「てんとうむChu!」というユニット名は、可愛いとか可愛くないとかダサいとかダサくないとかそういう普通の物差しからは絶対に出てきようのない名称なので、その時点で秋元康に恐れ入ってしまう。

    • -

サザエさん音楽大全 (Album)

貪るようにいろいろ聴いていた高校生時分のある日曜日、テレビでかかっていた「サザエさん」のオープニングを聞いて、それまでは古臭くてダサい曲としか思っていなかったのがその瞬間「これモータウンじゃないか!」と気付いた時の衝撃。
その後もさらに貪るように聴いているのは、そういう衝撃が欲しいからなのかもしれません。
普段は「音楽」ということを意識することのあまりない音源を、改めて「音楽」として嗜んでみるという愉快な経験ができる作品。

全体的にもモータウン色強めなことがわかるのですが、それでも中には異色の作品も混じっていて面白い。
やたら耳にする「楽しい磯野家」も、こうやって聴くとビキビキめの電子音とマンドリンぽい弦楽器の絡みという、普通の音楽ではあまりありえない組み合わせ。
他にも異常にベースが跳ねる「スケッチ1」、主旋律が無闇にポップな「エンディング1」、不思議なコード進行の「カツオのテーマ2」等々、ベストトラックは、典型的モータウンなリズム隊&ギターカッティングの上に木琴とソプラノサックスが乗った後、1分足らずの曲とは思えないほどの怒涛の展開を見せる「カツオのテーマ4」。素でかっこいい。

ちなみにエンディングの「サザエさん一家」の元ネタはこれ。1968年4月リリースの曲を1969年10月開始の番組に使ってくるというのは、当時のタイムラインとしては相当早いんじゃないでしょうか。筒美京平恐るべし。