BARBEE BOYS@代々木第一体育館のライブのこと

1月13日はBARBEE BOYS@代々木第一体育館。

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BARBEE BOYSについてはまず、1980年代の彼らがどれくらいオリジナリティの塊で、そしてそれ故に解散以降過小評価され続けてきたのか、ということを申し上げねばなりません。

ようやく日本でバンドによる音楽がミュージックビジネスの中心になりつつあった1980年代前半、それでも女性ヴォーカルバンドですら稀な時代に男女ツインヴォーカルというスタイルは、当時の世界中見渡しても超レア。

世界的に見て「男女が共にヴォーカルを取るバンド・グループ」の始祖的存在はIke And Tina Turner Reviewの一部楽曲、Peter, Paul and MaryやFleetwood Macあたりが挙げられますが、これらはメンバーの誰かがメイン・ヴォーカルを取る形であったり、ハモったりという形であって、ここまで並列の「ツインヴォーカル」という事例は、世界的に見ても彼ら以前ではJefferson Airplane/Jefferson Starshipくらいしか思いつかない。

かつ、男女間の様々な機微をストーリー的に転がす歌詞によって男女ツインであることへの圧倒的な必然性が生じ、しかも相当猥褻なことも歌っているにもかかわらず、そのポップネスとユーモアによって全く下品に聴こえないという状態。
要するに世界的にもほとんど例を見ない編成にして、既にその完成形・理想形であったという奇跡のようなバンドだったわけです。

しかし、そういう奇跡的なバランスであったが故に、彼らには一切と言っていいレベルでフォロワーが現れませんでした。正直あんなセンスの楽曲を誰が書けるのかつったら常人には無理だし、そもそもあのスタイルはヴォーカルが男女ともに色男・色女でないと全く説得力がなく、そもそもそんなメンバーどうやって集めるの、という時点で。

かくしてこのパイオニアが立ち止まった時点でスタイルごと終了、断絶を迎えることになります。フォロワーがいなければパイオニアが大きく再評価されることもなく、ただ当時に彼らの音楽に痺れたおっさんおばさんが時々思い出しては「最高最高」と譫言のように呻くだけになってしまいました。

だから今回の活動再開というのは、ただ観られて嬉しいというだけではないのです。おっさんおばはんが当時のあの気持ちを確認しにいくのです。当時のあの熱狂を取り戻しにいくのです。

果たして代々木第一体育館はだいたい同い年のおっさんおばはんでぱんぱんの満員。そしてバンドのメンバーはだいたい還暦かそれ近く。果たしてどこまでやれるのか、という不安はありました。
が、およそ問題なし。豊洲のOKAMOTO'Sとの2マン観に行った友人曰く、コンタの声が厳しかったとのことでしたが、そこからトレーニングを積んだのでしょう、さすがに全盛期までは行かないにしろ、予想以上に大丈夫。
あとコイソのドラムの腕の使い方が何か少し妙に見えたくらい、というか、杏子姐さんがロングスカートからミニスカートに早替えするときにみんな「おー」って、お前ら彼女この8月で還暦なのに何言ってんだ。俺も言ったけど。

イマサの楽曲は調子のいい悪いが比較的はっきりしていて、というかアルバム通しておよそ抜群なのは2ndから4thまでだと思っていて、1989年に「夜のヒットスタジオ」に出演して「chibi」を披露した際、「曲書いてますか」と問われたイマサが「湯水のように」と回答したのを聞いた当時の私は、その回答のセンスを理解できず、「いや、このアルバムのアベレージレベルの曲を湯水のように書いてもあかんやろ」と脳内マジレスしたことを強烈に覚えています。
正味新作も決して傑作とは思いませんが、でももういいの。こうやって曲を書いてライブやるモチベーションが5人にあり、時々でいいからまたライブしてくれれば。

あと、改めての報告ですが、新宿駅西口地下街のカレーハウス11イマサが花を出していました。

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抜群の立地なので普通に経営すればいいのに、時々「背脂カレー」とかの頭の悪いメニューを出すお店です。最近行ってないので、花代分くらいは食べに行きたいと思います。よろしくお願いします。