フィロソフィーのダンスのこと

フィロソフィーのダンス、という名前の新たなグループアイドル。
「ロックなアイドル」「メタルなアイドル」「ポストパンクなアイドル」「テクノなアイドル」「EDMなアイドル」「ヒップホップなアイドル」「ディスコなアイドル」。様々な音楽的ジャンルをアイドルが縦横無尽に立ち回る昨今ですが、そこが残っていた!という驚き。つまり典型的な「ディスコ」に至る前のブラック・ミュージック、「もうそんなん気持ちいいに決まってるやん」なあたりを主戦場にしようという魂胆。

サブカル糞親父ですので、さっそく「オール・ウィー・ニード・イズ・ラブストーリー」のベースはStevie Wonderの「Superstition」ではないかとか、「すききらい_アンチノミー」はChic的展開にフィリーソウル的な意匠を組み合わせてるなとか、でも絶対他の元ネタも組み合わせてあるだろうなとか、死ぬほど考え込んでしまうわけですが、それでもこの路線であれば更に過去にさかのぼって「ロック」誕生以前の、戦前のダンス・ミュージックに突っ込んでも全く不自然にならずに展開できるので、後先ものすごくフィールドが広い。
リスクがあるとすれば、うっかりKENTOS的なヤンキー文化の方にぶっこんでしまい岩井小百合みたいになることですが、まあそこらへんはハンドリング次第で。
出自がユニバーサル・レーベルなので、この先うまく行けばメジャーで大展開もあり得るかも。

そういうブラック・ミュージック由来の音は清竜人25がやや足を突っ込んではいましたが、それ以上に荒らされていないのは単純に「トラックを作るのに相当な音楽IQが求められる」からであることは容易に想像が付くのですが、「オール・ウィー・ニード・イズ・ラブストーリー」の作曲編曲は、今回作詞のみの元ふぇのたすのヤマモトショウを差し置いて、新進気鋭の現在22歳が担当。もう何つうか、おじさんびっくりですよ。

そういう若いのがどんどんヒャダインとか中田ヤスタカみたいになればいいんですよ。アイドルブームの何が素晴らしいって、そういう才能ががんがん掘っくり返されるところなので。過去そういう掘っくり返された人たちのインタビュー集とか、すげえ面白かったわけですし。3776のトラック作ってる石田さんの話とか、普通に話してるようでじわじわと「こいつ人として相当ヤバいわ」感が滲んでいたりして、お勧めです。

彼女たちに問題があるとすれば、こういう方針の音作りの場合、オタがミックスとか非常に入れにくいということでしょうか。かなり大きな問題ではあるのですが、それ気にしてたら先に進めないんですよ。