Maison book girl@LINE CUBE Shibuyaのライブのこと

1月5日はMaison book girl@LINE CUBU Shibuyaというか新しい渋谷公会堂。

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正味、綺麗にはなりましたが会場としては前の渋谷公会堂よりエントランス・ロビー部分が非常にコンパクトになってしまい、導線的にはむしろ残念化。
でも、トイレは非常に豊かになりましたので、これはこれでいい。

で、ライブ。
正味、すごかった。とにかく彼女たちのワンマンライブはとにかくアホみたいに作り込んでくるのですが、何か極まった感があります。
これまでは映像や照明を凝る方向で突き詰めていたのですが、さらにそこから逸脱し、透過モニターに何を映すかだけでなく、それが上下に動いて「どの位置で映すか」「どれくらい透過させるか」が演出上大きな意味を持ち、さらに後ろの大型スクリーンと連動する。
そして一切スクリーンを使わず、ライトとその影だけでその「場」を作ったり、ありとあらゆるアイデアがぶち込まれた演出が次々と繰り出されるわけです。

ただ、自分が心底グッと来たのはそういう大きな演出ではなく。
彼女たちの楽曲はライブ感のあるものではなく、打ち込みメインでかつチェンバー感のある楽曲が大半。振り付けも幾何学感があるものが多く、ライブの演出も無機質な映像がメイン。
そんな中でライブでの彼女たちの歌と動き、その微妙な肉体性が差し込まれることで、他のどのグループにもない微妙なライブ感を醸し出すのですが、今回とてつもなく微妙ではありますが、でもその「肉体性」を最大級に引き出す演出があったんです。

「rooms_」という楽曲。曲間に無音部が多く、今MDにダブったら絶対7曲分くらいでトラック切ってくるだろうよ、という曲なのですが、そもそもライブ全編オタ芸打ったり声援送ったり拍手することすらできないような構成の中で、その無音部、2000人近く入った会場の中、ただメンバーのリズムを取る足音だけが聞こえるのです。
この微妙な、しかし圧倒的な肉体性。心に来る。

そしてそういう手拍子や拍手すらできないような流れの中、いきなり彼女たちの楽曲の中でも屈指のアゲ曲「my cut」が始まり、メンバーも「オイ!オイ!」的にこぶしを突き上げ、でもこっちはそれまでの流れがあるからそんな急にアガれねえよ、と思ってたらその曲がどんどん途中から壊れていってとても手拍子とかできる状況じゃなくなったりとか、透過モニター右半分映ってないんだけど、残りで映ってる映像はちゃんと映っている部分でセンターは合っているからトラブルではないのであろうなとか、そういう心理的な駆け引きすらライブの中にぶち込んでくる。
これ何なんだよ。本当にそういうライブ。すげえアガって盛り上がるとは違う、でも圧倒的なライブ感があったのです。

現在のアイドルシーン、大手ではないところで楽曲とライブと動員と、ということを鑑みると今最も期待できるのはブクガかフィロのスか、ということになると思うのですが、その2組が正味全く違う方向に行っているのがすごく面白くて。
ブクガはライブを「作品」として極めようとしている。フィロのスは「現象」としてその存在をどこまでもアピールしていく。みんな違ってみんないい。
だからまだまだアイドル界隈おもしろいのがたくさんあるってことですよ。みんなライブ行こう。