フジロックは諦めた。特に金曜日のグリーンのラスト2発、PAの性能限界を試すがごとき並びにはすごく心惹かれたのだけど、サラリーマンだから。
代わりに22日の晩は劇団鹿殺しの公演、23日はsora tob sakanaのワンマンを観に行く。
劇団鹿殺し@池袋サンシャイン劇場は、バンド演奏+演劇というスタイルでずっとやっている劇団ですが、今回はSE以外はほぼ全て生音、ゲストに堂島孝平連れてきて歌も芝居もやらせ、曲によってはエキストラ的な役割だと思ってた人も含めてホーン最大6本も持ち出すという徹底っぷり。何年か前に観た時には勢いはものすごく感じたけどものの、正直わちゃわちゃしているところがあって「もっといける!」と思ったんだけど、今回は相当に盤石。音の圧に加え芝居の圧も相当高まり、ものすごくいい「場」ができていたと思いました。
古田新太も推していたりしてかなり最近注目は浴びてはいても、それでも今回札止めには届いていないようで残念ですが、でもその理由は何となく先日のガチャリック・スピン的な、純粋に演劇だけでもなく純粋に音楽だけでもない、カテゴライズしにくく各ジャンルのコアファン層に響きにくいところにあるんじゃないかとすごく思った次第。
私はむしろそういう混ざったヤツ大好きなんですけど。
sora tob sakana@渋谷WWWは、もう速攻でチケット取ったわけですよ。トラックメイクは残響レーベル所属ハイスイノナサのコンポーザーの照井氏、もうバックトラックのポストロック的な凄まじさハンパなく、もうこの演奏を生で聴きたくてさすがにWWWでワンマンなら生バンドで出てくるだろうと思いまして。
が、残念ながら会場入ってもステージにバンドキット見当たらず、結局全編オケ。で、がっかりしょんぼりして帰るかと思ったら予想以上に女の子たちのパフォーマンスが素晴らしくて、相当満足して帰ることになりました。
当然そういうトラックなのでただ明るいとかハッピーとかになりようもないのですが、女の子たちの醸し出す空気感は完全に「陽」。結果として、陰鬱で変拍子なトラックなのにそこにひたすらアッパーなパフォーマンスを乗せていたいずこねこのマリちゃんの時のような、何か曲単体とは別の独特の空気が場に生まれる、そういう不思議な感じに。音楽のライブとして、そうなったらもう勝ちです。本当に素晴らしいライブになった。
そしてワンマンだと、各メンバーのパーソナルも見えてきてより面白い。
特にMCの時のメイン仕切り役のふぅちゃん(公式サイトの一番左)がすごかった。ライブ中びっくりするくらいくるくると表情が変わり、全盛期の遠藤久美子やあまちゃんのときの能年を彷彿とさせるレベルの「陽」のアイドル性すら感じさせる。彼女は逸材です間違いないです。
MCでは平均14歳にして「もっと売れたい」という野心を臆することなく口にしていたわけですが、このライブを観て本当にもっと売れるべきだと思うわけです。音楽性の高さは間違いないのですが、それを売りにしてというのとはむしろ逆。
残響レーベルの音は、とっつきものすごく難解そうに聴こえますが、一度入ってしまえばその面白さとか気持ちよさとかものすごいわけですよ。それを世に伝える翻訳装置としての役割を、アイドル性の高さとかによって彼女たちが果たしてくれるのであれば、日本のポピュラー音楽はもう少し面白くなるんじゃないかと、けっこう本気で思うのです。今回ワンマンに行って、今後も強く応援したいと思った次第。
それでもいつか、生バンドの演奏のライブに行きたい。今回のライブを前にしてこんなスタジオライブ映像をYouTubeに落としてくるわけで、純粋に俺はこれを生で聴きたい。