Perfume「 Perfume The Best "P Cubed"」のこと

Perfumeのメジャーデビュー15周年ベスト盤が出ました。大変に感慨深い。

Perfumeに初めて接したのは2003年のインディーズからのシングル「スウィートドーナッツ」。
当時カバー曲のコレクターをしていたのですが、カップリングに「ジェニーはご機嫌ななめ」が収録されていたので、条件反射で買い求め。
でも、カバー曲以外も80年代な「テクノポップ」っぽくて悪くないと思い、その後の「モノクロームエフェクト」「ビタミンドロップ」も購入し、でもそんな「うわー!」と言うほどでもなかったため周りの数人に「悪くないよ」と言った程度で終了。

その後まさかメジャーデビューすると思わんかったわという気持ちで「リニアモーターガール」を手に取り、リズムはともかく音色は90年代以降の「テクノ」に寄せてきたかなと思いつつ、でも相変わらず「悪くない」止まり。
それが一気に変わったのが「エレクトロ・ワールド」。自分も「やっと来た!」と感銘を受けたのですが、それを誰かに伝えるよりも早く、当時のクラブイベント繋がりの友人たちが一斉に歓喜の声を上げ始めました。
「Complete Best」がリリースされると「『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル』は厳密にはテクノじゃないよな、エレクトロだよな」という謎の確認会が開かれ、「チョコレイト・ディスコ」が出てくる頃には、仲間うちにも頭おかしいレベルのファン(かしゆか推し)になる奴も出てくる始末。

「スウィートドーナッツ」の頃に共有した友人たちと、面影ラッキーホールとPerfumeの2マンという酷い組み合わせのライブに赴いたところ、フロアに知っている人間がやたらいて笑って。

「ポリリズム」のヒット以降は思うようにチケット取れず、でも観られる機会があればできるだけ観るようにして、そして東京ドーム公演の伝説のMC「ベランダの鳩」を聞いて、こんな場所にまで来てもブレることのない、あまりにもな「らしさ」に泣きそうになる状況に至るわけですが。

「テクノアイドル」と雑に呼称されてはいるものの、ブレークに至るまで「テクノポップ」⇒「テクノ」⇒「エレクトロ」と、微妙に音楽性を変えてきて、ブレーク以降は基本そのエレクトロ路線がベースにはあるものの、時にはテクノクラシックをモチーフにしてみたり、EDMが流行れば思いきりそっちには降らないものの、EDM的構造の楽曲を放り込んで来たり、確実に変わり続けてきた彼女たちの、きちんと発表順に並べた正しいベスト盤が本件。

最初の新曲「Challenger」が、イントロは今のPerfumeっぽい音色から一気に「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」以前のテクノスタイルに持っていくところでもう痺れるわけです。歌メロ前の時計のような音は「時間を遡る音」なんですよ。
それ以降シングル曲以外にも「GAME」「edge」「Party Maker」のような、アルバムで一番尖った曲をきちんと入れているのもその時々のライブ含めた歴史としては極めて正しいし、このボリュームから言って「ベストアルバム」と言うよりは「彼女たちの15年を一気に追体験するためのアイテム」という感じの佇まい。

そして最後の新曲「ナナナナナイロ」の、特にサビ部分の「歌以外のメロディ音の鳴ってなさ」は明らかに直近の英米の音作りの方を向いているわけで、多分彼女たちの音は、中田ヤスタカというフィルターを通して常に「今」であり続けるのです。

あとはもう、世の中的にアイドル結婚しても続けてもいい感じになってきつつあるので、3人とも結婚してもいいから続けてほしい。よろしくお願いします。