昨日Twitterに上げた奴。
四半世紀もの間、最新の音楽をキャッチアップし続けたマドンナ先生が、遂に音を上げたででござる。https://t.co/Xv0AgKerxg
— O.D.A. (WASTE OF POPS 80s-90s) (@ODA_80_90) 2018年8月13日
そこそこRTしてもらっていくつかご意見いただきまして、興味深く読みました。
ただ、今のアメリカのヒットチャートの音楽を「面白くない」で一蹴するつもりもなく、どのようにこういう流れに至ったのか、これからどこに行くのかということを考えるとこれはこれで楽しい。
ChainsmokersやMarshmelloあたりは、さすがにワンパターンにハマってきたEDMをベースにしつつ、R&B的なポップネスやらちょっとしたセンチメンタルを乗せてポップスとして響かせることで受けたのだと思うし、音数の少ないヒップホップは、無闇に多様化したヒップホップシーンを、一度最初のターンテーブルのみで音を出していた時代にガラガラポンする、パンクに近しい有り様と考えると、合ってるかどうか知らんけど楽しい。
既にヒップホップ、そういうスカスカ傾向に対しての亜種は数々登場していて、音数は少ないけどメイン楽器にスティールパンを持ってきて、スカスカなのに何かトロピカルな空気出してる曲もあったりして、それ聴いて「ああこれはニューウェイブの始まりだ」とか思ったり。
ヒップホップの場合は、チャートのトップはDrakeとかKendrick Lamarですが、アメリカ在住のティーンの子供を持つ人に聞くと、ティーンはヒップホップ好きは多いけどそこらへんはリリックが難しすぎるから全然聴いてなくて、Lil Pumpとか「Lil」が付いてる系の、要するに昔ながらの「俺は悪だぜ」系のを好んで聴くということで。
で、そこらの「Lil」系の人たちは、YouTubeに音楽だけでなく悪さする様をアップしたり、半ばYouTuber的なところでもティーンを掴んでいたりして。
以前からこういうことを言っています。もう構造的に国民的なヒット曲は出ない世の中になったと。
で、アメリカも多分にそうで、というか、メディア経由のヒット曲という意味ではもう日本以上にそういうのは出にくくなっています。それでもビルボード・チャートは発表され、それなりの数のメディアがそれに追従している。
マドンナのこのコメントも、そういう追従したメディアからの情報でもって言っているような気もする。近作ではネプチューンズとかニッキー・ミナージュとか、先端と言うよりはど真ん中に突っ込んでいた彼女ですが、ニッキー・ミナージュなんか言ってみれば「21世紀版マドンナ」的な風情ですから、マドンナも彼女に対してシンパシーは感じられるだろうし、前作アルバム「Rebel Heart」は1983年のマドンナを21世紀的にアップデートした作品と捉えると具合がいいなあ、とか思っていましたし。
でも、彼女がそういう情報でもってそういうコメントを出したとしても、もう今のヒットチャートは国の総意を表すものではなくなっています。
現状を見て思うところの「オリコンチャートってアイドルばっかじゃねえか」と、「ビルボードチャートってヒップホップばっかじゃねえか」とは、実はさして変わらないというか。もちろん僕らが若かった頃よりヒップホップが圧倒的に強くなっていることは間違いないにしても、ミュージシャンやそのリスナーがチャートに乗りやすいアクションをしているところが強いというのは間違いなくて。
ああ、これ象徴的だなと思ったのは、Troye Sivanというオーストラリアの俳優兼シンガーのMV。ワールドワイドに打って出るのでしょう、feat.にアリアナ・グランデを絡ませてきています。
が、こういうMVの場合、熱唱することで元々興味がなかった人も巻き込んで場全体がノリノリになって終了というのが「MVあるある」だったはずなのが、このMVでは興味のない人間が続々と退場して、最終的に残っているのは当事者2名のみ。これが今の「ヒット曲」を象徴していると思うのですよ。
日本だけじゃなかった。