今、ストリーミングに楽曲を出さないミュージシャンのこと

遂にラルクが11日にサザン・桑田佳祐他が20日にストリーミング解禁されまして、最後の分水嶺を越えた感がすごくします。
ラルクもサザンも、どう考えても新たに旧譜CD売ろうとするよりストリーミングを公開した方が儲かる曲多いと思うので、正直遅きに失した感があるとも思うのですが。

で、ここまで来ると解禁してないミュージシャンの方が珍しい状況になってきたのではないかと思い、思い付く限り検索してまだストリーミング解禁してないミュージシャンを探ってみたのですが、正味ここまでの実績として「日本三大『ストリーミング出さない勢』」がいます。

「アップフロント」「Being」「ジャニーズ」

ハロプロが本当にストリーミングに出てこないということは、アイドル界隈ではよく知られているのですが、調べてみたらKANさんも最近の2作以外は出てないし、スターダスト・レビューもアップフロント所属期の音源は出ていない。アップフロントグループ全体が結構頑なです。

Beingは、B'zをはじめとして、たとえばT-BOLANとかWANDSとかも全く所属期の音は出ていない。倉木麻衣も。先日、大黒摩季がストリーミング解禁というニュースが入ってきましたが、蓋を開けてみれば最盛期のB-gramレーベル所属時代の音源は解禁されておらず。
本当に一切ないのか探ってみたところ、TUBEの2015年のオールタイムベスト盤だけ出てた。これはそういうレーベルを越えてのコンピ盤でしたので権利的に他と少し異なるのかもしれません。

ジャニーズはそもそもデジタル大嫌いでしょうがなかったのが、この5月に公式のグッズオンライン通販を開始、8月にSixTONESがYouTubeチャンネルを開設したりと、急に慌ただしくなってきてそして10月に嵐がシングル楽曲のみではありますが、ストリーミング解禁し、微妙に牙城が崩れた感はあるのですが、そこから2か月、他のグループに波及する様子はなく、やっぱベスト盤リリースして落ち着いて、ここから先に既存曲でビジネス転がそうとしたらこれしかないという判断の結果であって、若いグループについてはまだまだパッケージで売る気満々ではないかとも思います。

「出さない勢」以外で楽曲解禁されていないメジャーなミュージシャンはおよそこんな感じ。

aiko
大瀧詠一
久保田利伸
谷山浩子
CHAGE & ASKA
中島みゆき
Hi-Standard
氷室京介
THE BLUE HEARTS/THE HIGH-LOWS/ザ・クロマニヨンズ
マキシマム ザ ホルモン
山下達郎
米津玄師

米津玄師はまだ解禁しなくても単価高いCDとDLだけで儲かる感ありますが、他はどうなんでしょう。
谷山浩子と中島みゆきはヤマハ所属ですが、同様ヤマハ所属の阿部真央や吉澤嘉代子は普通に解禁されていますので、これは谷山浩子と中島みゆきが徒党を組んで阻止しているのではないかと思います。
CHAGE & ASKAは正味、メイン作者があんな状況ですなので、判断するとかしないとかいう感じではないのかもしれません。
氷室京介は、広げてしまったビッグビジネスをけっこうな期間をかけて丁寧に畳んで表舞台から去ったわけで、今さらビジネス再開するという気持ちにはならない、ということでしょうか。
マキシマム ザ ホルモンは、アリーナ以上の巨大会場では単独ライブを開催しないというルールで活動していますので、総売上中の音源の比率をできるだけ下げたくないのではというのは下衆の勘繰り。ライブハウスと盤という昔からのスタイルを維持したいのだと思います。ヒロト&マーシーやHi-Standardも一緒でしょう。

山下達郎も大会場でライブしないルールの人ですが、ラジオ番組でかける楽曲を事前にラジオに合うようにミックスするという方ですので、てめえの音源をストリーミング音質で世に出すことを許さないルールなのではないかと思います。
もし彼の音源がストリーミングに出るとしたら、全音源ストリーミング用にミックスし直してからみたいなことになるのではないでしょうか。
で、旦那がそういう感じですので、嫁さんの竹内まりやの楽曲は結婚する前のRCAレーベル期のものしか出ていないのもさもありなん。

他に「出てるけど全部ではない」という過渡期的な状況なのが、

Acid Black Cherry(全シングルと初期アルバム)
角松敏生(最新音源のみ)
Dragon Ash(最新アルバムのみ)
back number(ベスト盤以前の音源)
浜田省吾(クリアウォーター所属以降とベスト盤)
Unison Square Garden(配信専用ベスト盤のみ)
RADWIMPS(配信専用コンピ盤とシングル2枚のみ)
レキシ(1stアルバムのみ)

大御所や現役あたりをとりあえずざっくり調べてこんなところ。少しずつ出しながら収益を計算しているのでしょうか。

80年代から90年代あたりの、あんまり売れなかった方々は、先日JAGATARAの相当数の音源が解禁されましたが、これはメジャーデビューした際のレーベルBMGがインディーズ音源も引き取って後に再発していたために可能だったことであり、「南蛮渡来」以前やライブ盤「君と踊りあかそう日の出を見るまで」は対象外。
それでもマスターがまとまっていた彼らはいい方で、昔のインディーズを主戦場にしていたバンド等で今出ていないのは、これ近々での全面解禁は相当難しいのではないかと思います。
正味、7インチ盤でリリースされてその後CD化されなかった楽曲や、初期にCD出た後一切再発されていないのとかがストリーミングに出てくるはずもなく。やっぱレア音源はレア音源のままです。

そう考えると、今の新譜CD店は各ミュージシャンのファングッズの総合ショップ化、中古盤屋は海外ミュージシャンの「デラックス盤」的なところも含む過去現在のレア盤を骨董品的に集めて売る場所になる方向にしか行けないように思えてくる。
今とあんまり変わらんような気もしますが、たとえば10年後の日本にそれがいくつあるのか、という話です。