大塚愛の「さくらんぼ」、矢井田瞳の「my sweet darlin'」、ORANGE RANGEの「上海ハニー」は全部メジャーデビューから2枚目のシングル。デビューシングルでアーリーアダプタレベルくらいにまで名前が浸透する程度プロモーションしておいて、2枚目でそこを足がかりにしてキラーチューンで一気に持っていく。特に矢井田瞳はデビューシングルの「B'coz I Love You」を敢えて椎名林檎っぽい作風やPVで出していって世の中ネガティブにバズらせる方向に持っていき、散々勝手に名前が広まったところで2枚目出してネガを全部引っくり返していくという、実に鮮やかな手口でした。

前にも言ったけど短期間で成果を出すことが求められて売る側にも余裕がなくなっている今、そういうかっこいいプロモーションがあまり見当たらなくなって寂しい。

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それまでCD・DVD扱いがなかった大型書店の一角に小さなCD・DVDの棚が設置されているのを時々見かけるのですが、あれCD卸大手の星光堂の仕業なんですね。
工夫の余地が限られているという点で、CDパッケージ市場がシュリンクして困るのは正味のところ大手小売以上に卸かもしれず、とはいえ手をこまねいているわけにもいかないということで、「卸自らが小売の窓口を拡大しにかかる」という形の一手がこの「HITS」ということで。2010年に星光堂、書籍卸のトーハン資本提携しているのですが、それのシナジー効果として書店とのパイプができ、可能になったもののようです。
とはいえ、書店側がその設置によって過度の負担増や在庫リスクを強いられるようなことがあればどこも設置なんぞしませんので、そこは星光堂社内にセンターを置いて陳列商品のチョイスから発送からオーダー受付から在庫管理から何から面倒を見るスタイル。
何となく「焼け石に水」的な雰囲気もしなくはないですが、でも姿勢は買いたい。

また、こういうのを導入する書店側の「本だけじゃなくCDとか文房具とかも扱う」方針へ、というのはローソンが生鮮食品扱い出すとか、ヤマダ電機がコスメ系に力入れていたりの「品揃えを幅広くして集客」という方向性とダブりますが、そういうのも含めてかつて呉服屋がいろいろ多品種扱い出して三越百貨店になったり、雑貨屋がいろいろ多品種扱い出してジャスコになったりしたのと思想としての基本線はさして変わらんような気もする。
今以上にしたい場合、頭打ちを打開したい場合、「総合店舗」化に向かわざるを得ないのは昔も今も同じということですね。調べたい人はネットで調べるだろうし、そうでなけりゃ安い方がいい。深い専門性よりも価格や利便性が圧倒的に勝っちゃう世の中で。そりゃレコ屋も流行らんわ。