little HERATS.の店舗拡大のこと

絶滅の危機に瀕している「街のレコード屋」でございますが、現状でおよそ店内在庫を演歌に絞っている店舗も珍しくありません。
それは戦略上そうしたというよりは、ジャンルの細分化やネット経由等でパッと出てくる新人等多すぎて、経営者の老夫婦ではとてもどれがどの程度売れるかを判断して仕入れするレベルでキャッチアップできる状況ではないため、己の理解できる範囲に絞り込んだ末の消極的リスクヘッジという側面もそれなりにあったりするわけでございますが、結果として「シニアのためのアニメイト」的なセレクトショップのような風情まで醸し出すお店もあったりとか。
顧客の方ももう演歌以外までアンテナ広げられる方も多くなく、その界隈でレーベル推しの新人を年に数人認知することができればそりゃ上出来のレベルですので、およそ問題なく。

そこそこ床面積のあるCD店に行きますと、演歌&歌謡曲はきっちり他のJ-POP全般とはゾーニングされて置かれていることがほとんどですが、実際問題として三山ひろしのCD買いに行った人が棚を見た時にその隣にMIYAVIのCD置いてあったとして興味を惹かれるかという話であり、だったら山内惠介を隣に置いておいた方がビジネスチャンスとしては可能性高いわけで、そういうゾーニングはもう必須ということで。

その他ゾーニングされがちなジャンルとしては、アイドル系、LDH系、ボカロ系、アニソン&声優系、ヴィジュアル系等がありますが、それでも演歌のように「そのジャンルしか扱わない店」がそれなりの数あるのは、結果としてアニメイト等のアニメショップがその役割を果たしているアニソン&声優系と、単体店舗・チェーンがちょぼちょぼあるヴィジュアル系ぐらいではないでしょうか。

で、ここからが今日の本題です。
ライカエジソン、ZEAL LINK等V系専門のCDショップチェーンはいくつかありますが、中でも新宿・大阪・仙台と広域にわたって3店舗展開しているのがlittle HERATS.です。
最近のヴィジュアル系界隈、決してファン層がすごく拡大しているわけではなく、特に若いバンドは若いそういう属性の方々のパイの取り合いをし続けている現状、のはずなのですが、little HERATS.ここに来て一気に札幌・横浜・名古屋・静岡・高松の5店舗増という、現状のCD事情を踏まえて普通に考えたらあり得ない選択をしてきました。

V系専門のCDショップチェーンの場合、バンドの方もその各店舗を回って接触イベントとか「私物サイン会」とかを行ってそれによって売り上げを確保しているという、極めて女子アイドルグループに近い状況なわけですが、コアなファンによってはレコ屋を巡るキャンペーンのレベルで全拠点を回る所謂「全通」を果たそうとする方も決して少なくなく、今回のlittle HERATS.の急激な多店舗展開もそれを狙っているのではないかという想像もできたりするわけで。

と、想像まではできるものの実際どうだかはさっぱりわかりません。今後の接触イベントの入りっぷりから何か憶測はできるかもしれませんが、さすがに現地回るのはおっさんにはしんどいです。いろいろと。