GEOの新業態「GEO SPEED」が速攻で終わること

GEO SPEED 祖師ヶ谷大蔵店が6月30日に閉店します。

「GEO SPEED」は、GEOが2019年に立ち上げた新業態。
こういう感じで、スマホで発注してから店舗に行って指定されたロッカーを開けると発注したDVDが入っている仕組み。
2019年10月24日に調布市仙川、同年11月27日に世田谷区祖師ヶ谷大蔵に店舗を立ち上げたのですが、仙川の方は翌年3月31日に半年も持たずに閉店し、そしてそこから1年ちょっと、祖師ヶ谷大蔵店も閉店ということで。

この惨状について少し考えてみたのですが。
まず出店した立地。双方とも都市の中心ではないが郊外でもない、そこそこの住民を持つ街で、昔から住んでいる古い住民もいれば学生もいるような、老若男女入り乱れて生活している感じの街。そして駅前商店街がまだそれなりに機能している街で、GEOもその商店街に出店する形。
恐らくは非常にテストケース的にそういう似た状況の場所へ出店したのだろうと思います。
駄目なものは駄目でしたけど。

こういうコンセプトの店舗、要するに「いかに人件費を抑えるか」という課題に対しての回答であるわけで、スマホで専用WEBサイトにアクセスして発注して、店舗はそのピックアップを行うのみの場所。店舗としてはバックヤードに1-2人がいれば回る仕組みでしょう。人件費はかなりカットできます。

ただ、こういう業態の場合、店舗にかかる人件費の代わりに発注用のWEBサイトの運用維持のコストはかかってきます。で、そういうWEB系のコストはサーバ増強以外の部分はおよそ固定費ですから、ある程度以上の規模になって初めてスケールメリットが発揮されるわけです。

この新業態はある程度の規模を伴っていればいるほど利益率が上がるものの、正味1-2店舗でのみ使用するだけであれば、大したコストカットは見込めません。
きっとGEOは仙川店・祖師ヶ谷大蔵店の状況を見ながら徐々にGEO SPEED型店舗を増やしていきましょう、みたいな青地図を描いていたのではないかと思います。
なので、仙川店が半年足らずで力尽き、その後同じ業態の店舗が増えていかなかった状況、祖師ヶ谷大蔵の店舗も正味「時間の問題であった」と言わざるを得ません。

かくして仙川地域からも祖師ヶ谷大蔵地域からも「レンタル」という業態が消滅ということになります。
仙川の場合、隣駅の千歳烏山にTSUTAYA、逆の隣のつつじが丘にはGEOの通常店舗がありますが、祖師ヶ谷大蔵の場合は狛江のGEOか馬事公苑のTSUTAYA。いずれも祖師ヶ谷大蔵の店舗からは2.5km以上離れたロードサイド型店舗で、首都圏では代替店舗として使えるレベルではありません。

元々小田急沿線はGEOがさほど強くなかったところに、小田急商事が2018年にTSUTAYAのフランチャイジーから手を引いたことで一気にすっかすかになりまして、小田急沿線都内ではこれで「駅前型」のレンタル店舗自体が全滅です。
地方では「市内に1店だけだったレンタル店舗が閉店した」みたいな感じでレンタル空白地域がどんどん生じていますが、都内でもそういう地域が都内なりの規模で増加しているわけです。

ただ、ことGEO SPEEDについては、後出しで言ってしまえば「ネット活用と実店舗の悪いとこどり」だったような気もして、こうなるのも詮無いかと。
そして「省コスト型店舗」のテストケースが失敗したことで、いよいよ業態全体が待ったなし状態。
正味、粛々とウォッチし続けるのみです。