2013年は何か洋楽イマイチだった印象。たとえばタワレコの海外インディーズ音源の試聴機、ものすごく純粋な60-70年代系の音か、Arcade FireかJames BlakeかVampire WeekendかPassion Pitかのどれかとどれかを適量ブレンドしたような音がすごい勢いで並んでいるばかりで、質は高いと思いながらも何かこう興をそそられるものが少なかった感じで。日本のシーンを見るくらいの精度できちんと海外まで追えれば絶対面白い音は見つかるんだろうけど、遠い分だけこういう俯瞰的な音楽の聴き方してるとどうしても限界があり。今年はもう少し頑張ろう。

ということで、曲単体で3つ挙げたら全部日本。

安室奈美恵 / Contrail

作者のNao'ymtは元々R&B界隈の人で、小室以降の安室のメインコンポーザーのひとりと言えるレベルの活躍っぷりなのですが、「Dr.」といいこの曲といい、R&B色の薄い方が「強い」曲になる印象。安室はアルバム単位では「PAST


私立恵比寿中学 / 誘惑したいや

先日の自身のアルバムも決して悪くはないのだけど、たむらぱんの2013年一番の大仕事はこの楽曲を世に生み出したことに尽きます。彼女達のパブリックイメージからは相当遠い曲にもかかわらず、アルバムのみならずライブでもその中核を担うクラスのド名曲。派手さはないもののじわじわ来るメロディラインの素晴らしさ、そして女の子の「想い」だけではなく「欲」の匂いまでないまぜにした歌詞は男には絶対に書けない種類のそれ。
そもそも今のアイドル界隈、制作側がほぼ男という状況下であり、こういう色を出せるブレーンを持ったことはエビ中の将来に渡っての相当な強みになり得るかもしれないなと思いつつ、でも他のアイドルからも依頼行ってるかもしれないと調べたら既にbump.yにも書いてた。でも相変わらずbump.yはあんな感じなので、やっぱ相性の問題はあるのだろうなあ。


でんぱ組.inc / W.W.D

楽曲の出来云々以上に、そのプレゼンスの大きさが凄まじい曲。
元々過去のダメっぷりを隠さず、むしろそれが共感の源になる形でファンと繋がってきたアイドルグループによる、正に真骨頂。ヒャダインの聞き込み調査的制作スタイルと本人たちの素養が理想的な形で融合した「ロッキンオン2万字的世界観」アイドルの明確な提示。インタビューとかで聞かれてただ「いじめられていた」「引き篭もりだった」みたいな告白をするのではなく、それを積極的にコンテンツとすることが武器になることの証左であり、これもある意味これからのアイドルの有り様を測るものさしのひとつになりうるのか、と。


というか昨今のアイドル、音楽的なレベルを上げていく方向性は、いずこねこあたりでジャンルとしては出尽くした感もあり、BELLRING少女ハートのように「本格的なトラックに典型的アイドル歌唱を乗せることによって生じるズレ・違和感」を狙う方向性等かなりの変化球まで出てまいりまして、もうアイドル界隈差別化キーを探る旅の様相を呈してまいりました。逆に「可愛い女の子が可愛い曲を歌い踊る」以上の差別化ポイントを提示できないままメディア露出とかだけで何とかしようという人たちはおよそ頭打ち傾向。まあそれでは膨大な露出とカタログ量を誇るAKBグループに持っていかれるだけですから。

あと思いつくところで残っている差別化キーは「政治イデオロギー明示型(特に右の方)」、「セクシー幼女(ギリギリ合法)」、「メンバー全員前科者(活動テーマは「世間への懺悔」)」あたりくらいか。
何度も言いますが、「童顔熟女」アイドルグループがデビューしたら割と本気で応援します。