1986年のレコード屋のこと

先日、1986年刊の「TOKYO RECORD MAP」を入手しました。

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今も続く「レコード+CDマップ」の原点となる書籍ですが、この1986年版のそれ以降の全国版との大きな違いは、普通に新譜を扱ういわゆる「街のレコード屋」まで網羅されていることで、結構テンション上がります。俺は。

これで当時の新宿界隈を見てみると、「新宿」地域には新譜扱いのレコード屋が17店舗あることがわかります。

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ここに掲載されているうち、今も残っているのは山野楽器新宿店のみ。それも、当時は小田急百貨店本店の中にあったのが現在は別館のハルクに移転しています。
帝都無線は営業はしているものの、西新宿の路面に移転して完全に演芸系のCDの専門店化。しかし1986年には新宿エリアだけで6店舗の帝都無線があるというえげつなさ。
帝都無線のみならず、当時メディアにも影響力のあったコタニや、当時は複数店舗を出していた星光堂、十字屋等はその後訪れる外資系の進出等によって駆逐されてしまうわけですが。

そして2019年、新宿で普通に売れ線含めた「新譜を買えるCD店」は、
・タワーレコード新宿店
・山野楽器新宿店
・HMV&BOOKS SPOT SHINJUKU

品数は落ちますが
・ヨドバシカメラ
・ビックカメラ
あたりでも扱いはありますが、この程度です。

日本のレコード屋の歴史をものすごくざっくり追うと、

1950年代まで:蓄音機を扱う楽器屋・委託された時計屋
1960年代:店舗設置の完全自由化、ステレオコンポの普及によって店舗増加
1970年代:国内大型チェーンの伸長
1980年代:レンタルレコードの急伸によって体力のない店舗の衰退
1990年代:CDバブルで全体量は上がるものの、外資系の参入、TSUTAYAの急伸で一部国内チェーン衰退
2000年代:郊外型ショッピングモールの展開によって市街地型の店舗が衰退
2010年代:いろいろと全部衰退

こんな感じになると思うのですが、とりあえずこの本で1986年の東京都内は相当詳細に把握できます。
本当に、新星堂の1970年代の拡大の状況とか、星光堂がどのように店舗を増やして、その後小売りを畳んで卸の方の専業になったかとか、知りたくてたまらない。
国立図書館とか神保町古書街でそういうの調べたいのですが、今の状況では可処分時間的に無理。仕事辞めると可処分所得的に無理。
もう本当にそういうことしてたらお金くれる人いないか。とてつもなく後ろ向きな作業だが。