レコファンの店舗が全滅すること

レコファン渋谷BEAM店が閉店セールを開始しました。

閉店日はまだ具体的に発表されてはいませんが、恐らく閉店セールの売上と在庫の状況を見ながら判断することになるのでしょう。

ここんところの自粛等による影響で、実際の閉店も多少早まったとは思うのですが、レコファンは2014年に一部の期間限定店舗を除いて横浜西口ダイエー店とのメガショップ2店舗体制にまで縮小していて、その横浜の店舗も2019年1月に閉店、その時点で相当にキツい状況であっただろうと思います。
1981年に下北沢に最初の店舗をオープンしたレコファン。1983年に渋谷進出、以降首都圏に店舗網を拡大していったのですが、2006年以降縮小傾向に転じました。
とりあえず拾える限りの閉店の状況は以下の通り。

2006/04/02 渋谷センター街店 閉店
2006/04/30 橋本サティ店 閉店
2006/06/25 渋谷店 閉店
2007/11/26 三軒茶屋店 閉店
2008/03/30 経堂店 閉店
2009/03/29 秋葉原店 閉店
2009/06/30 高田馬場店 閉店
2009/07/26 吉祥寺店 閉店
2010/11/16 西武新宿ペペ店 閉店
2011/03/21 秦野ジャスコ店 閉店
2011/03/27 川崎ルフロン店 閉店
2012/05/13 LIVIN田無店(期間限定営業)閉店
2012/05/20 大泉LIVIN OZ店(期間限定営業)閉店
2012/06/24 下北沢店 閉店
2012/10/08 池袋店 閉店
2013/02/24 町田東急ツインズ店 閉店
2014/03/31 大森店 閉店
2019/01/31 横浜西口ダイエー店 閉店

中には、2010年5月にオープンして翌年3月に閉店した川崎ルフロン店のような悲惨な事例もあるのですが、流れを追っていくと、2006年に渋谷の店舗を1994年オープンの渋谷BEAM店に集約したところまではまだ理解できるものの、それ以降着実に店の数を減らしていくプロセスで、閉店する店舗について意図的なところが見えず、苦しくなったところから順番に閉じているだけのようにも見えます。

ディスクユニオンが一時期事業を多少整理した際、まず稲田堤と淵野辺のロードサイド型店舗を閉め、完全に都市型のみにした点や、店舗をジャンルごとに細分化したり、店舗まで分けなくても店内のジャンル分けをできるだけ細かくわかりやすくすることで、そのジャンルの固定客を掴んで現状の店舗規模を維持し、大阪にまで出張ることになったのと、レコファン。随分違います。
いや、レコファンのわちゃわちゃした店内好きなんですけど、少なくとも好きなジャンルの定まっている若い層にとってそれはキツいだろうと思います。

というか、1994年か1995年に初めてレコファンに行ってビビったのは輸入盤新譜CDの安さでした。
渋谷のHMVで2,080円、タワレコで1,980円で売ってるCDが、レコファンに行ったらだいたい1,780円で買えました。下手したら1,580円の盤まであったりして、ボランティアか馬鹿かどっちかじゃないだろうかと思ったものです。
それがだんだん価格差が詰まってきて、新譜の価格という点ではレコファンのアドバンテージはなくなっていきます。

恐らくタワーレコードやHMVが国内の店舗数を爆増させたことで販売点数も爆増、仕入れ単価を下げることに成功したからだと思うのですが、それ以降レコファンは中古屋として愛用はしていて、安いものは圧倒的に安いしそれなりに掘り出し物を見つけることはあったものの、「この人のこの盤がほしい」という狙いを付ける場合には、ユニオンやそのジャンルに強い個人店に行く方が確実で。
レコファンは「物」はあってもレコメンド等の店舗としての発信機能は他に比べて弱く、それはぶっきらぼうだった店員がある日突然「いらっしゃいませ!」と挨拶し出した程度で代替できるものでは無かったのだと思います。

店舗はなくなっても通販は続けるようではありますが、現状で自前の販売サイトはただのメールオーダーのカタログで、とても枚数を捌けるようなブツではなく、その他Amazonも使用して販売を行っていますが、渋谷の店舗なくなったら「レコファン」としての実態は限りなく見えにくくなってしまいそうで、これ正直厳しいっす。