様にコロナ禍でいよいよ先が見えなくなって彼女たちも、ということだと思います。

そしてラストライブ。
2017年10月に埋められなかったEX THEATERが埋まるというなかなか皮肉な状況ではあるのですが、それでも3人は湿っぽくなることなく、いつも通りの間違いなく誠実なパフォーマンス。
三者三様のアイドルとしての可愛さもあるし、歌えるし、勢いのあるステージングだし、本当に良いグループだとは思うのですが、もうそういう資質や多少のコンセプト程度では生きられなくなっているのが今のアイドルシーンなのだということもなんとなく感じてしまい。
ただ、これまでは単体としてはいい曲もあるものの、流れとしてはあんまり好きではなかった「泣け歌」系の楽曲が、こういうセンチメンタルな状況に乗っかると抜群に響いてくるのは、いいのか悪いのか。
それでもやっぱり自分は「WAR CRY」から「KILLA TUNE」の、1stアルバム収録のゴリゴリのラウド系楽曲の流れがやっぱり一番アガるわけで、正直こういうのばっかり聴いていたい気持ちにもなります。
終盤でようやくちょっとセンチになりつつも、でも彼女たちらしさは最後まで失うことなくライブを終えて去っていったわけですが、これ以降「アーティスト活動も終了する予定」ということではあるものの、あゆみはバンドのヴォーカリストになれば抜群だと思いますし、くりかはそのあざと可愛さでタレント業やっていけると思いますし、まきは正統派女優顔ですのでそっち方面で何とかならないかと思います。
ラストシングルのタイトルは「サチアレ!」ですが、それ本当にお前らがそれだよ、と思わずにはいられません。

で、アイドル界隈の大きな問題は、彼女たちのような所謂「中堅」あたりのグループが本当にいなくなっていること。
TIFや@JAM EXPOの、一番大きなステージのお昼頃とか、2番目のステージのトリまわりを担えるくらいの塩梅のグループがすごい勢いで解散しまくっています。
というか、AKB坂道・ハロプロ・スターダスト・WACKという四天王以外のグループの勢いが本当にシオシオになっていて、結局金なのかという気持ちにもなります。
どこか何とか「下剋上」的なグループが出てきてくれないかと、割と本気で思います。