Weezer「Van Weezer」のこと

まさにそのタイトルのような、そういう作品を制作しているということは既に2年ほど前から明らかになっていたアルバム
馬鹿だなあと思いつつワクワクしながら聴いたのですが、やっぱりWeezerはWeezerでした。
ライトハンドとかそれっぽいギターエフェクト等そういう系統の「おかず」は確かにふんだんに盛り込まれているのですが、四半世紀以上一切ブレずに活動してきたバンドが、多少の脚色で「違う」音になるはずもなく。

まず全10曲31分といういつも通りの尺。HR/HM系の音であればもう少し長くなってもいいはずなのですが、そもそも各曲イントロはそういう方向性ではあるものの、ギターソロ入りの間奏がほとんどなく、曲の終わりもHR的にセッション風に長々やることなく実にスパっと終わります。長くなりようがない。ここらへんの「いつも通り」加減がやっぱりWeezer。

メタルらしい間奏って「1 More Hit」くらいでそれもスラッシュメタル系、「She Needs Me」の間奏なんてこれハードロックというよりはもっと直系の先祖であるパワーポップ系の風情。全体的にパワーポップですけど。「Hero」の間奏の、一応早弾きっぽい演奏はしているものの上にコーラス乗っかっているところは何となくCheap Trickっぽい。

要するにこのアルバムは、1stアルバムにして「Weezer節」を確立してしまい、己のみならずその後の世界中のギターバンドの物差しのひとつにさえなってしまったバンドが、ここに来てHR/HMのみならず過去の個人的ルーツをぶっ込みまくりの全開にしてみたものの、結局四半世紀以上磨いてきたコアがブレることはありませんでした、というそういうことなのではないかと。
それでもその全開っぷりはとても愛しく、ここ何年かの彼らの中では出色の出来のアルバムになったのではないかと思います。やっぱ何つうか、楽しそうなんだよ。