サマーソニック2016のこと(2)

サマソニ2日目の感想。

ゴールデンボンバー:
4人がスーツで決めて入場してくるなり「夏ですね。夏にふさわしい曲を」と言っていきなりT.M.Revolution「HOT LIMIT」のカバー開始、衣装も早脱ぎでHOT LIMIT衣装(但し大部分は黒いガムテープで雑に)3人&樽美酒はほぼ全裸(葉っぱ隊状態)。
1曲目で脱いだらその先一体何ができるんだとハラハラしていたら、案の定ガムテープはがす時の「いたたたた」とか、例の「とうもろこしソロ」等も含めいろいろ頑張る。
樽美酒がMCで「今日はお父さんが見に来ているので特別席を用意しました!」と言ったのもこれは完全にネタ振りだとわかってはいても、ビジョンのカメラが切り替わり、バスドラと樽美酒が座っているドラム椅子の間の隙間に微笑みながら体育座りして手拍子するお父さん見たら、それはもう感動と爆笑以外できない。相変わらずとてつもなく酷く、とてつもなくエンターテインメント。
キリショーが「今年は紅白に呼ばれる気がしません!」と言ってましたが、完全に同意します。


POP ETC:
素晴らしく意匠に富んだ、でも地味な曲の数々。大好きなんだけど他人にはお勧めしにくい。Galileo Galileiのメンバーとの交遊もあり、もしかしたら尾崎兄出てくるかなと思って観に行ったのですが、出てこなくてきっとそれはduoでやるワンマンのサプライズなんだろうなと思いつつ。
たどたどしくも学んでいる日本語で全てのMCをやりきり、こういう真面目な姿勢と音楽とライブはすごく好ましくはあるのだけど、非常に大成しにくいタイプだろうなと思いました。


BLOSSAMS:
現在UKアルバムチャート2週連続1位のバンド。凄いタイミングでの来日。アルバムリリース直後にタワレコでは「UKロックの復権」的なかなりガッツリ盛り上げにかかったPOPと共に平出しして推していたのですが、試聴した感じ、覇気のないThe Strokesと覇気のないDepeche ModeをバックにSuedeが歌っているようで、ヴォーカルは非常に魅力的な声でかつイケメンなのですが、他がいろいろ付いていけてないなと思いまして、まんまライブも同じ感想。一言で言えば非常に「のっぺりした」感じの演奏。
正味この1位はライブとか含めての叩き上げのものではなく、何らかのメディア戦略によるものであるということは推測できました。
あとはBabylon ZooやMenswearみたくならなければよいねと祈るばかりです。
今日確か[Alexandros]と対バン公演のはずなんだけど、もうアレキ圧勝なのは想像しただけでもわかる。


米津玄師:
一番新しいアルバムは本当に好きなのですが、それ以前の「ハチ」名義の頃の音世界を継ぐチャカチャカした感じの音はどうしても好きになれなかったのです。が、生バンド編成で一発目大好きな「アンビリーバーズ」から始まっての流れで聴いていると、初期の音源もすごくしっくり入ってくる。
彼の紡ぐ歌詞世界には、私はもうおっさんだから完全にアジャストはできない。それでもバンドと共に放つ音はまだ理解できるし、心底素晴らしいと思う。


THE YELLOW MONKEY:
楽器3人が入場し「夜明けのスキャット」のイントロを奏で始める。渋い始め方だなと思ったら吉井和哉ではなく白いドレスの由紀さおりご本人降臨でカバーじゃないガチなのを歌い出す。追って吉井さん登場のそこからはデュエット状態。
いきなりエライ始め方してから後はもう完全にヒットパレード状態。ツアーやってフェスにも出て相当こなれてはいるだろうけど、それでも15年の合間があるとは思えない現役感。やっぱ本物ですわ。


サカナクション:
もうフェスに出てたら毎回観る。今年のフェスのテーマは「和」のようで、VIVA LA ROCKでも和服のダンサーというか踊り子さんを導入して「夜の踊り子」やったりしていたのですが、今回はもうセッティングの時点で見た目から異常に木が多い。山のように和太鼓を並べているわけです。
マックブック5台ではないものの5人並んで恒例の「ミュージック」始まり。そこからしばらくは5人でやっていたんだけど、やっぱり「夜の踊り子」で踊り子さん導入、「SAKANATRIBE」で和太鼓完全導入、どかんどかん言わせる。何故ここまでエスカレートさせる必要があるのかはさっぱりわかりませんが、ショーとしては無闇に面白いので何の異論もありません。
ていうか、だから彼らは何度でも観たくなる。


Radiohead:
Creepあり。Street Spiritあり。No Surprisesあり。My Iron Lungなし。Karma Policeなし。そんな感じではありますが、自分は「OK Computer」原理主義者であり、それ以降の音源については「音楽IQ高過ぎて付いていけない」と思いながら熱心には聴いていなかったのですが、生で聴くと随分とすんなり自分の中に入っていく。
今回キャリアからほぼ万遍なく選ばれた曲を聴いていると、特に近年の曲になるにつれて当然間違いなくライブではあるのだけどあんまり曲の構造が端正でライブらしくないというか、一分のブレも隙もない感じになっていくような気がして。

そこでようやく2001年以降の音源の意味がわかったような気になった。Radioheadのレコーディング音源の歴史はデビュー以降ずっと、いかに所謂「ロックバンド」的な情緒や勢いのような「不確実性」から離れようとするその軌跡なんじゃないかなあ、と。エモーションは間違いなくあるのだけど、それをいかに定格出力するか、みたいな。
このバンドは人によって捉え方もそれぞれなので、「そうである」と断言するつもりもないのですが、自分の中では何となく合点が行った。

で、Creep聴けてよかったんだけど、でも今なら確かに「できればやりたくねえなあ」と思うのも理解できる。この曲のリリース当時その歌詞の奇妙さ、自虐っぷりがそれなりに話題になっていたことを記憶しているのだけど、今改めて歌詞を読むとこれ相当に「若気の至り」感満載。それをもうすぐ50歳になる身で歌うのはそりゃちょっと、可能であれば避けたい。
でも2003年は思い詰めたように歌っていたのに対して今回は随分飄々とやっていたということなので、遂にいろいろな気持ちから自由になったのかもしれません。その調子で次は「High And Dry」も。