sora tob sakana「deep blue」のこと

sora tob sakanaのラストアルバム。買ったのはライブDVD付きの7,000円のヤツ
5月、sora tob sakanaの解散が発表された時、確かに驚きはしたのだけど、どこかで自分としては腑に落ちる部分があったのも事実で。

まず、メジャーに上がってからの曲の変化。
インディーズ期はいつも新譜が出るたびに「アイドルポップスの拡張」というフレーズが頭によぎるような実験というか冒険というか、聴いていて曲調と展開にワクワクするところがあったのですが、メジャー以降は「オサカナらしさ」を規定したうえで、その中でのバリエーションを探るような、言ってしまえばいい曲ではあっても驚きはあまりなくなっていて。
そしてデビュー以降通してあった「ジュブナイル」的な空気も曲によっては薄れている気がして。それはメジャーでタイアップ等の楽曲を制作するためには止むを得ないとは思うのですが、でもメジャーに上がって以降の楽曲には、それまでほどの思い入れを持てなくなっていたのも事実。

そして、玲ちゃんの脱退。
2018年くらいまでのライブを観たことがある方なら多分ご存じだと思います。彼女が一番「売れたい」「大きなステージに立ちたい」という野心を口にしていたこと。
他のメンバーが実にふんわりしているだけに、その言葉はとても強く聞こえて、彼女がこの先もグループ全体を鼓舞していくのだろうと思っていたのですが、実にあっけなく脱退。
脱退に至った事情を詮索する気はないですが、でもあの言葉は一体何だったのだろうと、今も思っています。

自分はそんな部分に、ちょっとした危機意識を感じていて。

もちろん、5月に解散発表、9月にラストライブというスピード感から察するに、コロナ禍の問題は大きいというか、ほぼそれが主因なのだろうとは思います。
数人のスタッフで回している地下ならともかく、メジャーに上がってしまえばレーベル側にもスタッフは付きますし、どうしてもチームは大きくなります。
そしてそのチームとしてのビジネスが成立しなくなったのであれば、そしてその立て直しの目処が立たないのであれば、早めに撤収するのが筋です。
書いててとても虚しいけれども、筋です。

ということでラストアルバム。
4人での楽曲を3人体制で歌いなおし9曲&新曲2曲という構成。でも歌いなおしだと思っていた曲もオケから全部録りなおし。リアレンジというほどではないのですが、明らかに音像がシャープになっていたり、音が足されていたりして、これなかなか面白い。
そして新曲。1曲目、最後だから好き放題なのか、「残響」らしさ満載の「信号」と、いろんな意味でスワンソングとして無闇に響く「untie」。
ここまで「ラストアルバム」として綺麗にパッケージングされたブツ、他になかなかありません。

あとはラストライブの抽選が当たるかどうか。あの馬鹿高いヤツですが、できれば現場で見届けたい。

昨日、フィロのスとの2マンライブをアーカイブで鑑賞したのですが、ポジションとしてはまるで真逆ではあるものの、我ら楽曲派クソ親父としては最高の組み合わせであり、その系譜が解散する年下からこれからメジャーデビューする年上に引き継がれたのをしかと見届けました。