最近の「パッケージ」の売り方のこと

ぼんやりとサイトいろいろ見ていたら、LUNA SEAのRYUICHIの、河村隆一名義のソロアルバムが、ファンクラブ以外での一般流通CDは新星堂/WonderGOO限定でリリースされる、というのが目に留まりまして。
調べてみると、元々「ソロアルバム4枚作ります」という宣言をしていて、昨年そのうち2枚を同時リリース。それまで所属していたavexから外れ、VOX MUSICという自主レーベルからのリリースで、オリコンチャートのカウント対象からも外れています。

そういう店舗限定の売り方はインディーズではよくあることで、たとえばタワレコの渋谷店新宿店あたりがまだ一般流通盤をリリースしていない若手バンドが通常ライブ会場のみで販売しているCD-Rを店舗取扱いしたりとかあるのですが、河村隆一レベルの知名度の人が、オリジナルアルバムでやるというのはなかなかありません。
まあ、新星堂とWonderGOOということで、販売店網は恐ろしく東日本に偏っていますが、WonderGOOが楽天で通販持っていますので大丈夫です、たぶん。

ただ、どんどんパッケージの売り方が変化しているのはこういう形だけではなく。

YOASOBIのパッケージ初リリース「THE BOOK」は通常盤というものが存在せず、バインダーケース型の限定盤のみのリリースでしたが、速攻で完売し、現在オークション系では割ととんでもない価格が付いていたりします。
既に3月にCDシングルのリリースも決定していますが、楽曲自体は既にYouTubeに上がっていて、かつそのリリースも「期間限定」を銘打った盤のみで、アニメ主題歌であるがゆえにこれまで以上にパッケージへの親和性は高いはずなのですが、そこらへんブレてなくてイカす。

私は「THE BOOK」はぼんやりしていて買えなかったのですが、タワレコ限定販売のAyase名義でリリースされた、ikuraさんが歌入れする前の初音ミクがヴォーカルの多分デモ音源集「MIKUNOYOASOBI」は何とか入手成功したので、割と満足しています。

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これ、レーベルのC表記はCrypton Future Mediaですが、CDの背のデザインはSONYのそれという、割となるほど感高い仕様です。

また、昨年リリースされたゲスの極み乙女。のニューアルバム「ストリーミング、CD、レコード」は、配信は5月でパッケージは6月というリリース順序もなかなかでしたが、その6月発売のパッケージ
・CD+DVD限定盤
・CD+Blu-Ray限定盤
・アナログ限定盤
・バームクーヘン(音源付属せず)
という、通常盤CDのみという形態のない謎のリリース形態で少し話題になりました。バームクーヘンには音源は付属せず、バームクーヘン以外にはCDケースとそれに入ったブックレットが付属する形。
音はストリーミングで聴き、歌詞は購入したブックレットで確認して、バームクーヘンは食ってくれ、というスタイルでした。

そして今週リリースされたヨルシカのEP「創作」は、さすがにバームクーヘンは付かないものの、通常のCDと共に「CDなし」のパッケージが出ていましたので、正味面白半分で購入してみました。

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ものすごく明示されていますが、やっぱりレジで店員さんから「CD入ってないですがいいですか」と聞かれました。そりゃ聞く。でもそういうことをきちんと把握しなければいけない店員さんが大変。

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普通のCD用ケースを使用していますので、CDを収めるトレイはあってもそこには何もない。凄い違和感。海外のアナログ等によくあったダウンロードコード等も一切ない潔さ。

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歌詞カードはブックレット型ではなく、1曲ごとに1枚1枚独立した丁寧な作り。ケースからはとても出しにくいですが。

公式サイトでは「”CD”の在り方をCDショップで問う、皮肉が込められた作品となっている」という記載がありますが、実際にそれなりの価格で販売しておいて「皮肉」とは何ぞや、という気持ちはしなくはないものの、ミュージシャン及びレーベル関係者の意図は概ね伝わってきます。

というか、ダウンロード販売黎明期、「これ歌詞とかジャケットとかクレジットないのキツいわ、公式サイトとか何らかの形でそういうの公開したりせえよ」という意見が、割と利用者の総意に近い形であったと思うのですが、このサブスク時代にごく一部とはいえこういう割と予想外の方向で実現されると、気持ちの置き所に困ります。