3776 / 公開実験 <山梨盤>
3776 / 公開実験 <静岡盤>
アイドルを楽曲派糞親父として俯瞰するように眺めています。もはや「楽曲派」と言っても様々なグループが登場し、もう一筋縄ではいかないわけですが、いろいろ聴いているうちにやっぱ各グループぞれぞれいいところは違うのだなと思ったりもしています。
sora tob sakanaは「アイドル的な楽曲」の枠を壊してずいずい闇雲にその幅を広げている。
amiinAは新譜は音としては前作よりは落ち着きましたが、それでもパフォーマンス含めてのスケール感はさらにアップしている。
大阪☆春夏秋冬はあれだけの歌とダンスをアイドルの看板を背負ってやりきることで、アイドルの懐をどんどん深めている。
フィロソフィーのダンスは、様々な洋楽の意匠をきっちり消化して、音楽としてのバラエティを増やしている。
そんな感じで。みんな違ってみんないい。
で、問題は2年前に楽曲派を困惑の海に叩き落とした3776ですよ。妙ちくりんとしか言いようがない楽曲群と、アルバム通すと3776秒というこだわっている割には誰も得しない構成。
唯一のメンバーだったちよのちゃんが受験のために一時休止し、戻ってきたタイミングで出されたこの告知。
楽曲の方向性がどうこうじゃねえ。「アイドルグループ」という既定の概念すら捨てにかかっているこの状況で、この日の富士宮でのライブを観ていなかった方々以外にはおよそ謎のこの内容。しかし、この日のライブで披露した楽曲4曲をまとめたこのCD2枚を聴いて嫌になるくらい理解しました。
邦楽が好きな方ならcorneliusの「STAR FRUIT SURF RIDER」のシングルを、洋楽が好きな方ならThe Flaming Lipsのアルバム「Zaireeka」の4枚を2枚にした奴と言えばいいのでしょうか。要するに1枚でも音楽として成立しているけれど、2枚同時がけをして初めて楽曲の全容が掴めるという仕様。
ギター・ベース・ドラムはおよそ共通ですが、メロディは静岡と山梨の双方好き勝手な解釈で進み、ただしサビの一部だけは気持ちよくシンクロするM-1、静岡がベースラインのようなメロディを歌い、山梨がその上にふわふわと乗るような、ただし異様に気持ちの悪いリズム進行は共通のM-2、一番可愛くて合わさると掛け合いのようになるM-3、双方ほぼ同じようなトラックながらメロディやテンポ感の相違が気持ち悪くて気持ちいいM-4。
もう全編石田Pの実験場に女の子2名が供物として供されている状態であり、ちよのちゃん可愛いわあ勢はもうこの何のホスピタリティも感じられない音楽らしきものにとぼとぼとついていくしかないのでしょうか。
それでも俯瞰サブカル糞親父はもうこれ楽しくて仕方ないのですよ。CDJで回そうとしたら、引っ越しして以降一切触っていなかった祟りか完全に片方のPLAYボタンが死んでしまっていたので、仕方がないのでiPadに食わせてアプリDJAY2で同時再生を試みて堪能いたしました。
ぜひ皆様も「俺はちよの推しだから静岡のみ」と言わずに2枚買って遊んでみることを強く強くお勧めする次第。
CDJで頭出しできる環境がベストとは思いますが、なければスマホかタブレットに食わせたうえでDJアプリを使えば比較的容易に2枚同時がけが可能です。M-2,3,4は「せーの」でPLAYボタン押せばOKですが、M-1は頭出しをしたうえで「残り時間」の秒刻みがイコールになるように回すと非常に気持ちよく聴けます。
ぜひお試しを。