Negiccoとミツメとスカートにおける「2016年の気分」のこと

Negicco / ティー・フォー・スリー (Album)
ミツメ / A Long Day(Album)
スカート / CALL(Album)

本当は並べて語ってはいけない気もしているのですが、今酔っぱらっているので勢いでこの3枚を並べます。「2016年の気分」がここにあるんじゃないかと思うんです。

このサイト名の80s-90sというのは、元々UKバンドネタを中心にやっていて、その場合80年代とそれ以前、もっと言ってしまえばパンクとそれ以前には大きく深い溝があり、自分はそれ以降を扱うんだぞという意志の表明でもあったわけですが、最近はタワレコに行っても再発盤のコーナー見ると50年代から90年代までだいたい一緒くたに扱われ始めておりまして、まあ仕方ないと思いつつ私のその意志は一体何だったのだろうかと自問自答したりもするわけです。

古今東西の音楽が検索一発で全く同じ条件でヒットするこの今になって、正味どこまで年代にこだわるのか、もっと言ってしまえばジャンルにしてもそれにどこまで意味があるのかとか、いろいろ考えたりもするのですが、今年の4-5月にリリースされたこの3枚が自分にとってはおよそその答えになっているのです。

端的に言えば「ただの音楽」。
過去の財産にリスペクト抱きつつも、でも年代とかジャンルとかどうでもよくて、いまここに「よい音楽」として流れるのであればそれでいいじゃんという、そんな感じの。

Negiccoは、新たにうようよ出てくる「完全に狙いを定めて派手に出てくる」アイドルとの相対的なところも含めて、アルバムを追うにつれどんどん地味になっているにもかかわらず、トータルの完成度としてはどんどん上がっている。いろんなタイプの曲はありつつも、一定の振れ幅を見極めてその中で気持ちよく鳴っている。

前作を聴いて「21世紀のフィッシュマンズになりたいのかな」と思わざるを得なかったミツメは、今回は「バンドとして普通に鳴らせる音」として作り込んだ結果、もう誰のフォロワーとかよくわかんなくなって、でもただすごくいい音楽。

先日Mステにスピッツが出演した際にメンバー以上のプレゼンスを発揮していた澤部くんのユニットであるスカートの今回のアルバムは、過去のどの作品よりも多彩になっているにもかかわらず、恐ろしいほどに一定のトーンでただ高品質の音楽であり続ける。

EDMっぽいのもすごくいいです。メタルっぽいのもすごくいいです。AORっぽいのもすごくいいです。もういろんなジャンルが同時多発的に鳴る世の中です。
そんな中出てきた、すごく「フラットな」音楽の数々。それがとても「今」の音だと感じるのです。みんな大好き。